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通達とは? 意味や通知との違い、使い方もわかりやすく解説!
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通達とは、会社から社員に向けて文書を通じてお知らせをすることです。会社の中で、重要な内容や人事に関連する内容など、さまざまな通達がおりることがあるでしょう。
通達の意味は大まかに理解しているものの、通知や通告などとの違いや、通達の種類については、いまいちよくわからないと感じているケースも少なくありません。
そこで当記事では、通達についてわかりやすく解説しながら、混同しやすい言葉や会社からの通達のうち、社内通達や人事通達についてもご紹介します。
目次(タップして開閉)
通達とは?
通達とは、上の機関が下の機関で決定した事項を文書で告げて知らせることや、隅々まで滞りなく伝えることを意味する言葉です。そのほか、特定のものごとに深く通じていることをあらわす意味合いも持っています。
通達は、本来行政機関において上級機関から下級機関に向けて、職務に関する命令を行うために文書が作成され、発出されるものと理解しましょう。
しかし通達は、行政上の機関だけでなく一般的な企業においても、指揮監督関係が成立している組織の中で、上から下への命令や指示として発出されています。
通達が持つ意味を踏まえながら、使い方の例を確認してみましょう。
1 | 全社員に新たな社内方針を通達する |
---|---|
2 | 対象者のみに通達しておく |
3 | 人事通達を発出する |
4 | 文部科学省による通達 |
5 | 彼女はフランス語に通達している |
通達と混同しやすい言葉
通達と混同しやすい言葉として「通知」「通告」「伝達」の3つが挙げられます。
使う場面 | 送る対象 | |
---|---|---|
通達 | 上の立場から下の立場へ命令や指示をする時 | ・組織や部門全体 |
通知 | 前もって必要な情報をお知らせするとき | ・個人や団体を問わない |
通告 | 特定の人に、 決定事項や意向を文書で公的に知らせるとき | ・個人 ・特定の情報を知らせたい人 |
伝達 | 離れた地点にいる人へ情報を伝えるとき | ・個人や団体を問わない |
通達とそれぞれの意味や、使い方を例文とともに整理しましょう。
通知の使い方・例文
通知とは、必要な情報などをお知らせしたい相手に、前もって伝えておくためのものです。
通達は、新たな決定事項や社内の重要な情報などを、組織の上の立場の者が下の立場の者へと公式に伝える意味を持ちますが、通知は強制力などを持たず、単純に事実や内容を知らせるという意味合いを持ちます。
通知という言葉の使い方には
・合格の通知がきた ・同僚から結婚式の通知が届いた |
などが挙げられます。
通告の使い方・例文
通告とは、特定の人に向けて、決定事項や意向を文書を使用して公的に知らせることを指します。「正式に知らせる」という意味合いをもつとイメージしやすいでしょう。
通達と通告の違いは、対象にあります。通達は、組織全体や部門全体などが対象です。通告は、一般的に個人を対象とする場合が多く、対象が個人でない場合は特定の事項に関する情報を知らせる際に使われます。
通告という言葉の使い方には
・改善されないなら解雇通告を行う ・あの選手は戦力外通告を受けた |
などが挙げられます。
伝達の使い方・例文
伝達とは、口頭や文書などを通して伝えたいことを、相手に伝えることです。相手に伝えるという意味合いとともに、離れた地点にいる人へ伝えるというニュアンスを持ちます。
伝達という言葉の使い方には、
・口頭で伝達しておきます ・文書で伝達したが、正しく伝わらなかったようだ |
などが挙げられます。
会社からの主な通達について
会社からの主な通達には2種類あります。どのような違いがあるのか、それぞれの種類の特徴を確認してみましょう。
社内通達
社内通達は、企業の方針や決定事項、手続きに関することなどを組織全体もしくは特定の部署などに知らせるための通達です。文書や社内ポータルサイトなどが手段として使われます。
具体的には
・社内方針に関する決定事項 ・コンプライアンス遵守の指令 ・社内全体に使用する新たなシステムの導入について ・全社会議の日程 |
などが挙げられます。社内通達は、対象とする組織全体やチームなどの全員に理解してもらい、認識統一をはかるために行われるものと理解しましょう。
人事通達
人事通達は、従業員の異動や昇進などといった人事変更を知らせるための通達であり、一般的には異動時期である4月や10月頃に行われることが多いでしょう。人事通達も、文書や社内ポータルサイト、社内掲示板などが手段として使われます。
具体的には、
・昇進辞令 ・配置転換辞令 ・転勤辞令 ・採用辞令や退職辞令 |
などが挙げられます。人事通達は、特定の従業員や人員配置の状況などを共有するために行われるものと理解しましょう。
会社における通達の書き方
会社から通達を行う際は、必要な項目を理解し、文章を考えます。
通達を行う際に必要な項目と内容例は以下のとおりです。
項目 | 内容 |
---|---|
日付 | 通達を行う日付を記載 |
宛先 | 通達の対象を記載(社員各位など) |
発信者 | 通達を行う人の氏名を記載(肩書と氏名を記載する場合も) |
タイトル | 通達の内容を示すタイトルを簡潔に示す |
本文 | はじめに命令や指示内容の概要を記載し、別記として箇条書きで内容を記載 |
記書 | 日付や場所など、その他の情報が必要な場合は箇条書きで記載 |
結び | 本文の最後に「以上」と記載し、通達内容の終わりを示す |
通達の文書を作成する際は、できるだけ認識の相違が起こらないよう注意しましょう。わかりやすい表現を使い、細かい点は箇条書きにするなどして、対象者の全員が同じように理解できるかを念頭に置くとよいでしょう。
社内通達の種類
社内通達の種類は、目的によって細かく分類できます。種類別の特徴について、目的や具体例を見てみましょう。
社内通達の種類 | 目的 | 具体的なシーン |
---|---|---|
案内に関する通達 | 社内会議やイベントなどの日程や内容を伝えるため | 全社会議の日程と内容 |
社内稟議に関する通達 | 従業員の意見などを募集するため | 福利厚生の案や意見を募集 |
報告に関する通達 | 特定の状況において会社に報告を求めるため | 個人情報を変更する際 |
命令に関する通達 | 指示や業務命令などを通達するため | コンプライアンス遵守の指令 |
記録に関する通達 | 記録を残すための手順などを伝えるため | 会議議事録のとり方 |
人事通達の種類
人事通達も、目的や内容によって細かく分類することができます。種類別の特徴について、目的や具体例を見てみましょう。
人事通達の種類 | 目的 |
---|---|
採用 | 採用が決定したことを知らせるため |
退職 | 退職そのものを伝えるためや退職届を受理した証拠を示すため |
転勤 | 企業内でほかの就業場所への異動を命じるため |
転籍 | 現在の会社からほかの会社へ在籍を移すことを命じるため |
配属決定 | 従業員の配属先を知らせるため |
配置転換 | 従業員の異動(部署などの変更)を命じるため |
出張 | 中長期的に国内外への出張を命じるため |
会社から通達を行う際の注意点
会社から通達を出す際に、注意すべき点にはどのようなものがあるのでしょうか。具体的な内容をご紹介します。あらかじめ注意点を理解しておくことでトラブルなどを回避することにもつながるでしょう。
最新の情報を確認したうえで通達を作成する
通達を行う際は、通達に関連する内容の最新情報を確認したうえで、間違いがあればその部分に正しい情報を記載しましょう。
文書を作成する際は「通達が命令や指令などの強制力を持つ」という側面を踏まえて、最新の情報をあらためて確認するようにしましょう。
誰に宛てたものなのかをわかるようにする
通達文書を作成する場合は、誰に対する通達なのかを明確にすることが大切です。従業員全員に宛てたものであれば「社員各位」、特定の部署や課に限定する場合は「〇〇部署各位、〇〇課各位」などと明記し、個人宛ての場合は同名の人物がいないかを確認しましょう。
命令口調は避ける
通達の文章は、できるだけていねいな言葉を使用することが望ましいでしょう。命令口調を使用すると、威圧的に感じて不安を感じてしまうケースもあります。特別な意図がない限りは、ですます調を用いて文章を作成しましょう。
内容が正しく伝わるような文章で表現する
通達は、命令や指令の内容が読む側のすべての人に正しく伝わるように注意しましょう。内容について、異なる解釈ができてしまうような表現にはしてはいけません。伝えたい内容を正しく伝えるために、わかりやすい表現や箇条書きで書いたりダブルチェックを行ったりしましょう。
通達手段には注意する
通達を行う際は、適切な手段を用いて行うことが大切です。一般的な手段には文書や社内掲示、ポータルサイトなどがありますが、メールを使用して通達する場合、見落とされる可能性も否めません。
通達の前の内示について
会社から通達を行う際は、あらかじめ通達の対象者(本人)や関係者に通達の内容を伝える「内示」を行うのが一般的です。
内示は、組織が重要な変更などの正式発表をする前に、関係者に理解しておいてもらうことで混乱を防ぐ目的があります。
内示を行う理由
内示を行う理由には以下のような点が挙げられます。
・対象者や関係者の混乱を防ぐため ・通達内容の調整を行うため ・手続きや準備をスムーズに行うため ・通達内容に理解を得るため |
社内の重要事項や人事関連の変更について、突然通達として伝えられると、本人や関係者は動揺してしまう場合があります。
また、通達の内容について従業員が理解を示していない状態で伝えると、トラブルや不満の原因にもなりかねません。事前に内示として伝えておくことで、命令や指示内容を理解したり、場合によっては通達内容を調整したりすることも可能です。このような観点から、通達を行う前に内示を行うのが一般的なのです。
内示は断れるのか?
通達の前に内示を行う場合も、基本的には拒否することはできません。しかし、正当な理由や特別な事情などがある場合は、申し立てをすることができる場合もあります。
・雇用契約において「転勤等はなし」としていた場合 ・人事異動について職権乱用と判断できる場合 ・従業員への不利益が大きい場合(家庭事情や健康上の都合など) |
企業側は、従業員から転勤などの内示について拒否の申し立てがあった際は、雇用契約書などに記載された条件を再度確認しましょう。
特に、人事異動についてはトラブルや離職の原因にもなりかねません。人事異動を検討する際、業務上の必要性がない場合や目的が不当な場合などは注意しましょう。
内示の時期
内示を行う時期としては正式な辞令として発表される2週間~1か月程前には行うようにしましょう。また、引っ越しをともなう転勤や中長期的な出張の場合は、1~2か月程前を目安に行うのがよいでしょう。企業は、内示を受けたときから従業員が余裕をもって準備できるよう配慮しなければなりません。
内示の際に気を付けるべきこと
内示が出された際にはどのような点に気を付ければよいのでしょうか。内示に関する注意点についてご紹介します。
口外しない
従業員は内示を受けても、正式な辞令として発表されるまで周囲に内容を話してはいけません。内示のあとには通達として命令や指令として出すものであり、重要な内容でもあります。軽々しく同僚などに話すことのないよう、気を付けましょう。
命令内容の確認
内示を受けたら、まずは記載されている内容を確認します。たとえば異動や転勤などの場合は、異動先について調べるとともに、いつから異動するのか、業務内容、給与変動はあるのかなどを確認しておきましょう。
内示を拒否したいとき
内示の内容によっては、拒否したいと感じるケースもあるかもしれません。前提として、基本的には通達前の内示であっても拒否することはできないという点を理解する必要があります。しかし、雇用契約上の問題や人事異動の理由などで、内示内容が適切でないと感じた場合、まずは直属の上司に相談したうえで、適切な相談先につないでもらいましょう。
まとめ
通達とは、上の機関が下の機関で決定した事項を文書で告げて知らせることを意味する言葉です。
通達は、本来行政機関で用いられるものでしたが、一般企業でも重要事項の決定や社内人事の変更などで、会社の上層部から対象者に向けて発出されています。
会社からの通達には「社内通達」と「人事通達」の2種類がありますが、内容や目的によってさらに細かく分類されます。企業に所属している限り、誰もが通達対象になる可能性があるため、通達の種類や注意点を大まかに理解しておくとよいでしょう。
記事監修
スマカン株式会社 代表取締役社長 唐沢雄三郎
一貫して現場に寄り添う人事システムの開発に注力している起業家。戦略人事情報・人材マネジメントシステム、マイナンバー管理システムをはじめ、近年はタレントマネジメントにまで専門領域を広げ、着実に実績を積み上げている。主力製品は公共機関など多くの団体・企業に支持され、その信頼と実績をもとに日本の人材課題の解決に貢献している。
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