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アルムナイの意味は? 採用メリット・デメリットや事例、制度導入やネットワーク構築のポイント

アルムナイの意味は? 採用メリット・デメリットや事例、制度導入やネットワーク構築のポイント

アルムナイとは、企業を退職した元社員のことをいいます。近年では、アルムナイを再雇用する「アルムナイ採用(制度)」を導入する企業が増えてきました。

当記事では、アルムナイ採用のメリットやデメリット、活用企業事例、制度導入やネットワーク構築のポイントについて解説します。

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    アルムナイとは? 意味や語源について解説

    アルムナイとは企業の退職者・離職者、OB・OGを指します。語源は「alumni」という英単語で、卒業生や同窓生という意味をあらわします。この語源から、人事領域におけるアルムナイは、企業を退職した元社員のことを指す意味で使われるようになりました。

    欧米をはじめとした海外企業では、優秀なアルムナイを再雇用する動きが盛んです。日本でも近年、アルムナイが人事戦略の一つとして注目を集めるようになりました。

    アルムナイ採用(制度)とは

    アルムナイ採用(制度)とは、自社を退職した元社員を再雇用することをいい、別名「再雇用制度」「カムバック制度」「出戻り自由制度」などと呼ばれることもあります。

    アルムナイ採用はもともと欧米で発祥した取り組みです。終身雇用が当たり前だった日本とは異なり、欧米ではキャリアを重ねる中で、一度退職した会社に出戻ることも珍しくありません。

    近年、日本でも退職後の元社員と関係性を続けるために、「アルムナイネットワーク」を活用する企業が増えてきました。

    アルムナイネットワークとは

    アルムナイネットワークとは、企業を退職・離職した元社員による同窓会のようなものです。アルムナイネットワークを構築することで、アルムナイの再雇用のみならず、アルムナイとの情報交換や取引先の紹介など、ビジネスにおいてさまざまなメリットがあります。

    アルムナイネットワークの形式に定義はなく、企業が会員制サイトを作成しコミュニティを構築する方法や、アルムナイ同士または現役社員も含めて交流会を行うなど、さまざまな方法があります。

    OB会・OG会・休職制度との違い

    「元社員による同窓会」というと、OB・OG会がありますが、アルムナイネットワークとは異なります。OB・OG会は主に「定年退職をした元社員」の集まりを指すのに対し、一般的にアルムナイは「転職を機に退職した元社員」のことを指します。

    OB・OG会は「親睦を深め交流を楽しむ場」であるのに対し、アルムナイは「ビジネスにおいてお互いに協力し合うための集まり」といったイメージです。

    また、会社を離れた社員が再び戻ってくる制度といえば「休職制度」がありますが、アルムナイ制度とは異なります。

    休職制度は「復帰を前提とした制度」であり、会社から離れている間もその会社の社員であることは変わりありません。一方でアルムナイ採用は「復職の前提なしで離職した元社員を再雇用する制度」だという違いがあります。

    アルムナイが人事・HRで注目されている背景

    アルムナイが人事・HRで注目されている背景には何があるのでしょうか。

    労働力不足の中で優秀な人材を確保するため

    アルムナイが注目される背景には、日本の少子高齢化による労働力人口減少が関わっています。労働力不足の中で優秀な人材を確保するためには、新たな人材を採用するコストをかけるよりも、ある程度の実力や人柄が把握できている優秀なアルムナイを採用した方が効率的だということです。

    雇用の流動性が高まっているため

    近年日本では、終身雇用が当たり前ではなくなりました。ライフスタイルやキャリアに合わせて転職することが一般的になり、人生のうちに複数の会社に勤めることの方が普通になってきています。

    このように雇用の流動性が高まる中で、アルムナイと継続的に関係性を築くことにより、再雇用や協業などの可能性を高めることができるため、アルムナイは人事・HRで注目を集めるようになりました。

    アルムナイは裏切り者から社外資産へ

    終身雇用が当たり前だった従来の日本企業では、会社を退職した元社員を「裏切り者」とみなす風潮がありました。しかし、労働人口の減少にともない優秀な人材の採用が難しくなってきた近年、退職した元社員であるアルムナイを「社外資産」とみなし、活用する企業が増えてきました。

    アルムナイ採用(制度)のメリット・目的・意義

    アルムナイ採用(制度)にはどのようなメリット、目的、意義があるのかについて、具体的に紹介します。

    採用や人材育成にかかるコスト削減

    アルムナイ採用(制度)は、人材の採用や育成にかかるコストの削減につながります。たとえば、アルムナイ採用を導入する場合、アルムナイ本人からの応募や、現役社員からの推薦が採用のきっかけになることが多いため、掲載費がかかる求人媒体を使用する必要はありません。

    また、新たな人材を採用する場合と比較して、アルムナイ採用は入社後のミスマッチが起こりにくいというメリットもあります。さらに、他社への転職やフリーランスとして経験を積んだアルムナイは、即戦力として活躍してもらえる可能性が高いため、育成コストの削減にもなるでしょう。

    企業ブランディング

    アルムナイ採用(制度)を導入することで、「退職者が戻りたいと思える会社」という印象がつき、結果として企業ブランディングにもつながります。退職者とポジティブな関係が続く企業文化は、現役社員や求職者から好印象を抱かれることが多いです。

    また、アルムナイが新たな知見を活かして活躍してくれることで、組織の活性化にもつながるでしょう。

    再雇用時に活躍が期待できる

    アルムナイが注目されている背景の一つとして「労働力人口不足の中で優秀な人材を採用するため」であることを紹介しました。アルムナイ採用を行う意義は、まさに「優秀な人材の確保」のためでもあります。

    採用担当者のよくある悩みとして、「応募は来るけどニーズに合った人材が見つからない」ということがあります。実際に採用に至る人材は、スキルや経験だけではなく、「自社の文化に馴染めるか」という点も重要になるでしょう。

    そこで、自社文化をよく理解しており、スキルを持ったアルムナイを再雇用することは、入社後に優秀な人材として活躍が期待できるというメリットがあります。

    採用・育成コストの削減や企業イメージの向上、そして即戦力になりうる優秀な人材の確保ができるという点で、アルムナイ採用にはメリットがあるといえるでしょう。

    アルムナイ採用(制度)のデメリット

    アルムナイ採用(制度)には、メリットだけではなくデメリットも存在します。アルムナイ採用を導入する前に、どのような点に気を付けるべきかを知っておきましょう。

    現役社員のモチベーション低下

    一度退職した元社員でもあるアルムナイを高待遇で再雇用すると、「なぜ長くこの会社で働いている自分よりもよい待遇なのか」と、現役社員が不満を抱いてしまう可能性があります。しかし、ある程度待遇がよくなければアルムナイ自身が不満を抱く恐れもあるため、バランスが大切だといえるでしょう。

    また、アルムナイ採用を導入することにより「退職しても誰でも復帰できる会社」だと思われ、現役社員のモチベーション低下につながってしまう恐れもあります。アルムナイ採用については、再雇用の条件やルール決めを徹底し、現役社員にも十分な説明を行うようにしましょう。

    情報漏えいに注意

    アルムナイ採用(制度)を導入するにあたって、アルムナイとの関係性を続けるために、交流を行う機会があるでしょう。その際、アルムナイは元社員だという安心感から「社外秘の情報を思わず漏らしてしまった」ということがないように注意が必要です。

    アルムナイとの交流の機会を設ける際は、現役社員に情報漏洩に関する注意喚起をするようにしましょう。

    アルムナイ採用(制度)では現役社員への配慮を

    アルムナイ採用(制度)は、主に現役社員への影響の面でデメリットが挙げられます。

    一度退職した元社員であるアルムナイを採用する際は、現場がポジティブに受け入れられるように配慮することが必要です。特に、アルムナイ制度について社内の理解が不十分だと不平不満が生じやすいです。アルムナイ採用制度を導入する際は、現役社員への説明やフォローを行うようにしましょう。

    アルムナイ採用(制度)の事例

    近年、日本企業でもアルムナイ採用(制度)を導入し、アルムナイネットワークを設ける企業が増えてきました。アルムナイネットワークは、企業が公式で設ける場合や、アルムナイの有志によって運営されている場合があります。実際に、アルムナイの活用事例をご紹介します。

    【事例1】サイボウズ株式会社

    ソフトウエア開発を行うサイボウズ株式会社では、主に以下のような取り組みを行っています。

    退職エンジニア向けイベントを開催

    サイボウズ株式会社では、退職したエンジニアを集めて、元職場であるサイボウズ株式会社についてディスカッション形式で語り合うというイベントが開催されています。イベントの最後には、アルムナイを含めた交流会の時間が設けられています。

    最長6年後に復帰できる「育自分休暇制度」

    サイボウズ株式会社では、「育自分休暇制度」というユニークなアルムナイ制度が設けられています。「離職の際に希望をすれば最長6年後に復帰が可能」という制度で、復帰ができるという安心感を持って、新たな挑戦をしてもらうことが目的だということです。

    参照:『Cybozu 辞めたエンジニア Meetup』

    参照:『ワークスタイル』サイボウズ株式会社HP

    【事例2】ヤフー株式会社

    ヤフー株式会社では、アルムナイの有志と現役社員が運営する「モトヤフ」というアルムナイネットワークを設けています。

    「モトヤフ」では、アルムナイ同士、または現役社員とアルムナイとの交流が盛んになることで、情報交換や新たなコラボレーションが生まれることを目指しているそうです。具体的にどのような取り組みを行っているのかをご紹介します。

    非公開Facebookグループ

    非公開Facebookグループを作成し、アルムナイ同士が自由に交流できる場を設けています。「モトヤフ」の参加者は、主にFacebookグループを通じて集められています。

    本社内で現役社員とアルムナイが交流

    本社にあるオープンスペースは社員以外の人も利用でき、現役社員とアルムナイとの交流の場としても活用されていました。オープンスペースでの交流をきっかけに、アルムナイ同士や現役社員との協業が実現することもあったそうです。

    新型コロナウイルスの影響で2020年2月よりオープンスペースの利用は休止されており、現在は主にオンライン上での交流を行っているとのことです。

    参照:『ヤフーの卒業生のつながりをつくる「モトヤフ」』

    アルムナイ採用(制度)導入のポイント

    アルムナイ採用(制度)を導入するためには、どのような準備が必要なのでしょうか。アルムナイ採用制度の導入におけるポイントを紹介します。

    アルムナイ採用の条件を明確にする

    アルムナイ採用(制度)を導入するためには、アルムナイが復帰するための条件を明確に定義しておくことが大切です。「誰でも復帰できる」という現役社員からの誤った認識を防ぐためにも、復職時に必要な経験やスキルを定めておくようにしましょう。

    アルムナイ採用(制度)について社内周知

    アルムナイ採用(制度)は、日本ではまだ一般的ではありません。よって、社員の中には退職者に対してネガティブなイメージを抱く人もいるかもしれません。アルムナイ採用を導入する際は、制度の概要や意図、目的などを社員に理解してもらい、社内周知を徹底するようにしましょう。

    アルムナイネットワーク構築のポイント

    アルムナイ採用(制度)を導入するには、退職後の元社員と継続的なつながりを持つために、アルムナイネットワークの構築も欠かせません。アルムナイネットワークを構築し、さらに活性化させるためのポイントを紹介します。

    退職後もつながりたいと思える企業であることが大前提

    大前提として、アルムナイが企業に対してポジティブな印象を抱いていなければ、アルムナイネットワークを構築しても参加にはつながりません。キャリアアップやライフスタイルの変化など、さまざまな事情で退職を選択した人を「裏切り者」と扱う風潮があると、アルムナイはその企業とつながり続けたいとは思わないでしょう。

    アルムナイネットワーク参加までの導線を整備

    アルムナイネットワークの構築方法には、企業側が会員制サイトを作成したり、SNSのグループ機能を活用する場合があります。

    アルムナイネットワークに参加してもらうために、退職時に希望者には登録を促したり、企業ページに案内を載せたり、アルムナイに参加を呼びかける必要があります。興味を持って参加してもらえるように、アルムナイネットワークの目的や意義を伝えましょう。

    まとめ

    アルムナイ採用(制度)を導入する企業が日本でも増えてきており、今後アルムナイ採用は一般的な制度になるかもしれません。

    アルムナイ採用を成功させるためには、大前提として「アルムナイが戻りたいと思える会社かどうか」という点が重要です。すでに退職している元社員との関係性をこれから構築することは難しいですが、今後アルムナイになる可能性がある、現役社員との関係性を改善することは可能です。アルムナイ採用の導入にあたって、まずは現役社員との関係性を見直してみてはいかがでしょうか。

    たとえば、タレントマネジメントシステム『スマカン』は、従業員満足度やエンゲージメントの調査機能を活用して、現役社員が自分の活躍や処遇に対してどれほど納得しているかなどの分析や調査ができます。調査結果をもとにした課題に対処することで、企業と現役社員との関係性の改善にもつながるでしょう。『スマカン』は、組織の活性化をお手伝いいたします。

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