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職務分掌とは? テンプレートや規程の作成方法、メリットも紹介
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職務分掌は、職務に関する役割や業務を明確にし、担う責任や権限を適切に配分することです。
職務分掌を行うことで、組織の健全化や人材育成にも有効とされています。しかし、職務分掌がうまく機能していない場合や職務分掌に関する知識がないというケースもあるでしょう。
そこで当記事は、職務分掌についてわかりやすく解説しながら、職務分掌規程のつくり方や手法、サンプルもご紹介します。
組織運営がうまくいっていかず、各部署や業務が重複していて非効率を感じている経営層・人事担当者はぜひ参考にしてみてください!
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目次(タップして開閉)
職務分掌とは
職務分掌とは、役職や職務の内容や範囲、責任の所在を明確化し、企業の組織の中で整理や配分を行うものです。それぞれの業務や役割を果たすために有効な方法として、大企業を中心に導入されていますが、組織を安定させるためにベンチャー企業で取り入れられているケースもあります。
しかし、企業の状況や社会情勢によっては、職務分掌を行っているからといって必ずしも担当する業務や責任だけを担うというわけではないという点は理解しておきましょう。
職務分掌の目的
職務分掌の目的の一つとして、企業における内部統制が挙げられます。
役職において、優先すべき業務範囲や責任が明確になるため「非効率な業務の進め方の防止」や「人間関係などの職場環境におけるトラブル」も防止できるでしょう。
また、職務分掌は組織におけるリスクマネジメントも目的の一つである場合があります。
役職によって携わる業務の権限を設定することで、個人の判断による不要な業務や判断がもたらすミスやトラブルの防止にもつながるでしょう。
職務分掌の必要性
職務分掌の必要性としては組織運営の適切化や効率化、従業員のストレス軽減という点が挙げられます。
大企業において部署や従業員が多い場合は担当、責任を明確化することで誰がどの仕事を行うかがわかり、業務に対しての無駄を省き、効率化が見込めるでしょう。
ベンチャー企業などにおいても、組織を整備するうえでも誰が何を行うかが明確化されていることで、混乱やトラブルを防げます。
コロナ化や労働力人口の減少において、個人が抱える仕事が多くなった場合にも、職務分掌がより有効とされるでしょう。
職務分掌規程や職務分掌表とは
職務分掌規程や職務分掌表は、職務分掌で設定された部署や役職についての職務や業務範囲、権限などを項目別にわかりやすく記載したものです。
職務分掌規程や職務分掌表は、社内規則の一つとして用意するイメージです。
法律によって作成や労働基準監督署への届け出は定められていませんが、用意しておくことで、従業員が自社の職務分掌の内容を理解しやすくなるメリットがあるでしょう。
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職務分掌と混同しがちな言葉
職務分掌には似たような響きの言葉や混同しやすい言葉がありますが、意味は異なります。そこで、職務分掌と誤認識しやすい言葉の違いについて解説します。
職務権限との違い
職務分掌と混同しやすい言葉の一つとして「職務権限」が挙げられます。
職務権限とは、組織や部署において、特定の役職者などに対して「権限」を与えるものです。職務権限が与えられている場合、その役職者のみが行える業務として制限をかけることができます。
たとえば極端な例として、職務分掌によって人事部に採用関連の一連業務が業務範囲とされていても、職務権限が与えられていなければ、役職のない一般社員でも採用決定の判断を下すこともできてしまうということになるでしょう。
業務分掌との違い
職務分掌と混同しやすい言葉には「業務分掌」も挙げられるでしょう。業務分掌は全体の業務の中の一部の業務ごとに業務範囲や責任の所在を確定させるというものです。
職務分掌で設定された業務の一部を細分化したものを業務分掌と理解するとよいでしょう。
セグリゲーションとの違い
職務分掌と似たような意味を持つ言葉として「セグリケーション」という言葉もあります。
セグリケーションは、さまざまな業務の責任を明確化することですが、あくまで従業員のミスや不正を防ぐ手段として用いられる分掌化です。
職務分掌は組織における各部署や役職者の業務や責任の所在を明確化することで、内部統制をはかることが目的です。一方のセグリケーションは、単純にミスや不正を防ぐ手段であり、目的が異なります。
ジョブディスクリプションとの違い
職務分掌と混同しやすい言葉として「ジョブディスクリプション」もあるでしょう。
ジョブディスクリプションとは、それぞれの職務について必要なスキルや素質、特性を詳細にまとめた文書のことです。どちらも職務について明確化するという点では同様ですが、職務分掌は部署や役職などの個人が担う業務を整理します。
また、ディスクリプションという英単語は「記述、描写、説明、表現」という意味を持つため、正しく理解しておくことで違いを理解できるでしょう。
職務分掌のメリット
職務分掌を行うことで、具体的にはどのようなメリットが享受できるのでしょうか。職務分掌のメリットについてご紹介します。
組織運営が改善する
職務分掌が適切に運用できれば、組織運営全体としても改善することができるでしょう。
無駄な業務を軽減して効率化したり、誰がこの業務をすべきかという不安なども抑えたりすることができるため、ストレスを軽減することができます。
それぞれの従業員が「誰がどの業務を行うか」を理解し、従業員の判断ミスやトラブル防止につながるため組織運営全体としても健全化することができるでしょう。
人材育成の効率化が期待できる
職務分掌は、それぞれの役割や責任が明確になることで、人材育成にも有効です。
職務分掌で担当するべき仕事が明確になるため、人材育成における計画立案や実行がしやすくなるでしょう。さらに人材育成の具体的内容が明確になることで、従業員も目標を立てやすくなるでしょう。
公平な人事評価にもつながる
職務分掌を行うことで、より公平で納得感のある人事評価にもつながるでしょう。大企業など評価者が多い場合、基準をそろえるのが難しく、不平等や評価に不満が出る場合もあります。
職務分掌で役職や職務の業務や範囲が整理されることで、評価基準の統一にもつながり、より公正な評価が期待できるでしょう。
内部統制やリスクマネジメントにもつながる
職務分掌は、その目的にもなるように、内部統制やリスクマネジメントにも効果的でしょう。
従業員ごとに職務範囲や責任が明確になるため、不要な業務はせず、自分がすべき業務に集中することができます。
従業員が行うことのできる業務や権限を制限することで、ミスやトラブルを防止し、結果的にリスクを最小限に抑えた統制のとれた組織にすることができるでしょう。
職務分掌のデメリット
職務分掌におけるデメリットにはどのようなものが挙げられるのでしょうか。
従業員の柔軟性が欠ける可能性がある
職務分掌では、やるべき業務や責任を明確にすることで、従業員の業務が限定されます。
決められた業務以外はやらないという意識から、突発的に発生した業務への対応が遅れる可能性もあります。また、人手不足によって担当者が不在となってしまった場合などでも、本来規程にない業務は避ける可能性も出てくるでしょう。
職務分掌を行う際は、あらかじめ突発的に発生した業務や人手不足に陥った際の担当や対応方法についても明確化しておくとよいでしょう。
指揮命令系統が凝り固まるリスクもある
職務分掌では、組織における指示系統がかたまってしまうリスクもあります。職務分掌で担当や範囲が明確化することで、その責任を担う管理職も明確化します。
上司の指示がなければ動かないというケースや上司以外の指示は聞かないという危険性をはらむリスクもあるでしょう。
従業員の自主性や柔軟性を損なわないためにも、適切な目標設定になるよう、意識しましょう。
小規模組織には向かないケースもある
職務分掌は、従業員数が少ないなどの小規模企業には向かないケースもあります。
小規模企業では、業務を兼任しなくてはならない場合もあり、職務を限定することで逆に混乱やトラブルにつながる可能性があるためです。
小規模企業でもベンチャー企業であっても、組織を整備したり、職務の担当を明確化して整理したりしたい場合には有効ですが、少人数で部署や役職を横断して運営している場合には、注意が必要でしょう。
職務分掌の作り方や進め方
職務分掌のつくり方や進め方として、以下の具体的なステップをご紹介します。
- 1.組織図の把握
- 2..部署や職務単位で職務内容を細分化
- 3.権限を振り分け
- 4.職務分掌表や職務分掌規程を作成
1.組織図の把握
職務分掌を進めるうえで、組織全体の組織図を作成し理解しましょう。組織図には、企業の本社から支社、細かい部署まで組織を構成する要素をすべて入れます。
全体の組織図を把握することで、業務連携が必要な部署や関係性の構築が必要な部署を見つけることができ、適切に業務を振り分けたり、責任の所在を明確化しやすくなったりします。
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2.部署や職務単位で職務内容を細分化
次に、部署で担当している具体的な役割や責任について確認しましょう。社内アンケートや各部署へのヒアリングを実施することで、客観的な職務と役割の洗い出しにつながります。
現場の声に耳を傾けることで、業務の重複や非効率な業務への取り組み方の発見につながります。適切な部署に適切な役割や責任を配分することで、効率化も期待できるでしょう。
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3.権限を振り分け
次に、業務上必要な権限の振り分けを行います。連携が必要な部署や業務が関係しやすい部署にも考慮したうえで、権限を配分します。
連携が必要な部署や関連業務を行っている部署同士は、特に責任のなすりつけや突発的な業務が発生した場合に混乱する可能性があります。権限をできるだけ明確にしたうえで、責任の所在やイレギュラー対応時についても明確化しておきましょう。
4.職務分掌表や職務分掌規程を作成
最後に、設定した職務分掌にのっとって、職務分掌表や職務分掌規程を作成しましょう。共有できる表や規程があることで、すべての従業員が職務分掌を把握し、判断に困った際にも有効です。
職務分掌規程や職務分掌表の作成が重要【テンプレート】
職務分掌について会社全体で認識統一を行うためには、明文化された職務分掌規定や職務分掌表の作成が必要です。職務分掌規程や職務分掌業を作成する際に、誰が作成すべきなのかやサンプルやテンプレート活用についてもご紹介します。
職務分掌規程は誰が作成するべきか
職務分掌規程を作成する際は、人事部の管理職以上がよいでしょう。
職務分掌規定を作成する際、各部署や業務内容に関する調査を行いますが、業務内容が重複してわかりにくい部分がある場合は、対象者にヒアリングを行わなければなりません。
その際スムーズに話を引き出し、理解できるコミュニケーション能力の高さが求められるためです。
また、職務分掌規程を作成する場合は、担当者一人に任せるのではなく、第三者による確認も行い、主観や認識の相違を防ぎましょう。
職務分掌規程はサンプル活用もおすすめ
職務分掌規程では、
・職務分掌規程の目的 ・職務分掌規程で設定する組織や部署 ・業務分掌 ・組織における共通する職務や責任 ・各部署の職務と責任 ・規程の改発 ・実施期日 |
などを盛り込みますが、企業によっても異なりますので、企業の実情や必要に応じて作成しましょう。
職務分掌規程の作成方法や経験がないという場合には、まずはテンプレートやサンプルを活用してみるのも効率的です。
職務分掌規程のサンプルには、さまざまなものがインターネット上にあります。業界別やデータ別など、自社にとって使い勝手のよいものを選ぶとよいでしょう。
参照:「職務分掌規程の書式テンプレート(Word・ワード)」テンプレート・フリーBIZ
また、厚生労働省では役職ごとの職務分掌表を公開しています。役職ごとの役割や役割を果たすための業務内容、さらに業務を遂行するための具体的な行動が記載されています。
誰が見てもわかりやすく理解できる端的な文章表現かつ見やすい表を用意することで、すぐに確認できるため、業務分掌を円滑に進められるでしょう。
参照:『< 職務分掌:課長職(課長代理・課長) >』厚生労働省
職務分掌規程や職務分掌表のポイント
職務分掌規程や職務分掌表を作成する場合のポイントは、経営層と各部署の声を理解したうえで反映させることです。
経営者や幹部は、経営方針や経営目標を実現するために組織運営が改善することを望みます。一方で、実際に業務に取り組む部署や従業員の声も大切にするべきでしょう。
担当者の主観で作成したり、どちらか一方の声だけを反映させたような職務分掌になってしまっては意味がありません。どちらの声も大切にしたうえで、作成したら各部署の責任者に確認を取り、組織全体が納得できるものにしましょう。
職務分掌で人材育成も進める
職務分掌は、人材育成にも効果的に働きます。具体的な理由を理解したうえで、職務分掌とともに人材育成も並行して進めてみてはいかがでしょうか。
役職別育成に活用できる
職務分掌では、役職が果たすべき役割や担う責任を明確にすることで、役職別の研修や育成計画を進めることにも有効です。
管理職層に向けたマネジメント研修や一般社員に向けた基礎研修、これからリーダーを目指すためのリーダー研修など、各階層の研修時における資料やテーマとして役立たせることができます。
うまく運用することで、従業員のモチベーション向上につながる可能性もあるでしょう。
従業員のモチベーション向上につながる
職務分掌で役割や業務内容、スキルなどが明確になることで、従業員の目標や目指す方向性のヒントにも成り得ます。自分に不足している点や、どの程度の経験やスキルがあれば希望職種や役職につけるのかという基準としても活用できます。
うまく運用することで、従業員のモチベーション向上につながる可能性もあるでしょう。
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職務分掌はシステム活用でさらに効果的に
職務分掌を効果的に取り組むうえで、タレントマネジメントシステムとの併用もおすすめです。
タレントマネジメントシステムは、従業員データを活用して人材育成に役立てたり、サーベイ機能やアンケート機能で従業員の声を吸い上げることも可能です。
また、職務分掌のデメリットとして挙げられる「自主性や柔軟性の欠如」を避けるうえで重要な目標設定や評価についても、タレントマネジメントシステムの機能を活用することができるでしょう。
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まとめ
職務分掌は、企業における組織運営を健全化したり、各部署の業務を効率化させ、スムーズな経営を行うためにも有効とされています。
また、職務分掌をうまく運用することで、人材育成にも役立つ側面も持っています。組織運営や人材育成に課題を感じている場合は、積極的に取り入れてみてはいかがでしょうか。
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