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人事評価エラーとは? 種類とその対策、評価バイアスについて解説

人事評価エラーとは-種類とその対策評価バイアスについて解説

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人事評価エラーとは、評価者の思考や価値観などに影響され、正しく評価ができない現象のことです。近年では、年功序列から成果主義に移行する企業も増え、従業員の能力やスキルに対する適切な評価が求められています。公平で客観性のある評価をするために、人事評価エラーが発生することは念頭に入れ、可能な限りの対策が必要でしょう。

当記事は、人事評価エラー11種類とそれぞれの対策方法を解説します。「人事評価エラーがわからない」「人事評価エラーを減らして適切な評価を実施したい」という企業の人事担当者やマネジメント層、経営者は、ぜひチェックしてみてください。

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目次(タップして開閉)

    人事評価エラーとは

    人事評価エラーとは、評価する立場の人間が自身の思考や価値観に左右され、誤った評価をすることです。

    基本的に人事評価エラーは「無意識」のうちに発生するため、エラーに気づかないケースも多いです。人事評価は人が実施するため、人事評価エラーの完全な排除は難しいでしょう。しかし対策を講じることで人事評価の精度は上がり、より適切な運用に役立ちます。

    人事評価エラーの問題点

    人事評価エラーは何が問題なのでしょうか。問題は大きく分けて以下の2点です。

    ・待遇や配置が不適切になる
    ・従業員エンゲージメントの低下

    待遇や配置が不適切になる

    人事評価エラーに影響された評価結果に基づく待遇や配置は適切とはいえません。適材適所の配置とはいえず、評価に不満を抱く社員もあらわれるでしょう。結果的に従業員のパフォーマンスを落とし、組織の生産性を落としてしまうかもしれません。

    従業員エンゲージメントの低下

    人事評価エラーによって誤った評価をされると、従業員が企業に不満を抱え、精神的なストレスを抱えることもあるでしょう。頑張りを正しく評価されないと、企業に対する信頼やエンゲージメントが低下し、最悪の場合は離職につながるかもしれません。

    人事評価エラー11種類と具体例

    人事評価エラーを回避するには、エラーの内容を理解し、誰もが人事評価エラーに陥るということを理解する必要があります。

    人事評価エラー11種類の概要と具体例を解説しますので、意識的に回避できるよう気をつけてみるのがおすすめです。

    1. ハロー効果
    2. 中心化傾向
    3. 寛大化傾向
    4. 逆算化傾向
    5. 論理誤差
    6. 対比誤差
    7. 期末誤差(近接誤差)
    8. 極端化傾向
    9. 厳格化傾向
    10. 親近効果
    11. アンカリング

    ハロー効果

    ハロー効果とは、評価対象者の目立つ特徴に影響を受けて、ほかの評価項目も同様に引っ張られてしまうことです。目立つ特徴が良いものであればほかの項目もよいものと判断され、悪いものであればほかの評価項目も悪いものと判断されます。

    ハロー効果のハローはhalo(光)を意味し、hello(こんにちは)とは別物です。光に目がくらみ、正しい評価ができなくなることが由来になっています。

    ハロー効果の例
    ・一流企業の出身というだけで、仕事ができると評価する
    ・中卒者は、根気が足りないと決めつける

    中心化傾向

    中心化傾向とは、被評価者のスキルや意欲にかかわらず、評価の中間値をつけてしまう人事評価エラーです。評価者が評価業務に自信がないケースや、周囲に過度な配慮をしてしまう場合に発生しがちです。

    中心化傾向の例
    ・5段階評価で、無難に「3」をつける人が増える

    寛大化傾向

    寛大化傾向とは、評価結果が実際より甘くなる人事評価エラーです。背景には評価者の「頑張っている部下の評価をよくしたい」や「評価を厳しくすると嫌われるかもしれない」といった心理が隠れています。

    寛大化傾向の例
    ・部下の反発を防ぐため、C評価ではなくB評価をつけた
    ・一生懸命頑張っている部下なので、甘めな評価にした

    逆算化傾向

    逆算化傾向とは、先に評価結果を決めたあとに、辻褄が合うよう調整する人事評価エラーのことです。「企業の都合」や「煩雑な評価が面倒だ」といった背景から、生じがちなエラーです。

    逆算化傾向の例
    ・賞与に影響がない程度に、評価内容を調整する
    ・マネージャー職に昇格させるために、条件に合う評価をつけた

    論理誤差

    論理誤差とは、事実とは関係なく評価者の憶測などによって評価をくだす人事評価エラーです。評価者が考える「論理的な道筋」によって、評価結果がつけられます。

    論理誤差の例
    ・リーダー経験があるため、コミュニケーション能力を「A」にした
    ・高校中退者なので、業務能力は低いと評価した

    対比誤差

    対比誤差とは、評価者が自身の能力などと被評価者を比較し、評価をつける人事評価エラーです。自分の得意分野には厳しい評価をつけ、苦手分野には甘い評価をつけるなどがあげられます。

    対比誤差の例
    ・自分より業務処理速度が遅い部下たちを、すべて悪い評価にする
    ・自分が事務処理を苦手とするため、事務担当者の評価が甘くなった

    期末誤差(近接誤差)

    期末誤差(近接誤差)とは、評価期間の期末に生じた出来事に、評価全体が影響を受ける人事評価エラーです。期末誤差が常態化すると、期末のみに頑張る従業員が出てくるという弊害もあります。

    期末誤差(近接誤差)の例
    ・期首にミスをした部下より、期末にミスをした部下の方が「悪い評価」だった
    ・期首に成果をあげても、評価に反映されない

    極端化傾向

    極端化傾向とは、評価が「平均値に偏る」点を気にするあまり、必要以上の差をつけてしまう人事評価エラーです。平均値に偏る中心化傾向の人事評価エラーとは、逆の現象だといえます。

    極端化傾向の例
    ・メリハリをつけるため、部下に「最高評価」か「最低評価」しかつけなかった
    ・部下にハッパをかけたいと考え、実際よりも悪い評価をつけた

    厳格化傾向

    厳格化傾向とは、実際よりも厳しい評価をつけてしまう人事評価エラーです。部下の悪い面に焦点をあてがちな人や、自信が優秀な場合に発生しがちなエラーです。

    厳格化傾向の例
    ・技術者として優秀な上司が、新人技術者の不慣れな様子に厳しい評価をつけた
    ・厳しくすることで部下が育つと考え、5段階評価の「1~3のみ」で評価した

    親近効果

    親近効果とは、共通点がある人に対して評価が甘くなる人事評価エラーです。「出身大学が同じ」や「同じ趣味をもつ」などの理由で被評価者に親近感を抱いていると発生する傾向にあります。部下とプライベートでつきあいがある場合にも、生じがちな人事評価エラーです。

    親近効果の例
    ・出身大学が同じで良い印象を持っており、甘い評価をつけてしまった
    ・プライベートで一緒にサッカーをするとき、よく働いてくれるのでよい評価をつけた

    アンカリング

    アンカリングとは、最初の印象によって、評価結果が影響される人事評価エラーです。

    アンカリングの「アンカー」は、船が流れるのを防ぐ「碇」を指します。たとえば部下の自己評価がアンカーになり、評価に結果を及ぼします。

    アンカリングの例
    ・部下の自己評価が4だったので、同じように4をつけた
    ・初対面の印象がよかったため、以降ずっと評価が高い

    人事評価エラーが起こる原因

    人事評価エラーが起こる原因は、人が人を評価するときにバイアスが発生するからです。

    バイアスとは、思い込みや価値観によって、思考や行動に偏りが出ることを指します。バイアスが発生すると、正しい判断ができなくなります。

    評価者である管理職・マネジメント層は、バイアスは必ず起こるものと肝に銘じて可能な限り配慮する必要があります。

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    人事評価バイアスとは

    人事評価バイアスとは、人事評価制度を実施する際に、公平、納得、適切を妨げるバイアスのことです。

    人事評価エラーを招く人事評価バイアスには、以下の3種類があります。

    認知バイアス

    認知バイアスとは、先入観や思い込みから、非論理的な判断をする現象です。たとえば、黒髪の人を見て「真面目な人に違いない」と思うことは、認知バイアスだといえます。

    確証バイアス

    確証バイアスとは、自分に都合のよい情報のみを収集したり、都合の悪い情報を見ないで物事を判断することです。たとえば、科学的根拠がないにもかかわらず「几帳面な〇〇さんは、やはり血液型がA型だった」と決めつけるケースも確証バイアスに当てはまるでしょう。

    後知恵バイアス

    後知恵バイアスとは、物事が発生したあとに「そうだと思った」などと言い、予測可能

    だったと捉える現象です。本人は、結果に左右されていることに気づいていません。

    たとえば部下がミスをした直後に「やっぱりミスすると思ったよ」と言うことは、後知恵バイアスといえます。

    人事評価エラー/バイアスへの対策

    人事評価エラーや人事評価バイアスにはどのように対処すればいいのか。

    人事評価エラーや人事評価バイアスの対策をご紹介します。

    人事評価エラーは誰にでも起こりうると認識する

    人事評価エラーは、どんなに経験を積んだ人でも起こりうるものです。人事評価は人が実施するもの。評価者研修などで指導したとしても、すべての従業員が人事評価エラーを起こす可能性があります。

    「自分は人事評価エラーを起こさない」「あの人なら人事評価エラーは発生させないだろう」といった考えは、誤った認識なので注意しましょう。

    明確な評価基準を設定する

    人事評価エラーを減らすには、明確な評価基準を設定するといいでしょう。評価基準があいまいだと、評価者の主観に偏りがちになり、より人事評価エラーに影響されやすくなるでしょう。

    評価基準をすり合わせる

    人事評価エラーを防ぐために、評価基準を明確にしたあとは、評価者同士ですり合わせることも大切です。

    評価項目や基準は、評価者に周知し、必要に応じて研修なども実施すると人事評価エラーの軽減につながります。

    具体的目標に基づいて評価する

    人事評価エラーを減らすには、評価者の主観や思い込みを可能な限り排除する必要があります。具体的な目標設定とその達成度に基づいた評価制度は、評価者の主観に偏るのを軽減できるでしょう。

    複数評価者による評価

    人事評価エラーの発生を抑制するには、360度評価などの多面的な視点による評価が有効といえます。複数の評価者によって意見が偏らないように配慮しましょう。また、自己評価を踏まえたうえで一次評価者、二次評価者と段階的に多様な視点を取り入れることも人事評価エラーの軽減につながるでしょう。

    評価者研修の実施

    人事評価エラーを認識してもらうために、評価者研修の実施も必要です。総合的に評価者の評価スキルの向上を促しましょう。

    フィードバック面談

    評価制度の効果を高めるには、定期的に目標を振り返る機会が必要です。フィードバック面談によって、従業員のモチベーションや心境の変化がわかりやすくなります。

    目標設定を柔軟に見直し、人事評価エラーによる影響が出ていないかなどをチェックするようにしましょう。

    事評価後の甘辛調整

    人事評価の甘辛調整とは「厳しすぎる評価」や「甘すぎる評価」など評価の偏りを事後的に調整することです。

    人事評価エラーによって厳しすぎる評価や甘すぎる評価が起きていないかチェックし、影響を軽減させましょう。評価の偏りを調整することで、人事評価の公平性を保つことができます。

    まとめ

    人事評価エラーは誰にでも起こるものですが、放置すると従業員の不満を放置することになりかねません。人事評価エラーの影響を抑える仕組みづくりや事後対応が必要です。

    人事評価エラーを減らし、公平に評価するには

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