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離職率の計算方法とは|具体例や平均、エクセルでの算出法も解説

離職率の計算方法とは【調べ方をわかりやすく】エクセルでの算出法や改善策も紹介

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企業において、離職率は人材定着にかかわる重要な指標の一つです。離職率を低下させることは、人事担当者にとって大きな課題ともいえるでしょう。自社の離職率が高いのか、低いのかを判断するにはまずは自社の離職率を計算しなければいけません。

当記事では、離職率の計算方法について詳しく解説し、エクセルでの算出法や改善策についてもご紹介します。離職率を正しく理解して改善に努めることで、企業の成長につながる施策を検討できるでしょう。

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目次(タップして開閉)

    離職率とは

    「離職率」とは、ある期間内に企業や組織から離職した従業員の割合です。離職率は、企業や組織の雇用環境や労働条件、待遇などに影響されます。離職率は、企業の働きやすさなどを示す指標の一つとされており、人事担当者にとっては重要なKPIといえるでしょう。

    ただし、離職率が高いからといって、すべての企業が働きにくいわけではありません。たとえば、スタートアップ企業やベンチャー企業には、事業拡大期の経験を積みたいと考える人材が集まってくる傾向にあります。事業が安定期に入ると「自身の役割は果たした」と満足して、1〜2年で離職する従業員も多いです。

    反対に、離職率が低くても業績が芳しくなく、新規採用ができない企業もあります。一概に「離職率が低い=働きやすい」とはいえないのです。

    そのため、働きやすさは、自社の離職率と会社の状況から総合的に判断するといいでしょう。

    離職率の計算方法

    離職率は、人事担当者にとって重要なKPIといえます。

    離職率の計算方法は、法律で定められているわけではありませんが、一般的に以下の2つの考え方があります。

    厚生労働省『雇用動向調査』で用いられる計算式

    離職率の計算方法の1つめは、厚生労働省が年2回実施している『雇用動向調査』で用いられている以下の計算式です。

    離職率 = 離職者数÷1月1日現在の常用労働者数×100(%)

    参照:雇用動向調査:調査の結果|厚生労働省

    一般企業で用いられる計算式

    離職率の計算方法の2つめは、一般企業で用いられることの多い以下の計算式です。

    離職率 = 企業が定める一定期間内の離職者数÷起算日の在籍者数×100(%)

    たとえば、4月1日を期初としている企業では、4月1日を起算日として計算します。この計算式は、調査対象期間によって離職率が変動するため、扱いには注意が必要です。

    離職率の計算方法の例【新卒3年以内】

    それでは実際に、一般企業で用いられる計算式を使用して離職率を計算してみます。

    たとえばA社では、2022年1月1日時点で300人(うち新卒3年以内の従業員は10人)の従業員がいました。そして1年後、新卒3年以内の従業員4人を含む10人が退職したとします。

    2022年1月1日2023年1月1日1年間の退職人数
    全従業員300人290人10人
    新卒3年以内の従業員10人6人4人

    1月1日を起算日として、新卒3年以内の従業員の1年間における離職率は

    1年間で離職した新卒3年以内の従業員数÷起算日における新卒3年以内の従業員数×100

    で計算できるので

     4÷10×100
    =0.4×100
    =40(%)

    新卒3年以内の離職率は40%と算出できます。

    離職率の計算方法の例【全従業員】

    続いて、全従業員の離職率も求めてみましょう。

    1月1日を起算日として、全従業員の1年間における離職率は

    1年間で離職した全従業員数÷起算日における全従業員数×100

    と計算できるので

     10÷300×100
    =0.03×100
    =3.33(%)

    A社における全従業員の離職率は3.33%と計算できます。

    エクセルで離職率を計算するには

    自社で離職率を計算するとき、エクセル(Microsoft Excel)を使用する方法もあります。ここでは基本的な手順をご紹介します。

    1.離職率の計算に必要な項目を入力する

    任意のセルに「全従業員数」と「離職者数」を入力します。

    たとえば、全従業員数が100人であれば「100」、調べたい期間の離職者数が10人であれば「10」と入力しましょう。

    離職率の計算方法とは【調べ方をわかりやすく】エクセルでの算出法や改善策も紹介

    2.離職率を計算するための式を入力する

    離職率を計算するための式を入力します。離職率の計算式は、先にもご紹介したように「企業が定める一定期間内の離職者数÷起算日の在籍者数×100(%)」で計算します。

    任意の空白セルを選択し、計算式を埋め込みましょう。全従業員数が100人、対象期間中の離職者数が10人なら「=(全従業員数のセル)10/(離職者数のセル)100×100(%)」となります。

    離職率の計算方法とは【調べ方をわかりやすく】エクセルでの算出法や改善策も紹介

    3.計算結果を出す

    ここまで入力が終われば、あとは「enter」キーを押すだけで、計算結果が反映されます。計算式は「10÷100×100=10」であるため、離職率は「10%」という結果が表示されます。

    離職率の計算方法とは【調べ方をわかりやすく】エクセルでの算出法や改善策も紹介

    離職率を計算したときの注意点

    離職率の計算方法が理解できたら、ここからは注意点を解説します。

    そもそも離職率は、自社の働きやすさなどを把握するための指標として用いられます。離職率が高いから悪いとは一概にいえませんが、あまりにも高い場合、公表は慎重になった方がいいかもしれません。

    数値を公表したことで企業の社会的評価が低下する恐れもあります。

    離職率は調査対象期間によって変動する

    調査対象期間の長さによって離職率は変動します。たとえば、2020年4月1日時点での在籍人数が100人、2021年3月31日までの1年間で10人退職した場合の離職率は「10%」です。

    しかし、2020年4月1日から2023年3月31日までの3年間を調査期間としてその間25人が退職したとすると、離職率は「25%」になります。離職率は、自社で見せたいように調整ができてしまうのです。

    離職率の計算に調査対象期間内に入社した従業員は含まない

    離職率の計算において「該当期間内に入社して退職した従業員」は含めません。つまり、2022年4月1日〜2023年3月31日を調査期間として、その期間内に新規採用された従業員がすぐに退職してしまっても、離職者数の中には含まれないのです。

    調査の設定期間によって異なりますが、1年以内の短期離職者が多い職場は、離職率ではかれないこともあるのです。

    退職者の定義を明確にする必要がある

    離職率の計算では、退職者の定義を明確にする必要があります。企業によっては、自己都合の退職だけでなく、契約満了や解雇、定年退職なども退職者に含まれる場合があるからです。

    離職率を計算する際は、退職者の定義を確認し、必要に応じて修正しましょう。

    離職率が30%を超えていると応募率に影響する可能性がある

    一般的に離職率が30%を超えている企業は、応募者に敬遠されるといわれています。就職セミナーなどでは離職率30%未満の企業を「優良企業」としていることもあります。

    自社の離職率が30%を超え、公表している場合、人材を募集してもエントリー数が増えないかもしれません。

    離職率を公表しないほうがよいケースもある

    先述したように、離職率が30%を超えている企業は、公表を控えた方がいいかもしれません。

    スタートアップ企業やベンチャー企業の場合、事業が安定したタイミングで、キャリアアップを目指して退職する人も多いといいます。決してネガティブな理由による退職でなくても、離職率だけを見れば外部からは「働きにくい会社」というイメージを持たれてしまうかもしれません。

    上場企業であっても離職率を公表するか否かは、人事担当者だけで判断せず、経営層や広報担当者と相談したうえで決定することをおすすめします。

    計算した離職率は平均より高い?低い?|調べ方

    自社の離職率を計算してみて、その数値が高いか低いか、判断がつかないこともあるかもしれません。

    そのようなとき、まずは日本企業における平均離職率を調べて自社の数値と比べてみましょう。

    離職率の平均を調べる方法は、主に次の3つがあります。

    1.『労働力調査』や『雇用動向調査』

    総務省統計局が公表している『労働力調査』や、厚生労働省が発表している『雇用動向調査』には、日本全体の雇用情勢や離職率のデータが含まれています。これらの調査結果から平均離職率を調べられます。

    参照:労働力調査|総務省統計局
    参照:雇用動向調査:調査の結果|厚生労働省

    2.『四季報』

    国内の上場企業の情報をまとめた企業情報誌『四季報』のうち、就職活動向けの情報をまとめた『就職四季報』からも離職率を確認できます。

    3.民間企業や研究機関の調査

    民間の人材サービス企業や労働組合、経済研究機関やマーケットリサーチ会社も独自に離職率を調査し、公表しています。

    ただし、調査方法や調査期間がそれぞれ異なる場合があるため、結果を比較する際には注意が必要です。

    離職率の計算結果から見る企業の特徴

    自社の離職率の計算結果が、平均離職率を上回っていた場合、働き方や社内制度の改善などに取り組みましょう。

    離職率が高い企業と低い企業にはどのような特徴があるのでしょうか。自社の現状が離職率が高い企業の特徴に当てはまる場合、改善策を講じるヒントになるのでチェックしてみましょう。

    高い企業の特徴

    ・従業員の成長や自己実現の機会が少ない
    ・ワークライフバランスが悪く、働き方改革が進んでいない
    ・待遇や福利厚生が不十分で、給与水準が低い
    ・評価や報酬の基準が不透明で、公正性が担保されていない
    ・社内の雰囲気や人間関係が悪い
    ・ハラスメントなどの問題がある
    ・採用のミスマッチが起こりやすい

    低い企業の特徴

    ・従業員のモチベーションやキャリアアップ支援が充実している
    ・ワークライフバランスがよく、柔軟な働き方が認められている
    (完全週休二日制や特別休暇、残業時間が少ないなど)
    ・待遇や福利厚生が充実しており、給与水準が高い
    ・評価や報酬の基準が明確で、公正性が担保されている
    ・社内の雰囲気や人間関係が良好
    ・従業員同士のコミュニケーションが円滑
    ・入社前のイメージと入社後の実態に大きな差がない

    計算した離職率を改善するには?

    計算で導き出した自社の離職率を改善したいと考えた場合、どのような方法を取ればよいでしょうか。従業員が「ここで長く働きたい」と思える企業にするためには、次のような取り組みがおすすめです。

    従業員のモチベーション向上やキャリアアップ支援の充実

    モチベーション向上につながる施策を検討しましょう。たとえば、成長や自己実現のための研修プログラムの実施や、明確な評価基準に基づいた報酬制度を導入します。

    ワークライフバランスの改善

    残業時間の削減やフレックスタイム制度、リモートワークなど働き方や労働時間に柔軟性を持たせます。

    待遇や福利厚生の改善

    給与水準の引き上げなど待遇を改善するほか、従業員の健康管理プログラムの提供など福利厚生の充実や健康増進の取り組みも一案です。

    社内の雰囲気・人間関係の改善

    各ハラスメントなどの問題に対する教育・啓発活動を実施したり、従業員同士のコミュニケーション促進のためのイベントを開催したりします。

    採用活動の改善

    入社前と入社後のギャップを最小限にするには、採用したい人物像を明らかにしたうえで、企業と応募者がお互いにミスマッチの少ない人材募集を行いましょう。

    これらの取り組みは、まずはできることから単独で実施してもいいですが、複数を組み合わせることで、より離職率の低下が期待できます。また、取り組みの効果を検証するためには、従業員アンケート調査や退職者へのヒアリングなど、定期的なフィードバックや評価の実施が重要です。

    まとめ

    離職率は人事担当者の重要なKPIとなるものの、明確な定義があったり、法で定められた計算方法があったりするものではありません。離職率は調査対象期間によって変動し、企業規模や事業スピードによって離職理由も異なります。離職率が平均よりも高いからといって必ずしも「働きにくい」職場とは限りません。

    とはいえ、離職率は自社の課題を見つけるための判断材料の一つになります。もし、自社の離職率が思った以上に高い場合は、その要因を見つけることが大切です。

    離職率の改善にはタレントマネジメントシステム

    自社の離職率の改善を考える際、システムの導入も検討してみてはいかがでしょうか。

    『スマカン』は人材データを一元管理し、離職率の改善施策にも役立てられるタレントマネジメントシステムです。離職防止を支える機能としては、アンケートを活用して従業員のコンディションを把握できます。調査結果は分析機能と組み合わせることで、組織全体の課題も明確になるので、必要な施策を検討できるでしょう。

    ほかにも、適材適所の人材配置や計画的な人材育成、納得感のある人事評価など、さまざまな人事業務を総合的にサポートします。

    目的に応じて欲しい機能だけを選べる料金プランでご利用いただけますので、多機能過ぎて使いこなせないという無駄はありません。離職率を改善し、効率化を進めたい企業の担当者は検討してみてはいかがでしょうか。

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