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クレド とは? 意味や導入方法、事例もご紹介
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クレドとは、企業の信念や行動規範を示すものです。企業の考えを浸透させたり、従業員の成長を促進させたりするためにも有効な手段の一つです。しかし、クレドをよく理解していないまま導入を進めてしまうと、あまり意味がありません。
そこで当記事では、クレドについて概要を解説しながら、導入方法やクレド導入の企業事例などもご紹介します。クレドについて興味を持っている経営層や人事担当者はぜひ参考にしてください。
目次(タップして開閉)
クレドとは
クレドとは、会社の企業活動における価値観や信条、行動規範を簡潔な言葉にしたものです。
クレドは企業経営を行うなかでの事実や経験から、企業改革や人材育成、組織開発、コンプライアンス強化などを目的としてつくられます。企業が展開するグループ企業と共有されることも特徴の一つです。
クレドの必要性
クレドが必要とされている背景は、企業の倫理観の欠如に起因します。
近年、食品偽装や個人情報漏えいなど、企業の不祥事が続いたことをきっかけに、企業倫理観の向上が重視されたり企業内部の統制が求められたりしています。
多くの企業がこうした流れを受け、自社の価値観や行動指針を具体的に示すことで組織全体として企業の社会的責任や意義への理解を深める必要があると考えました。そこで、コンプライアンス強化に役立つクレドが注目されるようになったのです。
クレドと類義語の違い
クレドには、いくつか混同しやすい言葉があります。それぞれの言葉を正しく理解しておきましょう。
経営理念や企業理念
クレドは経営理念や企業理念とも混同されやすいものですが、厳密には異なります。
企業理念や社訓は、企業の目的や社会的責任などを簡潔にあらわしたものである一方、クレドはより具体的かつ実践的な内容であり、従業員への浸透を目指したものです。
また、経営理念や企業理念は創業時に立てられるもので、企業の軸にもなるため簡単には変化しません。一方のクレドは時代に合わせた考え方でつくられるため、変化する可能性があるという点にも違いがあるでしょう。
つまり、クレドは「経営理念や企業理念を時代に合わせて補い、より現実的にすることで、従業員が体現しやすくするためのもの」と理解するとよいかもしれません。
ミッション
Mission(ミッション)とは、企業が経営を通して実現したいことや目指す姿をあらわすものです。
企業の目的や使命などが該当し、企業が何を実現し、社会にどのような貢献をしていくのかということを示したものです。
ビジョン
Vission(ビジョン)とは、企業が中長期的に目指す姿や進みたい道をあらわすものです。
企業の目標や方向性などが該当し、ミッションを前提として目指すべき姿や、将来像を示したものです。また、ビジョンは全従業員が理解し、1つの方向に進んでいくことが大切といえるでしょう。
バリュー
Value(バリュー)とは、企業が重視する価値観や信条、言動の指標をあらわすものです。
組織の一員として従業員が持つべき考え方や言動をより具体的に示したものです。バリューは企業経営を進めていくための土台となる大切な指標といえるでしょう。
クレドのメリット
クレドにはさまざまなメリットがありそうですが、具体的にはどのようなことが挙げられるのでしょうか。クレドの具体的なメリットについて、確認してみましょう。
従業員の意識改革
クレドを導入することで、従業員の意識統一や意識改革が期待できます。企業の価値観を従業員が深く理解できれば、高いモチベーションを維持して業務に取り組むことで目標を達成しやすくなります。
また、従業員の意識を改革できれば、企業全体のコンプライアンス強化にも効果があるでしょう。
人材育成の強化
クレドの導入は、人材育成にも効果が期待できます。クレドによって価値観や行動指針を常に確認できるようにしておけば、継続的な意識統一がはかれるようになるはずです。
継続的に意識統一ができていれば、企業の方向性を理解した言動をとれるようになり、求める人材の育成につながるでしょう。
組織力強化
クレドの導入によって、組織力強化も期待できます。意識改革を行い全従業員の目標や信念が一致すれば、全体的な団結力も向上するはずです。組織力が強化されれば、目標達成もしやすくなり、会社としての成長も見込めるでしょう。
コンプライアンス強化
クレドの導入は、コンプライアンス強化にも効果的です。従業員や組織として常識やモラルのある考え方や言動をとれるため、コンプライアンス違反を減らせるはずです。そもそもクレドがコンプライアンスをきっかけに注目されたことを踏まえても、倫理観の向上に役立つでしょう。
他社との差別化
クレドを導入することで、自社の価値観や行動指針を明らかにできます。外部にクレドを公表することで、間接的に経営戦略や自社の強みを示せるため、競合他社との差別化としても有効でしょう。
また、クレドによって従業員の意識統一がはかれるようになれば、企業の競争力にもつながります。競争力を強められれば、人材採用でも他者と差別化でき、優秀な人材確保が期待できるでしょう。
クレドの導入方法
クレドを導入するためにはどのような方法があるのでしょうか。一般的な導入方法の大まかなステップや手順について、ご紹介します。
1.代表者の選出とチームの結成
クレドの作成にあたり、組織のさまざまな部署から代表者を選出し、プロジェクトチームを結成します。一定の役職などに限定せず、一般社員から経営層まで幅広く集めることで、企業全体をあらゆる角度から見つめ、分析できるでしょう。
チームができたら経営理念や行動指針をもとに、今後の方向性や目指すべき姿、とるべき言動などを議論します。クレドは全従業員の指針になるため、議論を深めながら納得感のある内容を目指しましょう。
2.具体的な計画の立案
次に、クレドの作成に向けて目標やスケジュールなど、具体的な計画を立てましょう。クレド作成の目的を再確認し、いつまでにどのような方法でクレドを作成するのか、作成したクレドの浸透目安などを含めて計画します。
3.経営層への確認
次に、経営層への確認を行います。クレドは従業員のみならず、経営層も含めた会社全体で共有すべきものです。経営層の考え方とズレが生じないよう、認識のすり合わせが必要です。経営層が考える今後のビジョンや目指すべき姿などをヒアリングし、クレドに記載しましょう。
4.アンケート調査
クレドを浸透させるためには、全従業員に対するアンケート調査を行うことも重要です。クレドのプロジェクトチームだけで作成してしまうと、従業員が内容を正しく理解できなかったり納得感に欠けるものになってしまったりするかもしれません。
クレドを全員が共有すべきものとして意識統一をはかるためには、全従業員の意見を吸い上げたうえで、賛同されやすい内容を目指しましょう。
5.クレドを文章にして従業員に共有
クレドの作成では、文章化することが大切です。それぞれのステップで集まった意見をもとに、できるだけ端的でわかりやすい表現を心掛け、従業員が問題なくイメージできるような内容にします。
クレドの内容などが決まったら、全従業員に向けて共有を行います。共有方法には、説明会の実施や、メール、社内報などでの共有などがあります。
なかにはクレドカードとして、従業員が物理的に持ち歩いていつでも確認できるようにしている企業もあるため、自社でどのような方法が適切なのか検討してみましょう。
クレドの失敗例
クレドは、導入すればよいということではありません。クレド導入の際に起こりやすい失敗例についてご紹介します。あらかじめ失敗例を把握しておくことで、スムーズに進めることができるため、ぜひ参考にしてみてください。
トップダウンによるクレド導入
クレドを導入する際、経営層などからのトップダウンによる導入ではあまり意味がありません。
従業員の意見をヒアリングしなかったり、納得を得られないまま作成したりすると、クレドの役割は果たしにくいでしょう。決定権がある経営層の意見だけを取り入れてしまうと、現場に意見がまったく反映されず、従業員の反発を招いてしまう恐れがあるためです。
クレドを導入し、組織全体に浸透させるためには、従業員の意見を引き出すことが大切です。決定権は経営層が持ち、クレドの内容は従業員の意見を踏まえて作成するというスタンスでいることがクレド導入の失敗を防ぐポイントといえるでしょう。
クレドの共有ができていない
クレド導入において、クレドの目的やクレドの内容、導入後の運用について社内で共有することが大切です。さらに、クレド導入後の成果についても報告しましょう。
クレドの導入が結果的に成功している場合でも、報告をしなければ、経営層には伝わりにくいものです。また、組織全体でクレドを浸透させるためには、随時クレドに関する情報や運用報告を行うことで、従業員が自分ごととして捉えやすいでしょう。
クレドを活用した企業事例
クレドを活用した企業はさまざまあります。具体的にどのような企業がクレドを活用しているのか、事例も確認してみましょう。事例を参考に、クレド導入にお役立てください!
ジョンソン・エンド・ジョンソン株式会社
クレドの先駆者ともいわれているジョンソンエンドジョンソン株式会社では、クレドを「Our Credo(我が信条)」としています。1943年に三代目社長によって起草されてから現在に至るまで、事業運営の中核になっています。
同社のクレドでは以下のような内容を明記しています。
・我々の第一の責任は、我々の製品およびサービスを使用してくれる患者、医師、看護師、そして母親、父親をはじめとする、すべての顧客に対するものであると確信する。 ・我々の第二の責任は、世界中で共に働く全社員に対するものである。 ・我々の第三の責任は、我々が生活し、働いている地域社会、更には全世界の共同社会に対するものである。 ・我々の第四の、そして最後の責任は、会社の株主に対するものである。 |
参考:『我が信条(Our Credo)』ジョンソン・エンド・ジョンソン株式会社
楽天グループ株式会社
楽天グループ株式会社では、すべての従業員が実行するための価値観や行動指針を「楽天主義」としてブランドコンセプトと成功のコンセプトの二軸で立てています。
ブランドコンセプトでは、同グループの事業で実現しようとする価値観を次のように定めています。
・大義名分(Empowerment) ・品性高潔(気高く誇りを持つ) ・用意周到(プロフェッショナル) ・信念不抜(GET THINGS DONE) ・一致団結(チームとして成功を掴む) |
成功のコンセプトでは、ブランドコンセプトを実現するための共感や実現を目指し、成功のコンセプトを掲げています。
・常に改善、常に前進 ・Professionalismの徹底 ・仮説→実行→検証→仕組化 ・顧客満足の最大化 ・スピード!!スピード!!スピード!! |
また、ブランドコンセプトのもと、倫理感向上のため「楽天グループ企業倫理勲章」を定め、社会貢献や社会共生を目指しているということです。
まとめ
クレドとは、企業全体として従業員が持つべき価値観や行動指針を明文化したものです。明文化することで従業員がいつでも確認でき、具体的な行動を取る際にも役立ちます。
クレドには、経営理念や企業理念、ミッション・ビジョン・バリューなどの混同しやすい言葉があるため、正しく理解しておきましょう。
また、クレドにはさまざまなメリットがありますが、クレドを導入し運用するためには方法や注意点を知っておく必要があります。効果的なクレド運用を行うためにも、クレドを導入する際にはじっくりと議論を重ねたうえで計画を立て、社内全体からの賛同を得やすいような内容を検討しましょう。
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