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健康経営の取り組み事例7選|大企業から中小企業、ユニーク事例まで

[みんなどうしてる?]健康経営の取り組み事例7選 大企業から中小企業、ユニーク事例まで

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健康経営は経済産業省が推し進める取り組みであり、企業が従業員の健康面にも配慮することで、コスト削減だけでなく業績の向上にもつながると考えられています。

健康経営の重要性は理解しているものの、「何から取り組んだらよいかわからない」と悩む担当者も多いでしょう。

そこで当記事は、国が実施する健康経営銘柄や健康経営優良法人にも認定されている企業を中心に成功事例をご紹介します。大企業から中小企業までユニークな事例も取り上げますので、これから健康経営に取り組む企業はヒントになるかもしれません。ぜひお役立てください。

目次(タップして開閉)

    健康経営とは[意義をおさらい]

    健康経営の企業事例をご紹介する前に、健康経営に取り組む意義について、簡単におさらいします。

    健康経営とは

    健康経営とは、従業員の健康管理を「経営的な課題」として掲げ、戦略的に実践する経営手法です。

    健康経営の提唱者であるアメリカの心理学者ロバート・ローゼン氏の「健康な従業員が収益性の高い社会をつくる」という概念に基づいています。

    健康経営への取り組みを推奨する国内の動き

    健康経営に注目が高まった背景には、少子高齢化による労働力人口の減少や長時間労働による生産性の低下があります。人口減少時代においては人への投資が求められており、従業員の健康管理が企業側の責任でもあるのです。

    また不健康な社員を抱える企業は、社員の通院の増加によって健康保険料の負担も増大します。そのためにも健康経営の必要性が叫ばれています。

    日本において健康経営は、経済産業省が率先して推奨し、以下のような施策を実施しています。

    健康経営銘柄健康経営について特に優れた取り組みを行う東証一部企業に付与される銘柄
    健康経営優良法人認定制度株式の上場・未上場を問わず、健康経営で優れた取り組みを行う企業が認定される制度

    また定期的に健康経営度調査と呼ばれる、各社の健康経営に対する取り組みへの調査も実施しています。

    健康経営への取り組みで期待される効果

    健康経営に取り組むと、さまざまな効果が期待できます。主なメリットは、以下の通りです。

    生産性の向上
    健康な心身によって、従業員の仕事のパフォーマンスが最大化します。

    離職率・欠勤・休職の低下
    従業員が健康の維持・改善ができると気分が前向きになり、仕事への意欲が向上します。また健康経営に取り組む企業に対して、エンゲージメントも高まるでしょう。結果的に従業員の離職、欠勤、休職を防げます。

    企業のイメージアップ
    健康経営の実施が世間から認知されると、従業員を大切にする企業というイメージが定着します。

    医療費(健康保険料の企業負担)の削減
    従業員が通院する機会が減ると、健康保険組合の負担が減るため、企業が支払う健康保険料の削減も期待できます。

    健康経営には投資が必要なものの、上記のような効果があることから、投資した以上のメリットを得られる可能性も高いでしょう。

    健康経営の取り組み事例【大企業編】

    次に健康経営の取り組みについて、大企業の事例をご紹介します。

    事例1:イオングループ

    イオングループの中核的である「イオン株式会社」と「イオンリテール株式会社」は、健康経営優良法人に認定されています。健康法人優良認定制度の中でも、特に優秀な500社が選ばれる「ホワイト500」にも2017年から6年連続で選ばれています。

    両社では、2016年に「イオン健康経営宣言」を発表し、たとえば以下のような取り組みを実施しています。

    健康チャレンジキャンペーン・健康に関するさまざまなコースを用意
    ・各自が選択したプログラムにチャレンジ
    健康ポータルサイトPepUP・40歳以上の従業員は、健康診断の結果を常時確認できる
    ・健康へのアドバイスを提供
    ・健康改善によって健康ポイントを付与
     (WAONポイントに変換可)

    こうした取り組みが功を奏し、健康意識の低かった従業員の意識改革がされました。またヘルスケアのコミュニティが自然に形成されるなど、一定の効果が出ています。

    参考:『イオンの健康経営』イオン株式会社

    事例2:サッポロホールディングス株式会社

    サッポロホールディングス株式会社は、ビールで有名な「サッポロビール株式会社」や清涼飲料水で有名な「ポッカサッポロフード&ビバレッジ株式会社」を傘下に持ちます。同社は健康経営優良法人認定制度の中でも、特に優秀な企業が選ばれる「ホワイト500(2022年)」に選ばれています。

    また2017年に健康経営プロジェクトを開始してから、以下のような取り組みを実施し続けています。

    定期健康診断の徹底・緊急治療の対象の従業員の再受診率が100%になるよう徹底
    喫煙者へのサポート・喫煙者を減らす取り組み
    ・禁煙体験プログラムの全額負担
    ・禁煙外来の自己負担額を2万円(月)補助
     (※3か月間禁煙を継続できた場合)

    喫煙者の割合は、健康経営プロジェクトを開始してから下がり続けています。

    参考:『安心して働ける職場環境づくり』サッポロホールディングス株式会社

    参考:『テレワークの今だから、気軽にオンライン禁煙』

    事例3:Zホールディングス株式会社

    Zホールディングス株式会社は、ソフトバンクグループの傘下にある、日本の持株会社です。健康経営銘柄と、健康経営優良法人認定制度のホワイト500において、2019年から4年連続で選ばれています。

    同社では代表取締役社長が健康宣言をしており、心身ともに最高のコンディションでいることで、しっかりと業務に取り組めると考えています。生活習慣病やメンタルヘルス対策はもとより、過重労働や女性の健康支援に力を入れている点も特徴です。

    具体的には、以下のような取り組みを実施しています。

    社内レストラン・カフェの設置・従業員が摂取した栄養素を統計データで分析
    ・分析結果からメニューの改善
    ・リモートワーク社員の自宅に食事を直送
    勤務中の雑談・懇親会の推奨・ストレス解消、業務効率向上のため積極的に実施
    ・オンライン懇親会/ランチ会を実施

    参考:『従業員との約束』Zホールディングス株式会社

    健康経営の取り組み事例【中小企業編】

    続いて、健康経営の取り組みについて、中小企業の事例を紹介します。

    事例4:株式会社佐野テック

    株式会社佐野テックは、三重県に本社があり、インフラ事業と建築事業に携わる企業です。

    従業員の平均年齢が若い企業であるものの、将来を踏まえ、従業員の健康づくりに力を入れています。実際に取り組みが評価され、健康経営優良法人制度(2022年)にも選ばれています。

    具体的な取り組みは、以下の通りです。

    有給休暇の完全な消化・有給休暇100%の取得を目指す
    ・管理職から率先して取得し、部下の取得を促す
    各自の健康目標を明示・各従業員の名札に、健康に関する目標を記す

    参考:『中小企業の健康経営事例集』全国健康保険協会 三重支部

    名札に記載する健康目標は、「ウエストを〇〇cm未満にする」や「血糖値が高いため、へモグラビンの数値を〇〇以下にする」などです。具体的に記載することで周囲の目を気にするようになるので、意欲的に取り組みやすくなります。

    全体的な健康診断の数値も改善しており、仕事にもよい影響を与えているといえます。

    事例5:アセットガーディアン株式会社

    東京都に本社を置くアセットガーディアン株式会社は、総合保険コンサルティングやファイナンシャルプランニング業務などを行う企業です。

    従業員が笑顔で働けることをモットーとし、心身の健康づくりに積極的に取り組んだ結果、2019年から4年連続で健康経営優良法人に選ばれています。

    具体的には、以下のような施策を実施し、社員の健康づくりに企業一丸となって取り組んでいます。

    検査・治療時の補助・健康診断の再検査などで通院に使う時間を出勤扱いにする
    受動喫煙への対策・屋内での禁煙を全面的に禁止

    ほかにも、ハラスメント教育の実施や健康促進メールの発信など、あらゆる角度から健康経営を実施しており、働きやすさにもつながっています。

    参考:『企業認定情報』アセットガーディアン株式会社

    健康経営の取り組み事例【ユニーク事例編】

    最後に、健康経営の取り組みついて、ひときわユニークな事例もご紹介します。

    事例6:株式会社はてな

    ブログ運営などを行う株式会社はてなはかつて、従業員の健康促進を目的に、自転車で通勤する従業員に毎月2万円の手当を支給していました。(現在は出社を前提としない制度に切り替え、在宅勤務手当を支給)

    その結果、国土交通省から「エコ通勤優良事業所」に認定されました。

    手当支給の効果もあり、自転車通勤に変更した従業員もいるといいます。自転車通勤だと密な空間になりにくいため、感染拡大の点でも一役買っていたのでしょう。

    参考:『自転車通勤を促進するはてなの取り組みを紹介します』株式会社はてな広報ブログ

    事例7:株式会社ヒトメディア

    株式会社ヒトメディアは、教育領域・異文化領域に特化したインキュベーション事業を行う企業です。

    同社では多くのエンジニアやデザイナーが在籍し、従業員のデスクワーク率が高いそうです。そのため、体を動かす機会を提供する目的で、従業員の健康づくりをサポートする制度を導入しています。

    スタンディングデスクの導入や、ストレッチ器具の設置をはじめ、トレーニングルームも設置しています。また、週2でトレーナーが来社し、従業員に指導を行っており、費用は会社が全額負担しています。

    メディアに取り上げられたため、企業の宣伝効果にもなったそうです。その効果もあってか、離職率が下がり、人材の定着率がアップしました。

    参考:『ユニークな福利厚生制度「ヒトメディアのトレーナー指導制度」』

    健康経営の成功と継続のためのポイント

    ここまで健康経営の取り組み事例を紹介してきました。これらの事例を踏まえて健康経営を成功させ、継続するためには、以下のポイントを押さえる必要があります。

    経営陣の関心を高める

    健康経営の成功と継続には、経営陣の理解が欠かせません。たとえ専任チームをつくったとしても、経営陣に協力してもらえなければ、予算を確保できないからです。また、経営陣の強いメッセージがなければ、従業員の協力も得られず、「やらされ感」を生み出します。放っておくと、人事担当者や専任チームへの反発につながります。

    経営陣の関心を高めるには、健康経営の実施が経営陣に対してもメリットであると示す必要があります。他社の事例などをもとに、健康経営を行った際の具体的なメリットを示すとよいでしょう。

    専門家にサポートしてもらう

    経営者や人事担当者は、健康経営に関する知識が不十分なこともあるでしょう。そのような状態で、健康経営を推進しても、場当たり的な施策になりかねません。

    そのため、専門家にサポートしてもらうのも一案です。適任者としては、健康経営に関するコンサルタントと産業医が考えられます。

    コンサルタントからは、一般的に以下のようなサポートが受けられます。

    ・従業員の生活習慣の改善プログラムを策定
    ・健康経営のPDCAサイクルの確立
    ・コスト削減

    また、産業医からは以下のような健康を促進するためのサポートが受けられます。

    ・従業員の健康管理
    ・長時間労働者との面談
    ・健康に不安がある従業員との面談

    健康経営では多くのデータ入力や分析をもとに、PDCAサイクルを回していく必要があります。そのため、Excelなど表計算ソフトでの管理にはいずれ限界が出てくる可能性も高いでしょう。専用のシステムを活用すると効率的に進められるかもしれません。

    従業員が楽しめる内容にする

    健康経営の継続には「従業員が楽しめる内容」を取り入れる点も大切です。いくら健康のためとはいえども、楽しくなければ従業員に継続してもらうのは難しいでしょう。ノルマを押しつけたり、ストイックな方法を強要するばかりでは、ストレスがたまってしまいます。

    従業員に楽しんでもらう施策の例は以下の通りです。

    ・歩数計アプリを導入し、月間歩数の上位3名に手当を支給
    ・食堂に、健康増進を目的とした豊富なメニューを用意

    あまり窮屈に健康管理を強いるのではなく、気がついたら「健康経営が身近な存在になっていた」程度の感覚が理想的といえます。

    健康経営、何から始める?

    当記事では、健康経営の取り組み事例を中心にご紹介しました。健康経営の成功と継続には、経営層と従業員の理解や適切にPDCAサイクルを回すことなどが重要です。

    PDCAのP(プラン)を立てるにあたって、従業員の健康状態などを可視化をする必要があります。定期健康診断やストレスチェックの実施状況、1on1の面談記録などを集約して管理しておくと、円滑に健康経営への取り組みを始められるでしょう。

    タレントマネジメントシステム『スマカン』は、従業員情報をクラウド上でまとめて管理し、データを蓄積していくことができます。可視化された社員の健康状態や1on1の面談記録などを分析・活用することによって、健康経営の継続にもお役立ていただけます。

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    記事監修

    監修者

    スマカン株式会社 代表取締役社長 唐沢雄三郎

    2008年より、一貫して現場に寄り添う人事システムの開発に注力している起業家。戦略人事情報・人材マネジメントシステム、マイナンバー管理システムをはじめ、近年はタレントマネジメントにまで専門領域を広げ、着実に実績を積み上げている。主力製品は公共機関など多くの団体・企業に支持され、その信頼と実績をもとに日本の人材課題の解決に貢献している。

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