• 2022.04.21  最終更新日2022.10.25
  • タレントマネジメント
  • 人事戦略

DXの進め方|必要性や業務効率化につなげる推進ポイントを解説

DXの始めかた DX (デジタルトランスフォーメーション)推進で社内業務改善と費用対効果の向上

関連資料を無料でご利用いただけます

最近、「DX(デジタルトランスフォーメーション)」という言葉を聞く機会が増えてきました。当記事ではDX推進の方法と、実際に自社でDXを進める前に知っておきたいことをご紹介します。

目次(タップして開閉)

DX (デジタルトランスフォーメーション)の定義

DXとは、スウェーデンのウメオ大学教授エリック・ストルターマンが提唱したとされる言葉です。2004年に発表された彼の論文の中で、「DXはデジタル技術が人々の生活のあらゆる側面に引き起こす変化や影響」であると表現されています。

そこから社会環境の変化などに伴ってDXという概念への注目度は高まっていき、一般的なビジネス用語としても定着し始めました。しかし、その過程でDXに対する解釈も広がったため、ハッキリと1つの意味で表しにくい言葉であるというのも事実です。

日本では経済産業省によって、このように定義されています。

企業がビジネス環境の激しい変化に対応し、データとデジタル技術を活用して、顧客や社会のニーズを基に、製品やサービス、ビジネスモデルを変革するとともに、業務そのものや、組織、プロセス、企業文化・風土を変革し、競争上の優位性を確立すること。

引用:経済産業省「DX 推進指標」とそのガイダンス
DX(デジタルトランスフォーメーション)とは

つまり、広い意味でのDXは「デジタル技術の活用で人々の生活をより良く変化させること」、企業においては「デジタル技術の活用で組織やビジネスモデルを根本から変革して成果を上げること」のように理解しておくと良いのではないでしょうか。

これまでの時代によく言われてきたIT化・デジタル化との違いとして、DXは変化の先にある目的や結果に焦点を当てていることが特徴とも言えます。

DXの必要性

なぜ、今の時代になって「企業でDXの推進が必要だ」と言われるようになってきたのでしょうか。複数の理由が存在するため一概には言えませんが、ここでは主に考えられる4つの要因について紹介します。

市場や消費者行動の急速な変化に対応

世界では、最新のテクノロジーの活用で既存のビジネスモデルを覆すような製品・サービスが次々と生まれています。それによって消費者の価値観や行動も大きく変化しているため、DXの推進が遅れるとグローバル市場での競争力を失うことにつながるのです。

業務効率化によって人材不足を解消

今後、日本の生産年齢人口はさらに減少していくことが目に見えています。
働き方改革の流れもあり、これからは従業員ひとりあたりの生産性がより重要となるでしょう。そのため、DXによる業務の効率化が求められています。

レガシーシステムによるリスクを避ける

日本企業には、社内で長く運用され、老朽化・複雑化したシステムが多く存在します。
経済産業省は、そうしたレガシーシステムを管理する負担によって、2025年から2030年で最大12兆円の経済損失が起こると予測しています。だからこそ、早いうちにDXを進めることが重要なのです。

自然災害や感染症など不測の事態への備え

新型コロナウィルス感染拡大の初期には、柔軟にテレワークを実施できたかどうかで事業へのダメージに差が生まれたケースもあったのではないでしょうか。

自然災害などの緊急事態が起こった際に事業を継続するための備えとしても、DX推進は有効であると考えられます。

DXを進める前に

DXの必要性については理解いただけたかと思います。では一体どうやってDXを進めていけばよいのでしょうか。実際にDX推進の手を打つ前に、いくつか知っておくべきことがあります。

何より重要なのは、DX推進自体を目的にしてはいけないということです。DXを進めた結果どうなりたいのかを考えず、流行っているからと何となく進めれば、ただ現場に混乱をもたらすことになりかねません。

まずは、自社の現状の課題を整理するべきです。自社に足りていない部分を冷静に見つめ直すことで、どのような形でDXを進めるべきか見えてくるでしょう。

加えてもう1つ、忘れてはならない注意点があります。DXは一度取り組めば解決するようなものではないということです。すぐに目に見える成果を追い求めるのではなく、じっくりと長期的な視点で取り組む必要があります。

自社に必要なDXとは何か

どうやってDXを進めるべきかは企業によって千差万別であり、正解があるわけではありません。しかし、どんな方法があるか知っておくことは、自社に必要なDXを考える上での参考になるでしょう。ここでは大きく2つに分けて、DXの方法を紹介します。

事業を軸にしたDX

・「自社のビジネスが頭打ちになっている」
・「市場が先細りすることが予想される」
・「競合企業に差をつけられている」

このような課題がある場合は、事業の変革を目的としたDXが求められているかもしれません。

新たなテクノロジーを活用して、競合が存在しない独自のビジネスモデルを創造できれば、非常に理想的だと言えるでしょう。そこまでは実現できなくとも、営業や生産のオペレーションを一新することで、顧客の拡大やコスト削減を実現できる可能性があります。

組織を軸にしたDX

・社員のモチベーションが低い
・長時間労働が常態化している
・離職率が高い

そんな課題が浮かび上がっているなら、組織を中心に据えたDXが必要かもしれません。

ノンコア業務などに分類される単純作業をテクノロジーやツールによって自動化できれば、労働生産性が向上するだけでなく、コア業務や創造的な仕事に時間を割けるようになり、従業員満足度も上がるはずです。

またペーパーレス化を進めてテレワークを実現すれば、働き方の自由度を高め、ワークライフバランスの改善も見込めるでしょう。

DXの進め方

それでは実際にDXを始めるにはどうすればいいのか、大まかな流れに沿って説明していきます。

経営戦略・目的の明確化

ここまで何度もお伝えしてきた通り、DXの目的を明確にすることが第一です。目的を考えるためには、経営理念(ミッション・ビジョン・バリュー)と経営戦略に立ち返ることが重要になります。

会社として目指すべき姿とDXの目的がズレてしまうと、経営層から現場社員まで社内の意識を1つに揃えることができません。ゴールを正しく認識した上で、向かうべき方向に対して、どんな壁が立ちはだかっているのかを把握していきます。

また前項ではDXの方法をわかりやすく伝えるために事業と組織に分けて説明しましたが、実際のところは、経営戦略から目的と手段を紐解いていくことで、事業から組織までひとつながりの改革が進められると理想的です。

経営層の理解

次に必要なのは、経営陣の理解と協力を取り付けることです。本気でDXを実現しようとする場合、現状のビジネスモデルや組織構造を大きく変えるような決断も時には必要となります。

部門の担当者レベルで進めようとしても、結局は業務の一部しか改善できず、根本的な課題には手を打てていない、という状況になりかねません。

意思決定のスピード感も重要です。1つのツールを導入するだけでも、社内で会議を重ねて何重にも決済を通さなければならないようでは、最新の技術やトレンドに乗り遅れてしまうでしょう。

また意思決定に時間をかけることで、失敗が許容されない空気が生まれ、新しい取り組みに挑戦しづらくなります。そうならないためにも、経営陣がDXの重要性を理解した上で自ら旗振り役となる、もしくはDX推進の担当者に十分な権限を与えることが重要なのです。

DXに向けた体制の整備

社内での認識合わせが済んだら、いよいよDX推進に向けた体制を整備していきましょう。必要なのは大きく分けて2つ、人材とツールです。

DXには、多大なリソースの投資が求められます。時間も手間もかかるため、業務の片手間で進めるのは、ほぼ不可能です。また、営業と生産など部門を横断した改革も求められます。
そのため、どこかの部署に任せるよりも、DXのための部署を立ち上げて専任の担当者を任命したほうが進めやすい場合もあります。もしテクノロジーを活用できる人材がいなければ、その採用・育成から始める、もしくは社外の力を借りるという選択も必要かもしれません。

社内の体制が整ったら、DXの目的や自社の課題に合わせて、導入するITツールを選定していきます。企業向けのITツールを提供している会社は、手厚い導入サポートを用意していることも多いため、いくつか候補を出したら相談しながら決めていくのも良いでしょう。

具体的にどのようなツールが必要になるかは、この記事の最後で紹介します。また、ITツールは導入したら終わりではありません。ツールによる効果を測定し、評価と見直しを繰り返すことで、目標に向かってDXを前進させていきます。

DX推進のポイント

DXを推進する上で、意識しておくとスムーズに進めやすくなるかもしれないポイントもあわせてご紹介します。

目的にむけ必要なステップを明確にする

1つ目は、小さな改革から始めることです。ここまで、DXは目先の利益に捉われず、長期的な目的を見据えて取り組むべきと伝えてきました。既存のビジネスモデルや組織構造が覆される可能性を恐れてはならない、というのも重要な考えです。

しかし、いきなり最終ゴールを目指して急激な変化を起こそうとすれば、現場の混乱を招き、DXへの反感を買いやすくなります。だからこそ、大きな目的を持った上で、まずは一部の業務を自動化ツールに置き換えるなど、少しずつステップを踏んで進めていくと良いでしょう。

ツール先行型にならないための事前準備

もう1つは、ツールだけに頼りすぎないことです。目的やステップを精査せず、とりあえず良さそうなツールを導入し、結果的に使いこなせない、不要な機能が多いなど、DX化そのものが形骸化してしまうケースは多々あります。

どれだけ最新のツールを導入しても、それを扱う側が何も変わらなければ、十分な効果を発揮できずに終わってしまいます。誰しも「今の慣れたやり方を変えたくない」という思いはあります。

だからこそ、DX推進が上手くいかないボトルネックは人や組織にあることも多いです。何のツールを導入するかも重要ですが、それよりも先に「従業員の意識や仕事のプロセスをどう変えたいのか」を意識したほうが、DXを上手く進められるかもしれません。

DX推進に役立つツール

最後に、どんなツールがDXの推進に役立つのか、大まかな分類で紹介します。自社に必要なツールを検討する際の参考にしてください。

業務全般の効率化ツール

企業向けのITツールには、社内業務を効率化させるためのさまざまな機能が1つにまとまったサービスも存在します。各業務に必要なツールを一つひとつ選ぶのが難しい、導入するツールの数を増やしすぎたくない、といった場合に最適です。

一方で、機能が多くて使いきれないかもしれない、詳細な機能は専門ツールに劣る、などの欠点もあるので注意しましょう。また、決裁や申請などの手続きを効率化するワークフローシステム、ロボットによって作業を自動化するRPAなども、幅広い業務に活用できます。

コミュニケーションツール

チャットやウェブ会議などのツールも、DXの推進には大いに役立ちます。遠隔でのコミュニケーションが円滑にできれば、営業から生産までさまざまな業務の効率化につながることでしょう。

テレワーク、リモートワークの実現によって、通勤や移動、オフィスのコスト削減や、自然災害など万が一の事態への備えも期待できます。

データ分析ツール

DXには、データの活用も欠かせません。BI(ビジネスインテリジェンス)ツールは、企業が持っている膨大なデータを集計・分析し、図やグラフなどのわかりやすい形で確認できるようにしてくれます。

データから得た知見は、時に新たなサービスやイノベーションを生み、ビジネスモデルや組織構造の改革に伴う意思決定を後押ししてくれることでしょう。

営業・マーケティング支援ツール

営業による顧客獲得が重要なビジネスモデルであったり、営業活動に大きな課題がある場合は、営業・マーケティング支援ツールを優先的に検討しても良いかもしれません。営業プロセスを可視化・改善するものから、顧客管理を一元化するものまで、さまざまな種類があるため、自社の課題に合わせて選びましょう。

また、MA(マーケティングオートメーション)ツールによって、マーケティング活動を強化することで、結果的に営業にかけるコストを削減できる可能性もあります。

生産管理システム

製造業であれば、生産管理システムの刷新も効果的です。ERPと呼ばれるツールを導入すれば、購買から生産、物流、販売までを一元管理することもできます。生産管理を効率化できれば、大幅なコスト削減が期待できるでしょう。

ただし、ワークフローに与える影響も大きく、急激な変化を起こしすぎると、従業員に負担がかかってしまうので注意が必要です。

経理・会計ツール

請求や経費精算などを効率化してくれるツールは、あらゆる業種のDXを助けます。経理や会計業務をIT化しても、ビジネスへの影響は小さいのではないかと思う方もいるかもしれません。

しかし、これらの業務は日常的に絶え間なく発生するものであり、少しのムダが積もり積もって大きなコストになります。手作業での経理・会計業務は担当者への負担も大きいため、従業員満足度という観点でも効果的です。

人事・労務管理ツール

人事・労務管理や採用支援のツールも、企業規模や業種を問わず、DX推進に役立ちます。どれだけ優れた製品やビジネスモデルも、優秀な人材がいなければ成り立ちません。従業員の経歴やスキル、評価に関する情報を一元管理すれば、適切な人材配置と採用・教育によって、1人ひとりの能力を100%発揮できることでしょう。

タレントマネジメントシステム「スマカン」は、社内の人材データの一元管理から、人材配置、目標管理と人事評価、人材育成など、さまざまなシーンで活用できる機能を搭載し、経営戦略としての適切な人材活用、人事業務のDX化を後押しします。

スマカンの無料トライアルはこちら
30日間無料トライアルを申し込む

記事監修

監修者

スマカン株式会社 代表取締役社長 唐沢雄三郎

2008年より、一貫して現場に寄り添う人事システムの開発に注力している起業家。戦略人事情報・人材マネジメントシステム、マイナンバー管理システムをはじめ、近年はタレントマネジメントにまで専門領域を広げ、着実に実績を積み上げている。主力製品は公共機関など多くの団体・企業に支持され、その信頼と実績をもとに日本の人材課題の解決に貢献している。

スマカンの導入をご検討の方へ
実際の画面が見られる
デモを実施中!

まずは、無料でお試ししてみませんか?

導入をご検討中のお客様

登録後、最短1営業日で
全ての機能を
お試しできます!
お気軽にお問い合わせください