- 2022.08.29
2023.04.28
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リバースメンタリングとは? 導入メリットと注意点や事例、実施状況をまとめ

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若手社員がメンターになり、先輩社員や上司に助言をするリバースメンタリング。若手社員の育成や組織の活性化につながり、注目を集めています。
従来の「上司から部下への指導」から立場が逆転するため、どのような効果が期待できるのか、疑問を持つ経営者やマネジメント層も多いのではないでしょうか。
そこで当記事は、リバースメンタリングの導入メリットと注意点、事例などをご紹介します。リバースメンタリングについて理解を深めたい方には、ぜひお役立てください。
目次(タップして開閉)
リバースメンタリングとは
リバースメンタリングとは、先輩社員と若手社員の役割が逆転(=リバース)し、若手社員がメンターとなり、メンティーである上司や先輩社員をサポートする育成手法です。
若手社員が指導者になるため、若手社員が詳しいテーマについて、リバースメンタリングを実施するケースが多いようです。たとえば、パソコンに詳しくない上司に対し、若手社員が操作方法をレクチャーすることもリバースメンタリングといえます。
リバースメンタリングは逆メンター制度
リバースメンタリングは、逆メンター制度とも呼ばれます。
上司が若手社員を指導する一般的なメンター制度とは異なり、若手社員が上司や先輩社員を指導し、逆方向からサポートを実施するからです。一般的に、「他部署の若手社員と上司」のように部署をまたいでペアを組むようです。
そもそもメンタリングとは
そもそもメンタリングとは、「指導者(=メンター)」と「指導を受ける人(=メンティー)」が、1対1の関係で気づきや助言を与える育成手法を指します。
メンターが一方的に教えるのではなく、メンターとメンティーが対話などを重ねつつ、メンティーに気づきを与える点が特徴です。
職務だけでなく「社会人としての心得」も指導対象となり、メンタリングの領域は非常に多岐にわたります。
リバースメンタリングと従来のメンター制度との違い
リバースメンタリングと従来のメンター制度との違いは、「メンターとメンティーの関係性」と「目的」の2つです。
関係性
従来のメンター制度における関係性は、メンターが「上司や先輩社員」であり、メンティーが「若手社員」でした。
一方リバースメンタリングでは、メンターが「若手社員」でメンティーが「上司や先輩社員」という関係です。
目的
従来のメンター制度における目的は、先輩が持つ知識の若手社員への共有です。
一方リバースメンタリングの目的では、若手社員の知識を先輩社員に共有するほかに、若手社員の能力を「企業の発展につなぐ」点も含まれます。
リバースメンタリングの始まり
リバースメンタリングの始まりは、アメリカのゼネラル・エレクトリック社の元CEO「ジャック・ウェルチ氏」とされています。彼が、自社にリバースメンタリングの概念を導入しました。
「若手社員をメンターにして、先輩達は最先端の情報通信技術について学ぶこと」と、マネージャー層に通達します。その結果、先輩社員たちは、当時はまだ普及していなかったインターネットについて学ぶことができたそうです。
この成功事例がきっかけとなり、リバースメンタリングの導入を始める企業が増えました。
リバースメンタリングの導入メリット
リバースメンタリングの導入メリットを4つご紹介します。
ベテラン社員の視野が広がる
リバースメンタリングを導入すると、ベテラン社員は若手から新たな知識や価値観を共有できて、視野が広がります。若手社員は、最先端の物事に対する好奇心があり、ベテランよりも最新技術や流行を熟知している傾向にあります。ベテラン社員は、若手から昨今のビジネスで叫ばれるDXや流行を学ぶことができるでしょう。それによって、新しい仕事のアイデアにつながることもあります。
若手社員のモチベーションやエンゲージメントの向上
リバースメンタリングでは、若手社員がメンターになり、上司や先輩社員にアドバイスやサポートを実施します。
若手社員の活躍の場が増えると、先輩や会社の役に立っている実感が高まり、モチベーションやエンゲージメントが向上するでしょう。さらなる活躍によって昇給や昇進につながることもあります。
離職防止
リバースメンタリングの導入は、前述したようにモチベーションやエンゲージメントの向上が期待できます。先輩社員との間に信頼関係も深まり、社内コミュニケーションも活発化するでしょう。結果的に、離職防止につながると考えられます。
上司のマネジメントスキル向上
リバースメンタリングは、通常であればメンターとなるはずのベテラン社員や上司がメンティーとなることで、上司のマネジメントスキルの向上が期待できます。
関係性の逆転によって、マネジメントに関する視野も拡大するでしょう。通常の関係性に戻ったときに、今までにない視点からマネジメントを実施できる可能性があります。
リバースメンタリングを導入するといい組織
ここまでリバースメンタリングの導入メリットを解説してきました。それでは、リバースメンタリングを導入すべき企業や組織とはどのような特徴があるでしょうか。主なものを5点まとめました。
年齢や勤続年数重視する組織
年齢や勤続年数によって役職が上がる年功序列制の組織が、リバースメンタリングを導入すると組織の硬直化を防ぎ、風通しのよい職場になるかもしれません。若手社員や勤続年数が少ない社員の意見や価値観を取り入れることによって、活発な意見交換が促進されるでしょう。
上下関係がはっきりしている組織
上下関係がはっきりしているヒエラルキー型組織が、リバースメンタリングを導入すると、世代を超えたコミュニケーションの活発化により、年功序列組織と同様に組織の活性化につながるでしょう。
平均年齢が高めの組織
企業の平均年齢が高い組織は、意見や考えが偏りがちです。
リバースメンタリングを導入すると、若手の意見や価値観を取り入れて視野が広がるため、変化に強い柔軟性のある組織へと成長していくかもしれません。ビジネスレジリエンスを強化することにもつながるでしょう。
多様性を尊重する組織
近年は企業経営においてダイバーシティ(多様性)が重視される傾向にあります。多様性の尊重には、異なる年齢や国籍、性別、人種への想像力と理解が重要です。
リバースメンタリングを導入すると、お互いに信頼関係を築くことができ、従業員一人ひとりに働く仲間を尊重する姿勢が生まれやすくなるでしょう。3-5 特徴5:離職率が高い組織
リバースメンタリングの導入によって、離職率を改善した事例があります。
関連記事 離職防止の成功事例とは |
メンターとなる若手社員のモチベーションやエンゲージメントが高まるので、離職防止にも効果的と考えられています。、
リバースメンタリング導入時の注意点
リバースメンタリングを導入するといい企業の特徴をご理解いただいたところで、実際に実際にリバースメンタリングを導入する際の注意点を3点ご紹介します。
リバースメンタリングの目的共有
リバースメンタリングを実施する際に、上司と部下で目的の共有は必須です。
メンターとメンティーの立場が逆転することで、最初は戸惑う従業員もいるはずです。
メンターは何をサポートし、メンティーは何を得るべきか、目的を明確にすることで期待する効果が得られやすくなります。
メンターの負担に配慮
リバースメンタリングを実施すると、メンターである若手社員の負担が増えがちです。「上司に指導する」という行為に緊張したり抵抗があったりする若手も少なくありません。特
メンターである若手社員の心理的負担にならないようにメンティーである上司と実施部門である人事担当者には配慮が求められます。たとえば「メンティーからメンターへの指導や助言は一切禁止する」といったルールをつくるのも一案です。
評価への反映
メンターとしての活躍を人事評価にも反映すると、本人のモチベーションにもつながるでしょう。その際注意するのは、反映の仕方です。何を持って評価するのか、あらかじめ基準を設けておきましょう。
実施時期と期間
リバースメンタリングの実施時期と期間は、各企業によって異なります。一例として、情報・通信業を営むソーシャルワイヤー株式会社は、2022年の5月から半年間、月1回の面談という形でリバースメンタリングを実施しています。
自社に適した形で、まずは1か月間などお試しで実施してみるのもいいかもしれません。
リバースメンタリングの導入ステップ
注意点に留意しながら、実際にリバースメンタリングの進め方について解説します。
1.人選
まずはメンターとメンティーを選びます。メンティーが直属の上司だと、指導やアドバイスがしにくいため、別部署の上司をメンティーにするケースが多いようです。
また、メンターとメンティーとの相性も考慮するといいです。その際は日頃より、本人の性格やキャリア志向、適性などをまとめて管理しておくとペア組みもスムーズです。
2.目的の共有
続いてリバースメンタリングの実施目的を共有します。共有すべき目的は以下の通りです。
メンターに期待すること
(例)
・上司に日常的なパソコンの使用方法をマスターさせてほしい
・多様性への価値観を浸透させてほしい
サポート内容
若手社員は、目上の人に指導や助言をするとなるとどうしても不安を感じてしまいます。実施担当者として相談窓口の設置や定期的なオリエンテーション、コミュニケーションのルール作りなどを伝えることで安心してもらいやすくなるでしょう。
3.オリエンテーションの実施
人事担当者を中心にオリエンテーションを実施します。
その際に目的やルールを共有しておきましょう。必要に応じてメンターとしてのスキルを学べる機会を設けてもよいかもしれません。
4.関係部署から同意を得る
人事部が間に入って、職場の理解を得ましょう。関係部署から同意を得ることで、各部署からリバースメンタリングについて気にかけてもらいやすくなります。
5.フォローアップ
定期的に振り返りをして、実施担当者としてフォローしましょう。課題や変化をもとに、次回のルールづくりに活かしたり、必要に応じてサポートをします。
リバースメンタリングの導入事例
実際にリバースメンタリングを導入している企業の事例をご紹介します。
資生堂
資生堂では、「役員のITスキル、意識の向上」と「社内コミュニケーションの活性化」を狙い、2017年からリバースメンタリングを実施しています。
きっかけは、従来より実施する社内提案制度で、「IT部門が社員にIT教育を実施する」という内容が提案されたことです。提案に対して経営者が「自分にもやってほしい」と言ったため、リバースメンタリングが本格的に始動します。
当初は試験的に7人のメンティーで開始しました。
その結果、役員のITスキルや意識が向上し、先輩社員と若手社員とのコミュニケーションが活性化したそうです。
P&G
日本で初めてリバースメンタリングを導入したのが、P&Gといわれています。メンターに任命されたのは、若手だけでなく外国籍社員や子育て中の社員です。
その結果、子育て世代の悩みへの理解が深まり、家庭と仕事の両立環境や福利厚生が整うきっかけになったそうです。
リバースメンタリング、日本の実施状況
日本ではリバースメンタリングは、まだ浸透していません。背景には年功序列をはじめとした日本型雇用があります。
しかし、リバースメンタリングは若手の育成だけでなく、エンゲージメントの向上、結果的に離職防止にもつながります。先進的な企業は早くから導入し、実際に若手から多くの学びを得て組織全体の活性化になった事例もあります。
昨今注目されているダイバーシティ&インクルージョンの推進施策の一つとしてもリバースメンタリングは有効です。マネジメント層は若手の価値観に触れ、多くの気づきを得ることできるでしょう。
まとめ
リバースメンタリングは、部下や若手社員が上司やマネジメント層のメンターとなって指導や助言を行う人事施策です。通常のメンター制度と立場が逆になるので、逆メンター制度とも呼ばれます。
リバースメンタリングでは、通常のメンター制度では得られない気づきや発見、学びがマネジメント層に生まれた成功事例があります。組織の硬直化を防ぎ、活性化を後押しします。
『スマカン』は、組織の人材情報を見える化するタレントマネジメントシステムです。リバースメンタリングの人選や継続的な1on1の実施管理をサポートします。
日頃より従業員のスキルや得意なことを把握できるようにしておくと、空いたポストへの人選や人材育成計画の立案に役立つでしょう。バラバラになっている組織の情報があるなら、業務効率化のためにも、まずは一元管理をおすすめいたします。
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