• 2022.05.06
  • タレントマネジメント

心理的安全性とは?「ぬるま湯組織」との違い、重要性や高める方法について解説

心理的安全性とは?「ぬるま湯組織」との違い、重要性や高める方法について解説

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Googleのアメリカ本社が研究結果を発表して以来、「心理的安全性」という言葉がマネジメントや人事領域でも注目を集めるようになりました。
当記事では心理的安全性の意味や重要性、「ぬるま湯組織」との違いを踏まえたうえで高める方法について解説いたします。

心理的安全性とは

心理的安全性とは、もともと心理学用語である「サイコロジカルセーフティ(psychological safety)」を和訳したものです。

ビジネスにおいては、職場で誰に何を言ったとしても、人間関係が壊れることなく、罰を受ける心配もない状況を指す言葉として用いられます。つまり、相手の視線や思惑などを気にせず、自分の意見が率直に言える状態をあらわします。

心理的安全性の定義

心理的安全性を最初に提唱したのは、ハーバード大学で教壇に立つエイミー・C・エドモンドソン(Amy Claire Edmondson)教授です。エドモンドソン教授は自身の論文の中で「対人関係でリスクのある行動をとっても、チームが安全な場所であるという思いが、メンバーの中で共有された状態」と定義し、話題を呼びました。

心理的安全性と「ぬるま湯組織」の違い

「率直に何でも言い合える」「非難されない」と聞くと、ただの馴れ合いの関係「ぬるま湯組織ではないか」と感じる方もいるかもしれません。

ぬるま湯組織とは、ぬるま湯があらわす「刺激や緊張感のない」といった意味が転じて生まれたものだと考えられます。つまり、1人ひとりの意識が低く成長意欲にも乏しい環境を指し、心理的安全性の高い職場とは大きく異なります

ただ居心地がいいだけでは、心理的安全性が担保されているとはいえません。活発に意見交換ができている組織は、メンバーの意欲が高まります。また、何でも言い合えるからこそ、意見が対立する場合もあります。

心理的安全性が注目される背景

心理的安全性が注目され始めたのは、Google社が実施したある調査プロジェクトがきっかけです。「プロジェクトアリストテレス(Project Aristotle)」と名を打ったこのプロジェクトは、高い業績を維持できるチームの条件を突き止める目的で2012年から始まりました。

プロジェクトアリストテレスが導き出したこと

効果的なチームの条件について検証が進められる中、メンバーの個々の特性とメンバー同士の関係性が、チームにどのような影響を与えるかが比較分析されました。

営業やエンジニアなどの職種を含む180チームを対象に行われたこの調査では、意外な事実が判明します。

当初は、個々の能力が高い人材で構成されたチームが、生産性も高いと考えられていました。ところが、互いに協力し合ったうえで各々が最大限の力を発揮し、「チーム」として学びがあるかという点が重要であることがわかったのです。

効果的なチームの条件とは

調査結果をもとに、効果的なチームをつくる重要因子として導き出されたのは、以下の5つです。

1.心理的安全性「ミスを理由に非難されることはない」と感じられること
2.相互信頼「チームメンバーは引き受けた仕事は最後までやってくれる」と信じられること
3.構造と明確さ「チームには、有効な意思決定プロセスがある」と感じられること
4.仕事の意味「チームのために行っている仕事は、本人にとっても意義がある」と感じられること
5.インパクト「チームの成果が、組織の目標達成にどのように貢献するのかを理解している」と感じられること

上記の5つの因子はチームの効果性において、重要な順番とされています。この結果をもとに、心理的安全性は広く知れ渡り、チームや組織の成長に欠かせないものとして注目を集めるようになりました。

心理的安全性の効果・メリット

それでは、心理的安全性が高い職場には具体的にどのようなメリットが得られるのでしょうか。

チームやメンバーへのメリット

心理的安全性が保たれていると、個人が本来持っている能力を発揮しやすくなりチームとして好循環が生まれやすくなります。チームやそのメンバーにもたらすメリットを3点ご紹介します。

1.チーム内のコミュニケーションが活発になる

たとえ上司と部下の関係でも自分の意見を率直に表現しても非難される心配がないため、チームメンバー同士のコミュニケーション量が増え、相談や意見交換が活発となります。すると新しいアイデアも出しやすくなります。

互いに協力し尊重し合う雰囲気も生まれ、ハラスメントなども起こりにくくなるでしょう。

2.問題を早期に発見し、対処できる

心理的安全性が高い職場はミスの報告も早いです。ミスや失敗を報告したからといって、非難される不安が少ないからです。不測の事態にも迅速に対処できるため、ものごとが大きくなってからミスが発覚し、慌てて対処することも減るはずです。

3.個人のパフォーマンスが向上する

互いに尊重し合う環境は安心して仕事に集中でき、個人が本来持っているポテンシャルも発揮しやすくなります。また、互いに切磋琢磨し、自発的にスキルアップに努めるようになるため、仕事に対するモチベーションも高まるでしょう。

組織へのメリット

個人やチーム内だけでなく、企業や組織にとっても心理的安全性は重要視されています。組織全体にもたらすメリットも3点ご紹介します。

1.業務の生産性が向上する

上述のように個人のパフォーマンスが最大化すると、当然ながら個々の業務効率が上がり、組織の生産性も向上します。

2.イノベーションが生まれやすくなる

メンバー1人ひとりの多様な意見が尊重される組織では、多彩な人材が集まります。多様な価値観の中で意見を交わし合うと、多くの発展的なアイデアの創出にもつながります。新しいことや困難なことにも挑戦しやすい環境になるため、イノベーションが促進されやすくなるのです。

3.離職率が低下し、定着率が高まる

心理的安全性が高い組織は、個人にとって居心地がよいと感じられるため、従業員エンゲージメントも向上する可能性があります。従業員エンゲージメントは離職率と深く関わっています。結果的に離職率を低下させ、優秀な人材の定着を後押しするでしょう。

心理的安全性が低い職場とは

次に、逆に心理的安全性が低い組織では、チーム、個人、組織にどのようなデメリットがあるのか、解説いたします。

心理的安全性が低い職場で生まれる4つの不安

心理的安全性の第一人者である提唱者であるエドモンドソン教授は、以下の4つの不安がメンバー1人ひとりに生まれることを懸念しています。

1.無知への不安

ほかのチームメンバーに知らないことを質問したいとき、心理的安全性が低い職場では「こんな単純なことも知らないの?」と言われてしまわないか不安になる可能性があります。気軽に質問や相談ができない環境では、圧倒的にコミュニケーション量は減少していくでしょう。

2.無能への不安

チームメンバーに「こんな簡単な業務もできないの?」と思われる不安を抱えている状況です。そのような環境では、失敗を恐れ、新たな挑戦もしにくくなってしまいます。結果的にイノベーションが生まれにくい悪循環に陥ってしまいます。

無能への不安を抱えたままでは、本人がミスや失敗を隠したり報告を恐れてしまい組織にとっても望ましくありません。

3.邪魔への不安

「チームの邪魔になるかもしれない」と感じる状態です。「この場でこの話題を出すべきなのか」と、悪い意味で空気を読みすぎることが不安の要因になっています。

本音で話す場が設けられず、助け合いやチームワークが生まれにくいリスクもあります。

4.否定への不安

反対意見を述べることが「否定」だとネガティブに捉えられる不安です。疑問や問題を感じても発言をためらってしまって、建設的な議論が生まれません。このような心理的安全性が低い職場では、チームとしての学びや成長に乏しくなってしまう可能性が高まります。

心理的安全が低い職場で生まれる不安

このように、多くの不安が生じてしまう心理的安全性が低い職場は、業務にも支障が出てくるので大きなデメリットをもたらします。

心理的安全性が高い職場 チェックリスト

ここまで心理的安全性について、企業にとってのメリットとデメリットを挙げてきましたが、自社の心理的安全性について気になる方も多いでしょう。測定方法として、エドモンソン教授は以下の7つの質問を掲げています。

職場の心理的安全性を測る7つの質問
Q1.チームの中でミスをすると、たいてい非難される
Q2.チームのメンバーは、課題や難しい問題を指摘し合える
Q3.チームのメンバーは、自分と異なるということを理由に他者を拒絶することがある
Q4.チームに対してリスクのある行動をしても安全である
Q5.チームのほかのメンバーに助けを求めることは難しい
Q6.チームメンバーは誰も、自分の仕事を意図的におとしめるような行動をしない
Q7.チームメンバーと仕事をするとき、
   自分のスキルと才能が尊重され、活かされていると感じる

引用:「効果的なチームとは何か」を知る(Google re:Work ガイド)

設問1、3、5はネガティブな内容、設問2、4、6、7はポジティブな内容となっています。チーム内においてポジティブな回答をするメンバーが多いほど、心理的安全性が高い組織だと考えられるでしょう。

心理的安全性の高い職場をつくるためのポイント

それでは心理的安全性の高い職場は、どのようにつくることができるでしょうか。

心理的安全性をつくる4つの因子

Google社のプロジェクトをきっかけに広く知れわたるようになった心理的安全性は、それ以降、欧米の組織マネジメントや人事分野を中心に研究が進められてきました。

日本でも調査研究をもとにした書籍が発行され始め、その中で心理的安全性をつくる重要な因子として、以下の4点が挙げられています。

1.話しやすさ意見交換やミスを含めた報告がしやすい環境で、チームメンバーが心理的にリラックスできていること。
2.助け合い課題に直面したりやトラブルの発生時にも、メンバー同士で互いにサポートしたり、協力し合える体制が整っていること。チームワークを築くうえで大きなポイント。
3.挑戦挑戦的な意思決定や行動できる組織風土が整っていること。イノベーション創出の機会にも恵まれる。
4.新規歓迎お互いの違いや、個性、新しいことを認め合えること。個性や才能に応じて、適材適所の配置にもつながる。

参考:石井遼介著『心理的安全性のつくりかた』(2020)日本能率マネジメントセンターより作成

心理的安全性を高める方法

ここまで心理的安全性を高めることは、チームや個人および組織のパフォーマンス向上に役立つことを解説してきました。

心理的安全性を高め、生産性の高いチームづくりに役立つ、マネジメント手法にはどのようなものがあるでしょうか。実践しやすい施策をご紹介します。

OKR

OKRは有名な目標管理方法の1つです。最初に目標(Objectives)を定め、目標達成の指標となる成果指標(Key Result)を設定するという手法です。

成果指標を数値化して達成を目指すため、誰から見ても達成度がわかりやすくチーム内のコミュニケーションも活発化します。発言が活発になると協力体制が整うので、心理的安全性を高めることにもつながるでしょう。

1on1ミーティング

1on1ミーティングは、チームメンバー同士で行われる定期的な1対1の面談です。業務のことからプライベートのことまで、ざっくばらんに会話をすることで、お互いに信頼関係を築き、メンバーの成長を支援する目的があります。

チームのメンバー間で信頼関係を構築するために、互いに関心を持ち、話を聞いたり聞いてもらったりする機会は重要です。1on1を通してまずは1対1で率直に意見を言い合える関係をつくっておくと、チーム全体の心理的安全性も保たれていくでしょう。

ピアボーナス

従業員同士で報酬を贈り合うのがピアボーナスです。職場の心理的安全性を高めるには、まず従業員が「認められた」と感じられることが大切です。感謝の気持ちをメンバー同士で示し合えるピアボーナスの導入も、心理的安全性を高めるには有効でしょう。

以上3つの施策以外にも、日頃から環境を整えておくといいでしょう。たとえば、以下のような点に意識して取り組むのがおすすめです。

・弱点も含めて本音を話せるような環境整備
・チームメンバーの多様な価値観を認め合う
・新メンバーやミスをしたメンバーのサポート、フォロー体制の充実

心理的安全性を高めて組織のパフォーマンスを最大化

日本では昔から空気を読む力が重視され対立や衝突が避けられがちでした。そのため表面的には人間関係が良好であっても、意欲が低く生産性の向上が見込めない、ぬるま湯組織が生まれやすい傾向にあります。

心理的安全性が高まると、チームや個人のパフォーマンスが上がり、組織の生産性が向上します。自社で心理的安全性を取り入れる場合は、ぬるま湯組織とならないよう注意しましょう。

『スマカン』は、従業員のスキルや経験を可視化し、人材配置や人材開発に役立つ人事システムです。従業員情報や個人目標、1on1の実施記録なども一元管理でき、よりよい組織づくりをサポートします。

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