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雇用契約書の書き方|明示事項や注意点を解説!

雇用契約書の書き方|明示事項や注意点を解説!

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雇用契約書とは、使用者と労働者が締結する雇用契約の内容を明確にして、双方が合意したことを証明する書類です。しかし、雇用契約書の詳しい決まりについて知らないというケースも少なくありません。

そこで今回は、企業の経営層や雇用契約書を扱う人事担当者に向けて、雇用契約書についてわかりやすく解説します。

雇用契約書の書き方に関するポイントや項目、労働条件通知書や法律との関係性についてもご紹介していきますので、ぜひ参考にしてみてください!

※当記事記事の内容は作成日または更新日現在のものであり、法令の改正等により、紹介内容が変更されている場合がございます。

目次(タップして開閉)

    雇用契約書とは?

    雇用契約書とは、企業側と労働者が締結する雇用契約の内容を明確にして、双方が合意したことを証明する書類です。

    雇用契約書の作成義務

    雇用契約書とは、企業側と労働者が締結する雇用契約の内容を明確にして、双方が合意したことを証明する書類です。

    雇用契約書の対象

    雇用契約書の発行自体は法的に義務づけられているわけではありませんが、正社員だけでなくパートやアルバイトの雇用の際にも作成しておくのがよいでしょう。

    しかし雇用形態によって、雇用契約の内容も異なるため、雇用形態ごとに雇用契約書を作成するといいかもしれません。

    雇用契約書と労働条件通知書の違い

    雇用契約書は、雇用契約の内容を明確にし、企業と労働者の双方が合意したことを証明する書類ですが、発行の義務はありません。

    一方の労働条件通知書は、労働基準法で企業が労働者に向けて労働条件を通知することを義務づけられているものです。明示義務に違反した場合は労働基準法により、30万円以下の罰金が科されるとしています。

    出典
    『労働基準法第十五条』e-GoV法令検索
    『労働基準法第百二十条』e-GoV法令検索

    労働条件通知書には必ず明記しなければならない項目や、必ず発行しなければならないという点で雇用契約書と異なります。

    しかし、雇用契約に関して、トラブルや認識相違などが発生した場合に備えて、発行しておくのが安心でしょう。

    雇用契約書と労働条件通知書は、兼用することも可能とされています。両者は内容にも大きな違いがないため、兼用することで、書類発行の手間や保管作業などを効率化できるでしょう。

    雇用契約書と法律

    雇用契約書と法律の関係性について、確認してみましょう。

    雇用契約書と労働基準法の関係

    雇用契約書は、労働基準法を遵守した内容でなければなりません。

    雇用契約書で個別の条件を設定した場合でも、労働基準法で定めた規定が適用されます。

    そのため、雇用契約書を発行する場合は個別条件や必要事項を明記するだけでなく、労働基準法に沿った内容であることを意識する必要があるでしょう。また、法改正などがあった場合にも迅速に対応できるようにしておかなくてはなりません。

    雇用契約書が無効になるケース

    雇用契約書の内容は、企業側と労働者にその効力が発揮されます。

    しかし労働基準法に反する場合は、違反している部分が無効化します。無効化した部分は労働基準法で定められている内容に修正されます。

    出典:『労働基準法第十三条』e-GoV法令検索

    また、企業側と労働組合の間による労働条件その他に関する労働協約に反する場合や企業の就業規則に定める基準を下回る場合など、労働者に不利益になるような内容の場合も、無効化するケースがありますので、注意しましょう。

    出典
    『労働組合法第十四条』e-GoV法令検索
    『労働組合法第十六条』e-GoV法令検索

    雇用契約書に記載すべき事項

    雇用契約書の書き方|明示事項や注意点を解説!

    雇用契約書に記載する項目について、明確な決まり等はありません。

    しかし、労働契約の条件について企業側と労働者の合意を示す証拠にもなるため、締結する具体的な労働条件の内容や署名捺印欄を用意するのが一般的です。

    1. ・労働契約期間
    2. ・就業場所
    3. ・業務内容
    4. ・就業時間
    5. ・交替勤務の有無
    6. ・休憩時間
    7. ・時間外労働の有無
    8. ・休日・休暇
    9. ・賃金や手当および支払日
    10. ・退職
    11. ・その他

    雇用契約書では、上記のように、どのような労働条件で契約を結ぶのかという内容を具体的に明示する項目を入れるとよいでしょう。

    雇用契約書の書き方のポイントや注意点

    雇用契約書の発行は法律で義務づけられていないため、記載事項の決まりは明確にはありません。

    しかし、法律で義務づけられている労働条件通知書と同様の内容になるため、兼用で作成するケースも多くあります。そこで労働条件通知書兼雇用契約書として記載される一般的な記載事項を確認しておきましょう。

    労働基準法などに則り作成する

    雇用契約書の内容は、労働基準法や就業規則、労働協約などの基準にのっとって設定しなくてはなりません。万が一、基準を下回り、労働者に不利になるような内容である場合は無効となってしまうため、注意しましょう。

    採用選考時の説明と相違がないようにする

    雇用契約書の内容をめぐって、認識相違など、トラブルが起こる場合もあります。特に採用選考時における説明で説明した内容と相違や矛盾がないよう、注意しなければなりません。

    人事担当者だけでなく、採用に携わる現場の責任者にも理解してもらうようにしましょう。

    絶対的明示事項を記載する

    労働条件通知書で必須の記載事項は「絶対的明示事項」とされています。

    1. ・労働契約期間
    2. ・就業場所
    3. ・従事する業務内容
    4. ・始業時刻・終業時刻(所定労働時間を超える労働の有無)
    5. ・休憩時間
    6. ・休日・休暇
    7. ・交替制勤務におけるルール
    8. ・賃金に関する事項
    9. ・退職や解雇に関する事項

    絶対的明示事項とは、契約期間や就業場所、従事する業務内容や賃金、休日休暇など、基本的な労働条件に関する契約内容を示す項目です。

    絶対的明示事項は2019年4月の労働基準法改正によって、条件を満たしていればメールやファックスなどによる交付も可能となりました。

    出典:『「労働基準法施⾏規則」 改正のお知らせ』厚生労働省

    また、アルバイトやパートタイムなどの短時間・有期雇用労働者の場合、絶対的明示事項に加えて特定事項として下記の明示も必要です。

    1. 1. 昇給の有無
    2. 2. 賞与の有無
    3. 3. 退職金の有無
    4. 4. 相談窓口の記載

    全従業員が統一というわけでなく、雇用形態などによって異なるという点を認識しておきましょう。

    該当する相対的明示事項があるか確認

    相対的明示事項は、該当する項目があれば記載しなけらばならない項目です。

    1. ・賞与や各種手当
    2. ・退職手当の定めが適用される労働者の範囲、退職手当の決定、計算、支払方法、支払日
    3. ・労働者の費用負担が発生するもの(食費、作業用品など)
    4. ・安全衛生に関するもの
    5. ・職業訓練に関するもの
    6. ・災害補償及び業務外の傷病扶助
    7. ・表彰及び制裁
    8. ・休職に関する事項

    上記の中で該当する項目がある場合には、記載事項として認識しましょう。

    違約金や損害賠償について記載しない

    雇用契約書では、契約内容が不履行になってしまった場合でも、金銭的な賠償に関する記載はしないようにしましょう。

    労働基準法では、雇用契約の不履行で違約金や損害賠償額をあらかじめ定めることを禁止しています。そのため、雇用契約書も同様に、金銭的な賠償などに関する記載は控えましょう。

    出典:『労働基準法第十六条』e-GoV法令検索

    転勤の有無に関する記載

    労働者にとって重要となる「働く場所」や「転勤の有無」については認識相違等がないよう記載しておきましょう。

    転勤の可能性がある場合は「会社の転勤命令に従う必要がある」ということを記載します。その際、想定される地域や、今後開拓する予定も含めて命令が出る場合があることも記載しておくとよいでしょう。また、採用選考の段階で転勤の可能性があることは説明しておきましょう。

    手当がある場合は詳細に記載

    手当に関しては、手当ての名称や金額、計算方法などできるだけ詳しく明記しましょう。支給額が変動する手当の場合は「就業規則を参照」などと記載し、就業規則に詳しい支給ルールを記載しましょう。

    固定残業代は時間や金額を記載

    固定残業代が発生する場合は、固定残業代分の時間と、相当金額を記載しておきましょう。また、固定残業時間を超過した場合は超過分の残業代を支給する点も明記します。

    残業代についてはトラブルになることもあるため、できるだけ明確に記載しましょう。

    試用期間がある場合は詳細を明記

    本採用の前に、試用期間を設けている場合は、その際の賃金や具体的な期間を記載しましょう。特に試用期間における賃金が、本採用の場合の賃金と異なる場合は明記する必要があります。

    賃金に関する重要な点なので、曖昧(あいまい)な書き方や表現にならないようにしましょう。

    賞与や退職金の記載

    賞与や退職金の有無、金額や計算方法、支払い時期などを記載しましょう。しかし、賞与や退職金については支払い義務はないため、就業規則に定めがない場合は「無し」としてもよいでしょう。

    雇用契約書の内容は変更できる?

    雇用契約書の内容について、締結後の変更は可能なのでしょうか。

    雇用契約書の変更に関して理解しておくべき内容をご紹介します。

    雇用契約書の内容を変更できるケース

    雇用契約書の内容を変更する場合は、企業側と労働者の合意があれば、変更自体は可能とされています。ただし、労働者側が不利益になるような内容へ変更する場合は、労働者の自由な意思による合意として認められる客観的な理由が必要とされる場合があると認識しておきましょう。

    形式的な同意だけでは、トラブルになる可能性もあるため、労働者側が自らの意思で同意をしているかどうかが重要になるでしょう。さらに、労働条件を変更する場合、労働基準法や就業規則の内容を下回る場合は無効となるため、注意が必要です。

    出典:『労働契約法第八条』e-GoV法令検索

    雇用契約書を変更する場合の対応

    雇用契約書を変更する場合は、改めて新しい雇用契約書を作成する方法と、変更部分のみを対象として同意書や覚書などを作成する方法が一般的です。自社にとって扱いやすい方法を選択しましょう。

    雇用契約書の電子化ならシステム活用がおすすめ

    雇用契約書が紙の場合、署名のためだけに出社する場合や書類準備の手間、不備が発生した際の対応が懸念点です。

    雇用契約書を電子化することで、メールやシステムを活用することで、こうした懸念点を払拭し、効率化することができるでしょう。

    雇用契約書では署名捺印を義務づけていないため、省略することもできるほか、電子署名に対応しているものもあります。

    電子化を進めることで、労働者と担当者双方の負担を大きく軽減できるので、チェックしてみてはいかがでしょうか。

    まとめ

    雇用契約書は、法律で義務づけられているものではないものの、企業側と労働者側の認識相違などによるトラブルに備えて、発行しておくのが安心です。

    一方、労働条件通知書は、企業側が労働者側に労働条件に関する内容を明示するものとして、法律で義務づけられています。

    雇用契約書の内容は、労働条件通知書に記載する内容と大きな違いがあるわけではないため、兼用して作成することで効率的に進めることができるでしょう。

    さらに雇用契約書は、電子化することで、一連の流れを効率化することができます。

    雇用契約書を電子化できるシステムとして、さまざまなサービスから提供されているため、ぜひ一度チェックしてみてはいかがでしょうか。

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    記事監修

    監修者

    スマカン株式会社 代表取締役社長 唐沢雄三郎

    一貫して現場に寄り添う人事システムの開発に注力している起業家。戦略人事情報・人材マネジメントシステム、マイナンバー管理システムをはじめ、近年はタレントマネジメントにまで専門領域を広げ、着実に実績を積み上げている。主力製品は公共機関など多くの団体・企業に支持され、その信頼と実績をもとに日本の人材課題の解決に貢献している。

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