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フラッグシップとは? 意味や実例、戦略的意義を紹介

フラッグシップとは? 意味や実例、戦略的意義を紹介

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フラッグシップとは、企業やブランドを象徴する代表的な製品やサービスです。ブランドイメージを決定づける役割を果たし、戦略的に打ち出すことで、他社と差別化をはかれる可能性があります。しかし、企業によって意味合いは幅広く、用語の意味をよく理解できていない人もいるかもしれません。

当記事では、フラッグシップの意味と各社の実例、企業やブランドを成功に導くために必要とされる戦略的な意義を解説します。

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目次(タップして開閉)

    フラッグシップの意味とは?

    「フラッグシップ」とは、企業がもっとも力を入れて展開している製品やサービスを意味します。ほかの製品と比較して最高の性能や機能を持ち「最上位」で「最重要」かつ「代表的」であると位置づけられていることが多いでしょう。

    フラッグシップの語源

    「フラッグシップ」は英語で「flagship」と表記し、高官の指揮のもと旗を掲げて航行する船(旗艦)を指します。船団全体を指揮し、ほかの船舶の基準としての役割を果たします。

    高官が指揮する主力艦という意味が、ビジネスや商業的な文脈に転じて使われるようになりました。企業が提供する主力の製品やサービスの中で、ブランドの象徴的な存在をたとえて「flagship(フラッグシップ)」と呼ぶようになったのです。

    そのような最上級品を扱う主要な店舗を、フラッグシップストアまたはフラッグシップショップ(旗艦店)といいます。

    フラッグシップとハイエンドの違い

    フラッグシップとよく混同される言葉に「ハイエンド」があります。2つとも主要な製品を指す用語のため、同じ意味で使われることもありますが、厳密には存在数や戦略的な立ち位置に違いがあります。

    ハイエンドフラッグシップ
    定義企業が生み出した製品の中でもっとも高機能・高性能なモデル。またはシリーズ内のトップに位置するモデル企業の代表的な存在。ブランド価値を高める。唯一の最上位モデル
    存在数複数の製品シリーズがある場合、その数だけハイエンドモデルが存在することもある企業を代表するモデルであるため、1つしか存在しない
    ブランド戦略品質や性能を強調し、他社ブランドと差別化をはかるブランドのアイデンティティを象徴する。製造者が持つ最先端技術を結集する

    ハイドエンド製品は、製品シリーズの中で、単に品質や性能が優れている高価な製品を指すことが多いです。複数のシリーズ展開があれば、複数のハイドエンドが認められる場合もあります。

    一方のフラッグシップ製品は、製造者が持つ最先端の技術力やデザイン哲学を結集し、企業の顔ともいえる存在です。必ずしも高価な製品ばかりではありません。

    フラッグシップの実例を紹介

    フラッグシップの意味は理解できたとしても、実際にどのような品が該当するのかイメージできない人もいるでしょう。

    そこで世界的に有名な企業におけるフラッグシップの実例をご紹介します。多くの人が目にしたことがあったり、利用したことがあったりするものを中心に取り上げるため、参考にしてください。

    ジャンル・業界フラッグシップの実例
    スマートフォンiPhone(Apple)
    ファッション・アパレルUNIQLO TOKYO(ユニクロ)
    自動車クラウン(トヨタ自動車)
    家電グラファイト グリル&トースター(アラジン)
    化粧品アドバンスト ナイトリペア(エスティ・ローダー)
    スポーツAir Max(NIKE)
    外食チェーン新丸の内センタービル店(大戸屋ごはん処)
    PC・タブレットSurfaceシリーズ(Microsoft)

    スマートフォンのフラッグシップモデル

    スマートフォンのフラッグシップモデルは、通常、そのメーカーの最高性能と最新技術を搭載した製品を指します。

    Apple社のiPhoneはスマートフォンのフラッグシップモデルとして世界的に有名です。高性能なハードウェアや直感的なユーザーインターフェース、洗練されたデザインを結集したスマートフォンとして世界的に愛されているといっても過言ではないでしょう。

    参考:『iPhone』Apple

    ファッション業界のフラッグシップストア

    ファッション業界のフラッグシップストアは、メーカーが提供するブランドの中でも中心的な役割を果たす店舗です。 通常の小売業態にとどまらず、アパレル製品以外の商品を扱うことで、ユーザーに多彩な機会を提供しています。 

    たとえばユニクロは、銀座にグローバルフラッグシップストア『UNIQLO TOKYO』を2020年の春オープンしました。

    未来志向の斬新なコンセプトで打ち出した同店舗は、1階にユニクロのコンセプト「LifeWear」を表現するエリアを設けるほか、入口で生花を販売しています。2階は女性向け、3階は男性向けの豊富な商品ラインナップを用意し、各フロアで多彩なアイテムを展開しています。

    参考:『日本最大のグローバル旗艦店「UNIQLO TOKYO」 ついにオープン』株式会社ユニクロ

    自動車業界のフラッグシップモデル

    自動車業界のフラッグシップモデルは、メーカーの最高級かつ最高性能な車両を意味します。

    たとえば、自動車メーカーのトヨタは『クラウン』をフラッグシップと位置づけて展開しています。クラウンは、1955年に登場した初代から16代目に至る現在まで、実用性を備えた高級車として開発が続けられています。

    2022年に発売された新型クラウンは「セダン」のほか、セダンとSUVを融合した「クロスオーバー」など4種類の車型を展開し、約40の国と地域で販売されて話題になりました。

    参考:『CROWN STYLES』トヨタ自動車株式会社
    参考:『16代目の大変革。新型クラウンが受け継いだ「クラウンらしさ」とは』トヨタイムズ

    家電製品のフラッグシップ

    家電製品のフラッグシップとは、最高の性能や革新的な機能を備えた製品を指します。

    日本エー・アイ・シー株式会社が展開する家電ブランドのアラジンは、フラッグシップモデルとして販売するトースターが好評です。

    トーストや煮込み料理など幅広いメニューを1台で調理できる多様な機能だけでなく、ターゲットに訴求したWebサイトのデザインでブランドイメージを定着させています。

    参考:『グラファイト グリル&トースター(フラッグシップモデル)』日本エー・アイ・シー株式会社

    コスメティックのフラッグシップ商品

    コスメティックのフラッグシップ商品は、そのブランドの最高品質の化粧品製品を指します。高級スキンケア化粧品や香水で知られる、1946年に設立された「エスティ・ローダー」は、世界的な美容ブランドの一つです。

    なかでも「アドバンスト ナイトリペア」をフラッグシップと位置づけて展開しており、高い保湿とアンチエイジングに効果があるといわれ、化粧品の開発力を結集した一品といえるでしょう。

    参考:『エスティ ローダー』ELCジャパン株式会社

    スポーツブランドのフラッグシップ製品

    スポーツブランドのフラッグシップ製品は、ブランドにおいて最高性能を誇るアイテムを指す場合が多いでしょう。

    有名な例は、NIKE(ナイキ)の「Air Max」シリーズです。スポーツ選手や愛好家向けに設計されたシューズで、快適さとパフォーマンスを追求したモデルとして長く愛されています。

    参考:『Nike』ナイキジャパン

    飲食業界のフラッグシップ店舗

    飲食業界のフラッグシップ店舗は、レストランまたはカフェチェーンの代表的な場所であり、主に高品質の料理やサービスを提供しています。

    豊富な和定食がそろう外食フランチャイズチェーン「大戸屋ごはん処」は、東京・丸の内に、フラッグシップ店舗を2017年にオープンしました。

    店舗開発力とマーケティング、広報PR活動の強化を目的とする同店舗は、オープンキッチンや野菜を陳列するショーケースなど、店内調理のこだわりが伝わるレイアウトを採用しています。

    IT業界のフラッグシップ製品

    IT業界のフラッグシップ製品は、最高性能と最新の技術を備えた製品が多いです。

    たとえば、Microsoft(マイクロソフト)のSurfaceシリーズは、タブレットとしてもラップトップとしても使えるハイブリッド製品で、同社の新たなフラッグシップ製品として展開されています。

    参考:『Surface』Microsoft

    フラッグシップの戦略的な意義

    実例でご紹介したように、フラッグシップは、企業のイメージや価値観を体現するものとして、さまざまな役割を果たします。フラッグシップが企業にとって、どのような役割を果たすのか、意義を確認してみましょう。

    企業ブランドの形成

    フラッグシップは、企業のブランドの形成において大きな役割を果たします。

    たとえば、ユニクロのフラッグシップ製品『ヒートテック』は、真冬のウォームウェアとして知られています。ユニクロの成功の一因は、消費者がリーズナブルな価格で高品質なアパレルを手に入れられるというイメージを形成したことでしょう。

    ヒートテックは、企業の核となるブランドメッセージを伝え、ほかの製品ラインにも影響を及ぼすとともに、ブランドの認知度の向上に貢献しました。

    またユニクロは、海外市場において、フラッグシップストア戦略を採用しています。一般的な店舗とは異なる商品群や立地、プロモーションを実施し、ブランドイメージの醸成に成功したといえるでしょう。

    プレミアム価格戦略の実施

    高い価値を提供しているフラッグシップ製品は、プレミアム価格を設定できるという特徴があります。希少性を打ち出した価格帯は、高い収益をもたらし、ブランド価値をさらに向上させられるため、企業にとってメリットです。

    たとえば高級時計メーカーのロレックスは、フラッグシップモデルを高価格で販売することで、高い利益を実現しています。

    プレミアム価格戦略は、新しいものをすぐに試したいと考える人に対して特に効果を発揮するでしょう。高級品や高性能をうたう製品を展開する企業は、この戦略を用いることが多いようです。

    ただし、プレミアム価格は製造コストを上回る利益を得られる一方で、製品の価値が消費者に伝わらなければ意味がありません。また、市場競争が激しいアイテムもこの価格戦略を成功させるのは困難です。

    クリティカル・マス戦略への対抗

    フラッグシップ戦略は、中小企業がクリティカル・マス戦略を採用する大企業と、対等に競争する手段の一つといえます。

    クリティカル・マス戦略とは、経営資源が豊富な大企業が、大規模な範囲で大量の低価格製品を提供して短期間で知名度を高める手法です。

    資金に制約のある企業でも、フラッグシップ戦略をとると、高品質や革新性に焦点を当て、競合他社とは異なるアプローチができます。これにより、市場で独自性を維持しながらリーダーシップが取れる可能性があるでしょう。

    また、フラッグシップストアを戦略的に特定の地域に展開すると、知名度を高めるきっかけをつくれるかもしれません。クリティカル・マス戦略によって展開される多くの店舗と差別化をはかれるでしょう。

    たとえば、世界的に有名な都市の中心部や観光地にフラッグシップストアを配置することで、局地的な優位性を築くやり方です。一度成功したモデルを用いて、複数のショップを増設すると、さらにシェアを拡大できるでしょう。

    まとめ

    フラッグシップとは、企業が特別な力を注いで展開する重要な商品やサービス、店舗、またはモデルです。企業のイメージや価値観を象徴し、ブランドの顔となる存在で、高い品質や革新性を提供しているという意味合いがあります。

    フラッグシップ製品やショップは、ブランドのイメージを高めるために機能します。Appleの『iPhone』やユニクロの『ヒートテック』は、その実例といえるでしょう。

    戦略的には、フラッグシップはブランド形成やプレミアム価格設定、クリティカル・マス戦略への対抗に大きな役割を果たし、企業の競争力を向上させる戦略の一部としても機能します。中小企業が大企業と対等に競争するためにも、フラッグシップの存在は非常に重要です。

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    記事監修

    監修者

    スマカン株式会社 代表取締役社長 唐沢雄三郎

    一貫して現場に寄り添う人事システムの開発に注力している起業家。戦略人事情報・人材マネジメントシステム、マイナンバー管理システムをはじめ、近年はタレントマネジメントにまで専門領域を広げ、着実に実績を積み上げている。主力製品は公共機関など多くの団体・企業に支持され、その信頼と実績をもとに日本の人材課題の解決に貢献している。

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