• 2021.09.30
  • タレントマネジメント

コンピテンシーとは|行動特性を人事評価に活用する

コンピテンシーとは優れた業績を実現する人に共通する行動特性で、採用面接や人事評価に活用する会社が増えています。採用面接や人事評価にコンピテンシーを導入すると評価の客観性が高まるだけでなく、社員のスキルアップや会社の業績向上につなげられるのが特徴です。この記事では、コンピテンシーを面接や人事評価に取り入れるメリットや評価項目の具体例、コンピテンシーモデルの作り方を紹介します。

コンピテンシーとは

コンピテンシーの考え方を社内に浸透させるためには、優れた社員の行動特性を分析した上で教育研修やマネジメントに落とし込むことが大切です。まずは、コンピテンシーの意味や考え方が登場したきっかけ、注目度が高まっている背景について解説します。

コンピテンシーの意味

コンピテンシー(competency)とは、取り組む職務・役割に応じて高い業績を出し続けている人に共通する考え方の傾向や行動パターンです。能力やスキルのように決まった定義はなく、パフォーマンスの高い社員の仕事の進め方や知識・技術の使い方などを分析してコンピテンシーを見える化します。行動のきっかけとなる価値観や性格といった、社員の内面的な要素が重視されるのも特徴です。また、組織や部門に合った形でコンピテンシーが設定されます。

コンピテンシーを活用することで、社員一人ひとりの能力を高めて会社全体の生産性向上につなげることが可能です。ちなみに、competencyという英語には「有能な」「適性がある」「要求にかなう」といった意味が含まれています。

コンピテンシーが生まれた歴史

コンピテンシーの考え方はアメリカで生まれましたが、ビジネスの領域で導入され始めたのは1973年です。ハーバード大学のマクレランド教授が「行動結果面接」という手法を用いて、アメリカ国防省の職員に「なぜ開発途上国駐在期間に業績格差がつくのか?」という調査・研究を行ったのがきっかけでした。

その結果、動機や価値観・使命感といった潜在的な部分が行動の結果に影響することがわかりました。スキルや知識といった目に見える部分は氷山の一角にすぎない点を含め、「氷山モデル」としてコンピテンシーの考え方が基礎づけられたのです。

日本では1990年代からコンピテンシーが導入され始め、2005年には国家公務員試験の人物試験(面接試験)にもコンピテンシーの考え方が取り入れられています。なお、学校教育の現場では「キー・コンピテンシー」という形で、社会の多様化に対応できる柔軟な考え方を育成する取り組みが普及しています。

コンピテンシーが注目される背景

年功序列制度が崩壊して成果主義への移行が進むにつれて、社員のパフォーマンスを正当かつ客観的に評価する方法が課題として浮上してきました。育児・介護の両立やテレワークなど働き方の多様化に加え、残業時間の上限規制も導入されているため社員一人ひとりの生産性向上も求められています。

さらに近年は「VUCA(ブーカ)の時代」と呼ばれており、ビジネス環境の複雑さが増すだけでなく社会経済の先行きも予測しづらい状況となっています。「VUCA」という言葉はもともと軍事用語として使われていましたが、予測不可能な状態という意味合いで2010年頃からビジネス用語としても使われるようになりました。コロナ禍を受け、業種によってはビジネスモデルや働き方の抜本的な変革も求められているのが実情です。時代の変化に対応しながら会社の競争力と付加価値を高め、生き残りを図るためにもコンピテンシーが注目されています。

コンピテンシー評価のメリット

コンピテンシー評価では社員の行動特性に着目するため、生産性の向上や優れた人材の定着に効果を発揮します。評価基準も明確化され、社員の納得感が得やすいのも特徴です。コンピテンシーが人事評価にもたらすメリットを紹介します。

個人の業績UP・生産性の向上

コンピテンシー評価では、高いパフォーマンスを発揮している社員の行動特性をもとに評価基準を設定します。そのため、仕事の成功につながった行動パターンが他の社員にも明らかになり、社員の能力を高めて業績向上につなげられるのがメリットです。VUCAの時代では既存の考え方にとらわれず、環境の変化に対応しながら柔軟な姿勢で仕事にチャレンジする姿勢も加味されるでしょう。思うようにパフォーマンスが発揮できていない社員に潜在能力への気づきを促し、組織全体のレベルも底上げできます。

コンピテンシーを目標管理に活用して、社員に会社や組織の方向性を明確化することも可能です。行動特性に合わせて目標達成のプロセスを示せるため、主体的な行動を通じて社員一人ひとりの成長も期待できます。また、適材適所に社員を配置してパフォーマンスを最適化すると、会社全体の生産性向上も目指せるでしょう。

優秀な人材の確保・定着

コンピテンシー評価を行うことで、優秀な人材を確保した上で長期にわたって定着させる効果を期待できます。既存社員の行動特性と照らし合わせて採用する人材を決めるため、採用のミスマッチも防げます。試用期間にコンピテンシー評価を実施して、本採用するかどうかを見極めることも可能です。

評価のフィードバックを通じて、社員は上司・組織からの期待や評価を実感できるだけでなくモチベーションも向上します。発揮したパフォーマンスが認められ、なおかつ行動に対する課題も明確になるため、能力向上を目指しやすくなります。仕事のやりがいも実感できるので会社へのエンゲージメントが向上し、ノウハウが定着することで会社の競争力も高まるのです。

納得感のある評価

コンピテンシー評価では、社員の業績に加えて行動のプロセスも加味されるため、、高い客観性を保てるだけでなく社員の納得感も高まります。発揮したパフォーマンスに着目した評価なので、勤務時間数や働き方・雇用形態にとらわれない公正な評価が可能です。評価シートなどで項目や基準を明確にしておけば、評価のブレも少なくなります。

仮に目標を達成できなかった場合でも、行動の優れていた点や今後の課題について上司と社員が話し合いながら、次回の評価で高評価を得られるように促すことも可能です。その結果、信頼関係も高まると同時に評価への不満も減るでしょう。

コンピテンシー面接のメリット

採用現場でも、コンピテンシーの考え方を取り入れる企業が増えています。面接担当者による評価のブレを少なくできるだけでなく、質問内容や評価項目も統一可能です。採用活動でコンピテンシー面接を取り入れるメリットを紹介します。

入社後を見据えた採用

コンピテンシー面接を実施することで応募者の行動特性を把握し、入社後どのように活躍できるかを見据えた採用が可能です。応募書類に書かれた内容との矛盾を見抜き、採用のミスマッチも防止できます。

例えば、「課題を乗り越えたエピソードを聞かせてください」と質問して、課題だと認識した理由や克服する工夫などについて具体的に掘り下げると、応募者のコンピテンシーを把握できます。その上で自社に合った人材かどうかを見極め、入社後の適材適所の配置にもつなげることが可能です。採用する人材のコンピテンシーに合わせて入社後の教育研修のプログラムも調整できるため、早期の戦力化も期待できます。

面接官評価の統一性

コンピテンシー面接を取り入れることで、人事評価と同様に採用プロセスも客観化できます。服装やマナーといった第一印象に左右されやすい部分も、面接担当者の主観にとらわれず会社が求める基準でチェック可能です。

従来の面接では、学歴・経歴や担当者との受け答えといった目に見える部分を基準に合否を判定していました。担当者ごとに着目点が異なる場面もありがちでした。また、仕事で必要な能力を十分に把握できず、せっかく採用した人材が早期退職に至る事例もみられました。一方、コンピテンシー面接では会社が求める人材像をもとに、応募者の行動パターンに着目した質問を行います。行動パターンという共通の指標ができるため、面接官の評価基準も統一されるのです。

採用負荷の軽減

コンピテンシー面接では、モデルとなる行動パターンをもとに質問内容と評価項目をあらかじめ決めておくことができます。求人広告で会社が求める人材像を明確にしておけば採用基準の客観性が高まるのはもちろん、応募者をある程度絞り込めるため書類選考や面接の負荷も軽減されるでしょう。

コンピテンシー面接の導入前にモデルとなる人材の候補を洗い出して評価基準を決める手間はかかりますが、採用時のチェックポイントが整理されます。人事評価などのタイミングで、理想とする人材像を見直すことも採用のミスマッチを防ぐためには大切です。モデル人材の他に採用を避けたい人材像もパターン化しておけば、採用の精度も高まります。

コンピテンシーモデル化と項目例

コンピテンシーは会社や業種・職種によって異なるため、あらゆる場面に共通する指標はありません。そのため、コンピテンシーを人事評価や採用活動に活用する際は具体的なモデルの構築が必要不可欠です。コンピテンシーのモデルは、大きく3つのパターンに分けられます。

・理想型モデル
高いパフォーマンスを発揮する人材がいない場合に、企業が求める人材モデルを描いた上で評価項目に落とし込みます。目標やビジョンに沿って、達成可能なモデルを設計すると効果的です。

・実在型モデル
会社の中で高いパフォーマンスを発揮している人材を基準に、コンピテンシーモデルを設計します。高い業績を実現する姿をイメージしやすいのが特徴です。

・ハイブリッド型モデル
理想型モデルと実在型モデルを組み合わせたコンピテンシーモデルです。社員の能力を底上げすると共に、高いパフォーマンスを実現する社員に対しても成長を促す効果も期待できます。

評価項目の例

コンピテンシーモデルを実際の業務に当てはめるには、行動パターンの領域ごとに具体的な評価項目を設定することが重要です。コンピテンシーの分類方法はさまざまですが、今回はアメリカのライル・M. スペンサーとシグネ・M. スペンサーが開発した「コンピテンシー・ディクショナリー」での分類を紹介します。

達成行動

達成思考、秩序・品質・正確性への関心、イニシアチブ、情報収集

援助・対人支援

対人理解、顧客支援志向

インパクト・対人影響力

影響力、組織感覚(政治感覚)、関係構築

管理領域

他者の育成、指導、チームワークと協力、チームリーダーシップ

知的領域

分析的志向、概念的志向、技術的・専門的・管理的専門性

個人の効果性

自己管理、自信、柔軟性、組織へのコミットメント

適正な人事評価にはタレントマネジメントシステム

コンピテンシーは、社内で高いパフォーマンスを発揮している人が実践している行動特性です。コンピテンシーの考え方を人事評価や採用活動に利用する会社も増えています。自社に合ったコンピテンシーモデルを作成した上で適正に人事評価を実施し、社員全体の生産性向上につなげてみてはいかがでしょうか。

タレントマネジメントシステム「スマカン」では人事評価データを分析した上で個人のパフォーマンスや目標達成度を見える化できるので、自社ならではのコンピテンシーモデルの作成に効果を発揮します。人材の強みを把握して、採用力の強化につなげることも可能です。コンピテンシー評価は客観性が高く、人事評価に対する社員の納得度も高まります。自社に合った評価制度を構築するためにも、タレントマネジメントシステムの活用は有効です。

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