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人事制度の設計方法|構築の流れやポイントを解説
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人事制度の設計は、人材マネジメントにおいてだけでなく、企業ビジョンの実現のためにも重要です。しかし、目的が不明瞭だったり、適切な方法で進めないと中身のない人事制度になってしまい、運用にも失敗する恐れがあります。
近年は働き方改革やジョブ型雇用の影響もあり、改めて人事制度の設計に着手する企業も多いようです。
当記事では、人事制度の適切な設計方法や構築手順、注意点などを解説いたします。「自社で人事制度を設計したい」「戦略的な人事制度を構築したい」とお考えの人事担当者や経営者、マネジメント層はぜひお役立てください。
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目次(タップして開閉)
人事制度設計とは
人事制度とは、経営資源の一つに位置付けられる「ヒト」、人材に関するルールや仕組みのこと。
つまり人事制度設計とは、人材管理のルールや仕組みをつくることを指します。
人事制度の最終目的は、人材を管理するためだけでなく、企業ビジョンの実現や人事戦略の遂行のためにあります。人事制度を設計し、適切に運用するためには、目的の明確化が必要です。昨今は、経営戦略と連動した戦略人事を進める企業も多く、人事制度は設計から戦略的に進められる傾向にあります。
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人事制度設計の目的
人事制度を設計する主な目的は、企業ビジョンや経営目標の実現と社員のモチベーションやエンゲージメントの向上です。
経営戦略と連動した人事制度の設計によって、経営目標の実現を後押しし、企業の成長につなげられます。また、設計された人事制度によって、企業が目指すべき方向性が明確になるので、全社的にチームワークが高まり、同じビジョンに向かって業務に取り組むことができるでしょう。社員自身も注力するべきことがわかり、頑張りが昇給や昇格に反映されやすくなるので、モチベーションやエンゲージメントの向上につながります。
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人事制度の要素と設計ポイント
人事制度は、等級制度、評価制度、報酬制度の3つから成り立っています。
人事制度設計では、この3要素の構築に着手します。
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等級制度
等級制度とは、従業員に求める能力や役割、スキルなどを等級ごとに分類する制度です。一般的には、職務等級制度(ジョブ型)、能力等級制度(メンバーシップ型)、役割等級制度(ミッショングレード) に分類されます。
等級制度の設計ポイントは、優劣をつけないことです。あくまでも等級ごとに社員を振り分ける制度で、成長過程として等級を設定するイメージです。制度設計・構築の際は、複数のキャリアコースの用意と明確な評価基準の設定が必要です。どれほど成果・業績を上げ、どれほどの能力があると判断されれば、昇格(または降格)させるのか、決めましょう。
評価制度
評価制度とは、企業が示す行動指標に対して、従業員の業務や貢献度などを評価する制度です。一般的に評価制度と等級制度や報酬制度は連動しており、評価結果がよいと等級や報酬も上がります。
評価制度の設計ポイントも、基準が重要になります。どれほどの成果や能力、行動、情意評価を用いて社員を評価するのか、あらかじめ設定する必要があります。
報酬制度
報酬制度とは、等級や評価結果に基づき、従業員への報酬を決定する制度です。報酬とは、給与や賞与だけでなく、研修の機会や権限の移譲など非金銭的な報酬も含みます。
報酬制度の設計ポイントは、シンプルでわかりやすいことです。設計・構築の際は、等級制度や評価制度と同様に、どれほどの成果や能力に対して、金銭的な報酬を支払うのか、それとも金銭ではない報酬を支払うのかを定める必要があります。
人事制度の設計方法・構築手順
人事制度の設計方法・構築手順について解説します。
1.方向性の決定
人事制度設計の方向性をまずは決定します。企業ビジョンや事業戦略が明確であると決定しやすいでしょう。
人事制度設計の方向性は、人事戦略の骨格をあらわします。企業ビジョンや事業戦略とリンクしたものであるか、検討する必要があります。
2.現状の把握
人事制度設計の方向性が決まったら、現状を把握します。
自社の人事制度の自社課題などを明らかにするには、たとえば社内アンケートの実施も一つの策です。従業員の声に意見を求め、課題を見える化しましょう。その際は、企業理念の浸透状況も参考にするといいです。
3.アウトラインの設計
人事制度設計によって解決すべき課題が把握できたら、人事制度のアウトラインを設計します。
人事制度のアウトライン設計では、先に述べた等級制度、評価制度、報酬制度の観点からそれぞれの基準を明確にします。
等級制度 | 社員を振り分ける等級を定め、どのような基準(成果や能力)で等級を与えるのか |
---|---|
評価制度 | どのような行動(情意)によって評価するのか |
報酬制度 | 等級制度や評価制度に基づき、どれほどの評価で、報酬に反映させるのか。 どんな報酬(金銭的or非金銭的)を与えるのか |
4.マニュアルや手順書の準備
人事制度のアウトラインが設計できたら、運用マニュアルや手順書を用意します。その際は、法的に問題がないかも必ずチェックしましょう。運用後の問題発覚は、余計なコストを生み出すだけでなく、法的な罰則や損害賠償請求が発生するリスクがあります。
5.人事制度の周知
人事制度の運用マニュアルができたら最後に、設計した人事制度を社員に周知します。周知と理解がされていないと、運用がうまくいかないこともあります。周知方法は、面談や研修会などの機会を利用するといいでしょう。
人事制度の設計ポイント・注意点
実際に人事制度を設計する際のポイントや注意点を解説します。
企業ビジョンとリンクさせる
人事制度設計のポイント1つ目は、企業ビジョンとリンクさせることです。人事制度の最終目的は企業ビジョンの実現や経営戦略の遂行なので、乖離があると統一感のある制度運用を進められません。
社員の納得を得る
人事制度設計のポイント2つ目は、社員の納得を得ることです。設計された基準などが社員に理解されていない人事制度は、運用が難しくなります。社員のモチベーションやエンゲージメントを低下させてしまうかもしれません。
人事制度設計への不満を放置すると、離職につながる可能性もあります。
企業の成長段階に合わせる
人事制度設計のポイント3つ目は、自社の成長段階に合わせることです。企業規模(従業員数や売上高)や創業期なのか成長期、あるいは成熟期なのかによって適切な人事制度は異なります。たとえば創業期から成長期に移行した段階で、人事制度設計を見直すといった対応も必要です。
人材育成と結びつける
人事制度設計のポイント4つ目は、人材育成と結びつけることです。人事制度の運用によっては、社員に成長の機会を与えられるチャンスとなります。
人事制度を設計する際は、社員の個性を伸ばす評価方法やフィードバック機会の設置など、人材育成につながるかをを意識しましょう。
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わかりやすい設計
人事制度設計のポイント5つ目は、誰から見てもわかりやすいものにして、複雑化しないことです。全員が理解できて、無理なく運用できる制度設計・運用が好ましいでしょう。複雑な人事制度は、人事制度自体が形骸化し、目的を達成できない恐れがあります。
社会環境に適応させる
人事制度設計のポイント6つ目は、社会環境に適応させることです。昨今のビジネス環境では、多様な働き方やダイバーシティへの対応などが求められています。社会環境に適応した人事制度は、時代に即した人材育成の助けとなるでしょう。
人事制度設計の課題
人事制度設計で陥りがちな課題について解説します。
一貫性がない
人事制度設計の課題1つ目は、一貫性がないことです。
人事制度設計の目的があいまいな場合に、一貫性が乏しくなる傾向にあるようです。本来の目的に立ち返って、人事制度設計の目的を明確化し、企業ビジョンとリンクさせる構築作業が必要です。
他社と差別化ができていない
人事制度設計の課題2つ目は、他社との差別化ができていないことです。自社の課題が不明瞭だったり、自社の成長段階に見合った制度設計ができていないと、陥りがちな課題といえます。
人事制度設計では、自社に適したものを構築する必要があります。
理解しにくい
人事制度設計の課題3つ目は、人事制度の内容が社員に理解されないことです。設計された人事制度が複雑で難しいと、制度の形骸化につながり、期待する効果が得られません。
先で述べた通り、誰からもわかりやすいものを設計しましょう。
今注目されている人事制度
新しく人事制度を設計する際に参考になる、今注目の人事制度をご紹介します。構築の際にお役立てください。
1on1
人事制度に1on1を取り入れる企業は増えています。1on1の継続的な実施は、部下の人材育成やモチベーションアップにつながります。一方上司から見ても、部下との信頼関係の構築やマネジメントスキルの向上が期待でき、組織としていい循環が生まれるでしょう。
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360度評価
360度評価も注目されている人事制度です。上司に限らず同僚や部下など多方面から評価する360度評価は、客観性という点でメリットがあります。
昨今のテレワークの定着は、人事評価を難しくしている一因といえます。360度評価では、従来の評価者が見えていない部分も評価できる可能性があります。
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ノーレイティング
欧米などでは従来の人事制度を廃止する動きが高まっています。ノーレイティングとは、社員に対する年次評価を廃止し、「A」や「S」などランクをつけない評価手法です。ランクをつけない代わりに、リアルタイムで目標の進捗をフィードバックし、適宜評価を行います。頑張りがすぐに反映されにくい従来の評価とは異なり、モチベーションを維持しやすいというメリットがあります。
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リアルタイムフィードバック
リアルタイムフィードバックは比較的新しい人事制度です。1週間~1か月に一度など「高い頻度」で貢献度をフィードバックします。ノーレイティングと同様に、業務内容を逐一見直せるため、課題や目標の進捗も明確になり、従業員の成長につなげやすくなるメリットがあります。
人事制度設計に困ったら
人事制度設計に困ったら、外部のサポートを受けるのも一案です。膨大で煩雑な業務の効率化をはかれるでしょう。
人事コンサルタントや社会保険労務士への依頼
人事制度設計は、人事コンサルタントや社会保険労務士へ依頼することができます。専門家に依頼することで、質の高い人事制度設計が期待できます。法的な問題も手間をかけずにクリアできるでしょう。業務負担を減らせるというメリットもあります。
しかし一方で、金銭面でコストがかかり、ノウハウ蓄積が難しいというデメリットがあります。自社の成長段階に見合っているかなど相性も考慮する必要があるでしょう。
人事制度設計セミナーの受講
人事制度設計のセミナーを受講してノウハウを取り入れ、自社で内製化するという方法もあります。頻繁な法改正にも対応を簡略化できる点はメリットです。
ただし、こちらもコスト、相性などの点で慎重に検討する必要があります。さらにコンサルタントのように外部に完全委託するわけではないので、社内で法的な対応や制度の質を担保するには、ある程度のスキルアップが求められるでしょう。
まとめ
当記事は人事制度の設計方法や構築ポイントを解説してきました。自社のビジョンや経営戦略に沿った人事制度を設計できると、従業員エンゲージメントや生産性の向上につながります。
人事制度の設計・構築を進めるには、人事戦略に見合った制度設計が欠かせません。当記事で紹介したポイントや注意点に沿って、設計を検討してみてはいかがでしょうか。
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