- 2022.06.16
- タレントマネジメント
人材配置を最適化するには? 目的と方法、適材適所の実現に向けた考え方

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従業員を適材適所に配置すると、生産性向上、経費削減、組織の活性化が期待できます。また、従業員のモチベーションアップにもつながり、人材育成の点からも有効です。
当記事では、人材配置の種類や最適化の方法、実現に向けた考え方をご紹介します。人事担当者はもちろん、人材育成に力を入れたい方もぜひお読みください。
目次(タップして開閉)
人材配置とは
人材配置とは、従業員を配置、異動することを意味します。ただし人材マネジメントの考え方からすると、会社の目指す方向性に沿って従業員のスキルや適性、希望などを踏まえて適切に配置しなければ意味がありません。適材適所に従業員を配置することによって、組織の活性化、生産性向上、人材育成などが実現できます。
人材配置と人員配置の違いとは
人材配置とよく似た言葉に「人員配置」があります。人材配置と同義でビジネスシーンで使われることもありますが、こちらは医療・福祉分野の専門用語でもあります。利用者人数に応じた専門家の配置人数を指します。いずれにせよ、どちらの用語も働く人の配置に関わる意味を持っています。
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人材配置の種類
人材配置には、大きく分けて以下の5種類が存在します。人材配置と聞くと、異動や配置転換を思い浮かべがちですが、それだけではありません。
1.人材採用 2.人事異動 3.昇進 4.雇用形態の変更 5.解雇 |
これらを適切に行うことによって、組織の活性化につながると考えられています。詳しく解説します。
1.人材採用
人材配置の最初の段階は、人材採用です。人材採用も人材配置の1つです。部署やポジションに不足が発生した場合、新しく従業員を採用して配置します。
人材採用には大きく分けて新卒採用と中途採用の2種類があります。中途採用は欠員補充の意味合いが強く、人手不足の部署にそのまま配属されることが多いです。一方新卒採用は人材育成の一環として、複数の部署をローテーションするケースも目立ちます。
2.人事異動
各部署でパフォーマンスを最大化するために、人事異動を行います。あるいは、人材育成の一貫として、従業員のスキルアップのために行います。
人材配置計画に基づいた定期的な異動と、急な欠員補充や新プロジェクトの発足など突発的な異動があります。場合によっては、部署の合併や新しい部署の創設によって生じることもあります。
3.昇進
昇進は、社内での職位が上がったり、新たに役職を得たりすることをいいます。従業員のモチベーションが大幅に向上するため、意識的に実施した方がいい人材配置の手段です。
4.雇用形態の変更
雇用形態の変更も人材配置の1つと考えられています。契約社員から正社員への変更や、フルタイムから時短勤務への変更などが例に挙げられます。業務内容の重さと雇用形態がマッチするように、フレキシブルな判断が求められます。
5.解雇
解雇も人材配置の1つと考えられています。事業縮小や業績が悪化した場合に、経費削減の一環として整理解雇(リストラ)を行うこともあります。ただし、解雇には正当で合理的な理由が必要です。
人材配置の目的
人材配置とは、会社の目標や事業計画を達成するために、従業員を適切な部署に配属・異動させて、組織の活性化を目指す考え方です。現在在籍している従業員のポテンシャルをできる限り生かし、スムーズに目標を達成できる状態にすることが望ましいです。
また、人材配置には従業員の人材育成をはかる目的もあります。今までに経験したことがない業務内容を担当させることで、新しいスキルを身につける機会を与えることになります。人材配置は、効果的なタレントマネジメントの1つといえます。
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人材配置の流れ・考え方
人材配置を効果的に進めるには、特定の流れに沿って実施する必要があります。具体的には以下の4つの段階を踏みます。
1.定員計画 2.要因計画 3.人員計画 4.代謝計画 |
実施内容を分けて考えることで、具体的な施策を考えやすくなります。詳しく解説します。
1.定員計画
定員計画とは、目標達成のために必要な人員数を算出することです。各従業員の役職から、おおよその人件費も計算できるため、目標達成に伴う支出金額の見込みも予測できるでしょう。人件費は、会社全体の経営方針を考えるうえでとても重要な要素なので、綿密な定員計画を立てることが大切です。
2.要員計画
定員計画で算出した人員数を、より詳しい計画に落とし込んだものが要員計画です。部門ごとに必要な人員数を割り出して、定員計画を深掘りします。
ここで重要なのは、従業員ごとの雇用形態を把握し、部門に合ったものをあてがうことです。結果を出さなければならない企業の根幹となる部門には、正社員を多めに配置するなどの対応が考えられます。
一方、必要以上に人件費を割けない部門には、アルバイトや派遣社員を配置するケースが多いです。人員数そのものを抑えるために、特定の職種やポジション、業務を外注に出すという選択肢もあるでしょう。
3.人員計画
人員計画では、「具体的に誰を配置するのか」という細部までの計画を詰めていきます。全人員数や人件費の総額を算出したあとに行うため、要員計画をブラッシュアップしていく形です。個人名を挙げ、各従業員の人件費を計算したうえで「新しく人員を採用するか」など、異動の有無を検討します。
定員計画、要因計画、人員計画、代謝計画をまとめて「人員計画」とあらわすこともあります。
4.代謝計画
代謝計画は、要員計画と人員計画を比べたうえで、見受けられる穴を埋めていきます。要員計画の際に必要な人員数を割り出したとしても、人員計画の内容に当てはめると、特定の部署の人員数が足りなくなるケースが多いからです。新卒採用や中途採用で新規採用人数を調整したり、異動内容を再検討したりして適切な計画になるように手直ししていきます。
人材配置の最適化で得られる効果
最適な人材配置ができると、具体的にどのようなメリットや効果があるのでしょうか。ここでは、代表的なものを3点ご紹介します。
1.生産性の向上 2.経費の削減 3.組織の活性化 |
生産性の向上
人材配置を最適化することで、無駄のない人員数で業務に取り組めるので、生産性の向上が見込めます。業務内容に対して人材のスキルが足りていなかったり、人員数が少なすぎると、業務を効率的に回すことが難しくなります。それによって各従業員の責任や仕事量が増大すると、ストレスの一因にもなります。
スキルに応じて適材適所の人材配置が実現できれば、スキルや適性のミスマッチが引き起こす人間関係のトラブルも避けられる可能性があります。結果的に組織全体のパフォーマンスが上がり、生産性の向上が見込まれるでしょう。
経費の削減
人材配置を最適化できると、経費が大幅に削減できます。定員計画、要員計画、人員計画、代謝計画において綿密な対策を立てれば、必要な部分のみに人件費を投入できるからです。
また、人材配置を通して従業員が新たにスキルを獲得するケースもあります。それによって外注業務を社内で完了することができれば、外注費用の削減になるでしょう。
さらに従業員の定着率も向上するため、退職に伴う新規の採用コストも削減できます。最適な人材配置は、離職防止対策にもなるのです。
組織の活性化
最適な人材配置によって、従業員が自身のスキルや適性が活かされ、ストレスなく働けるようになると、離職率も減少し、職場全体に活気が出てくるでしょう。自分自身のスキルが会社の役に立っているという気持ちになり、従業員エンゲージメントも高まります。
仕事に対するモチベーションが上がるため、業務の質も向上していくでしょう。
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誤った人材配置の取り組み方
現実的でない人材配置や、人材配置がうまく機能していないと、適材適所の人材配置のメリットは得られません。人材配置で最大限の効果を発揮するためにも、誤った取り組み方をご紹介します。
1.頻度が高い 2.構築コストをかけてしまう 3.「なんとなく」で決める |
1.頻度が高い
人材配置を頻繁に行いすぎると、従業員のスキルを伸ばしきれないまま、中途半端な人材育成を進めることになってしまいます。未経験の業務内容を含む部署に配置された従業員を、短期間で異動させることはなるべく避けましょう。スキル向上による成功体験を実感せずに、また新しい業務内容を覚えなければならず、本人にとってもチームにとってもよくありません。精神的負担やストレスも大きく、早期離職につながる危険性もあります。
一度人材配置を行ったら、すぐに結果を求めるのではなく、従業員の成長スピードを加味しながら、適宜見直しをすることが重要です。
2.構築コストをかけてしまう
人材配置を行うと、人間関係の構築コストが必然的にかかってしまうものです。信頼関係を一から築き上げるには、手間と労力がかかります。その結果、従業員は精神的に疲弊してしまいます。
パフォーマンス力も下がる可能性があるため、人材配置は従業員に負担を強いる機会でもあるとの認識を持ちましょう。
3.「なんとなく」で決める
根拠もなく「なんとなく」で人材配置を決めるのは、適材適所の人材配置とはいえません。従業員のスキルを管理して配置前にシミュレーションをするなど、会社の目指すべき方向性に沿って実施しましょう。そうしなければ人材育成や組織の活性化、生産性の向上など思ったような効果は期待できないからです。従業員ごとのスキルや経験をシステムなどで一元管理し、一定の根拠をもとに実施するとよいでしょう。
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最適な人材配置への取り組み方
人材配置を最適化するには、重要なポイントを押さえるとよいです。
1.現状を把握し、可視化する 2.従業員にヒアリングを行う 3.効果測定を実施する |
1.現状を把握し、可視化する
人材配置の実施前に、現状の組織の状態を可視化しましょう。どの部署にどれくらいのスキルを持った人材が集まっているのか把握できなければ、人員計画を進められないからです。人材配置表を作成し、雇用形態や業務内容、所有資格や経歴などをまとめるといいでしょう。
また、従業員の特性を把握するだけではなく、各部署が抱えているトラブルや問題点の明確化も重要です。人手不足の部署や、特定の従業員のみに業務が集中している部署などは、適切な人材配置によって改善が必要です。現状を正しく知ることから、適材適所の人材配置が実現できます。
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2.従業員にヒアリングを行う
人材配置の意思確認を行うために、従業員へのヒアリングも大切です。一定の方針に基づき、効果が期待できる人材配置だとしても、従業員自身が希望しない人材配置を強制することは望ましくありません。モチベーションの低下や離職率の上昇に結びつくからです。
たとえば人材配置の計画を立てる前に、従業員全員を対象にアンケートを行い、異動希望の有無を調査しておくのもおすすめです。積極的にコミュニケーションを取って、従業員の意見もある程度反映させた人材配置を検討しましょう。
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3.効果測定を実施する
人材配置の実施後は、確実に効果測定を行いましょう。売上高や成長率などのデータを収集し、人材配置の実施前後で比較します。従業員の満足度もアンケートなどを実施してデータを取っておくとよいです。
もしも人材育成や組織の活性化、コスト削減、生産性向上の観点からよい結果が出ているのであれば、成功例として蓄積し、次回の人材配置に活かすとよいでしょう。思ったような効果が見えない場合は、改善方法を検討する必要があります。
関連記事 社内アンケートの実施方法 |
人材配置の最適化して、組織の活性化を
適切な人材配置は、事業計画の達成や効果的な人材育成、生産性の向上や経費削減など、組織全体でさまざまなメリットがあります。人材配置を最適化するには、事前に配置シミュレーションを行うなど現状の把握や従業員へのヒアリングが重要です。同時に実施後の効果測定や見直しも欠かせません。従業員数が多い企業は、人材配置表の作成に手間がかかるため、専用のシステムを導入するのがおすすめです。
タレントマネジメントシステム『スマカン』は、従業員1人ひとりのスキルや経験をクラウド上に集約でき、最適な人材配置にお役立ていただけます。
部署に必要な人材の検索に加えて、ドラッグ&ドロップなどの簡単なマウス操作で人材配置のシミュレーションもできます。効果測定などに役立つアンケート機能も充実しており、組織の現状を把握することでタレントマネジメントを推進し、組織の活性化をお手伝いします。

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