• 2022.08.31
  • タレントマネジメント
  • 人事戦略

人的資本経営とは? なぜ重要? ポイントや人事が対応すべきことを解説

人的資本経営とは? 人材価値を引き出す人事の役割や従来の経営との違い・なぜ重要なのかを徹底解説

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人的資本経営とは、人材を「資本」とみなし人材価値を最大限に活かすことで企業価値を高める経営手法です。

当記事では、人的資本経営を推進するために人事は何をすればよいのか、従来の経営手法とは何が違うのか、なぜ重要視されているのかなど、人的資本経営について徹底解説します。

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目次(タップして開閉)

人的資本経営をわかりやすく解説

人的資源経営とはどのようなものなのでしょうか。そもそも「資本とは何か」「人的資本の意味とは?」など、わかりやすく解説します。

資本とは

そもそも「資本」とは、一般的に事業を行うために必要な資金のことを指します。

経済学、法学、会計学など学問分野によって厳密には定義が異なり、近代経済学においては生産三要素(土地・資本・労働)の1つに定義されています。

人的資本とは

「人的資本」とは、従業員が教育や経験により習得する知識・技能を、資本とみなすことをいいます。

人的資本のほかに、企業の資本には財務諸表に記載される「財務資本」、工場のようなインフラを指す「製造資本」、特許や著作権などを指す「知的資本」などがあります。

人的資本はこれらの資本と違い「人そのもの」を指しており、企業価値を生み出すうえで最も重視される資本ともいえます。

人的資本と人的資源の違い

従来、企業では従業員を「人的資源」とみなす考え方が主流でした。しかし近年、人材マネジメントの考え方は「人的資源」から「人的資本」へと変わってきています。

基本的に、資本は「投資」の対象となり、資源は「消費」の対象とみなされます。

つまり、人的資本は「従業員に投資することで価値を生み出す」という考え方に対し、人的資源は消費財の一つとして捉えられるため、教育費は投資ではなく「コスト」と考えられるということです。これが「人的資本」と「人的資源」の違いです。

人的資本経営とは

人的資本経営とは、従業員を「資本」として捉え、人材の価値を最大限に活かすことで企業価値を高める経営手法です。

人的資本経営と従来の経営の違い

人的資本経営は、従来の経営と比べてどのような違いがあるのでしょうか。

人的資源(管理)から人的資本(価値創造)へ

まず従来の経営との大きな違いとして、人的資本経営は人材を「資源」とみなすのではなく、「資本」とみなします。

従来の経営では人材を「管理」しており、年功序列や終身雇用のように、企業と従業員が相互依存の関係にあったといえるでしょう。

それに対し人的資本経営は、人材を管理するのではなく、企業と従業員が自律的な関係において「価値創造をする」という考え方の経営スタイルです。

人事業務は経営と連動した戦略人事へ

従来の経営における人事業務は、採用や労務管理のようなオペレーション業務が主流でした。

一方で人的資本経営のおける人事は、経営戦略と紐づけて施策を実施する「戦略人事」が重要になります。

経営戦略を実現するためには、自社にとって適切な人事戦略を考える必要があります。事業の目標達成に必要な人材を可視化する「人材ポートフォリオ」を作成するなど、人的資本経営においては経営戦略と連動した人事戦略を実行することが求められます。

人的資本経営はなぜ重要?

なぜ近年、人的資本経営が重視されるようになったのでしょうか。その背景を解説します。

非財務情報や無形固定資産への関心

従来の投資家は、企業の財務情報に基づき投資先を選定することが主流でした。

しかし近年、財務情報のみでは中長期的に見たときの企業価値が判断しにくいという理由から、財務諸表に記載されない「非財務情報」や「無形固定資産」への関心が高まっています。

このように、人的資本経営が注目される背景には、投資家が企業の価値や成長を評価するうえで、人的資本が重要視されるようになった点が挙げられます。

ESG投資やSDGsへの関心

人的資本経営が重視されている背景には、ESG投資やSDGsなどサステナビリティへの関心の高まりもあります。

「従業員の育成・労働環境の改善」「環境問題への取り組み・社会貢献」などに対し、企業がどのように取り組んでいるのかという点も、投資家が企業の持続的な成長を判断するうえで重要視されるようになりました。

人材や価値観の多様化

近年は女性の社会進出やグローバル化などにより、人材や価値観の多様性が広がっています。また、場所や時間、雇用形態に縛られずに、ライフスタイルに合わせた柔軟な働き方が求められていることで、働き方改革も進められています。

こうした観点から、多様な人材を効果的に活用し企業価値を高めるためにも、人的資本経営の考え方は注目されています。

ISO30414の発表

人的資本経営が重視されている背景には、2018年に発表された「ISO30414」も関係しているといえるでしょう。

ISO30414の発表を機に、欧米を中心に世界中の企業で人的資本の情報開示がますます進んでいます。

人的資本経営とISO30414

「ISO30414の発表を機に人的資本の情報開示が進んでいる」と紹介しましたが、人的資本の開示とISO30414にはどのような関係があるのでしょうか。

ISO30414の概要や人的資本の開示をめぐる海外と日本の動き、日本企業の人的資本の開示状況について紹介します。

ISO30414とは

ISO30414とは、ISO(国際標準化機構)が発表した「人的資本情報開示のためのガイドライン」です。

ISOは国際間の取引をスムーズにすることを目的に、製品やサービスにおける「国際的な基準」を制定する機関です。つまり、ISO30414は世界中の企業に対し「人的資本の情報をどのように報告すべきか」の指針を示すガイドラインということです。

人的資本の開示・国内外の動き

ISO30414の発表を機に、欧米をはじめとした世界中で人的資本の開示が進み、日本国内でも大企業を中心に情報開示が始まっています。

人的資本の開示をめぐる国内外の取り組みを紹介します。

義務化が始まった海外

米国では、2020年にSEC(米国証券取引委員会)により上場企業に対する人的資本の開示が義務づけられました。

背景にはESG投資への関心の高まりや、リーマンショックを機に「財務諸表のみで企業価値を判断することはリスクだ」と考えられるようになったことで、投資家からの人的資本の開示要求が強まったことが挙げられます。

欧米に続く日本

欧米に続き、日本でも人的資本の開示に注目が集まるようになりました。きっかけには、2020年に経済産業省が発表した「人材版伊藤レポート」があります。

人材版伊藤レポートとは、人材マネジメントとしての人的資本の重要性が提示された、経済産業省による報告書です。

20年5月には「人材版伊藤レポート」をもとに、内容をより深堀りした「人材版伊藤レポート2.0」が発表されました。

人材版伊藤レポート2.0とは

人材版伊藤レポート2.0には、人的資本の重要性に加えて、人的資本経営を実現するためのアイデアや具体的な事例が記されています。

従来の日本企業では当たり前であった「年功序列」や「終身雇用」のような働き方が変容する中で、企業や従業員が双方にとってメリットがある経営を行うためにも、人的資本経営の重要性を再認識させるような内容になっています。

日本企業の人的資本の開示状況

日本企業でも人的資本を開示する企業は増えており、20年3月には「株式会社リンクアンドモチベーション」が日本・アジア初のISO30414の認証を取得しています。

また、日本政府は企業の持続的価値創造のために「人への投資の強化」を掲げており、人的資本の情報開示方法の見直しをはかり、20年中には「非財務情報の開示ルール」を策定するとしています。

このような背景から、日本でも人的資本の開示は今後ますます進むと考えられるでしょう。

人的資本経営に必要な対応

人的資本経営を推進するためには、大きく分けて2つの取り組みが必要です。

教育強化による、人的資本価値の向上

1つ目は、人的資本の価値を高めるための取り組みです。

人的資本経営において重要なのは、人材である従業員です。従業員のスキルや能力を高めることが、結果として人的資本経営による企業価値の向上につながるでしょう。

そのためには、従業員への教育計画を策定し、スキルを磨くことができる環境を整備することが大切です。適切な教育を実施するために、従業員一人ひとりが持つスキルや経験、希望のキャリアパスを把握しておくようにしましょう。

人的資本の情報開示

2つ目は、人的資本の情報開示を行うことです。人的資本の価値を高める取り組みを行うだけではなく、その情報を公開することが企業イメージにつながります。

人的資本の情報開示が行われれば、投資家は企業価値を中長期的な視点から評価できるようになります。開示した情報が評価された場合は、投資家からの投資を集めやすくなるでしょう。

人的資本価値を引き出すためのポイント

人的資本経営を進めるためには、人的資本の価値を高めることが大切です。人的資本価値を引き出すためのポイントを紹介します。

戦略人事の推進

人的資本の価値を引き出すためには、従来のオペレーション人事ではなく、戦略人事への転換を行うことが必要です。

人的資本を有効活用し経営戦略の実現を目指すためには、人事の役割がより重要になってくるでしょう。

従業員のスキルの把握

戦略人事を行うためには、あらかじめ従業員一人ひとりのスキルを把握しておくことが大切です。

「事業の目標を達成するためにはどのようなスキルを持った人材が必要か」という理想と現状を比較し、「不足しているスキルは何か」「適材適所がされずにスキルを発揮できていない従業員はいないか」などの分析を行いましょう。

このような分析を行うためには、スキルマップの作成や、タレントマネジメントシステムの活用がおすすめです。

従業員のスキルを把握することで、適切な人材育成や配置を行うことが可能になり、結果として人的資本価値を引き出すことになります。

人的資本経営で人事が対応すべきこと

人的資本経営において、人事の役割は重要度を増すといえます。

具体的にどのような施策を行えばよいのかについて、「人材版伊藤レポート2.0」には5つの手法が紹介されています。

人材ポートフォリオの策定・運用

人材ポートフォリオとは、事業を進めるうえで「どんな能力を持った人材が、社内のどこに何人必要か」という人材構成を分析するツールです。

人材ポートフォリオは、戦略人事の指針を策定するうえで有効活用できるツールとして注目されており、適材適所による業績向上が期待できます。

人材の多様化への取り組み

人的資本経営による中長期的な企業価値向上のためには、国籍や性別、年齢、ライフスタイル、価値観などの多様性を尊重し、積極的に取り込むことが必要だと紹介されています。

リスキル・学び直し

リスキルとは、学び直しにより新たなスキルを習得することです。

従業員のスキル習得により、人的資本や企業の新たな価値創造につながるほか、従業員が自律的なキャリア形成ができるようになるなど、企業と個人の双方にメリットがあるといえます。

従業員エンゲージメント向上施策

従業員エンゲージメントとは、企業に対する貢献意欲など、会社に対する従業員の信頼や愛着心のことを指します。

人的資本経営を進めるうえで、事業の目標を達成するためには人材の能力やスキルが欠かせません。そのためには、従業員が仕事へのやりがいを感じられるような、従業員エンゲージメントを高めるための施策が必要だといえるでしょう。

時間や場所にとらわれない働き方の推進

働き方改革により、多くの企業で多様な働き方が取り入れられるようになりました。

人的資本経営においても、新型コロナウイルス拡大のような環境変化に左右されず、いつでも働けるように「場所や時間にとらわれない働き方」を推進することが必要です。

近年では多様な働き方の選択肢として、オフィスワークとテレワークを組み合わせた「ハイブリッドワーク」を取り入れる企業も多く存在します。

人的資本経営を推進するには

人的資本経営を推進するためには、人的資本の価値を高めるための施策の実施や、社内外に向けて人的資本の情報開示を行うことが必要です。人的資本の情報開示を行うためには、まずは人材ポートフォリオの作成やスキル管理を行うなど、社内の人材情報をデータ化し分析するといいでしょう。

人材ポートフォリオの作成やスキル管理は、Excelのような表計算ソフトを使って作成することもできますが、データをクラウド上で一元管理できるタレントマネジメントシステムの活用がおすすめです。

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