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公務員の人事異動|異動の決め方、ルール、人事の仕組みなどの実態を調査

公務員の人事異動 異動の決め方、ルール、人事の仕組みなどの実態を調査

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公務員にとって人事異動はつきものです。多くの場合、2〜4年の周期で人事異動が行われます。公務員の人事異動は、さまざまな理由やルールを前提に行われます。

当記事では、なぜ頻繁に人事異動をするのか、どのようにして異動を決めるのかなど、公務員の人事異動の実態について解説します。

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目次(タップして開閉)

    公務員の人事異動とは

    公務員の人事異動とは、職員の配置や階級を変更することです。新卒採用や退職も人事異動の一環です。

    公務員といっても、国家総合職、国家一般職、自衛官、警察官、消防士、教員などさまざまな職種があります。これらの職種は、必ず人事異動があります。新卒採用から定年まで、ずっと同じ部署に居続けることは基本的にはありません。

    公務員の人事異動が頻繁に行われる理由

    民間企業においても、人事異動を行うことは少なくありません。しかし、公務員の人事異動は、民間企業の人事異動と主旨が異なります。

    公務員の人事異動スケジュール・サイクル

    一般的に公務員の人事異動は4月に行われます。業種によっては年に2回あったり、ほかの月であったり、年間を通して行われる場合もあります。基本的には年に1回、4月に行われることが多いでしょう。

    公務員一人あたりの人事異動の頻度は、2〜4年程度ごとに1回が多いようですが、これも業種によって異なります。国家総合職の場合には半年〜3年程度で異動となることもあります。

    公務員の人事異動の目的

    なぜ公務員はこれほど人事異動が頻繁に行われるのでしょうか。その目的には以下のようなものがあります。

    主な公務員の異動目的
    ・特定の個人や団体との癒着防止のため
    ・さまざまな業務を経験するため
    ・各家庭の事情を考慮するため

    公務員は癒着リスクが高い

    民間企業でも、人事異動が実施されていますが、公務員の場合はとくに癒着のリスクを回避する目的が強いとされています。ひとつの部署や地域に長く居続けることでいつの間にか特定の企業や地域社会との親密度が高まる可能性が出てきます。

    そうではなくても、国民や住民に不公正を疑われやすくなります。そのような事態を避けるため、企業や個人と親しくなりすぎる前に異動する必要があります。

    公務員の人事異動の決め方

    公務員の人事異動は民間企業とどのように異なるのでしょうか。ここでは、公務員の人事異動のタイミングや決め方などを解説します。

    いつ、どのように決まるのか

    公務員の人事異動については、毎年、新規採用者が内定する前年の10月頃から協議を始めるケースが多いようです。退職者の人数や各部署・課の人数などを把握し、それに合わせて異動対象となる職員を決定します。

    上述したように、公務員は2〜4年のペースで異動があるため、同じ部署や課に勤務している年月が長い人は異動になる可能性が高くなります。

    辞令と内示の時期

    一般的に4月1日付けで辞令が発表されますが、異動する個人にはその少し前に「内示」という形で報告されます。おおむね3月の1〜2週目には内示があることが多いようですが、引っ越しを伴う異動の場合は、内々示があるようです。

    誰が決めるのか

    公務員の人事は民間企業とは少し異なります。階級・役職によって人事を決める人が異なるからです。

    部長級や局長級の人事

    一般職のトップにあたる部長職や局長職に関しては、「特別職」と呼ばれる市長や知事などの首長、または首長に任命される副市長や副知事が決めています。

    基本的に公務員は現代においても年功序列制度が色濃く残っています。そのため、トップが定年退職などによって退くことで、次の階級・役職の人が昇格してそのポストに就くケースが多いです。

    課長級の人事

    一般職のトップが決まったら、その部下である課長級の職員を、人事担当の部長や課長が決めています。特別職や部長級・局長級のチェックは入りますが、余程の事情がない場合は、人事の案が採用されます。部長級と同様に、空いたポストに部下が昇格するというケースが多いようです。

    係長級以下の人事

    最後に係長級やそれ以下の人事を決めます。これらは人事課長や人事係長が決定することが多いです。とはいえ、職員数が多い政令指定都市などの自治体などでは、人事課長や人事係長だけですべての人事を決めるのは簡単ではありません。実際は、各部署の課長級以上の人が人事案を出すことが多いようです。

    公務員の人事異動、内示がギリギリなのはなぜ?

    上述したように、公務員の人事異動は4月1日付けであることが一般的です。辞令発表に先立ち、異動対象となる職員には内示が出ますが、早くても1か月前、遅い場合だと3〜4日前に突然内示があるといったケースも少なくありません。なぜ直前まで内示が行われないのかには以下の理由があります。

    職員のモチベーション低下を防ぐため

    異動の内示が早いと、職員の仕事に対するモチベーションが下がってしまう恐れがあります。

    公務員の場合、本人の希望の有無にかかわらず、一定期間で必ず異動になります。そのため、異動に対して不服がある場合、異動までの期間が長くなればなるほど、仕事への意欲は下がってしまう可能性があります。

    異動直前までモチベーションを維持し、集中して仕事をしてもらうためにも異動の内示はギリギリまで行いません。

    不測の事態に備えて直前まで人事調整を行うため

    多くの人が人事異動することになるため、決定内容の変更は簡単ではありません。退職者や休職者が出れば、人事異動の内容を改めなければならなくなります。

    あまりに早く決定してしまうと、人員配置に大きな影響を及ぼすことにもなりかねないため、直前まで人事調整を行えるようにしています。その結果、内示もギリギリまで行えません。

    異動に関するトラブルを回避するため

    人事異動により昇格が判明した職員を、よく思わない職員も一定数いると考えられます。また、早期に内示を出すと、不満を口にできる期間が長くなり、職場全体の士気を下げることにもつながりかねません。

    公務員の人事異動の決め方【事例】

    公務員の人事異動は、上述のように不正防止のために行われるのが大きな理由ですが、そのほかにも「経験を積ませる」「適材適所」「部署の人数を合わせる」という意図もあります。

    特に若手職員の場合は、職務適性を見極めるため、短いスパンでまったくの別業務を行う部署に異動するケースも少なくありません。

    とある事例では、情報システムの部門を3年間勤めたあと、畑違いの国民健康保険税の徴収担当へ異動した人もいます。

    短い期間で多くのことを吸収しなければなりませんが、それが習慣となれば、どのような部署に異動しても、早い段階で戦力となるスキルが身につく可能性があります。

    公務員の人事異動の決め方【実務】

    公務員の人事異動にはさまざまな決め方があります。ここではどのような決定の仕方があるのかをご紹介します。

    人事異動テーブルに上げる

    部署の課長級が、人事異動対象となる職員を、能力や部署内での役割に応じて人事異動テーブルに上げます。人事異動テーブルとは、異動の候補者リストのようなものです。

    平均的な異動年数3年を超えている職員は全員異動対象となります。しかし、対象者全員を異動させるわけではありません。

    優先度の高い職員から人事異動テーブルに上げられます。人事異動の優先度が高い職員は以下の条件を満たしていることが多いです。

    異動の優先度が高い職員【例】
    ・部署へ配属された年数が長い
    ・昇進や昇格
    ・災害派遣や外郭団体、上下位機関へ出向予定
    ・何らかの問題を起こした

    ただし、定年退職まで残り1年の職員や、所属長が異動させないと決めた職員に関しては、上記に該当していても異動することは少ないでしょう。

    指名

    特に優秀な部下を上司は「出世させたい」と考えるはずです。そのような場合は、部下が希望する特定の部署に異動できるよう、所属長が働きかける方法もあります。当然異動先で部下が結果を出せば、指名した所属長の評価にもつながります。

    引き抜き

    所属長が、自分の部署に他部署の人事評価などで優秀とされる職員を引き抜くといった人事異動の決定方法もあります。公務員は民間企業に比べて閉鎖的な環境といえます。そのため、職員の評価や情報はほかの部署にも広まりやすい傾向があります。特に優秀な職員がいるとうわさが耳に入れば、自分の部署に引き抜きたいと考える人もいるでしょう。

    トレード

    1つの部署に優秀な人材を集めてしまうと、バランスの悪い組織となります。そのような事態を防ぐために、優秀な人材を同じく優秀な人材と交換する形で異動が決定されることがあります。

    さらに、トレードは優秀な人材同士を交換するだけではありません。「評価の低い職員を受け入れる代わりに、評価の低い職員を受け入れてほしい」「評価の低い職員を受け入れる代わりに、優秀な職員も一緒に異動させてほしい」というような交渉を行うケースもあります。

    ルート

    公務員の場合、決まったキャリアのルートがあり、それに沿った異動をするパターンもあります。たとえば「◯◯部の課長は、△△部の部長へ昇進する」といった前例にならったルートを指します。

    そのほか、出向先から本庁、本庁から出向先というような固定ルートも公務員には存在します。そのため、同じルートにいる職員とは、次の異動先、その次の異動先も同じ職場というケースも少なくありません。

    家庭の事情・個人的な事情を考慮

    家庭の事情や個人的な事情を理由に異動または異動に配慮するケースもあります。主に次のような場合が挙げられます。

    主な個人事情による異動理由
    ・家族の介護をしている
    ・育児をしている
    ・体に不自由がある

    介護や育児を行っている職員に、残業が多い部署や通勤に時間がかかる部署に異動させるようなことはあまりありません。また、体に不自由がある人に、現場作業が前提の部署へ異動させるようなことも多くないでしょう。

    必ずとはいえないものの、近年では社会的な背景などもあり、これらの理由がある職員に対しては希望通りの部署へ異動させるといった動きも見られるようになってきました。

    またかつては、同じ部署の職員同士が結婚した場合は、一方を異動させるケースが主流でした。しかし最近では、夫婦で働くことができる取り組みを行っている自治体もあります。

    公務員の人事異動が不服な場合は聞いてもらえる?

    公務員の人事異動は、その内容に不服があっても、基本的に拒否できません。

    公務員の場合『国家公務員法98条第1項』『地方公務員法32条』にそれぞれ「職務命令に従う義務」について明記されています。拒否した場合は職務命令違反となり、最悪なケースだと懲戒処分・懲戒免職処分となることもあります。

    参照:『国家公務員法第98条第1項』『地方公務員法第32条』

    公務員の人事異動が拒否できない理由

    公務員には、さまざまな仕事に対処できるぜネラリストとしての役割が求められているため、上述の定型ルートのように異動にも意図が含まれています。

    「異動先の業務をしたくない」「転勤が嫌だ」など1人ひとりの希望に沿っていたら、国民や住民全体に奉仕する組織として必ず偏りが生じます。上述のような癒着の懸念もあるため、公務員は極端な個人的な事情で異動希望を出すことができません。

    公務員の異動希望が通るケース

    ただし、介護や育児などのやむを得ない事情がある場合、考慮してくれるケースもあります。正当な理由が認められる場合は、変更してもらえる可能性もあります。すべての人が希望を考慮してもらえるとは限りませんが、そのような事情がある場合は、内示の時点で人事に相談することは可能でしょう。

    公務員の人事異動【まとめ】

    公務員の人事異動は、基本的には自ら希望する部署へ異動することは難しく、決定した人事に不服を申し立てることもできません。しかし、若手職員の育成や人数のバランスなど、さまざまな角度から人事異動は決定されています。

    個人的な希望を通すことは難しいものの、自身のやりたい仕事などをアピールすることは可能です。人事担当や決定権のある上長も個人の希望が把握できれば、適材適所の人事異動ができ、職員のモチベーション向上を目指せるのではないでしょうか。

    公務員の複雑な異動業務もシステムで一元管理

    職員数が多いほど公務員の職務は煩雑になります。個々の職員がどのようなスキルを有し、どのような適性があるのかを把握するのは難しくなるでしょう。

    国家公務員と地方公務員の人事評価制度に準拠している『スマカン Public-人事評価』は、公的機関に特有な処理をカバーしながら、変化する人事評価制度にも対応したシステムです。人事異動を見据えた評価業務の効率化、職員の育成計画の立案、配置シミュレーションにお役立ていただけます。

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