最終更新日:

テクニカルスキル(業務遂行能力)とは?種類と向上方法や具体例を解説

テクニカルスキルとは、業務を行ううえで欠かせない知識や技術のことです。業務遂行能力とも呼ばれます。

生産性の向上をはじめ、人材育成の観点から見ても効果があるため、社員のテクニカルスキルを向上する動きが加速しています。しかし従業員のテクニカルスキルの伸ばし方がわからない経営層や人事担当者もいるのではないでしょうか。

そこで本記事では、テクニカルスキルの種類や向上方法と具体例を解説します。社員のテクニカルスキル向上を目指し、企業の成長を目指す方はお役立てください。

>>社員のスキルを可視化「One人事」で解決できること

テクニカルスキル(業務遂行能力)とは

テクニカルスキル(業務遂行能力)とは、業務をスムーズに遂行するために必要な知識や技術のことです。内容は職種によって異なります。

職種テクニカルスキルの例
営業職商品の知識、マーケティングスキル、説明力
事務職PCスキル、事務処理能力、資料作成力
企画職分析力、市場への理解

テクニカルスキルは、ベテラン社員はもちろん若手社員にも欠かせない能力です。そのため、企業全体での底上げが必要でしょう。

テクニカルスキルの類義語、反対語

続いて、テクニカルスキルの類義語や反対語について解説します。

ヒューマンスキルとの違い

ヒューマンスキルとは、円滑な対人関係を築けるスキルを指します。一方、テクニカルスキルは、業務の遂行に必要なスキルです。

コンセプチュアルスキルとの違い

コンセプチュアルスキルとは、知識や情報などの抽象的な事象を概念化し、問題解決に導く能力を指します。コンセプチュアルスキルが解決する対象は、組織の成長に関するすべての事象です。

一方、テクニカルスキルでは、あくまで「業務の遂行」に関する問題を解決します。

ポータブルスキルとの違い

ポータブルスキルとは、業界や職種が変わっても、持ち運び可能なスキルのことです。たとえば、コミュニケーション能力や提案力が挙げられます。

一方テクニカルスキルは、特定の業務を遂行するための能力であることから、業界や職種が変わると活用できない「持ち運びしにくいスキル」です。

ノンテクニカルスキルとの違い

ノンテクニカルスキルとは、コミュニケーション能力や状況認識力などを指し、特定の業務にとどまらず必要な能力のことです。

一方、テクニカルスキルは、特定の業務を行う際に必要な能力です。

ノンテクニカルスキルとテクニカルスキルは、両者ともに仕事の質を向上させるのに欠かせない能力だといえます。

テクニカルスキルが必要となる人材

テクニカルスキルを最も必要とする人材は、ロワーマネジメント層といわれる、役職のついていない監督者です。現場を管理する立場にあり、現場で業務を遂行することが多いからです。

顧客との関わり、製品の開発、文書作成などを実践するため、それぞれの業務に応じた充実度の高いテクニカルスキルが必要になります。

スキルのカッツモデルについて

スキルのカッツモデルとは、アメリカの経営学者であるロバート・カッツ氏が提唱したビジネスモデルです。

テクニカルスキルは、コンセプチュアルスキル、ヒューマンスキルと同様にこのモデルから注目が集まるようになりました。ロワーマネジメント層にテクニカルスキルが求められるとされているのは、このモデルがきっかけです。

ヒューマンスキルはロワーマネジメント層以外にも、トップマネジメント層、ミドルマネジメント層、いずれも同じくらいの割合で求められるとされています。

テクニカルスキルは、トップへいくほど求められる割合は減り、代わりにコンセプチュアルスキルが求められるようになります。

テクニカルスキルの3種類と具体例

テクニカルスキルには、汎用スキル、専門スキル、特化スキルの3種類が存在します。詳細と具体例は、以下のとおりです。

汎用スキル

汎用スキルとは、さまざまな業種や職種で共通して使用できる「汎用性の高いスキル」です。どういった道に進んでも役立つ可能性が高いため、ビジネスパーソンであれば身につけておきたいスキルだといえます。具体的には以下のとおりです。

・ビジネスマナー
・マネジメント能力
・PDCAを回す力
・語学力
・論理的思考力

専門スキル

専門スキルとは、部署や職種によって必要な「専門的な知識や技術」のことです。

特定の分野で発揮できるスキルであるため、汎用スキルよりも専門的な教育が必要になります。具体的には以下のとおりです。

営業職商品への知識、商談スキル、関係構築力
事務職事務処理能力、PCスキル、文章作成力
製造職加工スキル、発想力
ITエンジニア職プログラミングスキル、システム設計力

特化スキル

特化スキルとは、ある分野に特化しており、プロフェッショナル性が高いスキルです。専門スキルより高度なスキルが該当します。

また、特化スキルは、汎用スキルや専門スキルも身につけておくことで、その価値を発揮しやすくなります。具体的には以下のとおりです。

マーケターマーケティングツールの解析に長けている
技術者特殊な精密機器を開発できる
経理担当者簿記2資格を持ち、決算書作成ができる
医者機械では判別できない病気を見つけられる

社員のテクニカルスキルを向上させるメリット

社員のテクニカルスキルを向上させると、どのようなメリットがあるのでしょうか。

業績アップにつながる

各自のテクニカルスキルが向上すると、業務スキルの高いチームがへと成長しやすくなります。業務スキルが高いチームは、個々での機能をきちんと果たすため、チーム全体のパフォーマンスも高いといえます。

チーム全体のパフォーマンス向上は、企業の生産性を高め、業績アップにつなげることが可能です。

顧客満足度が高まる

テクニカルスキルの向上を常に意識すると、社員のテクニカルスキルを新鮮な状態に保てます。周囲の環境は常に変化するため、テクニカルスキルをアップデートし続けることで、変化に応じた商品やサービスが提供できるでしょう。

環境の変化に応じた商品やサービスの提供は、顧客ニーズへの対応を意味するため、顧客満足度の高まりにつながります。

企業ブランド力が向上する

テクニカルスキルの高い人材が集まると、商品知識に長ける人や業界に精通する人の組織になりやすいです。そうすると自社オリジナルの魅力が発信され、ライバル企業と差別化ができるため、企業ブランド力が向上するでしょう。

社員のテクニカルスキルを向上させるデメリット・注意点

社員のテクニカルスキルを向上させることにはメリットや注意点もあります。

コストが発生する

テクニカルスキルの向上には、時間や経費などコストがかかります。

社内で指導者を設ける場合には、指導者や指導を受ける人の時間を確保しなければいけません。また、社外の講師を招く場合はもっとコストがかかります。

費用対効果を考慮して、効果的な研修プログラムの立案や適切な講師の招待、研修の選択などが必要です。

スキルが偏る可能性がある

テクニカルスキルの向上だけに力を入れると、ヒューマンスキルやコンセプチュアルスキルを疎かにしてしまうことがあります。ほかのスキルと一緒に底上げを目指すといいでしょう。

テクニカルスキルの向上方法

社員のテクニカルスキルの向上に向けて、主なものを3つご紹介します。

「OJT」と「OffーJT」の併用

OffーJTで知識を取り入れ、さらにOJTで実践することで、効果的なテクニカルスキルの向上が目指せるでしょう。

OJTは「On-the-Job Training」のことであり、実践しながら知識や技術を習得させるものです。一方、OffーJTは「Off-the-Job Training」を指し、実践ではなく研修や外部講師などから知識や技術を学ぶものです。

eラーニングの実施

ビジネスマナーのほか、商品知識や専門スキルの習得にはeラーニングが効果的です。

初期費用はかかりますが、システムを構築してしまえば、繰り返し学習できる点はメリットです。対象者が多いほど、教育へのコストを抑えられます。

自発的にテクニカルスキルを習得できる環境づくり

社員が自発的にテクニカルスキルを学べるよう、環境を整備することも忘れてはいけません。人事評価にテクニカルスキルの向上に関する項目基準を設けたり、1on1など定期的にフィードバックを行い、現状理解を促すといいでしょう。

テクニカルスキルを高めるポイント

社員のテクニカルスキルを高めるためのポイントをご紹介します。

必要なスキルを明確にする

一口にテクニカルスキルといっても、さまざまな種類があり、すぐにスキルアップが望めるわけではありません。

仕事で結果を出すために必要なスキルを明確にし、そのスキルを伸ばすことに注力させるとよいでしょう。

客観的な意見を取り入れる

伸ばすべきスキルを洗い出すことはもちろん、上司や先輩の適切な助言も欠かせません。本人に気づきを与えるのも、人事担当者やマネジメント層の役割といえます。

周囲がサポートすることによって、早期のスキルアップも期待できます。

モチベーションの維持

テクニカルスキルの成長には、多くの時間を要することもあります。モチベーションを維持できず、途中であきらめる人も出てくるかもしれません。

モチベーションを維持できるよう適度な難易度の目標を掲げることや1on1など定期的な面談の実施も大切です。

まとめ

テクニカルスキルは、すべての社員に欠かせないものです。なかでも現場を監督するロワーマネジメント層にとくに必要です。

人材育成の観点からも、社員のテクニカルスキルの向上は大切といえます。まずは自社や部署ごとに必要な汎用スキル、専門スキル、特化スキルを明確にし、従業員一人ひとりのスキルレベルを把握するといいでしょう。

社員のテクニカルスキルを確認するには

One人事[タレントマネジメント]従業員のスキルを可視化するタレントマネジメントシステムです。人事評価や目標管理機能によって、スキルレベルと連動させた人材育成も推進できるでしょう。一人ひとりの能力に応じた人材配置によって、組織の成長も期待できます。

当サイトではサービス紹介資料はもちろん、人事労務のノウハウに関する資料を無料でダウンロードいただけます。また、無料トライアルもご提供していますので、まずはお気軽にお問い合わせください。