• 2021.09.30
  • タレントマネジメント

タレントマネジメントとは|特性に合わせたキャリア開発で経営目標の達成を

タレントマネジメントは、従業員のスキルや特性に関する情報を人材の配置・育成に活用して会社の経営目標の達成をサポートする取り組みで、1990年代後半に欧米で生まれた考え方です。日本でも、多様な働き方の実現と従業員のパフォーマンス向上をねらいとしてタレントマネジメントを導入する会社が増えており、専用のシステムも多数販売されるなど注目度が高まっています。この記事ではタレントマネジメントを導入する目的とメリット、導入後の効果や成功事例を紹介します。

タレントマネジメントとは

タレントマネジメントとは、従業員の評価や能力・スキルなどの情報を集約して、適材適所の人材配置や適性に応じた教育研修などを通じて従業員のパフォーマンスを最大化するマネジメント手法です。従業員のモチベーション管理やリーダー育成といった人事課題も解決でき、会社全体の生産性を高める効果も期待できます。まずはタレントマネジメントの定義や目的、注目される背景について解説します。

タレントマネジメントの定義

タレントマネジメントでは統一された手法がなく、定義もさまざまです。タレントマネジメントの主な定義を3つ紹介します。

(1)ASTD(米国人材開発機構)での定義
ASTDでのタレントマネジメントの定義は、企業の経営目標に合わせて従業員を採用し、人材開発や配置を通じて人的リソースを最適化しながら目標達成を目指す統合的なアプローチです。

(2)SHRM(全米人材マネジメント協会)での定義
SHRMでは、企業の経営目標を実現する前提で人材を採用・育成した上で活用するという一連のプロセスを改善した上で、生産性を向上させる戦略を推進することをタレントマネジメントと定義しています。

なお、SHRMは「タレントマネジメント」のルーツとしても知られています。

(3)リクルートワークス研究所での定義
リクルートワークス研究所では、タレントマネジメントを次のように定義しています。

「優秀な個人の能力とリーダーシップを最速で開花させることにより、ビジネスゴールの達成と、組織内におけるリーダーシップの総量を極大化させるための、本人・上位者・人事による成長促進プロセスである」

リクルートワークス研究所「タレントマネジメントの本質」

タレントマネジメントを行う目的

タレントマネジメントの最大の目的は、従業員のパフォーマンスを最大限に引き出した上で会社の経営目標を達成し、持続的な成長を実現することです。ちなみに「タレント(talent)」という言葉には、才能・手腕・素質という意味が含まれています。

タレントマネジメントを行う前に、従業員(タレント)に関する情報収集が必要不可欠です。過去の職歴や保有する資格はもちろん、社内での経歴・評価や研修受講歴・従業員本人のキャリアに関する考え方など、あらゆる情報を集約します。定期的に情報を更新し、関係者全員が最新の情報を確認できるようにすることが大切です。

従業員の情報が収集できたら、従業員を適材適所に配置してパフォーマンスの最大化を目指します。必要に応じて教育研修を実施したり、面談などを通じて業務の成果をフィードバックしたりするなど、従業員自身への「気づき」の提供も必要です。従業員が十分に能力が発揮できているか、組織の成長につながっているかなどを、人事部と現場の管理者が連携しながらモニタリングします。

従業員の能力を見える化し、組織の課題を発見して解決につなげることもタレントマネジメントの目的を実現するプロセスの一つといえます。

日本でタレントマネジメントが注目される背景

年功序列・終身雇用制度の崩壊に伴う成果主義へのシフトに加えて、近年では従業員の働き方や価値観が多様化しています。そのため、従業員のパフォーマンスを正確に把握した上で人材を活用する手段として、タレントマネジメントが注目されるようになりました。

インターネットなどのICT技術の普及により経済のグローバル化が加速すると共に、ビジネス環境も目まぐるしく変化しています。労働市場の流動化も進んでおり、働きがいのある企業・団体へ転職する人も増えています。組織への帰属を前提とした従来型のマネジメントシステムでは、従業員を適切に管理しきれなくなっているのが実情です。

また、HRテックをはじめとする技術革新によって従業員の情報を簡単に分析・見える化できるようになりました。同一労働同一賃金の義務化や人事評価制度の普及に伴い、待遇面や評価の根拠について従業員から説明を求められる場面も増える見込みです。従業員の能力を客観的に、しかも効率的に管理する方法としてもタレントマネジメントは有効です。

タレントマネジメントのメリット・効果

タレントマネジメントを導入すると、適材適所の人材配置や客観性の高い評価を通じて会社・従業員双方が成長する効果が生まれます。仕事へのモチベーションが高まり、離職率が低下するメリットも生まれるでしょう。タレントマネジメントを導入することで実感できる、メリットや効果を紹介します。

人材の適正配置

タレントマネジメントを導入することで、従業員のスキルや適性を考慮しながら最適な人材配置を行えます。研修受講歴や行動特性に関する情報を一元管理して、部署の枠を超えて人材配置を検討できるため、経営視点を交えた戦略人事の遂行にも効果的です。

タレントマネジメントは従業員個人の目標・ビジョンや協調性といった、数値化が難しい要素も管理できます。従業員の希望を考慮しつつ、新たなポジションでチャレンジを促して成長につなげる使い方も可能です。例えば、部署内のリーダーとして指名したり、会社の幹部候補にふさわしい人材を探したりする使い方も考えられます。

多くの情報をもとに人材の適正配置を計画し、従業員の能力開発につなげられるのがタレントマネジメントの導入効果の一つです。

公正な能力評価

タレントマネジメントを導入すると従業員に関する多くの情報が集まり、人事評価の客観性が高まります。人事戦略・経営戦略に基づいて従業員が持つ能力を見える化できるので、成長度合いも一目瞭然です。

持っている資格やキャリアプランに関する考え方は従業員ごと・上司ごとで異なるため、客観的な指標がなければ評価にブレが生じ、適正に人材配置ができません。従業員が成長するチャンスを見逃す原因にもつながります。しかし、タレントマネジメントでは複数の指標を使って能力を評価するため、評価のブレを低減できます。その結果、公正な能力評価を実現できるのがメリットです。

社員のモチベーション・エンゲージメント向上

タレントマネジメントによる能力評価を行うことで従業員が成長を実感でき、モチベーションが高まります。従業員のパフォーマンスや能力を個別にフィードバックできるため、主体性のある社員を育成できるようになるのもメリットです。タレントマネジメントで蓄積されたデータに基づいて、個別に人材育成・キャリア開発のメニューを提示することも可能です。

さらに、フィードバックをもとに成長できるというサイクルが定着すれば、従業員は能力を正当に評価してもらえるという安心感を得られます。会社へのエンゲージメントが向上するとともに、離職率が下がる効果も期待できるでしょう。

会社の生産性向上

タレントマネジメントを通じて従業員一人ひとりが優れたパフォーマンスを発揮できれば、組織・会社全体の生産性向上を目指せます。限定型正社員やパート勤務といった仕事内容や労働時間が限られている社員でも、希望や能力に合ったポジションでの戦力化が可能です。

組織としての強み・弱みも明らかになるため、既存の従業員に研修を実施したり新たな人材を迎え入れたりすることで、組織力の底上げも図れます。タレントマネジメントのデータがあれば求める人材像も明確になるため、採用活動の効率化だけでなく採用後のミスマッチも防げます。

タレントマネジメントの成功事例

タレントマネジメントを導入して、従業員のパフォーマンス向上と会社の成長に成功している事例を紹介します。

サイバーエージェント

ITメガベンチャーのサイバーエージェントでは、社内の専門部署「キャリアエージェント」を軸としてタレントマネジメントに着目した人事戦略を推進しています。従業員数の増加に伴い、一人ひとりの顔が見えなくなったという経営陣からの声が、部署発足のきっかけでした。

独自開発のサーベイツール「GEPPO」を活用して、従業員のコンディションやキャリア志向・抱えている問題に関する情報を収集して、適材適所の人材配置や業務量の調整などの課題を解決しています。役員が戦略的な人材配置を検討する「人材覚醒会議」を設けているのも特徴的です。

社内の各部署が必要としている人材の情報は「キャリバー」に掲載されており、希望する部門やグループ会社への異動をエントリーできる「キャリチャレ」を使って活躍の幅を広げられます。会社が人事異動を行う場合も、役割と期待を本人に伝えた上で決定しています。会社と従業員が情報交換しながら適材適所への人材配置を行い、能力の最大化を実現している事例です。

日清食品ホールディングス

大手食品メーカーの持株会社である日清食品ホールディングスでは、「今後必要となる人材を計画的にプールしておく」という考え方でタレントマネジメントを推進しています。経営目標を人事施策と連動させて、目標達成の中核となる人材を中途社員の採用や新卒社員の育成によって増やそうという戦略人事を推進しているのが特徴です。

必要なスキルや人材像に関する情報を瞬時に確認できる特性を活かして、適材適所の人材配置に関する議論が活発に行われています。顔写真付きで情報をチェックできるので、経営層による人材配置の判断もスムーズです。全社員に会社の満足度やビジョン・戦略への共感度などの調査を年1回実施している他、希望者には人事担当者が個別に面談して配置の希望などを話し合っています。タレントマネジメントで得た情報をもとに、経営戦略を踏まえた人材育成・人員配置を実践している事例です。

タレントマネジメントに活用できるツール・システム

タレントマネジメントを効果的に行うには、ツールやシステムの活用が有効です。無料体験や担当者のコンサルティングなどを通じて機能を比較し、自社に合ったシステムを導入しましょう。

タレントマネジメントシステム「スマカン」なら、従業員のプロフィールや顔写真をはじめ、スキルや保有資格などのあらゆる情報を一元管理できます。自社オリジナルの項目も設定可能です。人材配置や組織改革を簡単にシミュレーションできる、組織ツリーやクロス分析機能も搭載しています。

さらに自社に合わせた目標管理制度や人事評価シートの設計、社内アンケートの作成・分析も可能です。従業員と充実したコミュニケーションをとりながらパフォーマンス向上をめざし、自社の成長にもつなげられます。

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