• 2022.07.15
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ウェルビーイング経営は健康経営の一歩先? 今求められる背景、メリット、成功企業の取り組み、実現への考え方

ウェルビーイング経営は健康経営の一歩先? 今求められる背景、メリット、成功企業の取り組み、実現への考え方

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これからの企業が目指す姿として、「ウェルビーイング経営」という言葉が広まってきました。当記事では、ウェルビーイング経営の意味、よく似た言葉である「健康経営」との違い、メリット・デメリット、成功事例、実現方法などを紹介します。

ウェルビーイング経営とは何か簡単に知りたい、組織や社会を大事にする経営を進めていきたいと考えている方は、ぜひお役立てください。

目次(タップして開閉)

ウェルビーイング経営とは

ウェルビーイング経営とは、「企業に関わるすべての人(ステークホルダー)の幸福を追求しよう」という考えに基づく経営のことです。まずはウェルビーイング経営の概要について詳しく説明します。

ウェルビーイング経営の意味

ウェルビーイング経営に決められた定義はありません。どのような状態をウェルビーイング経営だと考えるかの解釈は、企業によって少し異なります。しかし、共通していわれることの多い点もありますので、その内容を2点ご説明します。

1つは、従業員の身体的な健康に加えて、精神面での充足、そして社会的な幸福も追求している点です。信頼と安心を感じる組織や職場で、意欲的に仕事へ取り組み、誇りを持って働き続けられる状態を、ウェルビーイング経営では目指しています。

もう1つは、従業員だけでなく取引先や消費者、地域社会など企業のステークホルダーとの良好な関係を追求している点です。ウェルビーイング経営が広まっている背景には、企業の利益を優先した経営による問題への反発もあるため、従来の経営に対する考え方よりも社会とのつながりが重視されています。

ウェルビーイング経営を取り入れていく際には、こういった内容を理解しつつも、自分たちの会社としては特にどういった点を大切にして、どんな姿を目指していきたいのか考えるとよいでしょう。

そもそもウェルビーイング(well-being)とは

ウェルビーイング経営を理解するために、そもそも「ウェルビーイング(well-being)」という言葉がどういった意味を持っているのか説明します。

Weblio英和辞書では、well-beingの意味を「幸福(な状態)、健康(な状態)」としています。WHOが掲げる世界保健機関憲章にもwell-beingという単語が記載されていて、外務省では「福祉の状態」と訳しています。

「Health is a state of complete physical, mental and social well-being and not merely the absence of disease or infirmity.

健康とは、完全な肉体的、精神的及び社会的福祉の状態であり、ひとえに疾病または病弱の存在しないことではない。」

引用:『世界保健機関憲章(全文)』外務省

世界保健機関憲章に書かれている健康の定義、つまりは肉体・精神・社会の3つが満たされた状態をウェルビーイングと捉える考え方もあります。そしてウェルビーイング経営とは、この状態を企業が目指すことだともいえるでしょう。

客観的ウェルビーイングと主観的ウェルビーイング

ウェルビーイングは、「客観的」と「主観的」という2つの側面に分けて考えることもできます。客観的ウェルビーイングとは、データで測れる生活の豊かさのことです。主観的ウェルビーイングは、一人ひとりが幸福を感じているかどうかを表します。

国連機関が調査している世界幸福度レポートによると、「GDP(国内総生産)」や「健康寿命」など客観的なウェルビーイングの指標において、日本は世界でも高い順位にあります。一方で、「人生における選択の自由度」や「個々人の寛容度」など主観的ウェルビーイングの指標も含めると、先進国の中で日本はそれほど幸福度が高くない国になっています。

ウェルビーイング経営が目指しているのは、どちらかといえば主観的ウェルビーイングです。健康や適切な報酬などを前提としたうえで、本人が幸福を感じられる環境が現代の企業では求められています。

ウェルビーイング経営と健康経営の違い

ウェルビーイング経営とよく似た言葉に「健康経営」があります。この2つは一体どのように違うのでしょうか。

健康経営は、経済産業省によって「従業員等の健康管理を経営的な視点で考え、戦略的に実践すること」と定義されています。積極的に取り組む企業は、経済産業省から「健康経営銘柄」「健康経営優良法人」といった認定を受けることができます。

参照:『健康経営(METI/経済産業省)

目指すところの違い

ウェルビーイング経営は、従業員の健康の先にある働きがいなどにまで目を向けているのが特徴です。

健康経営はあくまでも従業員の「健康」を目的としてます。健康経営が推進されてきた背景には、少子高齢化による労働人口の不足や社会保険料の負担増加などがあります。そのため従業員に健康で長く働いてもらうことを目指しています。

推進方法の違い

ウェルビーイング経営は健康経営よりもさらに抽象的な概念といえます。ウェルビーイング経営を進めるにあたって「どんな姿を目指すか」から考える必要があります。

健康経営では「何を取り組むか」に主眼が置かれやすいです。導入するとなれば、健康診断の実施や運動習慣の促進など、具体的な取り組みから考える場合が多いでしょう。

ウェルビーイング経営が求められる背景・理由

近年ウェルビーイング経営が注目を集めている理由には、いくつかの社会的な背景があります。

労働力人口の減少

まず考えられるのが、労働力人口の減少です。健康経営が広まってきた背景と近いですが、少子高齢化に伴う労働人口の減少によって、従業員の採用難易度は高くなり、終身雇用制度を維持するのも難しくなってきました。

その結果、優秀な人材を確保するためには、より従業員にとって魅力的な職場環境をつくる必要が生まれ、ウェルビーイング経営が求められるようになってきたのです。

働き方改革

次に挙げられるのは、働き方改革です。政府が主導して働き方改革を進めている現代において、昔のように従業員を会社に縛りつけてハードワークを強いるような働き方は、基本的に許容されません。

従業員の多くはワーク・ライフ・バランスを保って働ける職場を求めています。新型コロナウイルスの感染拡大によって、テレワークなど新しい働き方への対応も求められるようになってきました。こうした働き方改革の流れの中に、ウェルビーイング経営があると考えられます。

価値観の多様化

ウェルビーイング経営が求められる背景には、価値観の多様化もあるでしょう。現代ではさまざまなバックグラウンドや考え方の従業員が1つの企業で一緒に働くようになりました。こうしたダイバーシティ(多様性)の実現も、ウェルビーイング経営が目指す姿と重なる部分があります。

人材流動性の高まりや、ワーク・ライフ・バランス重視の傾向も、価値観の多様化によるものといえるかもしれません。従業員一人ひとりの価値観を尊重するための考え方として、ウェルビーイング経営が必要とされています。

これら以外にも、SDGsのゴールの一つに「Good Health and Well-Being」が定められるなど、複数の要因によってウェルビーイング経営は注目を集めるようになっていきました。

ウェルビーイング経営のメリット

ウェルビーイング経営を実践すると、企業にとってはどのようなメリットがあるのでしょうか。ここでは3つの大きなメリットを紹介します。

業務のパフォーマンスの向上

1つ目は、業務のパフォーマンス向上です。ウェルビーイング経営を進めれば、従業員が仕事にやりがいを感じ、意欲的に取り組むようになります。従業員エンゲージメントも高まるでしょう。それによって業務の生産性向上が期待できます。

また従業員が心身ともに健康な状態で働けるようになれば、欠勤や休職の心配がなくなり、長い期間にわたって安定したパフォーマンスを発揮してくれます。

離職防止

2つ目は、従業員の離職防止です。ウェルビーイング経営は、従業員のエンゲージメントを高めてくれます。エンゲージメントとは組織との信頼関係や愛着のことで、従業員の定着率に大きく影響を及ぼす要素です。人材流動性が高まってきている現代では、職場に不満を感じている従業員は簡単に転職してしまうため、優秀な人材を社内に留めておけることは組織にとって大きなメリットとなるでしょう。

優秀な人材の確保

3つ目は、採用候補者への好印象です。ウェルビーイング経営の方針を社外に公開すれば、ブランドイメージの向上につながります。

労働人口が減少して採用難易度が上昇し続けている時代に、給与や待遇のみで他社と差別化するのは簡単ではありません。優秀な人材を確保することが難しくなっています。

一方で、求職者の中には仕事のやりがいや社会的価値を重視する人が増えています。そのためウェルビーイング経営を実践しているという事実が求職者にとって魅力的に映り、採用市場での競争力を高めてくれることがあるのです。

ウェルビーイング経営のデメリット

ウェルビーイング経営には、もちろんデメリットもあります。実際にウェルビーイング経営を進めるうえで最も大きな壁となるのが、社員にとっての幸福と利益の追求が相反してしまうケースです。

長期的に見ると、ウェルビーイング経営を実践すればモチベーションの向上や離職防止によって利益につながっていきます。一方で、短期的には利益を逃すような決断が求められたり、すぐには売上につながらない取り組みにコストをかけたりする可能性もあります。

そもそも会社が十分な利益を出せていないようでは、従業員を幸福にすることも難しいでしょう。

ウェルビーイング経営は、企業の利益至上主義への反発が背景にある概念です。しかし、利益を追い求めることが悪いのではありません。利益を出すための活動と上手くバランスを取りながら、従業員やステークホルダーにとっての幸福を追い求めていくことが大切です。

ウェルビーイング経営に成功している企業とは

日本でも、いくつかの有名企業がウェルビーイング経営を実践しています。自社で検討するにあたっては、他社での成功事例を知っておくとよいでしょう。

たとえば、トヨタ自動車株式会社では「幸せの量産」というミッションを掲げて、ステークホルダーの幸福を追求した事業展開を行っています。同様に、積水ハウス株式会社も企業理念の根本に「人間愛」を置き、理念をもとにしてウェルビーイングを実現するための組織風土の形成を進めています。

特徴的な取り組みをしているのは、楽天株式会社です。楽天では、CFO(チーフウェルビーイングオフィサー)という役職をつくったり、ガイドラインを策定したりしています。

オフィスと働き方の変革によってウェルビーイングの実現を目指す、株式会社イトーキのような企業もあります。

このように、ウェルビーイング経営の進め方は企業によってさまざまです。他社の事例を参考にしつつも、自社の事業や理念に合わせた方針を立てていく必要があるでしょう。

ウェルビーイング経営を実現する理論・要素

ウェルビーイング経営に正解はありません。しかし、取り組みの指針となる理論や、ウェルビーイングを構成している要素を知ることで、判断に迷いにくくなるでしょう。ここでは代表的な考え方を2つ紹介します。

PERMA(パーマ)モデル

PERMAモデルは、ポジティブ心理学を提唱したアメリカの大学教授、セリグマン博士が構築した理論です。ウェルビーイングを実現するために必要な5つの要素がまとめられており、その頭文字を取ってPERMAモデルと呼ばれています。それぞれの内容は以下の通りです。

PPositive Emotion笑いや喜び、感謝、愛などポジティブな感情
EEngagement物事に対する深い関わり、没頭や没入
RRelationship周囲の人間とのつながり
MMeaning人生の意味や目的
MAccomplishment仕事や目標を成し遂げた達成感

これらの5つの要素を満たすような取り組みを考えていけば、ウェルビーイング経営を実現しやすくなるはずです。

米ギャラップ社が提唱する5つの要素

アメリカの調査会社であるギャラップ社は、セリグマン博士とは異なる形でウェルビーイングを以下の5つの要素に分解しています。

仕事の幸福Career Wellbeing
人間関係の幸福Social Wellbeing
経済的な幸福Financial Wellbeing
身体的な幸福Physical Wellbeing
地域社会の幸福Community Wellbeing

やりがいのある仕事があり、友人や同僚との関係に恵まれ、自己投資できるほど収入に余裕を持っていて、心身ともに健康な状態で、安心できるコミュニティに属している。そんな状態が、ギャラップ社の提唱する理想の状態です。この考え方もウェルビーイング経営を実践していくうえでは参考になるでしょう。

ウェルビーイング経営は、従業員満足度やエンゲージメントの把握から

ウェルビーイング経営は、従業員を含む企業のステークホルダーの幸福を追求する考え方です。この言葉が広まる背景には、労働人口の減少や価値観の変化など社会的な要因があります。実践することで従業員のパフォーマンス向上や離職防止など多くのメリットがあるため、現代においては非常に重要な考え方といえるでしょう。

これからウェルビーイング経営を進めていく際は、まずは従業員の状態を把握することから始めるとよいでしょう。

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