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コーポレートガバナンス・コードとは? 2021年の改訂ポイントや基本原則も解説

コーポレートガバナンス・コードとは? 2021年の改訂ポイントや基本原則も解説!

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コーポレートガバナンス・コードとは、金融庁と東京証券取引所がまとめた企業統治のための指針や行動規範です。とくに上場企業は、コーポレートガバナンス・コードを理解したうえで対応し、企業経営を行う必要があります。

しかし、コーポレートガバナンス・コードの原則や仕組みなどを詳しく知らないという方も多いのではないでしょうか。

そこで当記事では、コーポレートガバナンス・コードについて解説しながら基本原則や特徴、改訂についてもご紹介します。経営者や企業幹部は、理解を深めるためにぜひ参考にしてください。

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目次(タップして開閉)

コーポレートガバナンス・コードとは

コーポレートガバナンス・コードとは、企業が健全な経営を実現するために必要な主要原則を取りまとめた「上場企業統治指針」を指しています。

Corporate Governanceの頭文字から「CGコード」とも呼ばれ、2015年に金融庁と東京証券取引所で原案が作られました。

コーポレートガバナンス・コードでは、企業のステークホルダー(株主や顧客、従業員、地域社会)との関係性や取締役会のあるべき姿など、上場企業としての指針を示しています。

コーポレートガバナンスとは

コーポレートガバナンスとは、企業経営を健全に行うために不正や不祥事を防いで公正な意思決定を行うためのルールです。企業にかかわるステークホルダーの利益を高めるために、経営リスクやトラブルの防止など企業の長期的な価値向上を目指すための仕組みです。

コーポレートガバナンスに取り組み、社外取締役や社外監査役などを設置することで、さらに企業経営の透明化が進み、企業の信頼性も高まります。

スチュワードシップ・コードとの違い

コーポレートガバナンス・コードが企業を対象にした行動指針であるのに対して「スチュワードシップ・コード」は機関投資家を対象にした行動指針で、2010年にイギリスで制定されたものです。

スチュワードシップ・コードが制定された背景として、2008年に起こったリーマンショックによる金融危機の深刻化が挙げられます。

金融危機の深刻化は、金融機関による投資先(企業)への経営監視が不足していたことが原因と捉え、その反省や対策として「スチュワードシップ・コード」が制定されました。

スチュワードシップ・コードは、金融機関を中心とした投資家を対象とし、投資先の経営に責任を持ってかかわるための指針や行動原則を示しています。

のちに、日本においても経済が低迷したことなどから経済対策や戦略の一つとして、国際競争力を高めるために機関投資家の役割を規定した日本版スチュワードシップ・コードとする『「責任ある機関投資家」の諸原則』 が2014年に策定されました。

参照:『「責任ある機関投資家」の諸原則 』金融庁

コーポレートガバナンス・コードが制定された背景

コーポレートガバナンス・コードが制定された背景には、日本企業の成長率の低さから国際的な評価が低迷したことが挙げられます。また、バブル崩壊後における企業の不正や不祥事の増加によって、経営を監視するためにコーポレートガバナンスの強化が必要になったことも影響しています。

こうしたことから、2014年6月政府によって閣議決定された『「日本再興戦略」改訂2014ー未来への挑戦ー』では、コーポレートガバナンスの強化や国際競争力をつけるための変革が重要視されました。

企業における中長期的で持続的な成長に向けた積極的な取り組みを促進するため、2015年6月に金融庁と東京証券取引所による「コーポレートガバナンス・コード原案」が生まれたのです。

参照:『「日本再興戦略」改訂2014 -未来への挑戦-』首相官邸

コーポレートガバナンス・コードの基本原則5つ

コーポレートガバナンス・コードでは、根底となる5つの基本原則を示しています。基本原則はすべての市場区分(上場企業)で遵守されるべき原則でもあるため、理解しておく必要があるでしょう。

5つの基本原則の概要について、簡単にご紹介します。

・株主の権利・平等性の確保
・株主以外のステークホルダーとの適切な協働
・適切な情報開示と透明性の確保
・取締役会等の責務
・株主との対話

基本原則1|株主の権利・平等性の確保

基本原則の1つめは、株主の権利を確保したうえで、権利を行使できるような環境を整備することを求めたものです。企業が株主に配慮して権利を保障することで、よい関係性を築き、適切な協働を行うことで、企業の長期的な成長と価値向上につながります。

基本原則2|株主以外のステークホルダーとの適切な協働

基本原則の2つめは、株主以外のステークホルダーと適切な協働を行うことを求めるものです。株主以外のステークホルダーには、顧客や従業員、地域社会などが挙げられ、企業の成長や価値向上においても必要不可欠の存在です。

基本原則3|適切な情報開示と透明性の確保

基本原則の3つめは、上場企業として正しい情報を公開し、企業経営の透明性を示すことを求めています。公正な情報開示を行うことで、ステークホルダーの利益を守り、企業に対する信頼性を高めることができるでしょう。

基本原則4|取締役会等の責務

基本原則の4つめは、取締役会などの責務を示したものです。取締役会(監査役会設置会社や指名委員会等設置会社、監査等委員会設置会社)の設置によって、企業経営を客観的な立場から監視・監督します。

また、企業戦略の大きな方向性を示したり、迅速で毅然な意思決定を促進したりする場合もあります。

基本原則5|株主との対話

基本原則の5つめは、株主との対話の大切さを示したものです。株主の意見に耳を傾けたり、経営方針の説明などを行ったりするためにも、株主総会以外の場において積極的な対話を求めていると理解しましょう。

また、株主との対話を重ねることで、企業の長期的な成長や価値向上につながるとしています。

参照:『コーポレートガバナンス・コード』株式会社東京証券取引所(2021)

コーポレートガバナンス・コードの構成と適用

コーポレートガバナンス・コードは、3つの段階で構成され、市場区分によって適用される範囲が異なります。3つの構成には以下のような違いがあります。

基本原則企業統治の基本的な考え方や理念
原則基本原則を具体的に示したもの
補充原則原則を実現するための行動レベルを示したもの

コーポレートガバナンスの適用範囲は上場企業のみであり、非上場企業への適用は必須ではありません。ただし、ステークホルダーとの対話や企業の持続的な成長や価値向上の観点から、非上場企業にとっても意識したい内容です。

またコーポレートガバナンス・コードの適用範囲は市場区分は以下の通りです。

プライム市場スタンダード市場グロース市場
基本原則
※より高水準

※より高水準
原則
補充原則

参照:「コーポレートガバナンス・コードの改訂に伴う実務対応」株式会社東京証券取引所

コーポレートガバナンス・コードにおける罰則

コーポレートガバナンス・コードは、上場企業を対象に、該当する市場区分で遵守すべきものとして示されていますが、法的拘束力はありません。そのため、仮に遵守していない場合や違反した場合であっても罰則が科せられるわけではないのです。

ただし、コーポレートガバナンス・コードを遵守しない場合はガバナンス報告書で理由を説明しなければなりません。説明もしない場合は東京証券取引所における公表措置の対象となるため、企業価値を大きく損なう可能性も少なくないでしょう。

参照:『有価証券上場規程(東京証券取引所)』日本取引所グループ

2021年におけるコーポレートガバナンスの改訂理由

コーポレートガバナンス・コードとは? 2021年の改訂ポイントや基本原則も解説!

コーポレートガバナンス・コードは、2015年の制定から2024年1月時点までに2回の改訂が行われてきました。直近である2021年にコーポレートガバナンス・コードが改訂された理由には、2つあります。

・社会の変化に対応するため
・市場区分変更のため

社会の変化に対応するため

コーポレートガバナンス・コードが改訂されるのは、社会の変化に対応させるためです。

とくに2019年以降のコロナウイルス感染症の流行によって、テレワークをはじめとした働き方への対応やシステムやデジタルツールの活用などが必要とされるなど、企業を取り巻く常識や環境は大きく変化しました。

このような流れを受けて、どのような変化や状況下においても企業が存続し、価値を向上させていくために、2021年6月にコーポレートガバナンス・コードが見直されました。

市場区分変更のため

コーポレートガバナンス・コードは、3段階で構成されていますが、市場区分によって適用すべき内容が異なります。2022年4月から市場区分が変更され「スタンダード市場」「プライム市場」「グロース市場」の新区分に再編されました。

このうちプライム市場上場企業では、より高い水準を目指して取り組むことが大切と判断され、改訂では新たに4つの補充原則が加わりました。

2021年の改訂コーポレート・ガバナンスコードのポイント

2021年に改訂されたコーポレートガバナンス・コードについて、日本取引所グループ(JPX)の『改訂コーポレートガバナンス・コードの公表』で示されている改訂ポイントを中心に、ご紹介します。

・取締役会の機能発揮
・中核における多様性(ダイバーシティ)の確保
・サステナビリティを巡る課題への取り組み
・その他の課題

取締役会の機能発揮

改訂されたコーポレートガバナンス・コードでは、取締役会の構成について、

・プライム市場では独立社外取締役を3分の1以上選任する
・指名委員会や報酬委員会を設置するのが望ましい
・経営戦略を踏まえ、取締役会が備えるべきスキルと各取締役の保有スキルを開示する
・他社で経営経験のある経営人材を独立社外取締役として選任する

など、取締役会の機能が迅速かつ有効に機能するような状態であることが求められ、社外取締役の存在が形式的なものにならないよう、細かい設定も設けられました。

中核における多様性(ダイバーシティ)の確保

企業の未来を担い、中心として動いていく人材は、多様性(ダイバーシティ)を確保する必要があります。

・管理職や中核人財における多様性の確保(女性や外国人、中途採用者の登用)についての考え方や測定可能な目標の明示
・多様性確保のための人材育成や環境整備に関する方針と実施状況を開示

組織全体で多様性を確保するために、まずは経営陣の意識改革が求められているといえそうです。

サステナビリティを巡る課題への取り組み

環境や持続可能な社会への取り組みについて、企業としても以下の取り組みが求められています。

・プライム市場上場企業では、TCFDまたは同等の国際的枠組みをもとに、気候変動に情報開示において質と量を充実させる
・サステナビリティへの基本方針策定と自社の取り組み開示、人的資本や知的財産への投資の重要性を踏まえ、経営資源の配分などが企業の持続的な成長につながるよう監督する

国際的には「SDGs(持続可能な開発目標)」が採択されるなど、サステナビリティの情報開示に関する議論が重ねられており、日本でも企業に対してサステナビリティを意識した行動や経営が求められています。

その他の課題

具体的に示した改訂ポイントのほか、主な課題は以下の通りです。

・プライム市場に上場する「子会社」では、独立社外取締役を過半数選任するもしくは利益相反を管理するための委員会を設置する
・プライム市場上場企業において議決権電子行使プラットフォームの利用と英文開示を促進する

グループガバナンスのあり方について、支配株主を持つ上場子会社は、ほかの株主をより高度に保護することが求められています。

また、プライム市場における株主総会について、意思決定の流れをより適切に行使するための環境整備と、情報提供の充実として英文開示が求められました。

参照:『改訂コーポレートガバナンス・コードの公表』日本取引所グループ(2021)
参照:『コーポレートガバナンス・コード』株式会社東京証券取引所(2021)

まとめ

コーポレートガバナンス・コードとは、上場企業を対象にした企業統治のための指針や行動規範です。企業の長期的な成長や価値向上、ステークホルダーとの関係性構築においても重要な指針といえます。

コーポレートガバナンス・コードの適用は市場区分によって異なるため、該当する区分が遵守すべき原則を正しく理解しましょう。

コーポレートガバナンス・コードは定期的に改訂されています。具体的な発表があった際にすぐに確認できるよう、動向をこまめにチェックしておきましょう!

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記事監修

監修者

スマカン株式会社 代表取締役社長 唐沢雄三郎

一貫して現場に寄り添う人事システムの開発に注力している起業家。戦略人事情報・人材マネジメントシステム、マイナンバー管理システムをはじめ、近年はタレントマネジメントにまで専門領域を広げ、着実に実績を積み上げている。主力製品は公共機関など多くの団体・企業に支持され、その信頼と実績をもとに日本の人材課題の解決に貢献している。

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