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人的資本投資とは? 投資すべき理由やメリット、具体例もご紹介!
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人的資本への投資とは、企業で働く人材を資本と捉え、その資本に投資することをいいます。
人的資本への投資や取り組み状況は、株主や投資家などのステークホルダーから注目され、企業の価値や将来性を評価する基準の一つともされています。
そこで「人的資本の投資についてどのようにしたらよいのかわからない」「人的資本投資の方法を知りたい」と考えている企業もあるでしょう。
当記事は、人的資本投資について解説しながら、人的資本投資の方法や内容についてもご紹介します。
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目次(タップして開閉)
人的資本投資とは?
人的資本投資とは、スキルや知識、経験など、企業活動に付加価値を生み出す資本に含まれる人材に投資することを指します。
人的資本に投資することで、従業員がスキルアップしたり、知識が増えたりできるため、目標達成や生産性向上につながり、企業の成長にも影響します。
また、株主や投資家などステークホルダーから非財務情報への注目が高まっていることから、人的資本への投資は企業の信頼性向上にも効果があるでしょう。
人的資本への投資が必要とされる理由
人的資本への投資が必要とされる理由や背景について確認してみましょう。
非財務情報への注目の高まり
人的資本への投資が重要とされる理由には、ステークホルダーによる非財務情報への注目の高まりが挙げられます。
従来、株主や投資家たちは、企業の財務諸表などを中心に企業の価値や将来性を評価してきました。しかし現代は、技術の進歩やDX化、新型コロナウイルスの流行などによって、経済や社会にめまぐるしい変化が起きています。
変化の激しいVUCAの時代では、アイデアや先見性、確かな技術力など、さまざまな商品やサービスを展開できる企業力が必要です。単純な売り上げなどの数字だけでは、企業の価値や将来性はわかりません。
予測できないような変化にも対応するため、組織力の強化や人材育成をはじめとした人的資本を重視した取り組み状況が重視されているのです。
人的資本情報開示が義務化
人的資本への投資が重視されるのは、人的資本情報の開示に関する動きが活発化していることも理由の一つです。
人的資本開示に関する国際基準(ISO30414)が公表され、アメリカではSEC(米国証券取引委員会)により、人的資本への投資情報の開示が義務化されました。
その流れを受けて、日本でも2023年度から、有価証券報告書における人的資本情報の開示が義務化されています。今後もますます企業における人的資本への投資が加速することが予測されるでしょう。
人的資本に投資するメリット
人的資本に投資するメリットをご紹介します。
生産性の向上につながる
人的資本へ投資するメリットの1つめは、企業全体の生産性向上が期待できることです。
人材育成のために教育投資を行うと、人材のスキルアップが実現し、個人の知識の幅が広がります。従業員一人ひとりが成長すると、業務効率が上がり、結果的に生産性向上も期待できるでしょう。
また、変化が激しい時代では、組織として柔軟な対応が求められます。変化に対応できる人材がそろっていると、他社との競争にも生き残れるでしょう。
人材確保につながる
人的資本へ投資するメリット2つめは、人材確保です。
人材への投資を外部に向けてアピールすると、人材を大切にしているという好印象につながり、企業イメージが向上して成長意欲のある人材の確保につながるでしょう。
内閣府のデータによると、離職率が高い企業では教育による訓練時間が少ない傾向があるとされています。必ずしも離職率が低い企業が、投資を行っているわけではありませんが、離職が多い企業では投資の効果が見えにくく、積極的な投資がしにくいようです。
また、人手不足が深刻だと考えている企業ほど人的資本に対して教育投資を行う割合が高い傾向にあると報告されています。
人数は確保できなくても、教育投資により一人ひとりがスキルアップし、カバーできる業務範囲が広がるため、人材不足の課題解決につながるのではないでしょうか。
従業員のエンゲージメント向上
人的資本への投資は、従業員のエンゲージメント向上にも効果があります。
熱心な教育投資だけでなく、賃金向上や充実した福利厚生の整備、多様な働き方の許可や整備などにより、会社に対する満足度やエンゲージメントが向上します。
従業員のエンゲージメントが向上すると、目標達成や成果を意識するなど主体的な業務への取り組みも期待できるでしょう。
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海外と日本における人的資本への投資
人的資本に対する投資について、海外と日本ではどのような違いがあるのでしょうか。具体的な違いをご紹介します。
人的資本の国際比較によると、主要先進国と比較して日本の企業における人的投資は低いとされています。2010~2014年におけるGDPに占める人材投資の割合を見ると、日本の0.1%に対してアメリカは2.08%と約2%もの差があります。
また、1991〜2019年の従業員1人あたりの実質賃金の伸び率は、イギリス1.48倍に対して日本は1.05倍です。積極的に人的資本への投資が行われている欧米に比べて、日本の動きや盛り上がりは消極的であったといえます。
しかし、昨今の非財務情報への注目の高さや人的資本情報の開示義務化などを踏まえると、今後日本企業においても、人的資本への投資が積極的になる可能性があるでしょう。
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人的資本投資の具体例
人的資本へ投資する方法について、代表的なものをご紹介します。自社にとって取り入れやすい方法を実践してください。
リスキリング
リスキリングとは、業務で必要とされるスキルが大幅に変化した際に対応できるよう、新たなスキルや知識を習得することを指します。
ビジネスでは、技術の進歩や経済情勢の変化に対応しなければならない場面があるでしょう。リスキリングを行うことで、どのような事態が起こっても適応できるように準備できます。
具体的な投資方法には、リスキリングの学習機会を提供するだけでなく、リスキリングを通して成果を出した際にインセンティブを支給する方法などもあります。学ぶ環境の整備だけでなく、従業員のモチベーション向上にもつながるような施策を検討するといいでしょう。
リカレント教育
リカレント教育は、社会人がスキルアップやキャリア形成をはかるために学び続けることです。1人の社会人として知識やスキルを磨くことはもちろん、会社の成長のために学ぶ場合もあります。
リカレント教育は、会社を離れて学ぶ方法を指す場合が多いですが、働きながら学び続ける方法もあります。リカレント教育によって優秀な人材が育つと、人材不足をカバーできる場合もあるため、生産性向上も期待できるでしょう。
具体的な投資方法には、学習にかかる費用のサポートや会社を離れた従業員の再就職の受け入れ、学ぶための休暇取得や時短勤務の許可などのやり方があります。
ただし、再就職する場合は何年以内、休暇を取得する場合には目的やメリットを提示するなど、一定のルールを制定しておくのがよいでしょう。
待遇の改善
従業員の待遇を改善することも、有効な人的資本投資の方法です。具体的な投資方法には、柔軟な働き方を許可するための環境整備や賃金アップなども挙げられます。
人的資本投資として教育や学習環境を整備しても、待遇に問題があった場合、従業員のモチベーションが上がりにくく、業務の目標達成が難しいでしょう。
待遇への不満やモチベーション低下を放置すると、最悪の場合、離職の原因になりかねません。
待遇を改善して従業員の満足度やエンゲージメントを向上できると、優秀な人材の定着や成果にもつながるはずです。企業の将来性を考えると、待遇面の改善による還元や投資も必要といえるでしょう。
従業員のメンタルサポート
従業員のメンタルサポートを行うことも、人的資本への投資方法の一つです。
具体的な投資方法には、キャリアカウンセラーを配置するなどがあります。人事部や管理職が対応するだけでなく、専門の人材を採用したり、外部サービスを活用したりするのもいいでしょう。
気軽に相談できるよう環境を整備して従業員の不安を解消し、メンタルをサポートすることで、安心して働けるとともに、離職を防げるでしょう。
タレントマネジメント
人的資本への投資方法には、タレントマネジメントの実施も挙げられます。
タレントマネジメントは、経営目標の達成に向けて、人材データの活用もあわせながら、従業員一人ひとりのパフォーマンスを最大化するためのマネジメント手法です。経営目標と人事戦略を連携させて、戦略的に人事施策を実行します。
タレントマネジメント導入によって、従業員一人ひとりのスキルや強みを踏まえて、適材適所の人材配置や計画的な社員教育が進められます。個人や全体の人事課題の発見にも役立ち、投資すべき人材や研修、会社として足りないスキルを把握できるでしょう。
具体的な投資方法として、まずはタレントマネジメントシステムを導入する企業も多いです。
システムを活用すると、効率的に従業員情報を収集できるとともに、人材情報の可視化やデータの更新、必要なレポートの抽出もスムーズです。
人的資本投資に関する政府の支援
財務省のレポートによると、2022年の調査(全産業)時点で、企業が行っている人的資本投資の方法は以下の通りです。
・社員研修の拡充 ・健康経営の推進 ・就労環境の整備 ・経営人材の育成 ・人事関連のシステム構築 |
なかでも6割の企業が、社員研修の拡充を選択しており、さまざまなかたちで教育や学習機会を用意しているといえるでしょう。
国も、企業の人的資本投資を支援する制度を設けています。たとえば、厚生労働省による人材開発支援助成金、経済産業省によるリスキリングを通じたキャリアアップ支援事業などです。
リスキリングは、企業が主導するものだけでなく、政府から直接個人へ支援する講座も実施されており、受講者を増やすことを目指しています。
海外と比較して人的資本投資が消極的な日本の現状を危惧し、投資を強化しているのでしょう。
参照:『人不足時代に求められる人的資本投資とは』財務局(株式会社日本政策投資銀行)
参照:『人材開発支援助成金』厚生労働省
参照:『リスキリングを通じたキャリアアップ支援事業』経済産業省
参照:『新しい資本主義の グランドデザイン及び実行計画 2023改訂版 』
タレントマネジメントシステムで人的資本へ投資
タレントマネジメントシステムは、従業員の基礎的な個人情報からスキルや評価、異動履歴などを一元管理してデータベース化するツールです。
集約した個々のスキルの情報などをもとに、伸ばすべきスキルや教育効果が見込めそうな専門性を明確にし、人的資本の投資先を見極めるためにも役立ちます。
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タレントマネジメントシステムの『スマカン』は、自社の人的資本データの可視化を助け、人材価値を高めるサポートをします。目的に応じて欲しい機能だけを選べる料金プランでご利用いただけますので、多機能過ぎて使いこなせないという無駄はありません。
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まとめ
人的資本投資とは、スキルや知識、経験など、企業活動に付加価値を生み出す人材に対して投資することです。
ステークホルダーから非財務情報への注目が高まっており、人的資本情報の開示が義務化され、今後ますます人的資本への投資が重視されるでしょう。
人的資本の投資方法には、さまざまな方法があります。自社にとって取り組みやすい施策や、より効果が期待できる施策から始めるのがおすすめです。
タレントマネジメントを導入することも、人的資本への投資になるとされています。
タレントマネジメントシステムを活用し、従業員情報の一元管理やスキル管理を効率的に進め、足りないスキルの発見や適切な人材育成を試みてはいかがでしょうか。
記事監修
スマカン株式会社 代表取締役社長 唐沢雄三郎
一貫して現場に寄り添う人事システムの開発に注力している起業家。戦略人事情報・人材マネジメントシステム、マイナンバー管理システムをはじめ、近年はタレントマネジメントにまで専門領域を広げ、着実に実績を積み上げている。主力製品は公共機関など多くの団体・企業に支持され、その信頼と実績をもとに日本の人材課題の解決に貢献している。
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