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勤怠管理とは|基礎知識や注意点、システムの選び方まで徹底紹介
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勤怠管理とは、従業員の勤怠について休憩時間や残業時間を正確に把握し、給与などに反映する重要な業務です。また、こうした管理を効率化できるのが勤怠管理システムです。
しかし、「どの勤怠システムがよいのかわからない」、「勤怠管理システムを使わなくても管理できればよいのでは?」と感じている経営者や担当者も少なくないでしょう。
そこで今回は、勤怠管理システムについて、注意点や選び方なども含めて基礎知識をわかりやすく解説していきます。
目次(タップして開閉)
勤怠管理とは?
勤怠管理とは、従業員の出退勤情報や時間外労働、休日取得などさまざまな項目を把握する業務です。
労働時間や時間外労働、有給取得などは給与にも影響し、欠勤日数や遅刻早退は評価にも関わる項目であるため、正確な記録や把握が求められます。
勤怠管理の対象となる従業員
勤怠管理の対象は、雇用されている従業員が該当します。労働基準法第41条では、従業員の労働状況を把握すべきことが記載されています。
勤怠管理を行うべき事業所
勤怠管理は、一部の業種を除いて基本的に従業員を抱える企業に課されいているものです。業種や職種に関係なく、従業員を雇用している場合は該当するでしょう。
勤怠管理で管理する項目
勤怠管理で把握する代表的な項目をご紹介します。
・出退勤時刻 ・労働時間 ・時間外労働時間 ・深夜労働時間 ・休日労働時間 ・深夜労働時間 ・出勤日数 ・欠勤日数 ・早退・遅刻の回数と時間 ・有給休暇の日数 ・有給休暇の残日数 ・振替休日の日数 |
従業員の勤怠管理では、上記のようにさまざまな項目を管理しなくてはならず、数字として正確に把握しなくてははならない重要な業務といえるでしょう。
勤怠管理で重要な2つの項目
勤怠管理で管理する項目のうち、特に重要なのが労働時間と休憩時間です。
休憩時間の把握
勤怠管理において休憩時間を把握することで、労働基準法で定められた休憩時間の確保を徹底することにつながります。
休憩時間については、一部例外の職種や業務があるものの、6時間以上の労働では45分以上、8時間以上の労働では1時間の休憩を与えることが定められています。
万が一休憩時間を取得できていない場合、調査や勧告を受ける可能性もあるので、休憩時間の付与や正確な把握が必要といえるでしょう。
労働時間の把握
勤怠管理における労働時間の把握とは、企業が就業規則で設定する所定労働時間を基準として、残業時間や時間外労働の把握を行います。
法定労働時間を超えた労働は時間外労働に該当し、深夜に仕事をする場合は深夜労働、休日に出勤して仕事をする場合は休日労働として扱われ、正しい時間や割増賃金を支払わなくてはなりません。
労働基準法ではこうした労働は禁止されているものの、割増賃金を支払うことで、一定時間内であれば認められています。
企業として、労働時間なのか休憩時間なのかを明確に判断しにくいケースもありますが、事業者の命令や指示での労働、業務に必要な研修の場合は労働時間に該当する可能性がある点を理解しておきましょう。
最悪の場合、罰金のケースも
勤怠管理がずさんな場合、労働基準法に違反している可能性もあり、最悪の場合は罰金が課されるケースもある点を認識しておきましょう。
勤怠管理はなぜ必要か
勤怠管理はさまざまなリスクを回避するためにも必要とされています。以下で具体的な理由について確認してみましょう。
従業員の法定労働時間を守り心身の健康を守るため
勤怠管理が必要とされる理由は、労働基準法で従業員の労働時間などを定めており、従業員の勤怠状況は使用者の責任にあり、適切な勤怠管理を行う義務があるためです。
労働基準法では、「週40時間、1日8時間」を労働者の法定労働時間として定めていますが、労働時間の管理ができておらず、働きすぎでの体調不良や最悪の場合、過労死につながるケースもあるため、法定労働時間の基準を超えないための正確な把握と管理が必要とされるのです。
企業の信頼性を損なわないため
仮に法律違反をしてしまった場合、指導や勧告が入りますが、一定基準を超えると企業情報が公開されてしまいます。
万が一このような事態になった場合、企業イメージが悪くなり、信頼性に傷がつくことも考えられるでしょう。
さまざまなトラブルを防ぐため
また、従業員へ支払う給与も労働時間をもとに計算されることになるため、残業代などの賃金未払いトラブルを防ぐためにも、正確な把握が必要です。
▼出典
『労働基準法』 (e-Gov法令検索)
『監督指導による賃金不払残業の是正結果』(令和2年度)(厚生労働省)
勤怠管理の方法
勤怠管理方法について、厚生労働省の『労働時間の適正な把握のために使用者が講ずべき措置に関するガイドライン』では、以下としています。
使用者が始業・終業時刻を確認し、記録する方法としては、原則として次のいずれかの方法によること。
(ア) 使用者が、自ら現認することにより確認し、適正に記録すること。
出典:労働時間の適正な把握のために使用者が講ずべき措置に関するガイドライン(厚生労働省)
(イ) タイムカード、ICカード、パソコンの使用時間の記録等の客観的な記録を基礎として確認し、適正に記録すること。
客観的な記録を必要とする管理方法については、勤怠管理システムやタイムカード、ICカードや指紋認証による打刻管理などが挙げられます。
また、例外的に自己申告による管理も認められていますが、労働安全衛生法では、労働時間の客観的な把握が義務化されています。仮に自己申告を行う場合、条件を満たしたうえで客観的な記録となるような管理が必要でしょう。
勤怠管理における注意点
勤怠管理を行ううえで注意すべき点をご紹介します。
雇用形態などにも対応して管理できているか
企業で、正社員だけでなくアルバイトやパート、契約社員や個人事業主などさまざまな雇用形態の従業員が在籍している場合は、それぞれの管理にも注意しなくてはなりません。
たとえばアルバイトやパートなどでシフト制を採用している場合は、勤務日数や勤務時間、時給がそれぞれ異なるため、それぞれの条件や状況を踏まえて正しく管理できるか定期的に確認しましょう。
働き方に対応した管理ができているか
勤怠管理では、働き方にも注意が必要です。フレックス制やコアタイム制、テレワークなど複数の労働形態を採用している場合、それぞれの労働時間を正しく管理して把握するのも苦労するでしょう。
社内ルールの周知や統一、アンケート調査の実施、最適な打刻方法の確認など、柔軟な対応ができるようにするとよいでしょう。
担当者の負担が集中していないか
勤怠管理は従業員の勤怠に関する膨大な情報を扱います。管理する項目も多いからこそ、担当者の負担も大きいはずです。
担当者の負担が一極集中していないか、勤怠管理を行ううえで身近なところから業務負担にも配慮してみましょう。
勤怠管理システムとは?
勤怠管理システムとは、従業員の出退勤時間や遅刻早退、休日やシフト状況などを記録し、一元的に管理して効率化できるものです。また、残業時間や休日出勤などが発生した場合も正確な把握にも役立ちます。
具体的には、従業員の出退勤の打刻や休暇申請と承認、従業員の全勤怠情報のデータ化、給与計算システムとの連携などがシステム上で行えるようになるため、大幅な業務効率化が期待できるでしょう。
働き方の変化や新型コロナウイルスの影響で拡大したテレワークをきっかけに、多様な勤務形態を認める場合にも、勤怠管理システムの活用がおすすめです。
勤怠管理システムの機能
勤怠管理システムに搭載されている一般的な機能をご紹介します。
打刻機能
勤怠管理システムには、複数種類の打刻機能が搭載されています。打刻を行う手段としても、スマートフォンやICカード、指紋認証や静脈認証、バーコードやBluetoothなど多岐にわたります。
使いやすく状況に柔軟な対応ができる方法で打刻ができるようになることで、正確な労働時間の把握や打刻の不正防止に効果的でしょう。
申請承認フロー
勤怠管理システムでは、休暇や出勤簿などの各種申請や確認、承認フローを効率化できます。書類回収や確認、署名捺印、返却といった一連のフローをシステム上でできるようになるためです。
こうしたさまざまな項目で必要な申請と承認がシステム上でできることで、従業員と管理者の効率化につながるでしょう。
シフトやスケジュール管理機能
勤怠管理システムには、シフトやスケジュールを管理する機能も搭載されています。
従業員の希望や必要な人数を踏まえたシフト作成を自動化できるため、担当者の頭を悩ますシフト作成においても効率化が期待できるでしょう。
アラート機能
勤怠管理システムには、時間外労働時間が基準を超過しそうな場合や消化すべき有給がたまっている場合、遅刻や打刻漏れなどでの打刻エラーが生じている場合などにアラートとして通知してくれる機能があります。
この機能を搭載することで、法定労働時間の超過や働きすぎを防止することに役立つでしょう。
勤怠情報のデータ集計機能
勤怠管理システムなら、従業員の勤怠情報を集計し、データ化して管理することができる集計機能も搭載されています。
リアルタイムでデータ集計できることで、労働時間や時間外労働、有給取得状況の確認も可能です。
データ出力機能
勤怠管理システムで集計したデータを、CSVなどの形式で出力することも可能です。労働時間における業務整理やシフト管理に役立つでしょう。
CSVデータとして出力し、連携している給与管理システムにインポートすることで給与計算の正確性にも効果的でしょう。
他システムとの連携機能
勤怠管理システムは、給与管理システムや人事管理システムなど外部システムとの連携が可能な場合があります。
給与管理システムとの連携で、勤怠情報から給与計算を自動化することで、人為的な計算ミスを防ぐことができるのも魅力の一つです。
多言語機能
勤怠管理システムの中には、多言語対応しているものもあります。外国人採用を積極的に行っている企業なども、システムが多言語対応していれば問題なく利用することができるでしょう。
勤怠管理システムのメリット
勤怠管理システムを利用することで得られるメリットについてご紹介します。
管理における業務効率化
勤怠管理におけるさまざまな項目の管理業務を効率化できます。従業員の出勤状況や労働時間、申請から承認までのフローもスムーズになるでしょう。
給与計算システムとの連携ができるものであれば、効率化だけでなく正確な給与計算にもつながります。
正確な労働時間の把握や管理
勤怠管理システムは、客観的かつ正確に労働時間の記録を残し、管理することができます。打刻方法もICカードやモバイル端末を使用できることで、スピーディに打刻ができるでしょう。
個人を特定できる打刻デバイスを使うことで、不正打刻の防止にも効果的です。
法律違反を防止
勤怠管理システムなら、法定労働時間の基準を超える長時間労働を防ぐことができます。アラート機能を活用することで、労働時間が基準を超えそうな場合に予防策として有効です。
法律違反だけでなく、長時間労働を防止することで、従業員の心身の健康を守ることにもつながるでしょう。
法改正への対応
勤怠管理システムでは、各種法改正に対応できるように更新できるようになっているものもあります。
法改正に対して自動更新されるものであれば、手動更新も不要であり、安心して勤怠管理を行うことができるでしょう。
勤怠管理システムのデメリット
勤怠管理システムで考えられるデメリットについてもご紹介します。
トラブルなどで打刻ができない場合もある
勤怠管理システムでは、打刻しやすくなりますが、タイムレコーダーの故障やシステムエラー、通信状況などのトラブルによって打刻できない事態が発生する可能性もゼロではありません。
トラブルが発生した場合は、対処法を事前に定めたうえで従業員にも周知しておくことで、冷静に対応することができるでしょう。
情報漏えいの可能性もある
勤怠管理システムは、インターネット上で情報を管理することになるため、ウイルス感染やサイバー攻撃にあう可能性もあります。
勤怠管理システムを導入する際に、セキュリティ対策が強固なものを選ぶことや自社でできるセキュリティ対策も検討するようにしましょう。
状況にあっていない打刻方法の場合もある
勤怠管理システムの打刻方法として、従業員の働き方や勤務状況に対応できない場合もあります。たとえばオフィスに専用機器を設置して直接打刻する方法の場合、テレワークや取引先への直行直帰では本人による打刻ができません。
勤怠管理システムの打刻方法にも注目したうえで、さまざまな状況に対応できる打刻方法をチェックしてみましょう。
勤怠管理システムの選び方
勤怠管理システムの選び方について、重要なポイントを解説していきます。
就業規則に合っているか
勤怠管理システムを選ぶ際は、企業の就業規則や勤務ルールに対応できるサービスを選ぶようにしましょう。
打刻方法が柔軟か
勤怠管理システムの選定では、打刻方法が自社の働き方にあっているかをチェックしましょう。
外出先からの打刻や新型コロナウイルスの影響でテレワークに変更する可能性などにも考慮したうえで選ぶことで、さまざまな状況にも対応できるため安心です。
使いやすい設計か
勤怠管理システムを使うのは、担当者だけでなく従業員が使用するシーンもあります。誰が使用しても問題なく使える操作性か、見やすいデザインかなどを基本ポイントとしてチェックしておきましょう。
サポート体制
勤怠管理システムを利用する中で、システムのエラーや打刻などでトラブルが発生する可能性もあります。また、初めて導入する場合は導入から運用に慣れるまで不安点も多いでしょう。
サポート体制が万全なサービスを選ぶことで、何かあった際にも安心して尋ねることができるでしょう。
勤怠管理はシステム活用で効率化がおすすめ
勤怠管理は従業員の労働時間や勤怠についてさまざまな項目を管理しなくてはならない重要な業務です。管理に時間やリソースがかかるからこそ、システムを活用することで大幅な効率化が期待できるでしょう。
システムを使って勤怠管理を効率化することで、担当者の負担を軽減し、勤怠管理に割いていたリソースを他業務に回すこともできるでしょう。
勤怠管理に課題を感じている経営者や効率化をはかりたいと考えている担当者は、勤怠管理システムの導入を検討してみてはいかがでしょうか。
まとめ
勤怠管理には多数の管理項目があり、膨大な情報を扱います。
特に労働時間や休憩時間については、労働者の心身の健康を守る意味や法律を遵守するうえでも、正確で客観的な記録や管理を行えるようにしましょう。
こうしたさまざまな管理を効率化するためにも、勤怠管理システムを活用することで大幅な管理業務の効率化につながります。
勤怠管理に課題を抱えていたり、多くの人的リソースや時間を割いている場合は、システムによる効率化を検討してみてはいかがでしょうか。
記事監修
スマカン株式会社 代表取締役社長 唐沢雄三郎
一貫して現場に寄り添う人事システムの開発に注力している起業家。戦略人事情報・人材マネジメントシステム、マイナンバー管理システムをはじめ、近年はタレントマネジメントにまで専門領域を広げ、着実に実績を積み上げている。主力製品は公共機関など多くの団体・企業に支持され、その信頼と実績をもとに日本の人材課題の解決に貢献している。
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