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ホラクラシー組織のメリット・デメリット|ティール組織との違い、憲法、失敗しない方法

ホラクラシー組織とは? 上下関係がない? メリット・デメリット、ティール組織との違い、ホクラシー憲法を簡単に解

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組織内に上下関係がなく、フラットな新しい組織形態がホラクラシー組織です。従業員の自発的な姿勢が重視されます。昨今高い注目を集め、導入を検討するケースも見受けられますが、概要について理解できていないこともあるのではないでしょうか。

そこで当記事は、ホラクラシー組織の概要やメリット・デメリットについて解説するとともに、混同されがちな「ティール組織」との違い、ホラクラシー憲法についてご紹介します。ホラクラシー組織について知識を得たい方は、ぜひご参考になさってください。

目次(タップして開閉)

    そもそも「ホラクラシー」とは

    そもそも、ホラクラシー組織の「ホラクラシー」とは、何を意味するのでしょうか。語源や対義語についてご紹介します。

    ホラクラシーの意味

    ホラクラシー(holacracy)とは、組織内に階級や役職が存在せず、フラットな組織体制を指します。

    従来の組織ではリーダーが指示を行い、部下が業務をこなす流れが一般的でした。一方ホラクラシー組織では、特定の人が指示を行うことはなく、全員に意思決定権があります。

    ホラクラシーの語源

    ホラクラシーは、「ホラーキー」と「-cracy」を掛け合わせた造語です。

    「ホラーキー」はものの構造を表現するホロン同士の結びつきを指します。ホロンは単体であり、同時に全体の一部を表現する概念です。たとえば、細胞、臓器、家族、プロジェクトチームを指します。また「-cracy」は支配を意味します。

    ホラクラシーの対義語

    フラットな組織体制である「ホラクラシー」の対義語は、階層型の「ヒエラルキー」です。

    トップに経営者が存在し、その下に管理職が続き、さらにその下には一般社員が続くといった、日本企業における一般的な形態だといえます。

    ホラクラシー組織と従来の組織(ヒエラルキー)の違い

    ホラクラシー組織と従来の組織(ヒエラルキー)には、2つの大きな違いがあります。

    ホラクラシー組織ヒエラルキー組織
    組織形態非階層型非階層型
    意思決定メンバーやチーム単位で決定リーダーが決定

    ホラクラシー組織には階層がなく、意思決定はメンバーやチーム単位など、自分たちで決める点が特徴です。一方ヒエラルキー組織には、階層が存在し、意思決定はリーダーが実施します。

    ホラクラシー組織の特徴

    ホラクラシー組織には、4つの特徴があります。

    個人を管理しない

    ホラクラシー組織では、個人を管理しません。管理しない代わりに、個人の主体的な行動に任せます。

    役職が存在しない

    ホラクラシー組織には、部長や課長といった役職が存在しません。役職はないものの、各自に与えられた役割は存在します。役割に沿って、自ら考え行動することが特徴です。

    ルールがほとんどない

    ホラクラシー組織にはルールがほとんどなく、自由度が高いといえます。とはいえ、自由な中で、個人の責任を果たすことが求められます。

    情報がオープン

    ホラクラシー組織では、意思決定権を全員が持つため、決定に関する情報がオープンです。たとえば、経営戦略、財務情報などです。情報をオープンにすることで、偏った権力が生まれにくく、信頼関係も構築できます。

    なぜホラクラシー組織が注目されているのか?

    従来のヒエラルキー組織は、以前のように社会の変化が緩やかな時代と相性がよいものでした。組織のトップが一度、特定のプランを構築してしまえば、長期にわたり使用し続けるからです。

    しかし昨今では、さまざまな技術が次々と登場し、多様な考えが出てくる「変化の激しい時代」に突入しています。変化の激しい時代において、トップの考えだけを採用し続けていると変化に対応しきれません。世代によって価値観も異なるため、上司の決定についていけない部下もいるでしょう。

    ホラクラシー組織は、変化の激しい時代に対応できる点と、従来のヒエラルキー組織が持つ「いびつな体制」を緩和できることから、注目を集めています。

    ホラクラシー組織とティール組織との違いと共通点

    ホラクラシー組織とティール組織は混同されがちなものの、同じ概念ではありません。ティール組織の中にホラクラシー組織が存在します。

    ティール組織とは、階層やマネジメント体制が存在せず、全従業員に意思決定権がある組織です。

    ホラクラシー組織とティール組織の共通点は、上下関係をなくし、従業員の自発性を重視する点です。両者の違いは、明確なビジネスモデルの有無にあります。ホラクラシー組織には、明確なビジネスモデルが存在し、それに沿って運用を実施する点が特徴です。

    一方、ティール組織には明確なビジネスモデルが存在しません。

    ホラクラシー組織のメリット

    ホラクラシー組織には、どういったメリットがあるのでしょうか。主なメリットは、以下の通りです。

    従業員に主体性が身につく

    ホラクラシー組織は、上司の指示によって行動するのではなく、各自やチーム内で意思決定をします。そのため「指示待ち」だと業務が遂行できないことから、自然と主体的になります。

    また周囲から賛同が得られれば、すぐに意見が反映されるため、やりがいも感じやすくなるでしょう。やりがいを感じると、さらなるアイデアを取り入れたくなることから、より一層の主体性が身につくと考えられます。

    変化に強い組織がつくられる

    ホラクラシー組織では「意思決定権」や「責任」が分散するため、ヒエラルキー組織では実現できなかった「スピーディーな意思決定」ができます。また前述の通り、従業員に主体性が身につくことから、さまざまな意見が出てくるでしょう。

    「スピーディーな意思決定」と「さまざまな意見」によって、組織改善のサイクルも速くなり、環境の変化にもすぐに対応できる変化に強い組織がつくられると考えられます。

    個人の役割が明確になり、生産性が上がる

    ホラクラシー組織では役職が存在しない分、個人の役割が明確です。個人の役割が明確になると、やるべきことがわかるため、生産性が上がります。

    また従業員を逐一管理するような「マネジメント業務」も不要になり、マネジメント層は従来の業務に力を注ぐことができます。

    組織内に上下関係がないとストレスが軽減される従業員もいるでしょう。ストレスが減ると生産性の向上にも寄与するでしょう。

    ホラクラシー組織のデメリット

    ホラクラシー組織にはメリットがあるものの、デメリットも存在します。主なデメリットは、以下の通りです。

    個人の主体性が問われる

    全員に裁量権があるホラクラシー組織では、個人の主体性が欠かせません。全員が組織の目標を理解し、目標を実現するために「主体的に行動」できなければ、組織自体がうまく機能しないからです。

    そのためホラクラシー組織では、日頃から従業員に対する「意識づけ」や「モチベーション向上」を念頭に置き、主体性が養われるような環境を整えておく必要があります。

    概念を浸透させるのに時間がかかる

    ホラクラシー組織は注目を集めているものの、認知度はそこまで高くありません。

    また従来型のヒエラルキー組織に慣れている人も多く、概念自体も独特なため、浸透には時間がかかるでしょう。

    さらにマネジメント層は「権限が奪われてしまう」と思う方もいるかもしれません。その一方、部下においては「自分が意思決定なんてできるのだろうか」と不安に思う可能性もあるでしょう。

    概念を浸透させることはもちろん、従業員一人ひとりへのフォローも欠かせません。

    リスク管理が難しい

    ホラクラシー組織では、全従業員に意思決定権があることから、全員に等しく情報を与えます。情報には、機密情報も含まれます。

    さらにメンバーの管理を実施しないため、各自の行動把握が難しい点も特徴です。

    機密情報の公開と、各自の行動を把握できないことから、リスク管理が難しくなります。そのため、以下のような対策が必要です。

    ・公開する情報は最低限にする
    ・管理のルールを設ける

    またリスク管理を適切に行うには、従業員同士や組織と従業員との「信頼関係の構築」が必須だといえます。

    「ホラクラシー組織は自由」は誤解!?

    ここまでで上下関係がないホラクラシー組織は自由度が高く、なんでもやっていいと感じる方もいるかもしれません。

    ホラクラシー組織は自由度が高いという点は事実ですが、しばしば誤解されがちです。ホラクラシー組織にまつわる誤解について解説いたします。

    誤解1.何でも自由にできる

    ホラクラシー組織は自由度が高いものの、何でも自由にできるわけではありません。「ホラクラシー憲法」というルールも存在し、その内容に沿って運営されます。つまり最低限のルールは存在し、遵守する必要があります。

    またホラクラシー組織の自由は、チームに対する配慮のもとに成り立っていますが。そのため、好き勝手に個人プレーをしていいわけではありません。

    誤解2.階層がない

    ホラクラシー組織には、部長や課長といった役職の階層はありません。しかし、チームといったグループが企業に属するスタイルのため、厳密には階層自体は存在しています。

    また、目的の実現に向けてさまざまな要素を入れ込むことから、目的自体も階層だといえます。さらに役職はなくても、業務の進行役である「ファシリテーター」は存在するため、管理者も存在します。

    誤解3.情報漏えいしやすい

    ホラクラシー組織では、全員に意思決定権があることから、各自に必要な情報を提供しなければいけません。

    そのため、従来のヒエラルキー組織よりも情報はオープンです。情報がオープンなことから、情報が漏えいしやすいと思う人もいるでしょう。

    しかし、情報管理には一定のルールを設けるため、ヒエラルキー組織と同様に「厳密な情報管理」が必要です。

    ホラクラシー組織が向いている企業とは

    ホラクラシー組織は独特な性質を持つため、向き不向きがあります。ホラクラシー組織が向いている企業の特徴は、以下の通りです。

    ・従業員のセルフマネジメント力が高い
    ・企業のビジョンや目的が浸透している
    ・セキュリティがしっかりしている

    ホラクラシー組織では従業員一人ひとりに主体性が求められるため、目的達成に向けて自分を管理できる「セルフマネジメント力」が欠かせません。つまり、セルフマネジメント力が低い従業員ばかりであれば、ホラクラシー組織の導入が難しいでしょう。

    またホラクラシー組織では、企業のビジョンや目的に向けて、各自が行動を起こします。そのため、企業のビジョンや目的が浸透している必要もあります。

    さらに、意思決定に必要な情報をオープンにすることから、情報が漏えい配慮しなければいけません。そのため、個人情報を守るための「セキュリティ」がしっかりと管理されている企業は導入に向いています。

    ホラクラシー組織の運営方法

    ホラクラシー組織を運営するには、3つの要素が必要です。以下に詳細を解説します。

    ホラクラシー憲法の作成

    ホラクラシー組織の運営には、「ホラクラシー憲法」の存在が欠かせません。なぜならホラクラシー組織は、ルールを記載した「ホラクラシー憲法」に基づき、組織運営を実施するからです。

    ホラクラシー憲法には、以下のような内容が含まれます。

    ・誰にどういった権限があるか?
    ・各自がやるべきこと
    ・他部署のリソースを使用する場合に、許可を得る方法
    ・憲法に反した場合の対応
    ・憲法を変える場合の条件

    憲法が存在することで、自由かつ健全な組織を運営できます。

    ホラクラシー組織で設ける役割

    ホラクラシー組織では役職は設けないものの、各自に役割を与えることが特徴です。特に以下の役割を設定する点は欠かせません。

    リードリンク
    組織の目的に責任を持ったうえで、目的の達成を目指すべく「戦略立案」や「指標の提示」を実施します。
    ファシリテーター
    組織の活動プロセスが、ホラクラシー憲法に合致するかをチェックし、調整を行う役割です。会議などの進行役も担います。
    セクレタリー
    組織の活動記録や、ホラクラシー憲法の改訂といった「さまざまな記録」を取ります。
    具体的には、議事録や会議のスケジュール調整などです。

    上記の役割を設けたうえで、必要であれば役割を増やします。

    ホラクラシー組織における人事制度

    従来型組織とは異なるホラクラシー組織では、人事制度はどのように運用されるべきでしょうか。給与と評価について解説します。

    給与は?

    ホラクラシー組織では、そもそも給与がオープンです。オープンにすることで、透明性や公平性が保たれます。

    また給与額は固定ではなく、チームでの話し合いによって決まるケースが一般的です。ただし、給与に対する「ガイドライン」は用意する必要があります。

    評価は?

    ホラクラシー組織には、上司やマネージャーといった概念がありません。そのため、昇進や昇格を前提にした「従来の評価制度」では、運用が難しいです。

    上記を踏まえたうえで、以下の要素を含む評価方法を実践するパターンが多く見受けられます。

    ・全員で決められる
    ・透明度が高い

    その結果、「360度評価」や客観性の高い「成果主義」などを導入する傾向にあります。

    ホラクラシー組織、失敗しないための注意点

    ホラクラシー組織の運営にあたって、どのような点に気をつければいいのでしょうか。注意点を解説いたします。

    最小単位から始める

    いきなり組織全体に適用するのではなく、数人のチームといった「最小単位」から始めることが大切です。急にヒエラルキー組織からホラクラシー組織に移行すると、混乱を招く可能性があります。

    また検証的な意味合いも含め、小さく始めると、失敗しにくくなります。

    従業員の「セルフマネジメント力」を見極める

    ホラクラシー組織は、各自に「セルフマネジメント力」があることが前提です。そのため、自社の従業員のセルフマネジメント力を測定する必要があるでしょう。

    セルフマネジメント力が足りなければ、ホラクラシー組織に適した風土に変えるべく、環境整備から始めるとよいでしょう。

    情報のオープン化に努める

    ヒエラルキー組織では、役割によって触れられる情報量が異なります。一方ホラクラシー組織では、フラットな体制であるため、必要情報のオープン化が必要です。また、責任の所在や功績のオープン化も、忘れてはいけません。

    ホラクラシーを部分的に取り入れて、マネジメントの見直しを

    ホラクラシー組織は従来のヒエラルキー組織と異なる部分も多く、従業員の理解を得るためにも、導入するなら部分的に取り入れることから始めてみてはいかがでしょうか。小さく始めつつ、自社とのフィット感を確かめたうえで拡大するのがいいかもしれません。

    またマネジメントをしないホラクラシー組織には、各自の主体性が欠かせません。そのため、従業員が主体的に能力を発揮できる仕組みづくりも重要です。

    そこで適材適所への人材配置など、自主性を発揮できるよう環境整備を後押しするタレントマネジメントシステムを導入することもおすすめいたします。働き方が多様化する中で、マネジメントの見直しにも役立つでしょう。

    「社員に自律的に働いてもらい、ホラクラシー組織を部分的に取り入れたい」「マネジメントの見直しを検討している」場合には、タレントマネジメントシステム『スマカン』を検討してみてはいかがでしょうか。自社に適したご活用方法をご提案いたします。

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    記事監修

    監修者

    スマカン株式会社 代表取締役社長 唐沢雄三郎

    2008年より、一貫して現場に寄り添う人事システムの開発に注力している起業家。戦略人事情報・人材マネジメントシステム、マイナンバー管理システムをはじめ、近年はタレントマネジメントにまで専門領域を広げ、着実に実績を積み上げている。主力製品は公共機関など多くの団体・企業に支持され、その信頼と実績をもとに日本の人材課題の解決に貢献している。

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