• 2022.06.29  最終更新日2023.03.14
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リスキリングとは? 導入時のポイントとDXや人材育成との関係も解説

リスキリングとは?導入時のポイントとDXや人材育成との関係も解説

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リスキリングとは、経済情勢や社会状況、技術やビジネスにおける変化に対応するために必要な知識やスキルを得るために学習することです。

しかし、リスキリングという言葉について耳にする機会が増えたものの、リスキリングの持つ意味やメリットなどは理解できていないという場合も少なくありません。

そこで当記事は、経営者や企業の幹部、人事担当者に向けて、リスキリングについて総合的に解説していきます。

リスキリングとは何か、リスキリングの手順や注意点についてもご紹介しますので、ぜひチェックしてみてください。

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目次(タップして開閉)

リスキリングとは

リスキリング(Reskilling)とは、技術の進歩やビジネスの変化への対応、業務上で役立つ新たな知識の習得を目的に学ぶことをいいます。

近年では、IT化やデジタル化が進み、DX化も促進されている中で、それらに対応する知識や技術の習得が必要とされる場合もあるでしょう。

そのため、時代や社会情勢、技術の進歩などに対応できるためのリスキリングが注目されています。

リスキリングと混同しやすいリカレントやアンラーニング

リスキリングと混同しやすい言葉として、リカレントやアンラーニングという言葉があります。どちらも学習に関する言葉ではありますが、それぞれの意味を理解して、リスキリングとの整理をしましょう。

リカレント教育

リスキリングと混同しやすい言葉の一つとして、リカレント教育があります。

リカレント(=recurrent)は、日本語で「繰り返す」「再発する」という意味を持ちます。必要に応じて、就労と教育を受けて学習を繰り返すことを指します。

リスキリングでは仕事と同時並行で行いますが、リカレント教育では、仕事を離れて教育を受けるという違いがあります。

アンラーニング

リスキリングと混同しやすい言葉の一つとして、アンラーニングも挙げられます。

アンラーニング(=unlearning)とは、日本語訳で「学習棄却」という意味を持ちます。これまでの価値観や知識を見直し、新しく学び直したり、新たに学んだものを取り入れることです。

時代の変化に対応するために、新たな学びや知識だけでなく、過去の知識を捨てることも必要という考え方です。

リスキリングの目的と注目される背景

リスキリングが必要とされているのには、具体的にどのような背景や理由があるのでしょうか。リスキリングが必要とされている理由や注目される背景について確認してみましょう。

DX化の促進

リスキリングが注目されるようになった背景の一つが、DX化の促進が挙げられるでしょう。

企業がビジネス環境の激しい変化に対応し、データとデジタル技術を活用して、顧客や社会のニーズを基に、製品やサービス、ビジネスモデルを変革するとともに、業務そのものや、組織、プロセス、企業文化・風土を変革し、競争上の優位性を確立すること

引用:『DX 推進ガイドライン Ver. 1.0』経済産業省(2018)

DX化が提唱されるようになり、デジタル化を進めたり、活用する企業が増加しています。

しかし、DX化を進めるにはデジタル領域に関する知識や技術も必要です。、DX化を進めるための知識やスキルの習得が必要とされていることは、リスキリングが注目されるようになった一因といえるでしょう。

新型コロナウイルスによる働き方の変化

リスキリングが必要とされている理由の一つとして、働き方の変化も挙げられます。特に新型コロナウイルスの流行によって、テレワークやオンライン会議などが必要とされるようになりました。

これまでの働き方や業務の進め方では対応できなくなったため、新たな知識の習得が求められ、リスキリングが注目されるようになったのでしょう。

ダボス会議による議論

世界中でリスキリングが注目されるようになったきっかけとして、ダボス会議が挙げられます。

ダボス会議では、2030年までに10億人のリスキリングを目指す「リスキリング革命」が提唱されました。これに向けて、各国政府が人材育成の政策実施や企業としても教育プログラムなどの提供を行うことになっています。

参照:『世界経済フォーラム 年次総会2020』World Economic Forum

日本におけるリスキリング支援

リスキリングが注目されている理由の一つとして、日本国内においても政府がリスキリングの支援を行うようになったことが挙げられます。

経済産業省では「第四次産業革命スキル習得講座認定制度」や「デジタル人材育成プラットフォーム(マナビDX)」などの施策を実施しています。また、日本リスキリングコンソーシアムという官民一体の取り組みも始まっており、スマカンも参画しております。

参照:『第四次産業革命スキル習得講座認定制度』経済産業省
参照:『デジタル人材育成プラットフォーム「マナビDX」を開設しました!』経済産業省
参照:日本リスキリングコンソーシアムHP

企業がリスキリングを推進するメリット

企業としてリスキリングを推進する具体的なメリットについて、解説します。

人材不足に対応できる

リスキリングを進めると、新たに必要とされる領域の知識に関する人材不足を補うことにつながるでしょう。人材不足が深刻化している状況の場合、優秀な人材の確保は簡単ではありません。

リスキリングによって、あらかじめ特定分野に必要な知識やスキルを持った人材を確保できます。

モチベーションや エンゲージメント向上につながる

リスキリングを推進すると、従業員のモチベーションやエンゲージメント向上が期待できます。

従業員が新たな知識やスキルを学べる機会や、将来のキャリアによい影響を与えることができれば、従業員のエンゲージメント向上にもつながります。

人材育成につながる

リスキリングの推進によって、人材の成長も促進されるでしょう。

従業員による単純な知識やスキルの習得だけでなく、新たに知識やスキルを習得しようとする前向きな姿勢自体が、成長にもつながるはずです。

社内事情を踏まえて取り組める

企業内の人材でリスキリングを進めることができれば、社内事情をよく理解したうえで対応できます。社内の事業や状況を踏まえたうえで、より効果的にリスキリングで得た知識やスキルを活かせるでしょう。

社内に新しいアイデアが生まれる

リスキリングを行うことで、社内に新たなアイデアがもたらされることもあります。これまでなかった視点や革新的な意見が交わされるため、よい影響がもたらされるはずです。

業務の効率化が期待できる

リスキリングが進むこと、業務や施策をより効率的に進められる可能性も高まります。

たとえば、DX化や多様な働き方に対応できる知識やスキルを習得することで、これまでにできなかった施策ができるようになったり、反対に不要な業務の削減にもつながるでしょう。

リスキリングを進めるステップ

リスキリングとは?導入時のポイントとDXや人材育成との関係も解説

リスキリングを進めるための手順について、ご紹介します。

1.経営戦略に基づいた人材像やスキルを明確化

リスキリングを進めるためには、企業として達成したい経営目標を明確化することが大切です。経営目標や戦略に必要な人材像・スキルを明確にできると、何をどのようにリスキリングすればよいのかを定められるからです。

リスキリングは、あくまでも企業の目標を達成させるための手段であることを認識しておきましょう。

2.リスキリングを進めるプログラムを決定する

リスキリングを進めるうえで必要な教育プログラムを決定します。

リスキリングの進め方そのものだけでなく、学ぶ方法(コンテンツ)も検討しましょう。

学ぶ方法は、研修受講やeラーニング、社内実施や社外実施などさまざまな種類があるため、より効果が期待できるものを見極めます。どのようにしてリスキリングを進めていくのが効率的なのかを検討し、決定しましょう。

3.従業員に取り組んでもらう

リスキリングの方法が決まったら、実際に従業員に取り組んでもらいます。

リスキリングは、ただ実施するだけでなく、対象となる従業員のフォローを行うことも重要です。新たな知識やスキルを習得する場合、ストレスや不安を抱くこともあるでしょう。面談などを実施しながら、サポートも怠ってはいけません。

4.リスキリングを業務で活かす

リスキリングで知識やスキルを習得できたら、実際の業務に活かしましょう。

会社としてリスキリングを推進する場合は、業務内で実践できるような機会や場面を想定し、用意しておくことも大切なポイントです。

リスキリングを進めるうえでの注意点

リスキリングを進めるうえで注意すべきポイントについてご紹介します。

取り組みやすい環境をつくる

リスキリングを進めるうえでは、社内における理解が必要です。

リスキリングでは、対象者にインセンティブが発生する場合や業務時間内に学ぶ時間が必要だからです。周囲の理解が得られないまま進めてしまうと、不公平感を感じる従業員が出てくる可能性もあるでしょう。

リスキリングの必要性やメリットなどを、経営陣だけでなく全社的に理解してもらい、リスキリング対象者への協力体制を整えましょう。

社員の自発性を尊重する

リスキリングを行う場合、従業員に強制するのはおすすめしません。強制して学ばせると、ストレスを感じたり、モチベーションが低下する恐れもあるためです。

リスキリングを進める場合は、自主的に手を挙げた人材や意欲的な人材に取り組んでもらうことが重要といえるでしょう。

リスキリングのプログラムを入念に検討する

リスキリングを進めるうえで、どのような進め方で、どのような教育コンテンツを利用するかを入念に検討することも重要なポイントです。社内の目標や課題にマッチしていないものを選んでしまうと、リスキリングの効果は見込めません。

特に教育コンテンツの選定では、単純な質だけでなく自社の目的に合致しているかどうかもチェックしましょう。

リスキリングの事例

リスキリングは、まだ日本で馴染みがないように感じますが、成功している企業もあります。

株式会社日立製作所でのリスキリング事例

日立製作所は「デジタル対応力を持つ人材の強化」を重点的な課題としています。

その解決策として、日立グループの人材育成を担う株式会社日立アカデミーが、デジタルスキルを身につけるためのプログラムを開発してきました。

日立アカデミーと日立製作所が連携して開発した「デジタルリテラシーエクササイズ」というプログラムは、国内の日立グループ全従業員16万人が受講しています。

このプログラムはすべてオンラインで提供され、データ分析を用いた課題解決の演習など、実践的なデジタル技術の活用法が学べる内容です。

自社と顧客のビジネスをよく理解している担当者が、業務の困りごとをデジタルで解決できるようになることを、リスキリングによって目指す姿としています。

参考:『Works Report 2021リスキリングする組織』リクルートワークス研究所

富士通株式会社でのリスキリング事例

富士通でもDX人材を育成するため、約13万人のグループ従業員を対象に「デザイン思考」「アジャイル」「データサイエンス」の3つの分野におけるスキルと知識を習得できる講座を開発してきました。

さらにグループ会社である株式会社富士通ラーニングメディアは、世界最大級のオンライン動画プラットフォーム「Udemy」との提携も行っています。

富士通のリスキリングの特徴は、従業員が主体的に行動できるようにすることを目的に掲げている点です。

学習プログラムの整備と並行してジョブ型人事制度の導入や、グループ内の空きポジションに応募できるポスティング制度の整備、1on1ミーティングによるコミュニケーションの強化なども進めています。

参考:『価値創造に向けた 人材・組織の変革』富士通グループ

マイクロソフトでのリスキリング事例

自社の従業員だけでなく、社外の人材へのリスキリングに取り組企業もあります。その代表例がマイクロソフトです。

2020年にマイクロソフトは、新型コロナウイルスの影響で失業した2500万人を対象に無償で教育コンテンツを提供すると発表しました。リスキリングによって、失業者が再就職できることを目的にしています。

この『Global Skills Initiative』というプログラムは、全世界的な取り組みです。

そのため日本国内においても、日本マイクロソフト株式会社と人材系企業やNPOが連携して、スキルアップ・就労の支援や、eラーニングによる学習機会の提供などを行っています。

参考:『Global Skills Initiative

リスキリングにも役立つタレントマネジメントシステム

リスキリングを効果的に進めるためには、リスキリングを行う目的や育てたい人材像やスキルの明確化が重要です。企業が今後必要とする人材像やスキルを明確にすることで、現状の人材育成における課題も把握しやすくなります。

タレントマネジメントシステム『スマカン』は、従業員一人ひとりのスキルや経歴を一元管理し、人材育成や人材配置など戦略人事を推し進めるシステムです。リスキリングの対象者を選定や、学習状況の把握にも活用できるでしょう。目的に応じて欲しい機能だけを選べる、柔軟な料金プランでご利用いただけますので、多機能過ぎて使いこなせないといった無駄はありません。

スマカンでは、サービス紹介資料はもちろん、人事労務のノウハウに関する資料を無料でダウンロードいただけます。また、30日間の無料トライアルもご提供していますので、まずはお気軽にお問い合わせください。

まとめ

リスキリングは、経済や社会情勢における変化が著しい現代において、時代に対応して企業競争に生き残るためにも取り入れるべき施策の一つといえるでしょう。

リスキリング自体は、知識やスキルの習得そのものだけでなく、人材の成長や社内業務の効率化、生産性向上にもよい影響をもたらします。

企業としての経営目標や戦略を実現するための施策の一つとして、取り入れてみてはいかがでしょうか。

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記事監修

監修者

スマカン株式会社 代表取締役社長 唐沢雄三郎

2008年より、一貫して現場に寄り添う人事システムの開発に注力している起業家。戦略人事情報・人材マネジメントシステム、マイナンバー管理システムをはじめ、近年はタレントマネジメントにまで専門領域を広げ、着実に実績を積み上げている。主力製品は公共機関など多くの団体・企業に支持され、その信頼と実績をもとに日本の人材課題の解決に貢献している。

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