• 2022.06.29
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リスキリングとは? 意味やリカレント教育との違い、導入ステップなどを解説

リスキリングとは? 意味やリカレント教育との違い、導入ステップなどを解説

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リスキリングとは、新しい業務知識やスキルを習得するための再教育のことです。海外では数年前からリスキリングの必要性が認識されていて、さまざまな取り組みが進められてきました。日本でも経済産業省の提言により、最近になって注目を集めています。

当記事では、リスキリングの意味と目的、注目を集めている背景、導入の手順とポイントなどを解説します。「リスキリングがどういうものか知りたい」「人材の採用や育成に課題を抱えている」という方は、ぜひご参考になさってください。

目次(タップして開閉)

リスキリングとは

経済産業省における検討会では、リスキリングは以下のように定義されました。

新しい職業に就くために、あるいは、今の職業で必要とされるスキルの大幅な変化に適応するために、必要なスキルを獲得する/させること

引用:『リスキリングとは』経済産業省(第2回 デジタル時代の人材政策に関する検討会)

近年は、デジタル化の推進に伴い、新しい業務の発生や業務の進め方の変更が迫られています。そのため、リスキリングという言葉は、特にデジタル技術に関するスキルの習得を指す場合が多いです。

デジタルスキルの習得が必要なのは、エンジニアやデータアナリストなどの職種に限った話と思うかもしれません。しかし、リスキリングの対象となるのは企業の全従業員です。あらゆる職種がデジタル技術に関するスキルを身につけて、社会の変化に対応していくことが求められています。

リカレント教育・アンラーニングとの違い

リスキリングに似た言葉として、「リカレント教育」「アンラーニング」があります。よく誤解されがちな2つの言葉についてご説明します。リスキリングとは何が異なるのでしょうか。

リスキリングとリカレント教育の違い

リカレント教育とは、日本語であらわすと「循環教育」という意味です。総務省が発表する『情報通信白書』(平成30年度版)では、以下のように定義されています。

就職してからも、生涯にわたって教育とほかの諸活動(労働、余暇など)を交互に行うといった概念

引用:『平成30年度版 情報通信白書 第1部第5節(2)』総務省

リカレント教育は、就職後に新しい知識やスキルを習得するという意味で、リスキリングに近いです。しかしリカレント教育は、大学への再入学など一時的に仕事から離れて学習することも想定されています。業務上すぐに必要なスキルの習得に主眼を置いているか否かが、リスキリングとの大きな違いといえます。

また、リカレント教育を受けるかは個人の意思によって左右されることが多いです。一方リスキリングは、企業が主体となって全従業員を対象に進められます。その点も、両者の違いです。

リスキリングとアンラーニングの違い

アンラーニングは、「学習棄却」とも呼ばれます。過去に学んできた価値観や習慣を捨て、新しい知識を学び直すことを意味します。従来の思考パターンにとらわれて、時代の流れから取り残されてしまうのを防ぐための考え方といえます。

社会や市場環境の激しい変化への対応を目的に、新しい知識やスキルを身につけるという点は、リスキリングとも重なります

一方で、アンラーニングの考え方の中心は、いかに有効でなくなった固定観念を捨てるかという部分です。リスキリングでは必ずしも捨てることに着目せず、現状の知識と新しいスキルを組み合わせていく場合もあります。それがアンラーニングとリスキリングの大きな違いだといえるでしょう。

リスキリングの目的と注目される背景

リスキリングが注目を集めている背景には、大きく2つの要因があります。

1つは、DX(デジタルトランスフォーメーション)を推進する動きの拡大です。DXは経済産業省によって以下のように定義されている概念で、数年前から必要性が取り沙汰されています。

企業がビジネス環境の激しい変化に対応し、データとデジタル技術を活用して、顧客や社会のニーズを基に、製品やサービス、ビジネスモデルを変革するとともに、業務そのものや、組織、プロセス、企業文化・風土を変革し、競争上の優位性を確立すること

引用:『DX 推進ガイドライン Ver. 1.0』経済産業省(2018)

この定義からもわかるように、DXとリスキリングは目的が非常に近いです。むしろ、DXの一環としてリスキリングが求められているともいえるでしょう。

DXを推進するためには、デジタル技術を活用できる人材が必要です。しかし、DX人材は希少価値が高く、どこの企業も採用に苦戦しているのが現状です。中途採用をせずにDXスキルを持った人材を育てる方法として、リスキリングに注目が集まっています。

さらにリスキリングの注目度が高まった2つ目の要因は、新型コロナウィルスによる働き方の変化です。顧客とのコミュニケーションがオンライン中心になったり、オフィスへの出社がテレワークになったりと、従来の働き方から変わらざるを得ない状況になりました。それによって積極的にDXを推進している企業でなくても、従業員にデジタル技術を扱うスキルを習得させる必要性が生まれたのです。

リスキリングの効果・メリット

ここまでリスキリングとは何か、なぜ注目を集めているのかについてご説明しました。続いて、リスキリングには従業員が新しいスキルを身につけられる以外に、どのような効果があるのかをご紹介します。

従業員の主体性を育む(生産性向上・イノベーション推進)

リスキリングの初期段階では、企業がある程度の強制力を持って従業員に学習を促す必要があるります。それが習慣化すると、主体的に新しいスキルを身につけようとする従業員が集まる組織になるでしょう。

自ら学習を続けられる人材が増えていけば、新しい事業やサービスのアイデアも生まれやすくなります。既存の業務の生産性向上や業績拡大にもつながるはずです。

デジタル技術の進歩にり急速に変化する社会では、従来の価値観にとらわれない革新的な発想が求められます。リスキリングは、そのようなイノベーションを生み出す土台になる可能性があります。

エンゲージメント向上(離職防止・定着率UP)

エンゲージメントは会社と従業員のつながりをあらわし、愛着心や愛社精神を指します。リスキリングの推進は、エンゲージメントの向上にもつながります。

今の組織に所属しながら、新しい知識や技術を身につけていけると感じた従業員は、スキルアップを理由とした転職を控える傾向にあります。企業が従業員に自主的に学習する機会を提供し、成長を後押しできれば、従業員の長期的なキャリア形成を支援することになるのです。

そのようにして従業員エンゲージメントを高めていくと、優秀な人材の離職を防ぎ、定着率を向上させることができるでしょう。従業員一人ひとりが、現在の職場で将来のビジョンを描けるため、目標設定の仕方やその実現に向けた行動が変わっていく可能性があります。

社内人材の活用(採用コスト削減・企業文化の維持)

昨今はどの企業もデジタル技術に長けた人材が不足しています。専門性を持った人材は希少価値が高く、採用市場で過酷な奪い合いになっているのが現状です。そのため、中途採用でデジタル技術を活用できる人材の不足を補うには、多額の採用コストが必要になる場合があります。

一方リスキリングは、社内にいる人材を育成するため、新たに人材を採用するコストがかかりません。デジタル技術推進による業務の役割を失った従業員に、新しいスキルを身につけさせて、別の部署に異動してもらうことができます。

さらに企業文化の維持も大きなメリットです。即戦力としてのスキルを重視して新しい人材の採用を増やすと、社内の一体感を維持するのが難しくなります。個人としては優秀な中途採用の人材が、チームにうまく馴染めないケースも聞かれます。

リスキリングの推進は、会社に長く在籍していることにより、企業理念や文化をよく理解している社員に活躍してもらえるため、そのような心配がなくなります。

リスキリングの事例

リスキリングは、まだ日本で馴染みがないように感じますが、なかにはリスキリングを進めている企業も存在します。どのような企業がリスキリングを進めているのでしょうか。代表的な事例をご紹介します。

株式会社日立製作所でのリスキリング事例

日立製作所は「デジタル対応力を持つ人材の強化」を重点的な課題としています。その解決策として、日立グループの人材育成を担う株式会社日立アカデミーが、デジタルスキルを身につけるためのプログラムを開発してきました。

日立アカデミーと日立製作所が連携して開発した「デジタルリテラシーエクササイズ」というプログラムは、国内の日立グループ全従業員16万人が受講しています。

このプログラムはすべてオンラインで提供され、データ分析を用いた課題解決の演習など、実践的なデジタル技術の活用法が学べる内容です。自社と顧客のビジネスをよく理解している担当者が、業務の困りごとをデジタルで解決できるようになることを、リスキリングによって目指す姿としています。

参考:『Works Report 2021リスキリングする組織』リクルートワークス研究所

富士通株式会社でのリスキリング事例

富士通でもDX人材を育成するため、約13万人のグループ従業員を対象に「デザイン思考」「アジャイル」「データサイエンス」の3つの分野におけるスキルと知識を習得できる講座を開発してきました。さらにグループ会社である株式会社富士通ラーニングメディアは、世界最大級のオンライン動画プラットフォーム「Udemy」との提携も行っています。

富士通のリスキリングの特徴は、従業員が主体的に行動できるようにすることを目的に掲げている点です。

学習プログラムの整備と並行してジョブ型人事制度の導入や、グループ内の空きポジションに応募できるポスティング制度の整備、1on1ミーティングによるコミュニケーションの強化なども進めています。

参考:『価値創造に向けた 人材・組織の変革』富士通グループ

マイクロソフトでのリスキリング事例

自社の従業員だけでなく、社外の人材へのリスキリングに取り組む企業もあります。その代表例がマイクロソフトです。

2020年にマイクロソフトは、新型コロナウイルスの影響で失業した2500万人を対象に無償で教育コンテンツを提供すると発表しました。リスキリングによって、失業者が再就職できることを目的にしています。

この『Global Skills Initiative』というプログラムは、全世界的な取り組みです。そのため日本国内においても、日本マイクロソフト株式会社と人材系企業やNPOが連携して、スキルアップ・就労の支援や、eラーニングによる学習機会の提供などを行っています。

参考:『Global Skills Initiative

リスキリング導入ステップ(始め方)

リスキリングは計画的に進めないと、「従業員が自主的に学習してくれない」「学んだ知識が定着しない」「せっかく身につけたスキルを上手に業務に活かせない」といった事態になりかねません。

ここでは、リスキリングで成果を出すために必要な導入の流れと、各ステップでの注意点をご説明します。

経営戦略・事業戦略に沿って方針を決める

まずは従業員に何を学ばせるかより先に、リスキリングを進めることで会社として何を目指すのかを考えましょう。経営戦略や事業戦略に沿って、自社が求めている人物像や理想の組織像を固めていきます。それが決まっていないと、どのようなスキルを身につけるべきかわかりません。また最終的に事業の成果に貢献しない取り組みになってしまうかもしれません。

将来的に目指す姿を描くと、現状とのギャップが見えてくるはずです。不足している知識やスキルを洗い出し、どのようにリスキリングを進めるべきか方針を決めましょう。

また、最終的な目標と方針を固めておくと、「現状リスキリングがうまく進んでいるのか」「どう改善していくべきか」も判断できるようになるでしょう。

リスキリングのプログラムを設計する

次に、リスキリングの方針に合わせて、新たな知識やスキルを習得させるための学習プログラムを設計します。このとき学習内容の優先順位と難易度に気をつけましょう

すぐに業務で活かせるスキルもあれば、長期的な視点で見たときに必要な体系的な知識もあります。これらの優先順位をつけて、学習プログラムを設計しましょう。優先順位や難易度に配慮しないと、現状必要のないスキルを蓄積してしまったり、知識の習得が一向に深まらない、といった事態にもなりかねません。

習得するのにかかる時間や難しさは、知識やスキルによってさまざまです。いきなり専門的な内容を身につけさせようとしても、多くの従業員は脱落してしまいます。

一方で、入門的な知識だけを広く浅く知ったところで、業務の成果には結びつきにくいでしょう。基礎から応用へステップアップしていけるような学習プログラムの設計が必要です。

リスキリングの教材を選ぶ

従業員に必要なスキルを把握したら、それらをどのように身につけさせるかを検討します。

先ほどは社内で学習コンテンツを開発している企業事例をご紹介しましたが、教材は必ずしも自社で用意する必要はありません。研修やeラーニングを提供している外部委託先も数多くあります。受講させたいスキルや形態に合わせて最適なサービスを選びましょう。ある専門領域に特化したサービスなども選択肢の一つにしてもいいかもしれません。

従業員による勉強会も学習コンテンツとしては有効です。ある程度の知識やスキルが身についてきた段階で、より自主性を高める効果が期待できます。学習のモチベーションを上げるためにも、資格が取得できるものや修了すると認定証が付与される講座の受講もおすすめです。

リスキリングに取り組んでもらう

設計した学習プログラムに沿って、教材を使った学習に取り組んでもらいましょう。

大切なのは最初から高望みしないこと。リスキリングは従業員にそれなりの負担がかかります。強制的に学習させようとしても、長くは続かず、会社が望んでいるような結果は望めません。

まずは小さなステップから始めて、自主的に取り組む意思を育みましょう。ある程度の学習習慣が根づいてきたら、内容をレベルアップさせていくといいです。

そしてリスキリングに取り組みやすい環境を整えることも重要です。「空き時間にやっておいて」という指示では、通常業務に追われて後回しになってしまい、ほとんどの人は計画的に進められません。

あらかじめ、リスキリングに取り組む時間を確保しておくなどの仕組みづくりが必要です。

習得したスキルの実践と振り返りを行う

ただ知識やスキルを学ぶだけでは、あまり意味がありません。それを実際の業務で活用することが大切です。学んだことをすぐに実践することで理解が深まり、より知識が定着しやすくなります。

学習と実践のループをうまく回すには、上司と部下の1on1などで定期的に振り返りをするとよいでしょう。どのようなことを学び、それを業務にどのように活かせているのか、進捗を細かく確認しながら進めるとすぐに軌道修正もできます。

さらに業務に活かせている内容や学習方法の改善点を社内で共有できると、より効率的にリスキリングを進められるようになっていくでしょう。

リスキリングを実施する際のポイント

最後に、リスキリングの効果を高めるために重要なポイントを2つご紹介します。

従業員のスキル管理(人材情報の収集と活用)

リスキリングのプログラムの設計には、従業員が持っている現在のスキルを知る必要があります。しかし多くの企業では、従業員の能力を正確に把握できていないのが現状です。

上司だけが知っていて、現場で一緒に働いているメンバーが理解していないケースもあるでしょう。入社時の履歴書や職務経歴書に書いてあるスキルは把握しているものの、内容がアップデートされていないということもあります。

まずは従業員のスキルに関する情報を収集し、まとめて管理しましょう一人ひとりが持っているスキルを知ることで、組織に何が足りないのかわかりやすくなります。スキルの習得状況をリアルタイムで把握することが重要です。

あるスキルに対して何人が身につけており、何人が実際に活用できているのか、その状況に合わせてリスキリングの進め方を軌道修正しましょう。従業員のスキルに関する情報を管理できていると、人事異動や人事評価、人材採用にも活用できます。

従業員の自主性を尊重する

リスキリングは、従業員が自主的に取り組めるようにすることが大切です。強制的に進めるのは、長続きせず定着しません。

導入する前に、リスキリングの必要性について従業員に丁寧に説明します。人によっては、デジタルスキルの習得は自分に関係ないと考えていることもあります。そのような職種の従業員にもリスキリングの意義を理解してもらったうえで導入を進めましょう。目的に納得していないと意欲がわきません。

さらに自主的に取り組んでもらうためには、従業員のモチベーションを上げる仕組みが必要です。新しくスキルを習得した場合にインセンティブを与えたり、人事評価に反映するといいでしょう。

従業員同士でお互いの意欲を高め合ってもらうために、情報共有や協力を促したり、ときに競争させたりするような仕組みをつくるのも一つの手です。会社から言われてやっているのではなく、自分の意思で学習しているという状態を目指しましょう。

リスキリングを効率的に運用するには

DX化が叫ばれる昨今、デジタルスキルの習得は多くの働く人に必須といえます。人事担当者や経営者は、自社でリスキリングを効率的に運用する必要があります。

まずは組織として従業員に求めるスキルと現状のギャップを知り、目標に合わせて学習プログラムを設計しましょう。そして自主的に取り組めるようなサポートも重要です。

タレントマネジメントシステム『スマカン』は、従業員一人ひとりの情報をクラウド上で一元管理し、「誰がどのようなスキルをどれほど持っているか」を可視化します。1on1によるリスキリングの学習状況の把握や習得スキルに基づいた人事評価、配置転換にもお役立ていただけます。

すべて自社で行おうとせず、クラウドサービスや学習プラットフォームなどをうまく活用してみてはいかがでしょうか。

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