• 2022.07.22
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ISO30414(人的資本情報開示ガイドライン)の項目とは? 日本と世界の導入企業、認証メリットについて解説

ISO30414(人的資本情報開示ガイドライン)の項目とは? 日本と世界の導入企業、認証メリットについて解説

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ISO30414とは、人的資本における国際的な情報開示ガイドラインです。

アメリカでは人的資本情報開示の義務化が始まっており、2022年には日本でも初のISO30414認証を取得した企業があらわれました。今後は日本の企業でもISO30414にのっとった人事情報の開示が進むと考えられます。

当記事ではISO30414の概要やメリットについて、わかりやすく解説します。

目次(タップして開閉)

ISO30414(人的資本に関する情報開示ガイドライン)について

まず始めに、ISO30414(人的資本に関する情報開示ガイドライン)の概要について、わかりやすく解説します。

ISOとは

そもそもISOとは、スイスに本部を置く非政府機関「International Organization for Standardization(国際標準化機構)」の略称です。

ISOは、国際間のスムーズな取引をを目的に、製品やサービスにおいて、世界中で同レベル・同品質のものを提供できるようにするための「国際的な基準」を制定しています。ISOが制定した規格を「ISO規格」と呼びます。

ISO30414とは

ISO30414とは、2018年にISO(国際標準化機構)が発表した、人的資本情報開示のためのガイドラインです。企業の透明性を高めることを目的に、社内外問わず関係者に向けて「人的資本の情報をどのように報告すべきか」の指針を示しています。

国際規格であるISO30414にのっとって人的資本の情報開示が行われることで、世界中のどの企業であっても、同じように人的資本の状況が把握できます。

人的資本とは

そしてそもそも「人的資本」とは、企業に属する人材が持つ知識や技能などを「資本」とみなす考え方をいいます。従業員の教育に投資することでリターンを生み出し、結果的に企業の生産性向上につながるという考えです。

つまり、ISO30414の趣旨である「人的資本の情報開示」とは、「人材資本に対してどのような取り組みを行っているか」「成長が見込めるような投資は行われているか」などの情報を公表することを示しています。

ISO30414に認証義務はない

ISO30414は、ガイドラインとして企業が自発的に取り入れるものであり、認証義務はありません。

ただし、2022年4月に日本国内で初のISO30414審査・認証機関が設立されており、今後日本企業でも認証が進むと考えられるでしょう。

ISO30414はなぜ発表された?

ISO30414は、世界中の企業から注目が集まっています。その背景には以下のような理由があります。

ESG投資・SDGsへの関心が高まっている

近年、環境(Environment)、社会(Social)、ガバナンス(Governance)の3視点から投資先の企業を選定する「ESG投資」が注目されています。これまでは企業の財務情報に基づき投資先を選定することが主流でしたが、企業の持続的な成長が見込めるかを評価するためには、財務情報だけでは判断できないという考え方です。

また、「環境問題への取り組みや社会貢献」「従業員の育成や労働環境の改善」などに対し、企業がどのように取り組んでいるのかという「SDGs」の観点からも、ISO30414は注目されています。

投資家から人的資本情報の開示が求められている

ISO30414が策定された理由は、投資家が企業の人的資本について定性的、定量的に把握できるようにするためでもあります。

2008年のリーマンショック以降、前述のように財務諸表のみで企業の成長性を判断することはリスクだと考えられるようになり、投資家から人材情報の開示要求が強まったためです。

人材マネジメントは「人的資本」重視へ

ISO30414が注目される背景には、人材マネジメントの考え方が「人的資源(Human Resource)」から「人的資本(Human Capital)」へと変わってきていることも挙げられます。

人的資本は「従業員に投資をすることにより価値を高める」という考えであるため、教育費は「投資」と捉えます。

一方で、人的資源は「従業員が今持っている能力をいかに効果的に発揮するか」が重視されるため、教育費は「コスト」として捉えられます。

このように、人材マネジメントの方向性が「人材管理」から「人材価値の創造」へと変わってきたという流れが、ISO30414に注目が集まる理由だといえるでしょう。

ISO30414が求める開示項目とは

ISO30414では、以下の11領域とそれを細分化した項目により、自社の人的資本情報を公開するように定められています。

ISO30414が求める開示領域について
1.法令遵守と倫理 苦情や懲戒処分の件数・種類など
2.コスト 人件費、採用コスト、離職コスト、平均報酬額など
3.ダイバーシティ(多様性) 性別、年齢、障がいなどの多様性、経営陣の多様性など
4.リーダーシップ 従業員の管理職に対する信頼度、リーダーシップ関係施策など
5.組織風土 従業員満足度、従業員の定着率、エンゲージメントなど
6.健康・安全・福祉 労働災害の件数、労働災害による死亡者数など
7.生産性 収益、売上、従業員1人あたりの利益、人的資本ROIなど
8.採用・移動・離職 欠員補充にかかる平均日数、社内調達率、離職率など
9.スキルと能力 人材開発や研修にかかる従業員1人あたりの平均費用、研修参加率など
10.後継者の育成 内部継承率、後継者の準備率など
11.労働力 総従業員数、欠勤率、派遣労働者や独立事業者など臨時の労働力など

ISO30414の11領域と項目の内容について、具体的に解説していきます。

 1.法令遵守と倫理

企業のコンプライアンスと倫理に関する領域です。

「苦情や懲戒処分の件数・種類」「コンプライアンス・倫理に関する研修を受講完了した従業員の割合」「外部監査により指摘された事項の件数と種類」などがこの領域に含まれます。

2.コスト

人事関係にかかるコストに関する領域です。

「人件費」「採用コスト」「平均給与と報酬の割合」などが含まれ、「企業が従業員に対してどのくらい投資しているのか」についての指標です。

3.ダイバーシティ(多様性)

年齢、性別、障がいなど、人材のダイバーシティ(多様性)に関する領域です。

従業員の多様性だけではなく、経営陣の多様性についての項目も含まれています。

4.リーダーシップ

企業でリーダーシップを取る立場である、社長や管理職などへの信頼に関する領域です。

「従業員の管理職に対する信頼度」「上司1人に対し管理している部下の人数」「リーダーシップの開発」の3項目があります。

5.組織風土

従業員満足度、エンゲージメント、定着率などを測定するための領域です。

満足度やエンゲージメントなど組織風土に関する項目は、社内アンケートを行うことで数値化されることが多いです。

6.健康・安全・福祉

従業員の健康・安全・福祉に関連する領域です。

主に労働災害に関する指標となり、「労働災害の件数」「労働災害による死亡者数」「労働災害により失った時間」などの項目が含まれています。

7.生産性

従業員1人あたりが生み出す利益や売上高など、企業の生産性に関わる領域です。

投資した人的資本に対する利益率を指す「人的資本のROI」や、利払前・税引前利益を指す「EBIT」などの項目も含まれます。

8.採用・異動・離職

採用・異動・離職などに関する領域で、人事において各ポジションに適切な人材を配置する企業の能力を示します。

この領域は項目数が最も多く、全14項目定められています。項目には「欠員補充にかかる平均日数」「幹部候補の準備度」「内部異動数」「退職理由」などが含まれます。

9.スキルと能力

従業員の持つスキル・能力や、人材開発に関する領域です。

「研修にかかる総費用」「従業員1人あたりの研修時間」「研修受講率」などの項目が含まれ、この領域の数値が高い企業は人材育成に力を入れていると考えられます。

10.後継者の育成

社長やCEOなど、企業で重要なポジションとなる人材の後継者育成計画に関する領域で、「内部継承率」「後継者の準備度」などの項目が含まれます。

「どのくらい後継者となる候補者が育成されているか」を示す指標です。

11.労働力

「企業が確保できている労働力」についての指標となる領域です。

「総従業員数」「欠勤率」「派遣労働者や独立事業者など臨時の労働力」などの項目が含まれます。

ISO30414をもとに情報を開示するメリット

ISO30414をもとに情報を開示することで、企業にはどのようなメリットがあるのでしょうか。ISO30414にのっとった人的資本情報開示により期待できる効果について解説します。

効果的な戦略人事が可能になる

ISO30414は、企業の成長戦略を練るために活用できます。

人的資本の状況を定性的かつ定量的にデータ化することにより、人的資本がもたらす影響が把握できるようになるため、効果的な戦略の立案が可能になるでしょう。

また、企業だけではなく行政機関や自治体も、戦略人事においてISO30414を活用することが可能だといわれています。

投資家に対して定性的・定量的な情報の提供ができる

ISO30414が策定された背景で紹介したように、世界中の投資家から人的資本の情報に注目が集まっています。つまり、ISO30414にのっとった情報開示を行い、人的資本情報を定性的・定量的に提供することで、投資家からの資金を集めやすくなると考えることもできるでしょう。

世界中の企業がISO30414に沿って人的資本の情報開示を行うことにより、「他社との比較」や「その企業の過去から現在までの状況比較」が容易にできるようになります。

【ISO30414】欧米と日本の取り組みを紹介

欧米をはじめとした世界中でISO30414は浸透してきており、日本国内でも大企業を中心に人的資本に関する情報開示が始まっています。

ISO30414に対して、欧米と日本の取り組みをそれぞれ紹介します。

義務化が進む欧米

EU各国の大手企業では、ISO30414にのっとった人的資本の情報開示が進んでいます。

アメリカでは、2020年にSEC(証券取引委員会)がアメリカの上場企業に対して「人的資本の開示」を義務化したことで、ISO30414をベースにした情報開示が行われるようになりました。

注目が高まる日本

日本でISO30414への注目が集まったきっかけとして、2020年に経済産業省が発表した『人材版伊藤レポート』があります。人材版伊藤レポートは、人的資本の情報開示の重要性や、人的資本経営を実践するためのアイディアを提示するものです。

また、上場企業に向けた企業統治の指針を示した「コーポレートガバナンス・コード」が2021年6月に改定され、人的資本の開示を求めることが示されたことにより、日本企業においてもISO30414にのっとった人的資本の情報開示がますます進むと考えられます。

ISO30414の導入企業

2021年、ドイツ銀行はISO30414にのっとって作成したHRレポート「Human Resources Report 2020」を発行し、銀行として初のISO30414認証取得企業となりました。

日本では、2022年3月に「株式会社リンクアンドモチベーション」が日本・アジアで初めてISO30414の認証を取得しています。

ISO30414の認証を進めるには

現在、日本国内のISO30414認証機関は「株式会社HCプロデュース」1社のみとなっています。(2022年7月時点)

企業の担当者がISO30414の認証を進めるには、まず何から始めればいいでしょうか。

データ収集と整理

ISO30414の認証へと動き出す前に、まずはISO30414の11領域について他部署と連携しデータを集め、整理することが第一です。

そして、「従業員満足度」「エンゲージメント」「管理職に対する信頼度」などの定性的な情報をデータ化するためには、社内アンケートを行う必要がある項目もあります。

社内における人的資本情報のデータ収集・整理には、情報を集約して社内で共有できるクラウドシステムやタレントマネジメントシステムなどのHRテクノロジーが役立つでしょう。

まずは人的資本情報の整理から

当記事では、ISO30414について解説しました。近年ISO30414に注目が集まる理由には、投資家から人的資本情報の開示が求められていることや、人材マネジメントの考え方が「人的資源」から「人的資本」へと変わってきていることが挙げられます。

ISO30414にのっとって人的資本の情報開示を行うことで、投資家への情報提供だけではなく、社内での戦略人事にも役立てることができます。

人的資本情報の整理には、システムの活用も

ISO30414にのっとった情報開示を行うためには、社内の人的資本情報の整理から始めるとよいでしょう。情報を集約して分析するためには、タレントマネジメントシステム『スマカン』が便利です。

『スマカン』は、社員のスキルや採用などの人事情報をクラウド上に集約して一元管理でき、ISO30414の「スキルと能力」や「採用・異動・離職」の領域の情報開示において特に役立ちます。また、アンケート機能により従業員満足度やエンゲージメントの調査・集計。分析も簡単に行うことができます。

認証を取得することだけを目的とせず、戦略的な人事施策を実施するためにも、まずはISO30414にのっとった人的資本情報の整理から始めてみてはいかがでしょうか。

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