- 2022.02.08
2022.08.24
- タレントマネジメント
- 人事評価
KPIとは?【意味を簡単に】設定方法や例を解説

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企業の活動において、具体的な目標を設定し、目標に向けて戦略的に業務を遂行し、目標達成の度合いを客観的に評価する必要があります。このサイクルを実現するためにさまざまな目標管理マネジメントが提唱されてきました。中でも、多くの企業に導入されて注目されているのがKPIの設定です。
この記事では、KPIの目的や効果などを解説し、効率的な運用方法を紹介します。
目次(タップして開閉)
KPIとは?
KPIは「Key Performance Indicator」の略で、「重要業績評価指標」と訳されます。KPIは、企業の最終目標であるKGIに至るプロセスで設定される中間目標で、組織や個人がその中間目標をどの程度達成できているかを定量的に計測するために利用されます。
Key Performanceとは
Key Performance(重要業績)とは目標達成の鍵となる要因のことで、KFS(Key Factor for Success=重要成功要因)と呼ばれます。CSF(Critical Success Factor)もKFSとほぼ同じ意味を表す言葉です。
KFSを正しく見極めることで、組織・個人の現状や問題点を把握できると同時に、自社の優位性を活かして他社との差別化を図るきっかけとなります。逆に、KFSが不明確なままだと、方向性が定まらず右往左往することとなり、却って生産性が低下しかねません。
Indicatorとは
Indicator(評価指標)とは目標の達成水準を表す指標で、具体的に数値化されている必要があります。たとえば、営業部ならば「売上高」という指標があり、その「売上高」はさらに「受注数」「受注率」などの指標に分解できますが、いずれも数値で表さなければなりません。漠然と「売上高を上げる」ではなく、「6月までに売上高3,000万円を達成する」のように「いつまでに」「どれくらいの数字を」達成するかを明確にし、客観的に評価できるようにすることが大切です。
OKRとの違い
目標管理マネジメントには、KPIの他にOKRやMBOが有名です。
特にOKR(Objectives and Key Results)は、目標(Objectives)と主要な結果(Key Results)をリンクさせ、目標設定・進捗確認・結果に対する評価を頻繁に行うマネジメント手法で、KPIとしばしば混同されます。
しかし、OKRとKPIには明確な違いがあります。
OKRでは、数値化できない定性的な目標と数値化できる定量的な主要な結果の両方を設定します。営業部ならば、「過去最高の売上高を達成する」という目標を立て、この目標に基づいて「売上高を前年比15%アップさせる」という主要な結果を考えます。一方、KPIでは、定量的な数値目標だけを設定します。
また、従業員のモチベーションアップが目的のOKRでは、達成可能と考えられるよりも高めのレベルの目標を設定し、達成度合いは60~70%を目指します。一方、進捗状況の把握を目的とするKPIでは、達成可能な目標を設定し、達成度合いは100%を目指します。
KPIマネジメントによる効果
KPIマネジメントは目標達成に至るプロセスを数値に変換し、進捗状況を可視化します。このことによって期待できる効果をいくつか紹介します。
アクションプラン(行動計画)の具体化
KPIによってアクションプラン(行動計画)が具体化します。たとえば、人事部が「6月までに全社員の残業時間を20%削減する」という目標を設定した場合、「残業の事前申請をルール化する」「定時以降の会議を禁止する」などのアクションプランが考えられるでしょう。これらのアクションプランを従業員一人ひとりの目標管理シートとリンクさせ、KPIを個人レベルで確実に達成していきます。

人事評価との連携で公平性を担保
KPIによって数値化された評価基準を人事評価と連携すれば、公平性の担保が容易になります。数値に基づいた評価には評価者の主観が入らないため、評価される従業員の間に納得感が生まれます。また、進捗状況を数値化することで、担当業務が異なる部署・チームの評価基準を統一できます。
PDCAが上手く回り生産性向上
KPIによるプロセス管理で、Plan(計画)→Do(実行)→Check (評価)→Act (改善)のPDCAサイクルが上手く回ります。Check (評価)のタイミングを明確にして進捗状況を常に把握していれば、優先順位の高いタスクをあぶり出したり、目標から乖離したアクションを速やかに軌道修正することもできます。
Act (改善)も目標との整合性を保ちながら行われるため、本質から外れた改善策に現場が振り回されることもありません。業務の効率化と生産性の向上が期待できます。
KPIの設定方法
KGI→KFS→KPIの順で設定していきます。それぞれの設定方法を以下で解説します。
KGIを設定する
最初に設定するKGIは「Key Goal Indicator」の略で、「重要目標達成指標」と訳されます。KGIは企業の経営戦略の最終目標で、定量的で達成可能な指標でなければなりません。たとえば、KGIは「来年度は売上高5億円を達成する」のように、「いつまでに」「どれくらいの数字を」達成するかを明確にします。また、この「5億円」が達成不可能でないかを確認することが大切です。
関連記事 KGIについて詳しく解説 |
KFSを設定する
次にKFSを設定します。市場環境・自社のビジネスモデル・競合他社の動向などを分析して、KGI達成につながる要因を洗い出していきます。この洗い出し作業で有効なのが、自社の状況などを強み(Strengths)・弱み(Weaknesses)・機会(Opportunities)・脅威(Threats)の4項目で整理して分析するSWOT分析や、企業活動で生み出された価値の流れを分析するバリューチェーン分析などです。洗い出した要因の中から、特に成功に不可欠な要因を抽出して、それをKFSとして設定します。たとえば、コロナ禍がきっかけで実店舗を訪れる顧客の数が激減しているなら、「通販サイトを充実させてデジタル集客に力を入れる」がKFSとなるでしょう。
KPIを設定する
最後に、KGIを達成するための中間目標としてKPIを設定し、これらのKPIを「KPIツリー」と呼ばれる樹形図で表します。たとえば、「来年度は売上高5億円を達成する」(KGI)と「通販サイトを充実させてデジタル集客に力を入れる」(KFS)から、「顧客数×顧客単価×リピート数」(KPI)を設定します。
さらに「顧客数」→「通販サイトを利用する顧客数1,000人/月を達成する」→「既存顧客数+新規顧客数-流出顧客数」→「新規顧客数」→「通販サイトを利用する新規顧客数200人/月を達成する」のように、KPIの細分化と具体化を繰り返していきます。KPIは加減乗除できる形で設定するのがポイントです。
このようなKPIツリーを作成することで、企業の目標を達成するために組織・チームや従業員個人がアクションプランを立てやすくなります。逆に、KPIツリーがなければ、具体的な施策を実行するのが困難となり、仮に実行できたとしてもその結果を客観的に評価できませ
KPI設定とSMART
KPI(KGI)を成功させるコツはSMARTです。SMARTとは、Specific(明確な)・Measurable(測定可能な)・Achievable(達成可能な)・Relevant(関連性がある)・Time-bound(期限がある)のそれぞれの頭文字の組み合わせです。
成功するSMART
KPI(KGI)はSMARTのフォーマットに沿って運用することで有効的に運用できるとされています。
Specific(明確な)
KPI(KGI)は、社内の誰が見ても目標達成の度合いが分かる明確な指標でなければなりません。「顧客数」「商品購入率」「CVR(コンバージョン率)」など、さまざまな解釈が入る余地のない客観的な評価基準を設定します。
Measurable(測定可能な)
KPI(KGI)は、数値化できる定量的な指標でなければなりません。測定結果を数値で表しやすい「率」「件数」「回数」などを利用します。「ブランドイメージ」のような定性的な指標を用いる場合も、アンケート調査などによって可能な限り定量的に把握することが大切です。
Achievable(達成可能な)
KPI(KGI)は、達成困難なものであっては意味がありません。従業員の正しい努力が実を結び、結果が正しく人事評価に反映され、モチベーションアップにつながることが理想です。
Relevant(関連性がある)
KGI・KFS・KPIの間には関連性が求められます。たとえば、「売上高」は「顧客数×顧客単価×リピート数」に分解できます。顧客数・顧客単価・リピート数はいずれも売上高に直接影響を及ぼす項目なので、KPIにふさわしいといえます。
Time-bound(期限がある)
KPI(KGI)には「6月まで」「上半期」「来年度」などの期限を設ける必要があります。期限があることで優先順位が明確になり、従業員は「いつまでに何をどうするか?」という具体的なアクションプランを立てやすくなります。
KPI(KGI)は逆SMARTに陥ると失敗します。逆SMARTとは、Not Specific(不明確な)・Not Measurable(測定不能な)・Not Achievable(達成不可能な)・Not Relevant(関連性がない)・Not Time-bound(期限がない)です。
Not Specific(不明確な)
「努力」「効率」「顧客満足度」などをKPI(KGI)にすると、人によって解釈が分かれて評価の客観性や公平性を担保できなくなります。不明確な目標設定は従業員を混乱させ、組織内での対立を生じさせる原因にもなります。
Not Measurable(測定不能な)
「CVRを高める」「顧客数を増やす」などのKPI(KGI)には、「高める」「増やす」といった数値化できない表現が含まれています。測定結果を定量的に把握できない指標は避けなければなりません。
Not Achievable(達成不可能な)
たとえば、従業員一人ひとりの目標を「新規顧客数50人/月を達成する」に設定すると、1日に2人以上の新規顧客を増やさなければならず、従業員にとっては大きな負担となります。このような達成困難なKPI(KGI)は従業員のモチベーションを低下させ、離職の原因になることもあります。
Not Relevant(関連性がない)
KGIと関連性の低いKPIを設定することは非合理的であり、社員にとっても有効な目標設定とは言えず、人事評価にもません。
例えば、KGIが「来年度は売上高5億円を達成する」であるにもかかわらず、KPIを「来年度は在庫数を30%減らす」に設定しても関連性が低く意味がありません。在庫数の減少と売上高の増加の間には因果関係がなく、KPIとしては不適切だからです。
Not Time-bound(期限がない)
期限を設定することで、数値化された達成可能なKPIを設定する必要があり、また明確なアクションプランが立てやすくなります。
「リピート率を10%引き上げる」というKPI(KGI)だと、いつまでにこの目標を達成すべきなのかが不明なため、関連するタスクは後回しにされてしまいがちです。そもそも期限が無い目標は達成度合いを測定することすらできません。
KPIを効率的に運用する方法
KPIは設定した後も定期的に運用を見直し、KPIに対するアクションプランに不具合があれば修正しながら継続していかなければなりません。一方、企業の規模が大きくなればなる程、設定項目が多くなったり、測定方法が複雑化したりして、運用担当者の負担が増していく傾向にあります。
目的管理マネジメントを効率的に行なっていくためには、Excelでシートを作成して手作業でデータを記録していくような方法ではなく、タレントマネジメントシステムや人事評価システムを導入して運用を効率化する方法がおすすめです。社内全体の人材情報を可視化して一元管理できる「スマカン」なら、従業員のモチベーションやエンゲージメントを高める目標管理や進捗管理を実現をサポートします。

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