部署ごとの裁量に任されていた目標管理の運用を組織だって実践。社員が能力発揮できる環境作りが大切

時間と手間のかかる目標管理を組織だって実践することに

導入について

日立製作所を中心に、連結子会社が約1,000社、グループ全体の従業員は33万人をも数える日立グループ。日立金属株式会社は、その超巨大企業グループの中核をなす鉄鋼メーカー。6,000人近い従業員が働いています。実は、この日立金属こそOne人事[タレントマネジメント](※)のユーザー第1号。2000年の導入以来、「キャリアデベロップメントシステム」という呼称で活用されています。その導入のきっかけについて、こう振り返りました。「当時は目標管理が体系だってできておらず、キャリア開発の観点から人材育成を行う方法が完全に確立されていたわけではありませんでした。人材の育成や雇用問題がグローバル化する中、『このままではいけない』という思いから、目標管理ツールを探すことになりました」。

紙ベースで社員ひとりひとりの目標管理をしようと思っても、膨大な時間と手間がかかってしまいます。そこで導入を決めたのが「One人事」。目標管理モジュールを使えば、目標やそれに対する進捗状況、達成度評価といったデータがリアルタイムに確認できます。「当社のニーズに合うシステムがなかなかない中、ようやく見つけることができたのが「One人事」です」と。当時、システム担当は「2000年問題が落ち着いてほっとした矢先に導入しました。ご担当者が当社に泊まり込んで作業をしていたことを思い出します」。

(※)旧製品『プログレスサイト』

新しい人事制度の運用に合わせ、人事評価モジュールを追加導入

機能の拡張

2016年4月からは新たに人事評価モジュールも導入。それに合わせて、新たな人事評価制度をスタートさせました。「コンピテンシーの概念を導入し、具体的に発揮された行動を評価することにより、挑戦する意識を醸成し、成果達成のために積極的に行動する仕組みを作ることを目的としています」。人事評価モジュールは、成績の良い社員のスキルや経験、能力、行動を顕在化させることに活用させていく考えなのだとか。「不確実な要素が強い中でも行動し、挑戦し続けていくことを支援していけるため、管理専門職の活性化にもつながるのでは」と今後の成果に期待感を示しました。

日立金属は現在、世界十数カ国にグループ企業を持っています。その中で「One人事」を活用しているのは同社だけですが、傘下企業への〈横の展開〉も視野に入れているそうです。「国内で開催する各種研修の申込や履歴情報を、研修管理モジュールで一括管理できれば効率的ですね」。「多言語機能の活用により、海外拠点でも目標管理を国内と同じツールにて利用できることが望ましい」と話してくれました。「コンピテンシーのように、会社にこれまではなかった概念や仕組みを導入しながら、同時にシステムの作り込みができれば」と。その時々の課題に合わせさまざまなモジュールを追加する〈縦の展開〉も検討されています。

何千人もの従業員を抱える大企業になればなるほど、人事評価制度などは組織だった運用が求められるもの。ところが実態は、各セクションのこれまでの慣習や上長の裁量に任せられているというケースも珍しくありません。グローバリゼーションが進む中、国際競争に打ち勝っていくためには、スキルも経験も考え方も違う人材をうまく束ね、組織として闘っていかなくてはなりません。「One人事」は、企業にとって大切な人材を管理するために欠かせないツール。上手に活用して、多くの社員が能力を発揮できる環境を作ることが大切です。