• 2023.02.10
  • タレントマネジメント
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HRBPとは? 必要スキルとCHROとの違い、戦略人事を推進する役割

HRBPとは? 必要スキルとCHROとの違い、戦略人事を推進する役割

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HRBPとは、人事面から事業の成長をサポートするアドバイザーのこと。戦略人事を進めるうえで重要な役割を果たすため、注目が高まっています。

当記事では、HRBPに求められるスキルや、類似のポジションであるCHRO(CHO)や従来の人事との違いについて解説します。必要な資格やHRBPを取り入れた企業の事例、導入メリット、注意点などもご紹介していきます。企業の担当者や経営者はぜひ参考にしてみてください。

目次(タップして開閉)

HRBP(HRビジネスパートナー)とは

HRBPとは、Human Resouses Business Partnerの略。企業経営に責任を持つ立場から、人事についてサポート・アドバイスをし、課題を解決する役割を担います。実務は多岐にわたり、社員募集のあり方や研修制度のブラッシュアップなど、さまざまな面から働きかけていきます。

定義

HRBPの定義は、提唱者のデイビッド・ウルリッチ氏によると「経営面のパートナーでありながら、企業戦略をもとに人事面の問題を解決する役割」とされています。

HRBPは、ただ人事業務を行うだけでなく、企業経営に貢献する役割があることが示唆されています。

HRBPが必要とされるビジネス背景

近年、HRBPの需要が高まっているのはなぜでしょうか。そこには2つのビジネス背景が関係しています。

社会変化への対応力が求められているため

HRBPが必要とされている背景として、DX化の波や事業の多角化など社会の変化に対応しなければならないことが挙げられます。迅速な対応ができるかどうかは、各社員の働きによって変わります。組織力を高めるために、人事の重要性が増しているのです。

人材獲得に力を入れなければならないため

HRBPが必要とされるもう1つの背景は、少子高齢化が進み、人材獲得そのものが難しくなっているからです。優秀な社員がいなければ、企業の将来は危ういものとなってしまうかもしれません。人事面のプロフェッショナルを自社に置くことが、企業力を伸ばすことにつながるのです。

HRBPとCHROや従来の人事との違い

HRBPとよく似たポジションに、CHR(CHO)があります。CHR(CHO)や従来の人事労務担当と、HRBPは何が違うのでしょうか。

CHRO/CHOとの違い

CHRO/CHO(Chief Human Resource Officer)とは、最高人事責任者のこと。経営者と近い立場にありながら人事面をサポートする役割は、HRBPと変わりません。

しかし、CHRO/CHOは「経営者の一員」として人事面の指揮を行うのに対して、HRBPは「人事面の専門家」として人事業務を総括するという違いがあります。

従来の人事労務担当との違い

HRBPと従来の人事労務担当者との違いは、「経営的な視点を持っているかどうか」です。HRBPは、人事責任者として組織の仕組みを整えるだけでなく、より業績を上げるための経営戦略を考えなければなりません。

HRBPの役割

ここからは、HRBPが担う具体的な役割について3つご紹介します。

人事戦略の考案

HRBPは、経営目標を達成できるような人事戦略を立案します。より効果的な採用活動、人事異動、社員教育などを実施するために、最適な方法を考え、提案する仕事です。

人事制度システムの改善

現在の人事制度システム(人事評価制度、給与体系、研修内容など)を改善し、生産性を高めるのもHRBPの役割です。より効率よく、社員に負担がかからない方法を目指します。

経営者と社員の橋渡し

経営者と社員をつなぐ存在になることも、HRBPの大事な役割です。社員側がなかなか声に出しにくい意見を代わりに経営者へ伝え、課題を解決していきます。

HRBPに求められるスキル

HRBPになるには、どのようなスキルが求められるのでしょうか。主なものを3つご紹介します。

コミュニケーションスキル

HRBPには、高いコミュニケーションスキルが必要です。現場で働く社員の本音を引き出したり、経営者とスムーズに意見を交わしたりするには、相手の気持ちを考えながら会話を進める能力が求められます。

経営のセンス

経営者の補佐役として経営戦略を考えるHRBPには、経営センスが必要不可欠です。経営者と同レベル以上のビジネス感覚がなければ、上層部への的確な指摘は難しいでしょう。

リーダーシップ

HRBPに必要なスキルとして、社員を巻き込みながら課題を解決できるような、リーダーシップの高さも重要です。従来のシステムを積極的に変化させるには、自分が先頭に立って社員を導かなくてはいけません。

HRBPに必要な資格

HRBPに必須の資格はありません。しかし、取得しておくと役立つ資格は存在します。社員を精神的に支える知識や、バックオフィスのスキルが身につく資格がおすすめです。メンタルヘルス・マネジメント検定やビジネス・キャリア検定などは、気軽に目指せる難易度なので人気を集めています。

HRBPの導入メリットと注意点

HRBPを導入すると、いくつかのメリットを感じられます。それらのメリットを実感するためには、注意すべきこともあります。それぞれについてご紹介します。

メリット➀ 攻めた戦略人事を行える

経営戦略に基づく、戦略人事を実行できることが大きなメリットです。変化が激しい現代において、採用や労務管理などオペレーション中心の人事だけでは、企業力が衰退してしまうかもしれません。事業のビジネスパートナーとして攻めた人事を行うことで、組織全体を強化できるでしょう。

メリット➁ タレントマネジメントを推進できる

従業員と組織のパフォーマンスを最大化し、業績アップにつなげられることもメリットといえます。

HRBPは、経営戦略をもとに採用すべき人物像を定義し、確保に向けた採用や育成、評価制度の構築にもかかわります。従業員の能力やスキルを最大限活用できるような人事施策を行い、企業目標の達成を目指すタレントマネジメントとも相性がよいと考えられます。

注意点➀ 役割分担を明確化する

あらかじめHRBPの役割や、仕事内容を明確に決めておきましょう。導入後に、別部署との情報共有を効率よく行えるようにするためです。そうしないと無駄な業務が発生してしまう恐れがあります。

注意点➁ トライアル期間を設ける

HRBPを本格導入前に、トライアル期間を設けましょう。HRBPの存在に社内が慣れるためには、一定の時間が必要であるためです。トライアル期間中は、比較的小さな課題から取り組んでもらうようにします。

HRBPの導入に向いている企業

HRBPの導入に適している企業の特徴の例は、以下の通りです。

・社員人数が数百人規模
・業種が多角化している
・海外進出を目指している

社員人数が多すぎるとHRBP1人に対する負担が増大してしまいます。反対に少なすぎると、運用コストがかかりすぎてしまうでしょう。また、複数の業種を取り扱うグローバルな企業では、海外では主流なHRBPを導入することで、国際的な風土がつくれるため、向いているといえます。

 HRBP導入企業の事例

HRBPを実際に取り入れた企業で代表的なのは、エンタメ事業を取り扱う株式会社ディー・エヌ・エーです。同社は、各事業の中にHRBPを設置しています。

社員の採用活動が進まない課題に対して、「採用活動の見直しや労働環境の整備」や「マネージャー数の増加」を実施して解決に導きました。同社のHRBPは、全社的な経営視点を持ちながら現場の課題解決を進めることで、事業を1つにまとめる役割を果たしているようです。

参照:『DeNAのHRBPがよくわかる記事まとめ』フルスイング

HRBPの導入ポイント

HRBPを導入する際は、どのようなポイントに気をつければいいのでしょうか。

トライアル期間を挟むこと

必ずトライアル期間を設け、徐々に制度を導入していくことが重要です。最初に成功事例をつくり、社内にHRBPの存在を周知させていきましょう。なお、導入する手順は以下の通りです。

1. 今後2~3年の人事戦略を考える
2. その戦略を実現するための体制を検討する
3. HRBPのトライアルを行う
4. HRBP担当者本人のスキルを高めていく

別部署と連携すること

人事部門だけで独立するのではなく、別部署と連携することが求められます。HRBPは、経営者と社員をつなぐ存在でもあるので、別部署とも深くコミュニケーションをとらなくてはいけません。HRBPの取り組み内容を共有する機会を積極的につくり、連携体制を構築してください。

業務効率化ツールを使う

タレントマネジメントシステムをはじめとした、業務効率化ツールの活用も一案です。業務効率化を進めて、HRBPの負担を大幅に削減することで、業務の精度が増す可能性があるためです。HRBPの本来の役割である、人事面からの検討や指示に専念できるような環境整備が重要といえます。

HRBPは採用か?育成か?

HRBPを実際に導入する際、担当者は新しく採用するべきなのでしょうか。それとも、在籍している社員を育成した方がよいのでしょうか。悩んでしまう方もいるかもしれません。それぞれのポイントについてご紹介します。

日本でHRBPが浸透していない理由

そもそも、日本でHRBPが深く浸透していない理由は、「人事部門の業務に対する認識が保守的だから」といえるでしょう。

従来の日本では「人事の仕事は、社内ルールの管理」という考え方が主流でした。しかし、海外から入ってきたHRBPは、この認識と相反しています。「経営戦略に基づいて能動的に動くことも、人事の仕事である」と考えられる人材を採用・育成することが求められているのです。

HRBPの採用ポイント

HRBPを新しく採用する場合、コミュニケーションスキルの高さを重視して選考するといいかもしれません。アイスブレイクが上手で、すべての社員と柔軟にかかわっていける人材を採用することをおすすめします。

HRBPを社内で育成するポイント

HRBPを社内で育成する場合は、他者と対話する機会が多い部署の経験者を抜てきしましょう。バックオフィスで長年働き続けてきた社員よりも、従来の価値観を打ち破る期待が寄せられるはずです。その際は、1人に注力して育てるのではなく、複数人の候補者を同時に育てながら適性を見た方が効率的です。

まとめ

HRBPは、これからのビジネスで企業が成功するには欠かせないポジションといえます。企業の組織力を底上げするために、人事から体制を整えていくといいでしょう。焦らずにじっくりと時間をかけて導入し、社内全体の環境を整えることが重要です。

HRBPの採用・育成にもタレントマネジメントシステム

HRBPを新しく採用したり社内で育成したりする場合、タレントマネジメントシステムが活用できるでしょう。

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記事監修

監修者

スマカン株式会社 代表取締役社長 唐沢雄三郎

一貫して現場に寄り添う人事システムの開発に注力している起業家。戦略人事情報・人材マネジメントシステム、マイナンバー管理システムをはじめ、近年はタレントマネジメントにまで専門領域を広げ、着実に実績を積み上げている。主力製品は公共機関など多くの団体・企業に支持され、その信頼と実績をもとに日本の人材課題の解決に貢献している。

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