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KSFとは? 見つけ方、設定例や分析方法を解説、KGI・KPIとの違い、注意点も

KSFとは? 見つけ方、設定例や分析方法を解説、KGI・KPIとの違い、注意点も

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KSFとは事業の主要な成功要因のこと。自社のKSFを見つけるには、KGIやKPIとの関係性を知り、綿密な分析をする必要があります。

当記事ではKSFの基礎知識をはじめ、KSFを見つけるための分析方法や設定する際の注意点についてご紹介します。

目次(タップして開閉)

    KSFとは

    KSFは「重要成功要因」のことで、Key Success Factorの略です。事業を成功させるために何が必要かを指します。わかりやすくいえば、企業が大きな目標を達成するにあたり、どのような要素が必要なのかを具体的にあらわすことです。

    KSFには市場の動向や競合の動きなどの外部要因と、自社の強みなどの内部要因の2つがあります。また、KSFは人々のニーズの変化や技術の進歩などの環境に合わせて変わっていきます。

    KSFはビジネス成功のカギ

    KSFは状況や環境の変化に合わせて変わっていきます。今までの成功体験に縛られ、同じことを続けているだけだと、時代に取り残されてしまい、事業は衰退していくでしょう。

    長期にわたり自社の事業を継続し成功させるには、その時々のKSFに合わせて事業戦略や戦術も変えていかなければなりません。KSFの変化に合わせた事業戦略を取ることで、安定的に事業を継続させていくことができます。

    また、KSFが適切に設定されていれば、短期的・長期的にも事業計画が立てやすいため、新しく始める事業も軌道に乗せやすいといえます。

    KSFは外部要因と内部要因に分けられる

    KSFは外部要因と内部要因に分けられます。外部要因とは市場や業界などの動向を意味します。たとえば市況の変化や競合の参入・撤退などは外部要因に分類されます。

    一方、内部要因とは自社が持つ強みや自社が最終的な目標達成に必要な要因を指します。外部要因・内部要因は、環境を分析することによって明確化します。

    KSFとKGI、KPI、KBF、KFS、CSFとの関係性・違い

    KSFと似たような言葉に、KGI、KPI、KBF、KFS、CSFがあります。

    しかし、いずれも事業を成功させるために必要なものであるため、KSFとの関係性や違いを理解しておきましょう。

    【KSFとKGI】関係性と違い

    KSFは事業を成功させるために必要とされる要因です。一方、KGI(Key Goal Indicator)は「重要目標達成指標」で、企業の経営戦略の最終目標のことを指します。企業全体の売上高や利益、シェア率などの目標値がKGIに該当します。具体的には、「来月は売上5,000万円を達成する」のように定量的で達成可能な範囲の目標値です。

    【KSFとKPI】関係性と違い

    KPI(Key Performance Indicator)は「重要業績評価指標」です。KGIを達成するための組織や個人が設定する中間目標に対する達成度を定量的にはかる指数です。

    たとえばKGIが「来月は5,000万円の売上を達成する」とした場合、KSFは「新規顧客獲得数50%増」、KPIは「1日40件のテレアポ」といったような違いがあります。つまり、KGIを達成するための要因がKSFであり、達成に必要な数値を伴ったアクションがKPIといえます。

    【KSFとKBF】関係性と違い

    KBFは(Key Buying Factor)は「購買決定要因」を意味し、KSFを設定するのに必要な材料といえます。

    KBFは顧客が商品やサービスを「購入する」と決断するための要因です。価格やデザイン、口コミなどの自社でコントロールできない要素がKBFとなり、企業はこれをもとにKSFを設定します。

    【KSFとKFS】関係性と違い

    KFS(Key Factor for Success)もビジネスを成功させるための鍵となる要因です。そのため、KSFとKFSは同じ「重要成功要因」として使用されることがほとんどです。

    【KSFとCSF】関係性と違い

    CSF(Critical Success Factor)も、KSFやKFSと同じく「重要成功要因」を意味します。事業の成功を左右する要因のことを指し、KSFやKFSと同じ意味合いの言葉として使われています。

    KSF設定はなぜ重要?

    企業が事業を継続させて成功を収めるために、KSFの設定が重要だといわれる理由は以下の3つです。

    マーケティングに欠かせない要素だから

    現代では大量生産により、顧客ニーズはほぼ満たされている状況であるといえます。そのような環境下で、企業が生き残りを賭けて他社と差別化をはかり、事業を継続していくためには、マーケティングは欠かせません。

    目まぐるしく変化を続ける社会状況・テクノロジーに合わせて変化する人々のニーズを理解し、そのニーズに対して迅速に対応することが成功のカギとなります。分析の結果からKSFを設定することで自社の強みを活かし、時代に適した商品・サービスを創出できます。

    効率的な事業戦略の立案が可能だから

    KSFを設定することで、企業の最終目標と現状にどれだけの差異があるのかが見えてきます。目標を達成するために必要な具体的な行動内容がわからないままでは、いつまでも目標に到達できないどころか、最悪の場合、事業そのものが衰退する恐れがあります。

    現状と目標にどれくらいギャップが生じているかがわかり、今行うべきことが明確になるため、効率的な事業戦略を立てることができます。

    事業に一貫性が生まれるから

    KSFは事業を成功させるための要因を明確化します。KSFを設定することで、企業やそこで働く従業員に「今、自分たちは何をすべきなのか」の共通認識が生まれます。全員が同じ認識を持つことで事業全体の軸が安定し、ブレることなく目標達成に向かって進めます

    ゴールが見えていることで、どのような行動を取ればよいかを判断しやすくなるでしょう。また、一貫性がある事業は、失敗のリスクも軽減されます。軸がブレていない企業は、顧客からの信頼度も高まり、自社のブランディングにも効果を与えます。

    KSFの見つけ方・分析方法

    自社のKSFを見つけるにはまずは分析を行う必要があります。自社の強み・独自性など内部要因や他社との差別化、人々のニーズなどの市場環境など外部要因を導き出し、そこから成功要因となるKSFを設定します。

    KSF設定に使える分析フレームワーク

    KSFとなる要素を洗い出すには、フレームワークを活用した分析が便利です。ここではKSF設定に使える分析フレームワークを5つ紹介します。各フレームワークを組み合わせると、より細かく分析できるでしょう。

    3C分析

    3C分析は、顧客(Customer)競合(Competitior) 自社(Company)の3つの視点から分析する手法です。

    顧客層やニーズ、市場動向、環境などの現状や変化などを把握し、競合の現状や市場シェア、秀でている点、世間からの評判などを分析したうえで、自社の強みや弱みなどの現状、他社との比較を実施します。

    自社の強みを見つけ、競合や顧客の視点を持って、客観的に事業の成功要因を見つけられる方法といえます。

    5F分析

    5F分析は5つの脅威を分析することで、業界全体の構造を理解し、自社が優位に立てるKSFを見つける方法です。分析する脅威は次の通りです。

    業界内の競合競合他社の成長性やブランド力などの自社に脅威となる要素
    売り手売り手次第で原材料費が高騰し利益を低下させる恐れがある要素
    買い手買い手によって商品価格の低下や利益の低下が起こりうる要素
    代替品自社製品の代替品となり得る商品やその価格など
    新規参入法改正や技術革新などに新規参入における脅威

    これらを分析することで、業界全体の構造を把握し、自社が優位になるためのKSFを抽出します。

    SWOT分析

    SWOT分析は、自社の強み(Strongth)弱み(Weakness)といった「内部要因」、機会(Opportunity)脅威(Threat)といった「外部要因」を分析するフレームワークです。

    最初に外部要因を分析し、自社にとって機会や脅威となる要因を把握しましょう。次に自社の強みと弱みを分析し、それぞれを掛け合わせ、優位性や差別化となるKSFを見つける方法です。このフレームワークでは、自社の置かれている状況や今後必要な行動が明確になり、達成すべき成功要因が把握できます。

    PEST分析

    PEST分析とは、次の4つの視点をもとに外部要因におけるKSFを抽出する方法です。

    政治(Politics)法改正や政治動向など
    経済(Economy)景気の動向、株価や物価など
    社会(Society)人口、流行など
    技術(Technology)新しい技術や特許など

    これらを一つずつ分析することで、自社が狙うポイントや他社と差別化できるポイントなどを導き出します。

    バリューチェーン

    バリューチェーンは、自社の活動を主活動と支援活動に分け、どこでどのくらいの付加価値があるのかをあらわすフレームワークです。バリュー・チェーンは、内部要因の分析に用いられます。

    自社におけるさまざまな活動やプロセスから見える強みや弱み、コストなどを分析することで、自社の現状を把握します。そして価値(Value)希少性(Rareness)模倣可能性(Imitability)組織(Organization)の4つの視点(VRIO分析)から自社の優位性を高めるポイントを見出す方法です。

    バリュー・チェーンによって、他社と差別化をはかれます。

    KSFの見つけ方・事業別設定例

    多くの企業は独自にKSFを設定し、事業の成功を目指しています。ここでは3社の事例をもとに設定例を紹介します。

    紙おむつ事業におけるKSFの設定例

    紙おむつ事業を展開するあるメーカーでは、製品の価格を15.6%下げたことで、たった1か月でシェア率を7.7%伸ばしました。

    紙おむつは消耗品であり、かつ購買層は小さな子供を持つ若い世帯であることから、紙おむつのKSFを「低価格」とし、品質を変えずに価格だけを下げた結果、一気にシェアを伸ばすことに成功しています。この企業では、製品に対する消費者の意識や購買層の世帯収入、ニーズなどを分析し、時代にマッチしたKSFを見つけたといえるでしょう。

    卸売・小売チェーンにおけるKSFの設定例

    インターネットの普及によって苦境を強いられている小売業界において、ある企業では人気を維持し続けています。

    この企業では、「倉庫型の広い店内で楽しみながら商品を探せる仕様」「魅力的な商品の仕入れ」「原価に近い低価格での販売とそれを可能にする会員制度」をKSFの要因としています。

    インターネットから安く簡単に品物を購入できる時代に、あえて店舗に集客するための戦略を立て、自社の強みを活かした価格帯と仕入れにより、高い競争力を維持しています。世の中の「常識」を分析し、それを逆手に取った自社独自の戦略を打ち出した事例といえます。

    戦略人事におけるKSFの設定例

    KSFの設定は、戦略人事にも欠かせません。

    たとえば、労働生産性の向上を目標とする企業で、KGIを「労働生産性を〇%にする」と設定したとします。そのようなKGIに対するKSFは企業によって「従業員のスキルアップ」や「人材不足の解消」などが想定できます。

    戦略的に採用を行う場合を例に挙げると、前述の3C分析などを使っKSFを設定します。「これさえ押さえれば採用の可能性が高まる」という成功要因を見つけ、そこにあわせたKPIを設定し、ペルソナの設定や募集活動、選考などの施策を実行していくことで、一貫性のある採用活動が実現できます。

    KSF設定の注意点

    KSFの設定は、企業を成功に導くために必要です。しかし、間違った方法で分析を行ったり目的を見失ったりすれば成果が出ない可能性もあります。次の点に注意し、正しい手順・方法でKSFを設定するようにしましょう。

    バランスよく内部要因と外部要因を探る

    KSFの設定では、内部要因と外部要因をバランスよく探ることが大切です。どちらか一方に偏ってしまうと、対策できていない部分が企業の弱点となってしまい、事業の成長を妨げてしまう可能性があります。自社に関する内部要因、市場環境などの外部要因それぞれを探り、適切な対策をとるようにしましょう。

    KGIやKPIとの関係性を正しく把握する

    事業を成功させるには、KSFの設定だけを行っても意味がありません。KGIやKPIの設定も必ず行う必要があります。

    最終目標であるKGIを最初に設定し、KGIを達成するために必要なKSFを設定します。その次にKSFを意識したKPIを立てるという一連の流れを理解していなければ、意味のない設定となってしまい、正しい運用ができません。KSFの設定を考える前にKGIやKPIとの関係性を理解しましょう。

    重要度を見極める

    KSFに設定できるものはさまざまですが、その要因すべてに対応するのは簡単ではありません。

    KGIを効率よく達成することを第一に、優先すべきKSFを決定する必要があります。自社の成功要因となる要素が多ければ多いほど、一度に対策したほうが効率がよいと考えてしまうかもしれません。

    しかし、そのような状態では結局何から始めればよいかが明確にならず、本来一番注力すべきことに手が回らなくなることも考えられます。KGIを早期に達成することを目指した場合、どのKSFならそれが実現できるかを考え、重要度の高いものを選ぶことが大切です。

    KSFを定期的に見直す

    冒頭でも述べましたが、KSFは一度設定したら終わりではありません。外部要因や内部要因は市況や人々の環境の変化とともに変わっていくものです。ずっと同じKSFのままにしておくと、時代に合わないことをいつまでも続けているような状況になりかねません。

    KSFは必ず定期的に見直し、その時に合った内容へと更新していくようにしましょう。

    KSFの設定をゴールにしない

    KSFの設定は簡単ではありません。さまざまなフレームワークを通して内部要因や外部要因を分析し、KGIの達成に重要なKSFを適切に導き出すまでには時間と労力がかかります。

    そのため、いつの間にかKSFを設定することがゴールとなってしまう場合があります。KSFは事業を成功させるための材料の一つに過ぎません。KSFを設定してからが重要です。

    事業の目標達成にはKSFが効く

    事業の目標を達成するには、どのような要素が必要なのかを明確にすることが大切です。自社に合ったフレームワークを活用し、内部要因や外部要因の分析を行い、適切なKSFを設定することが重要です。

    KGIやKPIとの関係性も理解したうえで、正しい順番で事業戦略を立てていきましょう。また、KSFを設定するにあたり、注意すべき点も押さえながら、適切なKSFを設定しましょう。

    タレントマネジメントシステム『スマカン』は、従業員のスキルや経歴を一元管理するとともに、一人ひとりのKPIやアクションプランを設定でき、KGIの達成に向けたプロセスをサポートいたします。システムを活用しながらKSFを見つけて適切なKPIを設定し、KGIの達成を目指してはいかがでしょうか。

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