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内省とは? 意味や反省との違い、方法をわかりやすく解説
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内省とは、起こった出来事や出来事に至った理由や背景、自分自身の考えや言動などと向き合い、省みることを指します。また、未来に向けた改善に挑戦するということも含まれます。
企業においても、従業員が内省を行うことで自律した人材へと成長を促進できますが、内省のやり方がわからないといったケースや内省が継続できていないという声も少なくありません。
そこで当記事では、内省の意味をわかりやすく解説しながら、混同しやすい反省との違いや内省のやり方などもご紹介します。
目次(タップして開閉)
内省とは
内省とは、自分自身と向き合い、考えや発言、行動について見つめ直すことです。
英語では「reflection」と表記され、直訳で「反響」や「反射」などを意味します。日本語に訳すのが難しい言葉ではありますが、鏡に映った自分自身を客観的に見つめるというような意味合いを持ちます。
そのため、できごとや自分の心と向き合い、自分自身が何をどのように感じたか、なぜそう感じたのかなどをじっくり考えたり分析したりすることをイメージするとわかりやすいかもしれません。
内省の使い方
内省という言葉の使い方の例をご紹介します。内省の言葉の意味を正しく理解できれば、文章や言葉として正しく使用することができるため、参考にしてみてください。
・自分自身の状況を内省する ・今期について、結果や取り組みについて内省しましょう ・先輩は内省的な考え方ができるから見習いたい |
内省的とは
「内省的」とは、自分自身の心の内(内面)を見つめることを指します。ものごとやできごとを客観的かつ多角的に捉え、これまで自分がしてきた行為や考え方などについて深く考え直す様子をイメージするとよいでしょう。
内省と反省の違い
内省の類似語に「反省」があります。反省は、悪かった点について自分の考えや言動を振り返り、何が悪かったかを理解したり周囲に伝えたりするために行うものです。
一方の内省は自分自身と向き合い、よくなかった点だけでなくよかった点や自分の潜在能力に気付くこと、今後どうすればよいのかまで考えることを指します。
そのため、反省はすでに起きた悪かったことを起点として行いますが、内省は必ずしも悪かったことがきっかけになるわけではありません。
内省と内観の違い
内省の類似語には「内観」も挙げられます。内観は、自分の意識や状態を観察する意味合いで使われる心理学用語です。
自分の考え方などを省みるという点では内省と似ていますが、内観はどちらかというと自分の精神状態(内面)と向き合うことが目的とされやすいものです。
内省のメリット
内省を行うメリットにはどのような点があるのでしょうか。具体的なメリットについてご紹介します。
業務効率化や生産性向上
内省を行うメリットには、業務効率化や生産性向上が挙げられます。
自分の業務について、姿勢やプロセスがどのようなものか、改善すべき点はあるのかなどをじっくり考えることで、業務全体の見直しやアイデアにつながるでしょう。見直しやアイデアによって改善ができれば、業務効率化や生産性向上も期待できます。
自分の能力や現状を客観的に理解
内省を行うことで、それまで意識してこなかった自分の問題点やよい点を客観的に捉えることができるようになります。
失敗の原因から今後どうしたらよいかという点だけでなく、内省によって気づいた自分の能力や長所を、どのように仕事に活かせるかなどの発見にもつながるでしょう。
ビジョンの明確化
内省によってできごとや自分自身を客観的に見つめることができれば、今後同じようなことが起きたときの対応策や改善策が立てやすくなります。
また内省を何度も行うことで、自分がどうあるべきかやどうありたいかという理想像をより具体化することができ、未来のビジョンも描きやすくなります。
未来のビジョンが明確にできれば、仕事へのモチベーションも上がり、キャリア形成にもつながるでしょう。
人材育成の促進
内省を行うことで、人材育成が促進される点もメリットの一つでしょう。積極的に自分自身と向き合い、改善するための行動を取ることで、自律した人材へと成長しやすくなるはずです。
特に内省はみずからの意思で行うことがより効果的とされています。日頃から内省する癖をつけ、自分自身の理想に近づこうと努力することで自律した人材の育成を促進できるでしょう。
自律した人材が多数育てば、会社の組織力も強化できるはずです。
マネジメント能力向上
内省を行うメリットには、管理職層のマネジメント能力を強化できる点も挙げられます。
管理職が内省を行うことで、自分自身の業務そのものだけでなくマネジメント能力も改善しやすくなるはずです。部下とのかかわり方やチームメンバーの状態などについて内省を行うことで、適切なフォローや信頼関係の構築、業務改善につながるでしょう。
会社側は、管理職層へは特に積極的に内省の機会や時間を設けるとよいでしょう。
内省のポイント
内省を行う際にはいくつかのポイントがあります。内省のメリットを享受するためにも、まずはポイントを把握しましょう。
習慣化するために仕組み化する
内省は、繰り返し行うことがより効果的です。一人ひとりが内省を習慣的に行い主体的に動けるようになることで、人材育成が促進されます。
内省を習慣化するためには、内省を仕組み化することが大切でしょう。毎週決まった曜日に行ったり、フレームワークを活用して効率的に実施したりするなど、習慣化できるような仕組みを整えるのがおすすめです。
俯瞰的に捉える
内省を行う際は、自分の感情や主観とは切り離して考えるようにし、事実を俯瞰的に捉えることが重要です。自分の感情が含まれてしまうと、自分に都合のよい方向に捉えてしまったり、正しく分析できなかったりする恐れがあります。
正しい内省を行うためには、客観的な事実に基づき、俯瞰した見方をするよう意識しましょう。
未来を見据える
内省では、未来に向けた考え方も重要です。内省では過去の言動や考え方などと向き合うものですが、内省をした結果、自分や会社が目指す方向へ進むためにはどうするべきかを考えることが大切です。
過去に目を向けるだけでなく、その先の未来を想像しながらよりよい方向へ進めるような意識を持って行いましょう。
組織の目標などと擦り合わせる
ビジネスにおいて内省を行う際は、組織目標とすりあわせることも大切です。内省を行っても、企業が目指すものとまったく関係のない方向に進んでしまっては意味がありません。
企業の経営理念や価値観などを理解したうえで内省を行い、同じ方向に向かって進んでいくという意識を忘れてはいけません。
内省のやり方
内省を正しく行うためには、適切なやり方があります。そこで、内省のやり方や手順をご紹介します。内省の取り組み方に不安がある場合はぜひ参考にしてみてください。
- 1.事実やできごとの整理
- 2.事実に至ったステップを整理
- 3.ステップごとの細かい整理
- 4.対話型ワークショップの実施
- 5.今後の対応を検討
1.事実やできごとの整理
内省の最初のステップでは、事実として起こったことの整理をしましょう。実際に起こったこと、自分が行った言動などを整理します。このとき、感情的にとらえたり推測や想像が入りがちなので注意しなければなりません。
事実を正しくとらえることが内省のポイントであるため、感情に左右されずできごとを客観的に見つめることを意識しましょう。
2.事実に至ったステップを整理
次に、起こった事実に至ったステップを時系列で整理します。できごとや事実に対して自分がとった言動や思考を、理由も交えて分解しましょう。
3.ステップごとの細かい整理
次に、それぞれのステップをさらに細かく整理する作業を行います。
ステップに対して、そのときの環境や状況、そのステップを行った理由などと向き合いましょう。細かく整理することになるため、時間がかかる工程でもあります。
しかし、起こった事実に至る自分の考えや行動、背景がわかりやすくなるため、ていねいに行いましょう。
4.対話型ワークショップの実施
次に、整理した点をもとに対話型のワークショップを実施するとより効果的でしょう。内省は自分だけで行うよりも複数人で行う方がより俯瞰的な視点で向き合うことができるとされています。
上司や先輩、同僚などとグループでワークショップを実施し、問題解決に向けた意見を出し合ってみましょう。
5.今後の対応を検討
最後に、整理した事実や背景等をもとに、今後どのようにしていったらよいかを検討します。今後の対応などについて具体的に検討することで、改善や成長を期待できるでしょう。
未来に向けて思考を巡らせることが内省のポイントでもあるため、じっくりと考えることが大切です。
内省に役立つフレームワーク
内省を行う際に役立つフレームワークをご紹介します。フレームワークを活用しながら内省することで、より効果的かつ効率的に行うことが期待できます。
内省では事実や自分の言動の理由など、整理する点が多数あるため、フレームワークを活用してスムーズな整理に役立てましょう。
KPT法
内省に役立つフレームワークとしてKPI法があります。
KPTとは
Keep | よかった点や今後も続けること |
---|---|
Probrem | 悪かった点や今後直したほうがいいこと |
Try | 今後改善にむけて挑戦すること |
の頭文字をとった言葉です。KPTに沿って内省を行うことで、よりスムーズに事実や事実に至った理由などをスムーズに整理し、未来に向けた改善策などを明確にできるでしょう。
KDA法
内省に役立つフレームワークにはKDA法も挙げられます。
KDA法とは
Keep | よい点を今後も続けること |
---|---|
Discard | 失敗の起因になったなどの理由から今後やめること |
Add | できごとから今後新たに挑戦すること |
の頭文字をとった言葉です。KDI法を活用して内省することで、失敗の原因になったことをやめる決断ができます。
YWT法
内省に役立つフレームワークとしてYWT法も効果的です。
Y | やったこと |
---|---|
W | わかったこと |
T | 次にやること |
YWT法とは、日本能率協会コンサルティングが編み出したフレームワークで、自律的な人材の成長を目指す目的として活用されるものです。
単なる業務の振り返りだけでなく、本人が経験したことから気付きを得て、個性や潜在的な能力を信じたうえで次に活かすために行います。
内省を行う際の注意点
内省を行う際に注意すべき点にはどのような点があるのでしょうか。具体的に注意すべき点をあらかじめ理解しておき、より効果的な内省を行いましょう。
継続を重視する
内省を行う際は、継続することを重視しましょう。
内省することで、できていないことや失敗したこと、至った理由などに向き合わなければならず、辛いと感じるケースもあるかもしれません。しかし、成長したり未来の成果につなげたりするためには、問題点を理解し、改善に取り組む必要があります。
また、自分と向き合い続ける癖を付けることで内省がスムーズに行えるようになったり自分の問題点をより把握しやすくなるため、継続することが大切です。
複数人で実施する
内省は、複数人で行うとより効果的でしょう。
内省は客観的視点や俯瞰的にとらえることが大切ですが、1人で行うことで主観的になりがちです。複数人で行うことで、先輩や上司などからサポートを受けられれば、より視野を広げて内省できるでしょう。
客観視する
内省は起こったできごとに対して俯瞰的に捉えて振り返りを行い、未来に向けてどうしたらよいかを考えることです。
できごとや自分の言動を客観視する必要があるため、悪いこともよいことも事実として認めることが大切です。失敗だけに意識が向かいがちですが、どちらかに偏らず、俯瞰して見るよう意識しましょう。
内省を目的にしない
内省の目的は、できごとから自分自身と向き合い、未来に向けた改善を行うことです。内省を目的にしてしまうと、内省したことで満足してしまい、自分自身の成長や未来の成果にはつながりません。
悪かった点だけを見つけて単なる反省にするのではなく、問題点を見つけたり自分の潜在的な能力を見つけたりしながら、未来に向けた取り組みを行えるようにしましょう。
まとめ
内省とは、自分自身と向き合い、考えや発言、行動について考え直すことを指します。
内省を行う際は、悪い部分をひたすら反省するというような行為にならないよう、正しいやり方で行わなければなりません。内省を効果的に行えれば、人材の成長促進や組織の生産性向上などのメリットを享受できるでしょう。
また、内省は継続して行うことが大切です。内省を繰り返し行うためにも、フレームワークを活用したり、頻度や実施曜日を決めたりするなどして、仕組み化することを検討しましょう。
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