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介護の人員配置基準とは? 3対1の意味や常勤換算法を解説

介護の人員配置基準とは? 「3対1」の意味、常勤換算法、例外について解説

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福祉・介護業界では国が定めた「人員配置基準」があります。介護施設の担当者は、必ずこの基準に沿った人員配置を行わなければなりません。そもそも福祉・介護業界における「人員配置基準」がよくわかっていない方もいるかもしれません。

当記事では、介護施設や介護サービスの担当者が押さえておきたい人員配置基準の3対1、常勤換算法などについて詳しく解説します。

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目次(タップして開閉)

    人員配置基準とは

    人事配置基準とは、介護施設における人員体制のこと。介護施設では、施設ごとに入居者数に対して必要な配置人数が設定されています。この目的はスタッフが連携し、高品質な介護サービスを提供することです。

    人員配置基準は、施設の規模や種類によって異なります。なお、一部の介護施設では人員配置基準を設けていないこともあります。

    人員配置基準の「人員」とは

    介護業界における人員配置基準の「人員」とは、介護職員や看護職員、ケアマネジャーなど介護に携わる人のことを指します。人員配置基準の人員には主に次のような職種があります。

    職種役割
    介護職員食事、排せつ、入浴、掃除など生活全般のサポート
    看護職員利用者の健康管理など
    生活相談員利用者や家族からの相談や医療機関との連絡調整
    機能訓練指導員利用者のリハビリなど
    ケアマネジャー介護ケアプランの作成
    入居相談員入居に関する相談、契約への対応

    ただし介護施設の種類や規模により、配置が必須ではない職種や、求められる知識・経験なども異なります。

    人員配置基準「3:1」とは

    人員配置基準「3:1」という言葉を耳にしたことがある人も少なくないかもしれません。これは、入居者3人に対し1人の介護職員または看護職員を配置しなければならないという意味です。

    介護保険法に基づき、介護施設は入居定員に対して職員配置数の必須基準が決められています。ここで注意したいのは、3人に1人の介護・看護スタッフが常駐しているわけではないということです。常勤スタッフの総数が「3:1」であるという意味です。

    各施設の人員配置基準

    人員配置基準の規定は介護施設ごとに異なります。ここでは、施設の種類ごとに定められている人員配置基準についてご紹介します。

    有料老人ホーム(介護つき・住宅型)の人員配置基準

    介護つきと住宅型の2種類がある有料老人ホームのうち、住宅型有料老人ホームは、比較的元気な人が利用することが想定されているため、人員配置に関する基準は特に設けていないのが一般的です。多くは施設が提供するサービスに対し、適切な人員が配置されています。

    一方、介護つき有料老人ホームの人員配置は以下の通り、介護保険法に基づいた最低基準が設けられています。

    職種人員配置基準
    介護職員看護職員と併せて要介護者3名に対して1名以上
    看護職員入居者30名以下は1名以上(入居者50名増ごとに1名追加)
    生活相談員1名以上
    機能訓練指導員1名以上
    ケアマネジャー1名以上

    ※いずれも常勤

    グループホームの人員配置基準

    グループホームは認知症を対象にした少人数制の介護施設です。そのため、スタッフには認知症ケアに関する知識を持ったスタッフが比較的多く配置されています。グループホームは1ユニット5〜9名、2ユニットまでが最大定員とされています。グループホームの人員配置基準は以下の通りです。

    職種人員配置基準
    介護職員看護職員と併せて利用者3名に対して1名以上
    ※常勤
    ※夜間は共同生活の住居(=ユニット)ごとに1名
    計画作成者1ユニットにつき1名(内1名以上はケアマネジャーの有資格者)
    管理者1ユニットにつき1名(管理者研修修了者)
    ※常勤
    代表者事業所に1名(認知症対応型サービス事業開設者研修修了者)

    サービスつき高齢者向け住宅の人員配置基準

    高齢者向け住宅は、安否確認などのサービスがついた賃貸住宅です。介護の必要がない、あるいは要介護度の低い高齢者が住む「一般型」と、要介護度が高く、介助サービスが必要な高齢者が住む「介護型」に2種類に分かれます。高齢者向け住宅における人員配置基準は以下の通りです。

    職種人員配置基準
    介護職員日中1名以上
    看護職員日中1名以上(介護型)

    ※いずれも常勤

    「一般型」では外部の介護サービスを利用したり、オプションで夜間のトイレの付き添いなどを依頼する人もいます。

    ケアハウス(軽費老人ホーム)C型の人員配置基準

    ケアハウスは、「軽費⽼⼈ホームC型」と呼ばれることもあります。家庭での生活が困難な60歳以上の高齢者を対象に、⾃⽴した⽣活を送れるよう制度化した低所得者向け介護施設です。

    軽費老人ホームにはA型、B型、C型とありますが、A型とB型については介護保険法施⾏以前に建てられた古いものなので、新設は認められていません。

    現在ではケアハウス(C型)が主流となっています。ケアハウスは、高齢者向け住宅と同様に、要介護度の低い人向けの「一般型」と要介護度が高い人向けの「介護型」の2種類があります。ケアハウスにおける人員配置基準は以下の通りです。

    職種人員配置基準
    介護職員看護職員と併せて要支援者10名につき1名、要介護者3名につき1名
    ※常勤
    看護職員入居者30名以下は1名以上(入居者50名増ごとに1名追加)
    ※常勤
    施設長1名
    生活相談員入居者100名につき1名
    計画作成者要支援者と要介護者の合計で100名につき1名
    機能訓練指導員1名以上

    デイサービス(通所介護)の人員配置基準

    デイサービス(通所介護)とは、要介護状態の利用者が通い、入浴、排せつ、食事などの介護や機能訓練を行い、生活機能の維持または向上を目指す日帰りサービスを指します。利用者が10名以上のデイサービス(通所介護)における人員配置基準は以下の通りです。

    職種人員配置基準
    介護職員利用者15名につき1名以上
    利用者16名以上は5名増ごとに1名追加
    看護職員1名以上
    管理者1名
    生活相談員事業所ごとに1名
    機能訓練指導員1名以上

    訪問介護の人員配置基準

    訪問介護とは、要介護者が日常生活を困難なくおこなえるように、スタッフが利用者の自宅に訪問し、食事や入浴などの介助を行うサービスです。訪問介護における人員配置基準は次の通りです。

    職種人員配置基準
    介護職員2.5名以上
    ※常勤
    サービス提供責任者利用者40名につき1名以上
    ※常勤換算の場合、介護職員と兼務可
    管理者1名以上
    ※常勤、介護職員と兼務可

    公的介護施設の人員配置基準

    公的介護施設とは、地方自治体や社会福祉法人、医療法人が主な設置主体となる施設を指します。特別養護老人ホーム(介護老人福祉施設)、介護老人保健施設、介護療養型医療施設がこれにあたります。

    要介護度の高い方を対象としているため、医師など、より専門性の高い職種の配置が求められています。公的介護施設における人員配置基準も、介護職員または看護師についてはおおよそ「3対1」が定められています。ただし、介護療養型医療施設は長期療養を必要とする方を対象とする施設のため、100床あたり17名以上とされています。

    人員配置基準のルール

    人員配置基準の条件には「常勤換算」という言葉がよく出てきます。ここでは必要な人員配置人数を算出するのに必要な「常勤換算」に関して解説いたします。

    常勤換算とは

    常勤換算とは、その事業所で働く平均職員数のことを指します。各事業所では事業所で働くスタッフ全員が正社員で常勤勤務しているわけではありません。パートやアルバイトなどの時短勤務スタッフもいるかもしれません。

    非常勤スタッフとフルタイム勤務のスタッフを同じように「1名」と数えてしまうと、実際の現場では人員配置基準に満たないケースも出てきてしまいます。そうならないように非常勤スタッフの勤務時間を「常勤スタッフが何人働いているか」に換算し、人数を出します。

    常勤換算の計算方法【基本式】

    常勤換算する計算方法は、非常勤スタッフの総労働時間を常勤スタッフが1か月に労働すべき時間で割るというものです。そして常勤スタッフの人数と足し算します。勤務時間は、週の総労働時間で計算することが多いようです。

    常勤換算の計算式
    常勤換算(人)=非常勤の総労働時間➗1人の常勤が勤務すべき時間

    常勤換算の計算方法【具体例】

    常勤換算について、具体的に数字を当てはめて計算してみましょう。ある事業所の常勤スタッフの勤務条件が「1日8時間、週5日(週40時間/月160時間)」のケースで考えてみます。

    ・(常勤)Aさん…週/40時間勤務 
    ・(常勤)Bさん…週/40時間勤務 
    ・(非常勤)Cさん…週/30時間勤務 
    ・(非常勤)Dさん…週/20時間勤務 
    ・(非常勤)Eさん…週/15時間勤務 

    まず最初に、非常勤スタッフの週の総労働時間を足します。

    30+20+15=65(時間)…(A)

    次に、(A)を1人の常勤スタッフが週に勤務すべき時間(=40時間)で割ります。

    65÷40=1.625 …(B)

    最後に、(B)と常勤スタッフの人数を足します。

    1.625+2=3.625(人)

    小数点以下第2位以下は切り捨てなので、この事業所の常勤換算人数は、3.6人になります。なお、常勤換算は1か月の全スタッフの総労働時間を1人の常勤スタッフの総労働時間で割っても、導き出せます。上の例で計算すると、以下の通りです。

    (40+40+30+20+15)÷40=3.625(人)

    常勤換算は「実際に仕事に従事している時間」を計算するものです。非常勤スタッフの休暇や出張など、本来の業務に携わっていない場合は常勤換算上の勤務時間に含まないので注意しましょう。また常勤であっても、休暇や出張の期間が1か月を超えるケースでは、勤務していないものとみなし、計算には含めません。

    人員配置基準を違反した場合

    介護施設において人員配置基準は厳守しなければならないルールです。しかし人員配置基準の人数をギリギリで運営している施設などでは、スタッフの急な退職などにより基準に外れてしまうケースもあるでしょう。もし、人員配置基準に満たない場合、事業所の指定取り消しや効力の停止処分などがされる場合もあります。

    人員配置基準の例外

    基本的には厳守しなければならない人員配置基準ですが、場合によっては例外となるケースもあります。代表的な例は次のような場合です。

    経過措置中

    たとえば関連法の改正が行われる場合、旧制度から新制度へ移行中や移行完了後に不利益や不都合などが起きないよう、一時的に基準が緩和されることがあります。

    緊急事態

    近年では新型コロナウイルス感染拡大といった緊急事態により、一時的に人員配置基準や運営基準などを満たせなくなるケースがありました。その際は、介護報酬、人員、施設・設備及び運営基準などについて臨時的に柔軟な取り扱いを行うことが厚生労働省により発表されました。

    人員配置基準 緩和の動き

    少子高齢化が進むなか、人員配置基準において緩和する動きも見え始めています。

    介護職員の人員配置基準は「4:1」へ?

    2021年12月20日に行われた規制改革推進会議では、現状の人員配置基準について見直される提言がされました。具体的には介護職員の人員配置基準「3対1」人員配置基準から「入居者4名に対し介護職員1名」とする案が示されたのです。

    しかしサービスの質の低下やスタッフの過剰労働、離職に対する懸念の声も上がっています。政府は2022年度に介護ロボットなどのITやデジタルを活用した実証事業を通して、生産性の向上と人手に関わるデータを集める方針であることを述べていますが、先行きは不透明です。(2021年12月時点)

    2040年には69万人の介護スタッフ不足が予想されているなかで、介護における人員配置基準の見直しは、速やかに進めていかなければならない課題といえます。

    まとめ

    介護施設では人員配置基準に沿った配置が求められています。しかし、今後も介護職員の不足が予想され、法改正なども定期的に行われる可能性があり、そのたびに人事担当者は適切な人員配置を見直さなければなりません。担当者は効率的にスタッフの管理を行う必要があるでしょう。

    最近では、他業界でも人を資本と見なし積極的に人材を活用する企業が増えています。「人員配置」「人材配置」といい、個々のスキルや能力を把握して適材適所に部署やチームに配置することで、能力を最大限発揮してもらおうという考え方です。

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