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他己評価の意味とは? 自己評価との違いやギャップが生まれる理由、分析のやり方まで解説

他己評価の意味とは? 自己評価との違いやギャップが生まれる理由、分析のやり方まで解説

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人事評価において従業員個人の評価はとても重要です。そこで、主観的になりがちな自己評価ではなく、他己評価を導入し客観的な評価を得ようと考える人事担当者もいるはずです。

しかし、実際に他己評価を導入していても、自己評価とのギャップが生じてしまい、納得度の高い人事評価ができていないと悩む企業も少なくありません。

当記事では、自己評価と他己評価の違いや、双方の間にギャップが生じる理由、そしてそのギャップをいかにして埋めるかの方法について詳細に解説します。最適な評価方法を見つけ、人事評価の精度を一段と高めたいと考える方はぜひ参考にしてください。

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目次(タップして開閉)

    他己評価とは|意味と読み方

    「他己(たこ)評価」の意味とは、特定の誰か1人を選出し、評価対象者の業績や能力を他者が評価することを指します。「他者評価」と呼ばれることもあります。

    他己評価を行う第三者に特に決まりはありませんが、同僚や上司が特定の評価基準に基づいて評価対象者の業務遂行能力や態度などを評価することが多いでしょう。

    他己評価は、評価対象者が自己評価した結果と突き合わせることで、自己認識の偏りを確認したり、自己啓発の方向性を探るのにも役立ちます。

    「自分が自己評価でどう感じているのか」と「自分が他人からどう見えているのか」の、ギャップを理解するよい機会といえるでしょう。

    他者評価との違い

    他己評価と似た言葉に「他者評価」があります。双方とも第三者による評価による自己認識の補完を目的としており、ほぼ同じ意味合いで使われます。

    どちらも、相手や第三者からの視点での評価プロセスに使われる言葉です。

    他己評価の方法・やり方

    他己評価は、評価対象者以外へのヒアリングやアンケートを利用して実施します。

    ヒアリングを行う場合、回答に対して追加で質問ができるため、より詳細な部分を掘り下げられるでしょう。しかし、事前に質問を用意しておかないと評価の質が落ちる可能性があるので注意も必要です。

    一方、アンケートを活用する場合は対面では答えにくい内容でも回答が得られるメリットがあります。しかし、追加の質問が行いにくいというデメリットも存在します。

    他己評価の項目・質問例

    他己評価では、評価対象者の同僚や上司など、対象者以外の誰かに評価してもらうプロセスです。評価の質を落とさないためにも、評価項目や質問は前もって準備しておくとよいでしょう。他己評価で使用できる項目・質問の例をご紹介します。

    コミュニケーション能力・評価対象者はコミュニケーションを円滑に行っていますか?
    ・同僚との意見の相違がある際、どのように対処していますか?
    リーダーシップ・評価対象者はリーダーシップを発揮していますか?
    ・評価対象者の指導でプロジェクトが進展することがありますか?
    問題解決能力・評価対象者は困難に直面した際、どのように対処していますか?
    ・新しいアイデアや解決策を提案することはありますか?
    業務の質・評価対象者の業務の質は一貫していますか?
    ・期限内に業務を完了する能力はどうですか?
    チームワーク・評価対象者はチームの一員として協力的ですか?
    ・ほかのメンバーとの関係性はどうですか?
    倫理や勤務態度・評価対象者は職場のルールや倫理規範を遵守していますか?
    ・評価対象者の職務態度についてどう感じますか?

    他己評価のメリット

    他己評価は、評価者自身はもちろん人事にとってもメリットをもたらします。特に以下の3つのメリットは、他己評価が持つ魅力といえるでしょう。

    ・客観的な視点で評価ができる
    ・自己認識の向上が見込める
    ・信頼関係の構築につながる

    客観的な視点で評価ができる

    他己評価では同僚や上司、部下など、第三者の視点で対象者を評価します。

    本人とは違った視点で業務遂行レベルやスキルを把握できるため、客観性や正確性の高い評価を行えるのです。そうすれば、より公平で納得感のある人事評価を実施できるでしょう。

    自己認識の向上が見込める

    評価対象者が自分自身の評価と他人からの評価を比較することで、自己認識の偏りを減らし、自己の強みや弱みをより正確に理解できます。

    これにより、人事施策や教育プログラムの設計において、企業が従業員それぞれに最適なサポートを提供しやすくなるでしょう。

    信頼関係の構築につながる

    正直かつ公正に他己評価が実施されると、評価対象者と評価者の信頼関係の構築につながる可能性があります。それにより、組織のチームワークが強化されるかもしれません。

    また他己評価を実施すると、本人は他者の視点を知るきっかけとなります。評価を踏まえて自己を振り返り、同僚とのコミュニケーションが改善できると、組織の活性化も期待できるでしょう。

    他己評価のデメリット

    他己評価にはデメリットとなる側面もあります。デメリットを回避するためには、他己評価のプロセスを慎重に設計し、適切に運用することが重要です。

    ・評価者の評価スキルに依存しやすい
    ・時間と労力がかかる
    ・人間関係が悪化する恐れもある

    評価者の評価スキルに依存しやすい

    評価者が個人的な感情や偏見に基づいて評価を行うと、評価の公正性や客観性が失われてしまいます。

    また、評価者が評価対象者の仕事内容や成果に十分に精通していない場合、適切な評価が困難になることもあるでしょう。この場合、表面的な評価にとどまってしまい、他己評価のメリットを十分に発揮できません。

    時間と労力がかかる

    他己評価のプロセスは、評価者の選定やアンケートの作成、結果の分析など、時間と労力がかかります。負担が大きくなると、ほかの業務に対する影響が生じることも考えられるでしょう。

    人間関係が悪化する恐れもある

    評価対象者に対する評価内容が漏えいすると、プライバシーの侵害につながります。これは、組織内の信頼関係を損なう可能性があるため、注意が必要です。

    また、評価内容がネガティブであった場合や評価者の主観だけで行われた不適切な評価も、人間関係の悪化につながる恐れがあります。

    他己評価と自己評価や多面評価との違い・関係性

    人事評価において、個人の業績や能力の測定は非常に重要です。評価には「他己評価」のほか「自己評価」「多面評価」などの方法があります。

    そのため、どの方法を用いるのがよいのか悩む担当者や企業も多いでしょう。「他己評価」と「自己評価」「多面評価」の違いを知り、互いにどう関連し合うのがよいのかを解説します。

    自己評価

    他者の目線を通して対象者を評価する他己評価とは違い「自己評価」は、評価対象者本人が自身の業績や能力、態度などを評価する方法です。

    人事評価に用いる場合、評価者は自分の強みや弱み、成果、改善点を振り返り、それに対する評価を文書化する方法が一般的でしょう。

    メリットとしては、自己認識の向上や自己啓発への意欲が高まることが挙げられます。自分自身で自分を評価すると、今後の成長方向が見えやすくなるためです。

    デメリットとしては、個人の主観に基づくため、過大評価や過小評価の恐れがあるほか、自分では気づかない弱点を見逃してしまうリスクが挙げられるでしょう。

    多面評価

    「多面評価」は「360度評価」ともいい、他己評価と同じく第三者に評価してもらう方法です。他己評価では特定の1人を評価者に選出するのに対し、多面評価は上司や部下、同僚など複数の評価者を設定します。

    人事評価に用いる際は、アンケートなどで多角的に評価を収集し、評価対象者を総合的に評価することが多いでしょう。メリットは、多様な視点からの評価が得られるため、より客観的かつバランスの取れた評価ができることです。

    一方、評価者が複数いるため、管理が複雑になることや、個人の主観や偏見が混入するリスクがあることがデメリットとして挙げられるでしょう。

    他己評価と多面評価は似ていますが、評価者が1人なのか複数なのかという点で異なるとされています。他己評価と比べると、多面評価はより広範な視点からの評価が可能であり、評価者それぞれの評価が補完し合う関係にあります。

    3つの評価の関係性

    人事評価は個人の評価に対する正確性を重視するため、他己評価・多面評価の方が優れた方法であると感じるかもしれません。

    しかし、自己評価と他己評価・多面評価には、それぞれのメリット・デメリットがあります。そこでおすすめなのが、自己評価と他己評価・多面評価の併用です。

    それぞれを併用すると、多くの場合、主観・客観のギャップが生じます。一方、自己評価と他己評価のバランスを取り、ギャップを埋められると、より客観的に自己理解を深めるきっかけとなるでしょう。

    正確性や客観性のある公平な人事評価は、評価者の納得感も得られやすくなります。

    他己評価と自己評価にギャップが生まれやすい理由と埋める方法

    一般的に、他己評価と自己評価にはギャップが生じるといわれています。このギャップを埋めることで、従業員が客観的に自分を理解できるだけでなく、評価制度に対する納得度を高られるはずです。

    なぜギャップが生まれるのか?

    他己評価と自己評価にギャップが生まれる理由は、評価対象者と評価者の間における認識の違いが挙げられます。自己分析では主観が入り込みやすく、自分の短所に目を背けてしまうことが少なくありません。

    一方で、他社による分析では他人からの客観的な視点で評価されるため、自己分析で見落としがちな長所や短所、性格を第三者の目線から正確に指摘される可能性が高いです。

    そのため、自己分析において自身の能力を過大評価していたり、過小評価していたりする場合は評価者との間にギャップが生まれてしまいます。

    埋める方法はあるのか?

    他己評価と自己評価のギャップを埋めるためには、親しい人に忖度なく自身の評価を聞くことが効果的でしょう。フィードバックを通じて、自己認識の偏りを修正し、自身の行動や態度を改善できるヒントをつかめます。

    人事担当者としては、定期的なフィードバックの場を設けるほか、複数の人からの評価を集める多面評価の導入などもギャップを埋めるのに有効です。

    他己評価をもとに他己分析する方法

    他己評価は実施して終わりにするのではなく、そのあとに他己分析まで実施することが大切です。

    「評価」が特定の基準に基づいて価値や能力を判断するプロセスであるのに対し「分析」は情報やデータを詳細に調査して理解するプロセスです。

    評価は判断に重点を置き、分析は理解と解釈に焦点を当てます。

    他己評価で第三者から自己の業務や能力に対する評価を受け、受けた評価をもとに他己分析で自己の強み・弱みなどを深く考察して分析することで、より有効な評価の機会となるでしょう。

    他己評価をもとに他己分析をするステップをご紹介します。

    1.他己評価の実施
    2.評価の整理
    3.分析の実施
    4.改善策の検討

    1.他己評価の実施

    他己評価を行う際には、具体的な質問を事前に用意しておくことが重要です。質問内容は、自己の能力や性格、職務遂行能力などの評価について明確で具体的でなければなりません。

    また、なるべく身近な人に依頼することで、忌憚(きたん)のない評価がもらえるでしょう。自分の働きをよく知る人からの率直な意見は、自分では気づかない強みや弱みを理解するために効果的です。

    2.評価の整理

    次に、得られた評価結果を集計・整理する工程です。他己評価と自己評価を並べて比較し、そのギャップを明確にします。

    未認識だった強みのエピソードを深掘りすることで、新たな視点や自己の潜在能力に気づけるでしょう。整理することで、自己認識を深めるだけでなく、将来的な成長の方向性も見極められるのです。

    3.分析の実施

    ギャップの原因を細かく分析し、自己の強み・弱みを明確に把握するステップです。客観的な意見を取り入れると、主観的になりがちな自己分析の偏りを補正できます。

    さらに、この分析を通じて、自己の行動パターンや思考のクセなどを理解し、より効果的な自己成長へとつなげましょう。

    4.改善策の検討

    具体的なアクションプランを設定する段階です。弱みを改善するための戦略や、強みをさらに活かす方策を慎重に考えます。

    このステップでは、目標を明確にし、実現可能な計画を立てることが重要です。計画的な改善が、個人の成長だけでなく、チームや組織の力にもよい影響を与えるでしょう。

    最終的に、これらのステップを通じて他己分析を行うと、自己評価・他己評価のギャップを縮められるはずです。

    ギャップを埋められると、従業員の人事評価に対する納得度も高まるでしょう。他己評価と分析は、自己の成長と組織の成熟につながり、個人のキャリアの発展も期待できます。

    まとめ

    他己評価は、同僚や上司など第三者の視点で自身の能力や性格などを評価してもらうプロセスです。客観的な評価が望めるため、正確性のある人事評価を実施するのに有用です。

    一方、自己評価と他己評価の間にはギャップが生まれやすいため、より納得度の高い人事評価にするためには、自己評価と他己評価を併用する方法や、複数の第三者から評価を受ける多面評価を実施するなどの工夫が必要です。

    ギャップを解消するためには、他己評価における具体的な質問の準備、評価の整理と分析、そして具体的な改善策の検討など分析も行うようにしましょう。

    他己評価と分析を通じて自身の強み・弱みを正確に把握し、改善策を練ることで、個人だけでなく組織全体の成長にも寄与することでしょう。

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