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アサインとは|意味や使い方、言い換えをビジネスシーンや業界別に解説
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日本企業でも英語のビジネス用語が使われることも珍しくないでしょう。「指定する」「割り当てる」などを意味する「アサイン」もその一つです。
しかし、なかには意味をきちんと理解できずに使用している人もいるのではないでしょうか。
「アサイン」に限りませんが、言葉の意味や使い方を誤ると、思わぬトラブルに発展したり、相手からの信用を失ってしまったりするかもしれません。
そこで当記事では、ビジネスシーンでよく使用される「アサイン」について解説します。言葉の意味や使い方、日本語に置き換える場合の適切な表現などを例文を交えながらご紹介します。
目次(タップして開閉)
アサインの意味とは
「アサイン」とは、英語で「assign」 と表記し、日本においては、特定のタスクや役割、責任を特定の人に割り当てるという意味で用いられることが多いです。
一般的にアサインは、組織内の目上の立場の人から下の人に対して使われます。
たとえば、マネージャー層がチームメンバーに「特定の仕事にアサインする」という場合、そのメンバーが指示されたタスクの実行を担当し、完遂まで業務に責任を持つことまでが意味合いに含まれます。
アサインの使い方【ビジネスシーンにおける例文】
日本のビジネスシーンにおいて「アサインする」という言葉は、上司から部下に向けて使われます。部下が上司に対して直接「アサインします」とはいいません。
この場合は「〜をお願いする」「〜をお任せする」など、よりていねいな表現を使うことが推奨されています。
一般的な「アサイン」の使い方を上司側・部下側の立場別に説明します。
上司や管理職側(アサインする側)
上司は「アサインする側」の立場です。プロジェクトへの配置や新たな業務ポジションへの任命などを決めるときに使用するため、能動的な表現で用いられます。
例 |
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・来週のミーティングの議事録係に山田さんをアサインします ・新しいプロジェクトチームが組まれたので、若手社員をアサインしてみよう ・デザイン経験が豊富な鈴木さんを、新製品開発のプロジェクトリーダーにアサインします |
部下側(アサインされる側)
部下は「アサインされる側」の立場です。役職の任命や新たなポジションへの配置などを指示された場合に使用するため、受動的な表現で用いられます。
例 |
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・私は新たな顧客対応チームにアサインされました ・まさか私が次の研修の講師にアサインされるとは思っていませんでした ・なぜ田中さんが社運を賭けた大型プロジェクトにアサインされたのでしょう |
アサインの使い方【業界別の例文】
ビジネスシーンで多く用いられる「アサイン」という言葉は、一般的には「何かを特定の人に割り当てる」という意味を持ちます。
しかし、業界によっては意味やニュアンスが少し異なる場合があります。そこで各業界ごとで使われる「アサイン」の意味と例文をご紹介します。
IT業界
IT業界では数字や値、仕様などを割り当てる意味で「アサイン」を使用します。コンピュータのキーボードに特定の機能を割り当てることを指す「キー・アサイン(key assignment)」が由来です。
例 |
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・このソフトにセキュリティ機能をアサインしましょう |
法律業界
法律業界における「アサイン」は、権利の譲渡を指す言葉として使用されることがあります。
たとえば、商標権を譲渡したあと、その権利を元の所有者に戻す(再譲渡する)ことを「アサインバック」といいます。
例 |
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・A社の商標についてアサインします |
転職業界
転職業界で「アサイン」は「採用」「選出」といった意味で使用されます。新しい人材を採用する際などによく使われます。
例 |
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・事業拡大のため、来期は最低でも10名は新たな人材をアサインしたい |
コンサル業界
コンサル業界では「配属する」という意味で、特定のプロジェクトや顧客を特定のコンサルタントに割り当てる際に「アサイン」を使います。
例 |
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・このたび、新しい戦略プロジェクトにをアサインされました |
旅行・ホテル業界
旅行・ホテル業界における「アサイン」は、特定の客室やフライトを特定の顧客に割り当てることです。ホテルで客室を割り当てる場合は「ルームアサイン」、飛行機の座席を割り当てる場合は「シートアサイン」という使い方をします。
例 |
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・新婚旅行でお見えになる田中様に海側の部屋をアサインしました |
アサインの言い換えとは|類義語との違い
アサインと類似している言葉に「アサインメント」「ジョイン」があります。
どちらも似たシチュエーションで使われることが多いため、混同してしまう人もいるかもしれません。アサインの類義語の種類とその違いを理解し、使い分けられるようにしましょう。
アサインとアサインメント
「アサイン」と「アサインメント」は同じ意味を持ちますが、品詞が異なります。
アサインが「任務や役割を割り当てる」「特定のタスクや地位に任命する」という動詞であるのに対し、アサインメントは「割り当て」「任命」などをあらわす名詞です。
ただし、アサインメントには「宿題」や「研究の課題」「財産や権利の移転」などを意味することもあるため、海外企業とのやり取りや外国人スタッフとの英会話の際は使い方に注意しましょう。
本来なら文法的には「アサインメントする」が正しいですが、一般的に日本のビジネスシーンでは「アサインする」を使っても問題ないとされています。
アサインとジョイン
「ジョイン」も「アサイン」と混同されがちな言葉の一つです。ジョインは「参加する」「加わる」という意味を持つ言葉で、自身が能動的に従事する場合に使います。
アサインは上司から部下に向けて使うのに対し、ジョインは「4月から◯◯プロジェクトにジョインした山田と申します」など従事する本人が使います。
アサインやアサインメントが「割り当てる」ことを強調するのに対し、ジョインは個人が自発的に「行動を開始する」ことを強調するという違いがあります。
アサインの類義語にあたる日本語とは
アサインの類義語にあたる日本語はいくつかあります。「アサイン」を日本語に置き換えるなら、どのような言葉が適しているかを確認してみましょう。
日本語としての意味を理解しておくと、誤った使い方を避けられるほか、使いたい場面によって誰にでもわかる言葉で物事を伝えられるはずです。
割り当てる
「アサイン」には「割り当てる」という意味があります。プロジェクトやタスク、リソースなどを特定の人や部署に対して決定する場合に使用します。
たとえば、ソフトウェア開発のプロジェクトでは、個々の開発タスクを各エンジニアに割り当てることが行われるでしょう。その際に「このタスクは田中さんに割り当てましょう」のように使用します。
「割り振る」と言い換えてもよいでしょう。なお、予算などを分配する際にも用いることができます。
任命する
「アサイン」には「任命する」という意味もあります。特定の職務や役割を特定の人に与える場合に使用します。
たとえば、組織内で新たなプロジェクトが始まるにあたって、リーダーを決定する際に上司が「新プロジェクトのリーダーに山田さんを任命します」といいます。
指定する
「指定する」という言葉は、特定の人やグループに特定の役割やタスクを明示的に示すことを意味するため「アサイン」の類義語といえます。
たとえば、商談でのクライアントへの対応やイベントの準備など特定の役割を特定の人に指示するというシーンでは「今回の商談は吉田さんに指定します」のように使用します。
課する
特定の人やグループに特定の責任や義務を与えることを意味する「課する」も「アサイン」と言い換えられる日本語です。
たとえば、期限までに報告書を提出する責任を、特定のメンバーに一方的に負担させるシーンで「今回の報告書の提出は佐藤さんに課します」のように使用します。
「課す」には強制的なニュアンスが含まれるため「割り当てる」よりも義務的な要素が強調されます。
アサインの対義語にあたる日本語とは
類義語だけでなく、対義となる日本語の種類も覚えておくと、ビジネスシーンにおいて「アサイン」を正しく使えるようになるでしょう。
外す
「外す」はビジネスの場では、特定のプロジェクトからメンバーを外す、つまりアサインを解除するという意味で用いられます。
たとえば「彼は新規プロジェクトのメンバーから外されました」などの使い方ができます。
取り下げる
「取り下げる」は何らかの提案や意見、計画などを提出したあとで、それを取り消す、つまりアサインを取り消すという意味で使われます。
たとえば「先ほどの提案は取り下げます」のように、提出した側が提出された側に対して取り消しの命令をする場合に使います。
解放する
「解放する」はビジネスシーンだと「リリースする」ということもあります。
アサインが、特定のタスクや責任を特定の人に指定する行為を指すのに対し「解放する」は特定の役割や業務から特定の人を解放することを意味します。
つまりその役割や業務からの責任を解除するという意味で使われることが多いです。たとえば「プロジェクトから解放される」「業務を解放される」などの表現があります。
異動する
「異動する」は従業員が現在の職務から別の職務に移動することを指します。つまり、元の職務からアサインを解除し、新たな職務にアサインするという意味です。
たとえば「山田さんが営業部から企画部へ異動します」のように報告するシーンなどで使います。
解雇する
「解雇する」は、特定の従業員を組織から除く、つまりすべてのアサインを解除するという意味を持つ言葉です。たとえば「業績不振のため、彼は会社から解雇されました」のように使います。
アサインをビジネスで使用する際の注意点
最近では英語を用いたビジネス用語を日常で使用することも増えました。しかし、すべての人がその言葉の意味を理解しているわけではないでしょう。
「アサイン」をビジネスで使用する場合も、相手に配慮した使い方をする必要があります。最後に、アサインを使用するポイントとして、注意したい点をご紹介します。
意味や目的を一緒に伝える
「アサイン」には「指定する」「割り当てる」といった複数の意味合いがあります。
そのため、アサインが指す具体的な内容や範囲、期間も一緒に伝えないと、意図した通りにタスクが進行しないかもしれません。上司は、アサインが指す内容だけでなく、理由・目的・期待することなども明確に伝えるようにしましょう。
できるだけ日本語に置き換える
「アサイン」は、仕事を任せる、業務を割り当てるなど日本語で言い換えられます。英語を用いたビジネス用語が一般的になってきたとはいえ、すべての人が適応できるわけではありません。
特に新入社員はビジネス用語に慣れていないことも多いため、会話する際はできるだけ日本語に置き換え、誤解が生じないようにすることも重要です。
業界や業種によって使い分ける
「アサイン」は業界ごとに異なる使い方をすることがあります。自分が属する業界や業種では当たり前のように使っていても、別の業界の人には通用しないケースも考えられます。
誤った意味で受け取られてしまい、トラブルに発展するようなことのないよう、相手の背景によって適切な言葉を選ぶように配慮しましょう。
言葉のニュアンスに気をつける
「アサイン」を使う際は、その背後にある業務の内容や規模、難易度などを考慮して使用しましょう。
誤解を生む可能性がある場合や、複雑なタスクを単純に「アサイン」するという言い方だけで表現するのは適切ではありません。
たとえば、責任を問われるような重大な業務に誰かを配置する際は「アサインする」よりも「任命する」の方がその業務の重さが伝わるはずです。
伝える相手に配慮する
「アサイン」を使う際は、話している相手がその言葉に馴染みがあるかどうかを考慮しましょう。
特に異業種の人や非業界人とのコミュニケーションでは、より平易な表現を選んだ方がよい場合もあります。また、アサインの内容や範囲を正確に理解してもらうためには、具体的な説明や例、注釈を添えることも有効です。
まとめ
「指定する」「割り当てる」などの意味合いで使われる「アサインする」は、ビジネスシーンや業界によって意味や使い方が変わる可能性があります。
時と場合によって日本語に置き換えるなどして、誤解を生まないように配慮することも大切です。
「アサイン」の意味や使い方を知るだけでなく、誰でも理解できる言葉に置き換えるなら、どのような表現が適しているのかを把握しておくといいでしょう。
また「アサインする」は目上の立場の人が使う言葉です。言葉の定義も理解しておかなければ、相手に失礼となってしまうことも考えられます。当記事で紹介した「アサイン」の意味や使用例、使い方の注意点を理解し、適切に使い分けるようにしましょう。
記事監修
スマカン株式会社 代表取締役社長 唐沢雄三郎
一貫して現場に寄り添う人事システムの開発に注力している起業家。戦略人事情報・人材マネジメントシステム、マイナンバー管理システムをはじめ、近年はタレントマネジメントにまで専門領域を広げ、着実に実績を積み上げている。主力製品は公共機関など多くの団体・企業に支持され、その信頼と実績をもとに日本の人材課題の解決に貢献している。
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