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役割評価とは|手法やメリット、役割等級制度との関係も解説!

役割評価とは|手法やメリット、役割等級制度との関係も解説!

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役割評価とは、企業における役割の価値によって評価が決まる評価制度です。新しい評価手法として近年注目されてきています。

しかし、役割評価の仕組みがよくわからないと感じている方や、役割評価と職務評価の違いがわからないと感じている経営層や人事担当者も少なくありません。

役割評価は職務評価よりも柔軟に評価できるため、上手に運用できるとより合理的かつ納得感の高い評価になるはずです。

そこで当記事では、役割評価についてわかりやすく解説しながら、役割評価の具体的な評価手法や仕組み、職務評価との違いについてもご紹介します。

役割評価に興味を持っている企業や、評価制度の見直しを検討している企業の人事担当者は、ぜひ参考にしてみてください。

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目次(タップして開閉)

役割評価とは?

役割評価とは、会社内での役割をもとに評価する制度です。

社内で役割の重要度や価値、責任の重さなどから役割の大きさを設定し、大きな役割の仕事から高い給料などが支払われます。

厚生労働省による定義

役割評価に関して、厚生労働省の定義では

社内の職務内容を比較し、その大きさを相対的に測定する手法

引用:『要素別点数法による職務評価の実施ガイドライン』厚生労働省

としています。

役割評価と職務評価の違い

役割評価と職務評価はよく似た評価制度であり、同じ意味で扱われることも少なくありません。

厚生労働省では、役割を「広く設定された仕事」、職務を「狭く設定された仕事」と示しています。より柔軟に設定する仕事内容が役割、厳格に設定された仕事内容が職務と理解しておくとよいでしょう。

参照:『職務評価を用いた基本給の点検・検討マニュアル』厚生労働省

役割評価における4種類の手法

役割評価を行う手法は4種類あり、職務評価の手法としても同様に知られています。まずは4種類の手法について理解を深めましょう。

・単純比較法
・分類法
・要素比較法
・要素別点数法

単純比較法

単純比較法とは、職務を1対1で比較し、職務の大きさを判断する方法です。

シンプルに比較し、職務に対してスムーズに序列をつけられる点がメリットといえるでしょう。

しかし、単純比較法によって職務が低いという評価になると、会社の価値基準や判断に従業員が不満を抱く原因にもなりかねないため、注意が必要です。

分類法

分類法とは、職務の大きさによる段階を設定し、職務の難易度や重要度によって分類する方法です。

たとえばABCと段階を設け、最も職務が大きく、重要度も高い役割をAランクとします。次に職務が大きく、重要度が高い役割をBランクと分類します。

単純比較法と似た仕組みではあるものの、分類法では1つの段階に複数の役割を分類でき、序列が明確になりすぎないため、比較的不満が起こりにくいとされています。

要素比較法

要素比較法とは、役割の構成要素を設定し、この要素条件を基準にして評価する方法です。

要素条件には知力や熟練度などがあり、役割に求められる要素条件を比較したうえで、ウエイトの大きい要素がある役割ほど役割が大きいと判断されます。

ただし具体的な要素条件やウエイトは、企業の考え方によって異なります。

要素別点数法

要素別点数法は、役割を構成する要素を分類したうえで点数化して評価する方法です。

いくつかの評価項目を設定したうえで、ウエイトとスケールで点数化し、最終的に役割の合計点数によって評価します。

要素比較法はレベル分けで分類されますが、要素別点数法では点数化して比較するのが特徴です。

役割評価の要素別点数法の仕組み

役割評価の評価手法の一つである要素別点数法は、どのような仕組みで点数化するのでしょうか。具体的な仕組みをご紹介します。

評価項目とは

役割評価でそれぞれの役割について評価するとき、あらかじめ項目を作成しておくと、評価を効率的に進められるでしょう。

厚生労働省では、項目例として以下のような項目を公表しています。

・人材代替性
・革新性
・専門性
・裁量性
・従業員の裁量に任せる仕事
・対人関係の複雑さ(部署内外)
・問題解決の困難度
・経営への影響度

役割評価表を作成すると効率的

役割評価で項目を設定する際、評価表などを作成しておくと視覚的に捉えられるため、おすすめです。

評価項目定義
人材代替性代わりの人材を探すのが難しい仕事
革新性新しい方法が求められる仕事
専門性特殊なスキルや技能が必要な仕事
裁量性従業員の裁量に任せる仕事
対人関係の複雑さ(部署外)部署外において調整や均衡が多い仕事
対人関係の複雑さ(部署内)部署内での調整や対応が多い仕事
問題解決の困難度課題の調査や抽出を行い、解決につなげる仕事
経営への影響度会社の業績に大きな影響を及ぼす仕事

評価項目に対するウエイト

役割評価における評価項目を設定したら、それぞれのウエイトを設定します。

企業にとって重要度の高い項目ほど、比重を大きく設定するのがポイントです。企業の業種や特性によって、どこに価値基準をおくかは異なるため、企業独自の判断で決めましょう。

評価する際のスケール

役割評価の項目について、評価する際の尺度であるスケールを設定します。

一般的な評価は5段階ですが、中間に偏ることを避けたいなら4段階、さらに細かい評価をしたい場合には10段階で設定するのもよいでしょう。

役割評価を導入するメリット

役割評価を導入するメリットにはどのような点が挙げられるのでしょうか。代表的なメリットについてご紹介します。

従業員のモチベーションが向上する

役割評価は、従業員のモチベーションが向上しやすくなります。

役割評価は、従業員が担当する役割(仕事)で評価される仕組みの評価方法です。企業にとって役割が大きければ大きいほど評価が高くなります。

そのため、従業員が自分の役割をこなして貢献することで、納得感の高い人事評価や給料にもつながりやすくなるでしょう。

納得感の高い評価を行える

役割評価を行うと、評価に納得感が得られやすくなるのもメリットの一つです。

特に企業にとって重要な役割や責任の重い役割を担っている従業員にとっては、成果だけでなく役割そのものに対する重みや価値が評価に反映されることで、納得感が高くなるはずです。

同一労働同一賃金の実現につながる

役割評価を取り入れると、正規雇用労働者と非正規雇用労働者の不合理な待遇格差を解消するための「同一労働同一賃金」に取り組みやすくなります。

役割評価は正社員だけでなくパートタイマーも対象となるため、同じ役割を担っている場合、同等の賃金の支払いを実現しやすくなるでしょう。

同一労働同一賃金は、2021年4月より全面的に施行された『パートタイム・有期雇用労働法』で注目されています。パートタイマーの賃金が適切かどうかを確認でき、企業イメージの向上にも効果があるでしょう。

参照:『同一労働同一賃金ガイドライン』『パートタイム・有期雇用労働法の概要』厚生労働省

役割評価と役割等級制度

役割評価とは|手法やメリット、役割等級制度との関係も解説!

役割等級制度(ミッショングレード)とは、従業員に任せる役割で等級を決める制度です。役割評価で設定した役割は、役割等級制度においても活用できます。

役割等級制度は、役割の価値の高さや成果を加味して評価するため、客観的かつ合理的な人事評価が実施できる点が特徴であり、メリットです。

価値の高い役割を担って成果を出せると、従業員のキャリアに関係なく高評価と判断される制度といえます。

また、役割等級制度において昇降格(昇降給)は、人事異動でほかの役割を担うことになったときや、企業内で役割の価値に変更があったときに変動がある仕組みです。

役割評価も役割等級制度も近年の新しい制度として注目されていますが、新しいが故に、明確な定義は確立されておらず、企業によって運用方法は異なります。

役割等級制度の注意点

役割等級制度は、等級に基づいて給与や待遇が決まります。そのため導入時は、給与や待遇に反映できる仕組みを適切に設定できていないと、うまく運用できない可能性があります。

企業の価値基準も大切にしながら、市場調査や全体とのバランス、従業員個人の成果なども含めて適切に給与や待遇を決められるように意識しましょう。

職務等級制度との違い

役割等級制度と混同しがちな言葉に、職務等級制度があります。

役割等級制度は、役割によって等級が決まりますが、職務等級制度では職務記述書に定義された職務そのものに応じて等級が決まるものです。

そのため、職務等級制度では、定義された職務を遂行すれば、平等に給与が支払われます。職務等級制度の場合、職務記述書を基準とするため、仕事そのものへの評価が厳格に行われることが多いと理解しましょう。

役割評価の手順

役割評価を実施する際の、一般的な手順についてご紹介します。

1.役割評価における評価基準の設定・人材代替性
2.役割の分析
3.役割評価の実施
4.分析と改善

1.役割評価における評価基準の設定

企業内におけるすべての役割について、重要度や難易度、責任の重さなどを考慮して評価基準を設定します。

2.役割の分析

企業内における役割の洗い出しと分析をしたうえで、評価基準に照らし合わせます。役割評価を要素別点数法で行う場合は、役割評価表も作成しておきましょう。

3.役割評価の実施

設定した評価基準に基づいて、役割ごとに評価します。

4.分析と改善

人事評価は一度決めたら終わりではありません。

役割評価においても同様で、評価結果を分析し、必要に応じて役割における価値の大きさを見直したり制度を改善したりするなど、PDCAを回して運用するとより効果を得られるでしょう。

役割評価の注意点

役割評価をする際に意識すべき注意点について、具体的な内容をご紹介します。

評価基準

役割評価の評価基準を設定する際は、できるだけ客観的な基準をもとに設定しましょう。主観に左右されるような評価では従業員の不満がたまり、モチベーションが下がる原因になりかねません。

定期的な見直し

役割評価における役割の価値は、企業の方向性やビジネスの状況によって変化する場合があります。企業の価値基準に忠実に評価するためにも、定期的に役割評価を見直しましょう。

全社的な理解

役割評価を実施するには、経営層から従業員まで会社全体で理解を深めることが大切です。

自社の評価制度を全体に理解されないままで運用すると、混乱が起こったり、不満の原因になったりするなど業務に支障が出る場合もあります。

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まとめ

役割評価とは、会社における役割の重要度に応じて評価する手法です。企業にとって重要度の高い役割を担って貢献するほど、給与にも反映されやすくなるでしょう。

評価基準も明確になるため、従業員のモチベーションも上がりやすく、納得度の高い評価につながるはずです。

しかし、具体的な評価手法が複数あるため自社に適した手法を選ぶ必要があります。また、重要度が低い役割を担当する従業員にも、できる限り配慮して注意しながら運用しましょう。

新しい評価として明確な定義が確立されていないという点を踏まえ、自社に最適な運用を目指しましょう。

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