- 2023.02.10
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- 人事労務
業務委託契約書とは|記載項目や収入印紙についても解説!

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業務委託契約書とは、業務の一部を委託したり請け負う際に取り交わす契約書です。
業務委託契約書には、報酬や契約内容など重要な内容が記載されるため、適切に作成されないとトラブルにつながりかねません。しかし、業務委託契約書の正しい作り方や記載項目が理解できていないという場合もあるでしょう。
そこで当記事は、業務委託契約書の基礎知識を解説しながら、記載項目や注意点もご紹介します。
良好な業務委託契約を結ぶためにも、適切で正しい業務委託契約書の書き方の理解にお役立てください。
※当記事記事の内容は作成日または更新日現在のものであり、法令の改正等により、紹介内容が変更されている場合がございます。
目次(タップして開閉)
業務委託契約書とは
業務委託契約書とは、業務委託契約を結ぶ際に、必要条件等を記載したものをいいます。書類作成後に委託者と受託者の双方が署名と捺印を行い、1部ずつ保管するのが一般的です。
業務委託契約書の目的
業務委託契約書の目的は、業務や報酬に関する約束に関して証拠を残し、トラブルを避けるためです。
業務委託契約自体は、委託者と受託者による合意があれば契約書がなくても成立します。しかし、報酬や条件など重要な点について認識に相違があると、のちにトラブルに発展するケースもあるでしょう。そのため、契約内容を証拠として書面に残しておき、トラブルを未然に防ぐ必要があります。
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業務委託契約とは
そもそも業務委託契約とは、特定の業務や業務の一部を外部に委託することを指します。
業務委託契約という言葉自体は、法律上の用語ではありません。委託する業務の性質によって、「請負契約型」「委任契約(準委任契約)型」「請負・準委任混合型」という類型に分類されます。
それぞれについて詳しく見ていきましょう。
請負契約とは
業務委託における請負契約とは、受託者が「依頼された業務を完成させる」ことを約束し、委託者は「提出された成果物に対して報酬を支払うこと」を約束する契約です。
双方にとって、適切な成果物や報酬について認識に違いがないよう、業務委託契約書の中で詳しい内容を決める必要があるでしょう。
委任契約(準委任契約)とは
業務委託における委任契約では、受託者は依頼された業務を遂行し、委託者は遂行された業務に対して報酬を支払います。
委任契約では、業務の進め方などについて、受託者の裁量に任されるのが一般的です。また、委任契約と準委任契約の違いは、弁護士や司法書士などが行う「法律行為に関する業務」を委任契約とするのに対し、「それ以外の事務処理業務」を準委任契約とします。
請負・準委任混合型とは
請負・準委任混合型とは、業務委託契約で請負契約と準委任契約が混在しているものを指します。
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業務委託契約と雇用契約の違い
業務委託契約と雇用契約の違いとしては、契約を結ぶ双方に主従関係があるかどうか、労働関係の法律が適用されるかどうかの違いです。
業務委託契約では、双方に主従関係はなく、独立した対等の立場にあるといえます。そのため、労働関係の法律も適用されません。
一方の雇用契約は、雇用する側と労働する側として主従関係が成り立ちます。そのため、労働関係の法律が適用されます。
業務委託契約か雇用契約かを見極めるポイント
業務委託契約か雇用契約かを見極めるポイントとしては以下のような点が挙げられます。
・仕事の依頼や業務命令に対する拒否権の有無 ・業務内容や遂行方法に対して指揮命令の有無 ・労働時間や作業場所などに関する拘束の有無 ・通常業務以外の業務をする可能性の有無など |
業務委託契約は、委託者と受託者が対等な立場にあるため、命令を受けたり、拘束されることはありません。
一方で雇用契約では、さまざまなシーンにおいて指揮命令を受けたり、拘束を受ける場合があるといえるでしょう。
業務委託契約の種類
業務委託契約の種類は多数ありますが、報酬の支払い方に注目しながら捉えるとよりわかりやすいでしょう。ここでは、業務委託契約の一般的な種類についてピックアップしてご紹介します。
毎月定額の報酬を支払うもの
業務の委託者が受託者に対して、毎月定額の報酬を支払う契約種類です。継続的に業務を委託するものが多いといえるでしょう。このような業務委託契約の例としては、コンサルティング業務や保守点検業務、企業顧問などが挙げられます。
業務の成果により報酬が決まるもの
受託者による業務の成果によって報酬が変動する契約種類です。成果物の完成度や成果物の量によって報酬額が決まります。このような業務委託契約の例としては、営業代行業務や店舗運営業務などが挙げられるでしょう。
単発の業務を委託するもの
1回きりの業務を委託する場合にあらかじめ報酬の額を決めて支払う契約種類です。このような業務委託契約の例としては、デザイン作成業務や社内研修業務、確定申告業務(税理士)などが挙げられるでしょう。
業務委託契約書の主な記載事項

業務委託契約書において記載しておくべき一般的な事項をご紹介します。契約後にトラブルにならないためにも記載しておくべき点を確認しましょう。
業務委託契約の目的
業務委託契約について、「受託者に業務の遂行を委託するための契約」という点を記載しておきましょう。
委託業務の内容
業務委託契約で委託する業務内容について記載します。委託する業務内容の詳細を具体的に記載して、受託者が注意すべき点やルール等がある場合にも記載しましょう。
報酬
業務委託契約で支払う報酬金額や支払い時期、支払い方法を記載しますどのように報酬が支払われるかといった報酬の算定方法なども明記しておきましょう。
特に成果報酬型の場合は、認識相違によるトラブルを防止するためにも双方が理解しやすいように記載することが重要です。
契約期間
業務委託契約の期間や契約期間満了に伴う更新について、記載します。
成果物の権利
業務委託契約の中で発生した著作権などの知的財産権が、委託者と受託者どちらに帰属するかを明記します。著作権を含めた知的財産権の帰属をあいまいにするとトラブルにつながることもあるため、必ず明記しましょう。
再委託
業務委託契約の中で、再委託ができるかどうかを記載しておきましょう。再委託とは、受託者自身ではなく第三者に委託することを指します。
業務委託契約において、実際の業務を行うのが受託者本人のみなのか、第三者でも問題ないのかなどを記載しておきましょう。
秘密保持
委託する業務について、情報の秘密保持が必要な場合に記載します。特に個人情報や機密情報などを共有するような場合には、必ず明記しておきましょう。場合によっては、業務委託契約書だけでなく秘密保持契約書を作成する場合もあります。
反社会的勢力の排除
業務委託契約において、委託者と受託者のどちらかが反社会勢力に属する場合は、相手方が契約解除できることを明記しましょう。
禁止事項
業務委託契約の中で、受託者に対して禁止すべき内容がある場合に記載しておきましょう。
契約解除
業務委託契約では、契約解除の詳細についても必要です。契約違反や契約履行できないような場合など、一方的に契約解除を行う際の条件等を記載しておきましょう。
契約解除は損害賠償にもかかわり、大きなトラブルにつながりやすいため、注意して記載します。
損害賠償
業務委託契約の中で、委託者や受託者それぞれに契約違反が起こった場合の損害賠償責任や金額を明記しておきましょう。
著作者人格権の不行使
業務委託契約の中でも、著作物の作成を委託する場合、著作権とは別に「著作者人格権」についても記載しておくべき事項です。著作者人格権とは、著作者だけが持っている権利です。
委託者は、納品された著作物を受託者の了承がなくても修正するために、著作者人格権の行使をしない旨を記載しておきましょう。
管轄裁判所
業務委託契約において何かしらのトラブルで裁判に発展した場合、どこの裁判所で審理するのかを記載しておきましょう。
業務委託契約書で収入印紙は必要?
業務委託契約を作成する際は、契約内容によって収入印紙の要否が異なります。代表的な契約内容と収入印紙について確認してみましょう。
請負に関する契約書の場合
業務委託契約において、請負に関する契約書(2号文書)の場合は金額によって収入印紙代が異なります。
記載された契約金額 | 税額 |
---|---|
1万円未満のもの | 非課税 |
1万円以上100万円以下のもの | 200円 |
100万円を超え200万円以下のもの | 400円 |
200万円を超え300万円以下のもの | 1,000円 |
300万円を超え500万円以下のもの | 2,000円 |
500万円を超え1,000万円以下のもの | 1万円 |
1,000万円を超え5,000万円以下のもの | 2万円 |
5,000万円を超え1億円以下のもの | 6万円 |
1億円を超え5億円以下のもの | 10万円 |
5億円を超え10億円以下のもの | 20万円 |
10億円を超え50億円以下のもの | 40万円 |
50億円を超えるもの | 60万 |
契約金額の記載のないもの | 200円 |
継続的取引の基本となる契約書の場合
業務委託契約書が継続的取引の基本となる契約書(7号文書)の場合、収入印紙は一律で4,000円です。契約期間が3か月を超え、かつ更新について定めがある場合に限ります。
参照:『No.7104 継続的取引の基本となる契約書』国税庁
請負契約にも継続的取引にも該当しない場合
業務委託契約が請負契約にも継続的取引にも該当しない委任契約の場合、収入印紙は不要です。また、委任契約や請負契約、継続的取引にも該当しないような場合は国税庁のホームページなどで確認してみましょう。
参照:『No.7100 課税文書に該当するかどうかの判断』国税庁
収入印紙はどちらが負担するのか?
収入印紙の負担について、印紙税法上では課税文書を作成した人に対して印紙税の納税義務が定められています。
業務委託契約では、双方の当事者2人以上が作成する文書であるため、こういった場合は連帯して収入印紙の費用を負担することになります。そのため、保管する業務委託契約書の印紙をそれぞれが負担するのが一般的です。
ただし、契約において原本が1通のみで、コピーを用いて保管する場合には、原本を保管する側が収入印紙を負担する場合もあるでしょう。収入印紙についてトラブルを避けるためにも、どのように負担するのかなどを事前に確認しておくとよいでしょう。
電子契約書の場合は収入印紙は不要
電子契約書を用いた契約書の場合、収入印紙は不要です。電子契約は、紙の印刷や物理的な書類の管理も不要であるため、電子契約書を活用している企業も多いでしょう。
書面での契約書を用いている場合は、印刷代や収入印紙代などのコスト削減にもなるため、電子契約書の導入を検討してみるのもよいでしょう。
業務委託契約書に関するQ&A
業務委託契約書に関してよくあるQ&Aをご紹介します。
業務委託契約書をつくる目的は何ですか?
業務委託契約を結ぶにあたり、トラブルを防止するためです。契約内容に認識相違があったり契約違反に該当する場合なども、業務委託契約書を根拠にすればトラブルを防止できるでしょう。
業務委託契約書は書面じゃないとだめですか?
業務委託契約書の作成は、書面に限らず電子データによる作成でも問題ありません。印紙税も不要になり、保管コストや書面管理も効率化できるためおすすめです。ただし、契約を結ぶ双方の合意が必要なので、相手方に確認してみましょう。
業務委託契約書に割印は必要ですか?
業務委託契約書について、割印は契約書の改ざん防止に有効です。契約書の効力としては影響しませんが、契約書が複数ある際は書面の差し替えを防ぐ効果があります。ただし割印を押す場合は、委託者と受託者双方の押印が必要になる点を理解しておきましょう。
まとめ
業務委託契約書を作成する場合は、一般的に記載すべき項目を理解したうえで内容を踏まえて不足のない契約書になるように作成したいところです。業務委託契約書への記載が不足していたり、あいまいな表現になっていることで、契約後のトラブルにつながることもゼロではありません。
委託者側も受託者側も双方がしっかり確認したうえで、不明点や認識相違がない状態で署名を行うようにしましょう。また、業務委託契約書は、書面の契約書だけでなく電子契約書を用いる企業も多くなっています。
電子契約書を用いることでコスト削減や管理業務の効率化にもつながるため、書面での契約書を運用している場合は、ぜひ検討してみましょう。

記事監修

スマカン株式会社 代表取締役社長 唐沢雄三郎
一貫して現場に寄り添う人事システムの開発に注力している起業家。戦略人事情報・人材マネジメントシステム、マイナンバー管理システムをはじめ、近年はタレントマネジメントにまで専門領域を広げ、着実に実績を積み上げている。主力製品は公共機関など多くの団体・企業に支持され、その信頼と実績をもとに日本の人材課題の解決に貢献している。
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