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輪番制とは? 意味や当番制との違い、メリットデメリットも解説
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輪番制という言葉をご存知でしょうか。ビジネスシーンだけでなく、自治会やマンションの管理組合でも使われる制度で「役割を順番に割り当てること」を指します。
しかし、輪番制という言葉を耳にする機会がなく、よくわからないという方も少なくありません。また、当番制との違いがわかりにくく、混同してしまっているケースもあるでしょう。
そこで当記事では、輪番制の意味をわかりやすく解説しながら、混同しやすい当番制との違いや輪番制の使われ方、輪番制のメリットデメリットに注目してご紹介します。
目次(タップして開閉)
輪番制とは
輪番制とは、役割や担当を順番を決めて担当する制度です。
複数人で順番を決め、代わるがわる担当になり、仕事やものごとを進めるやり方を指します。「全体のなかで順番に役割を回していく」というイメージを持つとわかりやすいかもしれません。
当番制と立候補制
輪番制と混同しやすい言葉には「当番制」と「立候補制」があります。それぞれどのような意味を持つ制度なのかをご紹介します。輪番制との違いを整理するためにお役立てください。
当番制とは
当番制の「当番」とは、順番に入れ替わり、仕事にあたることを指します。
輪番は持ち回りで順番に担当すること、当番はその番にあたることです。たとえば「給食当番を輪番制で行っていて、今週が当番である」というイメージをするとわかりやすいでしょう。
立候補制とは
立候補制とは、役割や担当を決める際に、みずから手をあげて引き受けるという意味を持ちます。「みずから名乗りをあげているか」という点が、意思とは関係なく順番に仕事が回ってくる輪番制との違いです。
輪番制がとられるシーン
輪番制がとられるケースにはどのようなシーンがあるのでしょうか。実際に輪番制が使われるケースをイメージすれば、より理解しやすくなるはずです。
具体的なシーンについて確認してみましょう。
節電対応
輪番制がとられるシーンとして、電力不足解消のための企業による節電対応が挙げられます。節電対応にはさまざまな対策が行われますが、当記事では消費電力の分散を例にご紹介します。
たとえば「休日出勤を行い、振替休日を平日に取る」ことを輪番制で行うという対応を検討した企業が多くありました。この場合の輪番制は、部署ごとやビルのフロアごとなど、各企業で工夫して行われました。
参考:『会員企業の皆さまの節電への取り組み』サステナビリティ日本フォーラム
登下校の見守り
輪番制は、小学校の登下校について、保護者による見守り当番に輪番制を採用している地域もあります。このような保護者の役割は、家庭状況によっても考えが異なりますが、輪番制を採用することで不公平感を抱きにくくなるでしょう。
集合住宅の管理組合
集合住宅における管理組合の役員選出においても、輪番制が採用されやすいでしょう。たとえば各階をグループとして、そのなかから輪番で選出していくやり方が挙げられます。
とくに分譲マンションなどの場合は、一般的に長い間住むことが多いため、特定の住民が管理組合を担当すると不平不満が生まれやすい傾向にあります。輪番制をとることで、公平感や納得感を持って役員を引き受けられるはずです。
地域の自治会役員選定
地域の自治会や町内会における役員を選出する際にも、輪番制が採用されることがあります。輪番制で順番に役員を担当することで、公平性を保ちやすくなるためです。
自治会は報酬がないため、くじ引きなどによって自分だけが役員をやることになれば不満が起こりやすいでしょう。あらかじめ輪番制をとっていれば、全員に必ず順番が回ってくるため、納得感が得られやすいのです。
輪番制のメリット
輪番制にはどのようなメリットがあるのでしょうか。具体的なメリットをご紹介します。
公平性が保たれる
輪番制によって、役割が順番に回ってくることになれば、不公平感を抑えられます。
とくにビジネスシーン以外では、役割を引き受けても報酬が発生しないことが多いでしょう。輪番制によって全員が役割を担当することで不平不満が出にくくなる点は、大きなメリットの一つです。
役割や担当がすぐに決まる
輪番制は、短時間で役割や担当が決まる点もメリットといえるでしょう。輪番制を採用しない場合、役割や担当者が決まるまでに時間がかかる場合も少なくありません。輪番制なら、誰からどの順番で回すかを決めるだけでよいため、速やかに担当者が決まるでしょう。
順番を把握できるため予定が立てやすい
輪番制は順番に回ってくるため、あらかじめ自分の番を把握できます。そのためスケジュールを立てやすいというメリットもあるでしょう。
また、組織によっても異なりますが、仕事や家庭状況を鑑み、どうしても難しい場合は順番を変えてもらえるかもしれません。
輪番制のデメリット
輪番制のデメリットにはどのような点が挙げられるのでしょうか。具体的なデメリットについてご紹介します。
統一性がない
輪番制は、担当者が順番で変わることで、意見ややり方に統一感がないというデメリットがあります。
また一度決めたことでも、担当者が変わることで意見が変わってしまうなど、1つのことを継続して行えない場合もあるでしょう。
無責任な人もいる
輪番制は自分の意思とは関係なく順番に役割が回ってくるため、なかにはやる気がない人や無責任な人もいるかもしれません。役割をきちんと果たさなかったり、意見を出さなかったりする人がいることがデメリットといえます。
生活に支障が生じる場合もある
輪番制を採用することで、生活に支障が出る可能性があるという点もデメリットの一つといえるでしょう。たとえば仕事以外の組織で、輪番制で役割が決まっている場合、予定の調整をしなければならないケースもあります。
また、家庭の状況によっては負担が大きく、生活リズムが崩れる場合もあるかもしれません。
輪番制のルール
輪番制を運用する場合はあらかじめルールを適切に設定する必要があります。ルールを決めておくことでさらに公平な輪番制を運用できるようになるはずです。輪番制に関する理解を深めるためにも、ルールを確認してみましょう。
順番を決める
輪番制で役割を順番に回していくためには、前提となる順番を決めておく必要があります。順番の決め方にも注意が必要ですが、輪番制の順番を決める場合は「縦割り方式」や「横割り方式」「順番方式」などのやり方があります。
輪番制を採用する組織によっても異なるため、それぞれの方式を確認しておきましょう。
縦割り方式
縦割り方式は、組織全体を縦でとらえ、選出していく方法です。
集合住宅の役員を選定する際に「1フロアごとに部屋番号の末尾が1の人」などとして選出するやり方です。この場合、5階建ての集合住宅なら、101・201・301・401・501の人が選出されます。
横割り方式
横割り方式とは、横の軸で選出していく方法です。
オフィスビルの係や担当を選定する場合、1階の全企業から選出されます。同じフロアの場合は顔見知りがいることも多く、同じタイミングで役割に就くため、親睦を深めやすいといえるでしょう。
順番方式
順番方式とは、特定の順番を決めて行っていく方法です。たとえば、社員番号順での朝礼担当などが挙げられます。場合によっては順番を工夫することで、輪番制をスムーズに進められるでしょう。
役割の期間を決める
輪番制で役割を回す際は、役割の就任期間をあらかじめ決めておきます。就任期間は順番や個人によって差が出ないよう統一するとよいでしょう。期間に差があることで、公平感が失われてしまい、不満の原因になってしまうためです。
役割に関するルールを決める
輪番制は担当者が順番に変わるため、性格ややる気によって取り組み方などに違いが生じやすいです。
そこで、役割に関する最低限のルールを設定しておくことで統一性を担保しやすくなるでしょう。細かすぎるルールは不要ですが、ある程度のルールがあると就任した際にスムーズに進められるはずです。
輪番制を活用する企業事例
企業でも輪番制を採用しているケースがあります。そこで、企業がどのようなシーンで輪番制を採用しているのかご紹介します。
フジ産業株式会社
フジ産業株式会社では、輪番制による注意喚起を行い、安全意識を継続する取り組みを行っています。
整理整頓当番や保護具当番、中間期当番の3つの当番をつくり、輪番制で実施。従業員全員が担当することで安全に対する意識が向上し、転倒などによる労災事故は減少傾向にあるということです。
さらに、職場内でのコミュニケーションが活発化し、チームワークが強化されました。それにより、誤配などのミスも減少したということです。
株式会社岡田鉄工所
株式会社岡田鉄工所では、ワークライフバランス(通称WLB)に取り組み、1年間に30%の有休取得(1人あたり)をノルマとしました。
そこで、輪番制による仕事の持ち回りで誰かが抜けても仕事を進める体制を整備したそうです。その結果、ほとんどの従業員が希望通りの日程で有給休暇を取得できるようになりました。
株式会社リコー
株式会社リコーでは、2011年政府が行った最大使用電力15%削減のため「夏休み輪番制」などの対策を実施しました。具体的な実施策として、対象事業所を5つのグループに分け、夏休みを1週間単位と事業所単位の各2回設定したそうです。
東日本大震災による影響で、電力供給量が低下したことからさまざまな企業が対策を行いましたが、同社をはじめとして輪番制を取る企業が多くありました。
参考:『サマータイムと輪番制の夏休みを導入 』株式会社リコー
まとめ
輪番制とは、仕事や役割を順番を決めたうえで持ち回りで担当する制度です。あまり聞きなれない言葉かもしれませんが、実は身近なところでも輪番制が採用されています。
企業でも、節電や業務中の事故防止、有給休暇取得のための施策など、多くの取り組み事例があります。輪番制は組織の全員が順番に役割を担当するため、不公平感も生まれにくいです。さらに、全員が持ち回りで仕事を担当するため、当事者意識を持てるようにもなるでしょう。
業務中の事故防止や有給休暇取得などに課題を抱える企業は、全員が当事者意識を持てる輪番制を採用してみてはいかがでしょうか。
記事監修
スマカン株式会社 代表取締役社長 唐沢雄三郎
一貫して現場に寄り添う人事システムの開発に注力している起業家。戦略人事情報・人材マネジメントシステム、マイナンバー管理システムをはじめ、近年はタレントマネジメントにまで専門領域を広げ、着実に実績を積み上げている。主力製品は公共機関など多くの団体・企業に支持され、その信頼と実績をもとに日本の人材課題の解決に貢献している。
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