• 2022.06.21  最終更新日2022.11.04
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働き方改革とは【今更聞けない基礎】取り組み事例や課題、背景、関連法

今更聞けない【働き方改革】とは? 多様化の背景、企業が取り組むべき概要やメリットをわかりやすく解説!

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労働環境を多角的に改善すべく、国を挙げて推進されている働き方改革。ワーク・ライフ・バランスの実現を目指し、2018年には働き方改革関連法が成立しました。

当記事では、今更聞けない「働き方改革とは?」「企業が対応すべきことは?」「どんなメリットがあるの?」などの疑問についてわかりやすく解説いたします。

目次(タップして開閉)

働き方改革とは? わかりやすく解説

働き方改革とは、わかりやすく説明すると「労働環境を見直し、多様な働き方を実現するための取り組み」のことです。厚生労働省では「働く方々が、個々の事情に応じた多様で柔軟な働き方を、 自分で選択できるようにするための改革」と定義しています。

現在の日本では少子高齢化が進んでおり、労働力人口の減少による国力の低下が懸念されています。労働力人口とは、働く能力と意思がある15歳以上人口をいいます。また、介護や育児などさまざまな事情から仕事との両立が難しくなり、働くことが困難になった方も多く存在します。

そこで、一人ひとりが働きやすい社会をつくり労働力不足の解消を目指し、政府が法改正を含めて行っている取り組みが働き方改革です。2018年には「働き方改革関連法」が成立し、2019年4月より順次施行されています。

働き方改革関連法について

働き方改革関連法とは、2018年に新たにできた法律ではありません。労働に関する既存の法律を改正したものの総称を指します。

正式名称は「働き方改革を推進するための関係法律の整備に関する法律」で、該当する法律は以下の通りです。

・労働基準法
・雇用対策法
・じん肺法
・労働安全衛生法
・労働契約法
・労働時間等設定改善法(労働時間等の改善に関する特別措置法)
・パートタイム・有期雇用労働法(短時間労働者の雇用管理の改善等に関する法律)
・労働者派遣法(労働者派遣事業の適正な運営の確保及び派遣労働者の保護等に関する法律)

たとえば労働基準法の改正により、残業時間(時間外労働時間)の上限規制年次有給休暇の取得義務化が実施されています。さらにパートタイム・有期雇用労働法が改正されたことにより、雇用形態による不合理な待遇差が禁止されるなど、労働環境の改革が多方面で進められています。

働き方改革を掲げる背景と目的

働き方改革が掲げられる背景には、「少子高齢化による労働力人口減少の解消」「多様な働き方への対応」という、大きく2つの目的があります。

働き方改革の中身だけではなく、その背景や目的を解説いたします。

少子高齢化による労働力人口減少の解消

働き方改革が掲げられた背景の一つに、少子高齢化による労働力人口の減少が挙げられます。

そもそも日本は、生産年齢人口も1995年をピークに減少が続いています。生産年齢人口は、国内の生産活動を支えているとされる15〜64歳の人口をいいます。基本的に生産年齢人口の中に労働力人口は含まれますが、働く意思を問わない点や65歳以上の労働者を含まない点など、微妙に異なる部分もあります。

労働力人口の減少は、そもそも生産年齢人口が減っていることが原因でもあります。ただし、育児と仕事の両立が困難である労働環境が、日本の出生率低下ないしは少子化の一因となっている事実は否めません。

日本の労働力人口減少に歯止めをかけるためにも、労働環境の改善を目指す働き方改革の必要性が高まったというわけです。

多様な働き方への対応

働き方改革が必要とされる背景には、働き方のニーズが多様化しているという点も挙げられます。日本には、労働意欲があるにもかかわらず、育児や介護との両立が難しくやむを得ず離職を選択する人も存在します。

このように、一人ひとりのライフスタイルに合わせた柔軟な働き方が求められているという点も、働き方改革が掲げられるようになった理由の一つです。働き方改革には、時間や場所、雇用形態に縛られず、多様な働き方を選択できる社会にすることで、労働力人口の増加を目指すという目的があります。

働き方改革の背景にある3つの課題

働き方改革を進めるにあたって課題となっているのが、「長時間労働の常態化」「非正規・正規社員の格差」「高齢者の就労」という3点です。

たとえば育児や介護、年齢を理由に思うように働けない方が多いこと、雇用形態によって待遇に大きな差があることなど、日本の労働環境には問題があるといわれています。

働き方改革の背景にある3つの課題について詳しく解説いたします。

長時間労働の常態化

日本の労働環境における問題の一つに、長時間労働の常態化が挙げられます。長時間労働が当たり前になってしまうと、労働者の健康被害につながったり、出産や育児、介護との両立が困難になったりするなど、多くの問題が考えられます。

そこでワーク・ライフ・バランスを実現し、労働者がより健康的に働ける環境にしようという働き方改革が推進されています。

非正規・正規社員の格差

日本では、非正規社員と正規社員の間にある不合理な格差が問題視されています。同様の仕事内容にもかかわらず、雇用形態の違いだけで処遇に大きな差があるなどの事態は、労働への意欲低下につながりかねません。

そこで、非正規社員と正規社員の間の不合理な格差解消を目指す「同一労働同一賃金」の考えに基づき、働き方改革が行われています。非正規社員と正規社員との間に待遇差を設ける場合には、その理由を合理的に説明することが求められます。

高齢者の就労

深刻な人手不足を解消するために、65歳以上の高齢者の就労促進をすることも、働き方改革の背景にある課題の一つです。

内閣府が公表する『令和3年版高齢社会白書』によると、他国に比べて日本の高齢者は就労意欲が高いことが示されています。年齢にかかわらず、就労意欲を持つ人が働き続けられる環境を整えることも、働き方改革では求められています。

参照:『令和3年版高齢社会白書』内閣府

働き方改革で企業が対応しなければならないこと

働き方改革において取り組むべきことは多岐にわたり、何から対応すべきか迷ってしまう企業の担当者も多くいらっしゃるでしょう。

そこで、働き方改革の中でも対応しなければ「罰則」が発生する、優先事項3つについてわかりやすくご紹介します。

時間外労働についての見直し

長時間労働の常態化を解決するため、働き方改革関連法により、以下のように「時間外労働の上限規制」が設けられました。

原則・月45時間まで
・年360時間まで
特別な事情がある場合・単月100時間未満、月45時間を超えるのは6回まで
・年720時間まで
・複数月平均80時間まで

また、労働基準法で定められている「1日8時間、週40時間以内」という法定労働時間に変わりはなく、これを超えて時間外労働をさせる場合は、36協定を締結することが必要です。時間外労働の上限を超えてしまわないように、残業時間の見直しや、業務効率化をはかるための対策を行うようにしましょう。

時間外労働が月60時間を超える場合は、50%以上の割増賃金の支払いが必要

時間外労働の上限に加えて、月60時間を超える時間外労働をさせた場合には「50%以上の割増賃金の支払い」が定められたことも覚えておきましょう。

大企業では2010年より賃金割増率の引き上げが始まっていますが、2023年4月以降からは、中小企業でも同様に50%以上の割増賃金を支払う必要があります。

年次有給休暇の取得を義務化

年次有給休暇が年間10日以上付与される従業員に対し、そのうち5日間は「時季指定」により有給休暇を取得させることが義務化されました。

時季指定とは、従業員と相談したうえで、企業が有給休暇の取得日を指定することをいいます。従来の年次有給休暇は、労働者が使用者に対し自ら申し出ることが基本でしたが、職場への配慮から「有給が取りづらい」と感じる労働者も少なくなく、取得率の低さが課題になっていました。

そこで、労働者が確実に有給休暇を取得できるように、働き方改革では時季指定による有給休暇の取得が義務づけられました。

産業医の権限を強化

働き方改革により、産業医の権限が強化されています。

たとえば、時間外労働が月80時間を超過した労働者について、情報提供することが義務化されました。さらに、労働者から事業者に申し出があった場合、産業医の面接指導を受けさせることも義務づけられました。

また、時間外労働が月100時間を超えた研究開発業務の従事者に対しては、労働者の申し出の有無にかかわらず、産業医による面接指導を受けさせることが必須となっています。これに違反した場合は罰則の対象となるため、該当企業は注意するようにしましょう。

働き方改革に伴い、各企業が取り組む具体的な例

働き方改革に伴い、各企業は法律で定められた項目はもちろん、「長時間労働の解消」や「多様な働き方への対応」を推進をすることが必要となりました。

具体的にどのような取り組みをすべきなのか、5つの具体例をご紹介します。

1.テレワークの推進
2.フレッタクスタイム制度の導入
3.育児休暇取得の促進
4.時短勤務制度の導入
5.ストレスチェックの実施

詳しく解説いたします。

テレワークの推進

働き方改革として、場所を選ばずに仕事ができるテレワークを導入する企業が増えています。

テレワークはオフィスに出勤せず、自宅に居ながら働くことができるため、「通勤の負担軽減」や「時間の有効活用」による生産性の向上も期待できます。また、育児や介護などの事情を抱える優秀な人材が、「通勤が難しい」という理由で離職してしまうことを防ぐ効果もあるでしょう。

テレワークの導入が難しいと感じている企業でも、単純作業や日報の作成など、「オフィス以外でもできる一部の業務は自宅作業を認める」といった働き方改革を検討してみてはいかがでしょうか。

フレックスタイム制度の導入

フレックスタイム制とは、決められた総労働時間の範囲で、出社と退社時間を労働者が調整できる制度です。労働者が都合に合わせて働く時間を選択できるため、家事や育児、介護との両立など、多様なニーズに対応できる働き方として注目されています。

働き方改革関連法により、労働者が柔軟な働き方を選択できるように、フレックスタイム制の清算期間が1か月から3か月に延長可能となりました。

なお、清算期間の設定が1か月以上となる場合は、労使協定を締結し、労働基準監督署への届出が義務づけられています。違反した場合は罰則の対象となるので注意しましょう。

育児休暇取得の促進

2021年6月には育児・介護休業法が改正され、育児休暇の取得が促進されています。たとえば、新設された産後パパ育休は通常の育児休業とは別に休暇が取れる制度です。

女性のみならず、男性の育児休暇取得を促進することも働き方改革の一つです。男性の育児休暇取得を促進することで、女性もさらなる活躍が期待できるでしょう。

日頃から従業員同士がフォローし合える職場環境をつくっておくことが、育児休暇の取得促進につなげるためのポイントです。

時短勤務制度の導入

働き方改革の背景にもある「育児や介護と両立して働きたい」という労働者のニーズに応えるためにも、時短勤務制度の導入はおすすめです。

現在、育児中の女性社員が時短勤務の制度を利用するケースが多いですが、少子高齢化が進む日本では、今後介護による時短勤務のニーズが増えると予想されます。女性のみならず、男性社員も時短勤務を選択しやすい環境づくりに取り組んでみてもいいでしょう。

ストレスチェックの実施

労働者が健康的に働ける環境を整えるために、定期的にストレスチェックを実施することも働き方改革につながります。

ストレスチェックとは、従業員が自身のストレス状況について回答するアンケート調査のことです。従業員に結果を通知し、自分の抱えるストレス状況に気づいてもらうことで、メンタルヘルスの深刻な不調を未然に防ぐのが目的です。

2015年より、従業員が50名以上の企業ではストレスチェックが義務づけられていますが、50名未満の企業は努力義務となっています。大企業のみならず、中小企業でもストレスチェックの導入が求められています。

働き方改革による企業側のメリット

働き方改革により、企業が対応すべきことが増え、負担に感じる担当者の方もいらっしゃるかもしれません。しかし、働き方改革は企業にもたらす多くのメリットがあります。

働き方改革が企業にどのようなメリットをもたらすのか、わかりやすく解説します。

労働生産性の向上

働き方改革により、テレワークの導入やITツールの活用を強化した企業が増えています。これにより、空き時間を作業時間に充てたり、手作業で時間をかけて行っていた業務をITツールにより簡略化できたり、業務効率化につながっています。

労働者が柔軟に働き方を選択できることで、より働きやすい環境が生まれ、労働生産性の向上につながるとも大きなメリットといえるでしょう。

コロナ禍を経た「働き方改革」のさらなる進化

コロナ禍を機にテレワークやオンラインミーティングなどの導入が進み、「場所や時間にとらわれない働き方」がより身近になりました。

これまで紙ベースで行われていた業務も、システム導入によりオンライン上で一元管理する企業が増えてきました。今まで手間をかけていた業務が効率的に進められています。働き方改革を進めることは、労働者が働きやすくなるだけでなく、企業側にもメリットがあるといえるでしょう。

働き方改革の取り組みを推進、定着化させる業務効率化の方法

働き方改革の取り組みを推進・定着化させるためには、多様な働き方の従業員を一元管理できる、システムの導入がおすすめです。

タレントマネジメントシステムスマカン』は、従業員の基本情報、スキルや経歴、モチベーションなどを一元管理できるため、さまざまな働き方・雇用形態の従業員の管理が簡単になります。

また、『スマカン』は紙やExcelなどで分散されている人材データを一元管理し可視化できます。必要な情報をすぐに取り出せて、人事やマネジメントにおける業務効率化にもつながります。働き方改革をスムーズに推進し、定着化していくためにも、システムの導入を検討してみてはいかがでしょうか。

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記事監修

監修者

スマカン株式会社 代表取締役社長 唐沢雄三郎

2008年より、一貫して現場に寄り添う人事システムの開発に注力している起業家。戦略人事情報・人材マネジメントシステム、マイナンバー管理システムをはじめ、近年はタレントマネジメントにまで専門領域を広げ、着実に実績を積み上げている。主力製品は公共機関など多くの団体・企業に支持され、その信頼と実績をもとに日本の人材課題の解決に貢献している。

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