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職務評価とは? 手法や項目をわかりやすく解説

職務評価とは|手法や項目、職務分析との違いもわかりやすく解説

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職務評価とは、職務内容をスコア化して比較判断するものです。企業にとって、職務の相対的な価値を明確化したり、合理的に評価したりできるというメリットがあります。

しかし、職務評価は比較的新しい評価手法でもあり、職務評価について理解できていないというケースも珍しくありません。

そこで当記事は、職務評価とは何かをわかりやすくご紹介しながら、職務評価の手法や項目、職務等級制度など混同しやすい言葉との違いも解説していきます。

職務評価に興味をもっている企業や、人事評価や人事制度の見直しを検討している企業の経営層、人事担当者はぜひ参考にしてみてください。

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目次(タップして開閉)

    職務評価とは?

    職務評価とは「職務」を基準として評価する評価手法です。職務ごとの特徴や重みなどを踏まえ、職務内容を点数化して評価します。

    職務評価は従業員自体を評価するものではなく、あくまでも職務への評価をするものです。適切に評価するために、評価者や人事担当者は、会社のあらゆる職務に関する理解を深めておかなければなりません。

    職務に対して給与(報酬)が適切に設定されているかの判断にも役立つでしょう。

    職務評価は正社員だけでなくパートも対象

    職務評価では、対象を正社員だけでなくパートタイマーを含むものとしています。これは、正社員もパートタイマーも同じ職務内容であれば、平等に評価する義務があるためです。

    雇用形態による格差を是正するための法律として『パートタイム・有期雇用労働法』が2021年4月に全面施行され、同じ職務には同じ給与や報酬を支払うべきと「同一労働同一賃金」の考え方が示されています。

    参照:『パートタイム・有期雇用労働法のあらまし』厚生労働省

    職務評価における4つの方法

    職務評価では、4つの評価方法が使用されるのが一般的です。具体的な4つの方法について解説します。

    ・単純比較法
    ・分類法
    ・要素比較法
    ・要素別点数法

    単純比較法

    単純比較法とは、職務を1対1で比較し、職務の大きさを判断する方法です。

    シンプルな比較で、職務に対して序列をつけられる点がメリットといえるでしょう。

    単純比較法は職務を点数化して単に比べるというものではなく、比較した結果として職務が低いと判断された場合、従業員の不満を抱く原因にもなりかねないため注意が必要です。

    分類法

    分類法とは、職務の大きさによる段階を設定し、職務の難易度や重要度によって分類する方法です。

    たとえばABCと段階を設け、最も職務が大きく、重要度も高い営業職とマーケティング職をAランクとします。次に職務が大きく、重要度が高いクリエイティブ職、カスタマーサポート職をBランクという具合に分類して評価を行います。

    序列法と似た仕組みではあるものの、分類法では1つの段階に複数の職務を分類できるため、序列法に比べると比較的不満が起こりにくいとされています。

    要素比較法

    要素比較法とは、職務の構成要素を設定し、この要素条件を基準にして評価する方法です。

    要素条件には、知力や熟練度などが候補として挙がります。職務によってどのような要素条件が求められるかは企業側で決定します。

    職務に求められる要素条件を比較したうえで、比重の大きい要素がある職務ほど、職務が大きいと判断されますが、企業が属する業界や方向性によって重視するものは異なります。

    要素別点数法

    要素別点数法は、職務を構成する要素を分類したうえで点数化して評価する方法です。

    いくつかの項目を設定したうえで、点数化を行い、最終的に職務の合計点数によって評価します。

    要素比較法はレベル分けで分類されますが、要素別点数法では点数化して比較するのが特徴です。

    職務評価と混同しやすいもの

    職務評価と混同しやすいものについて、その概要や違いについてご紹介します。混同しやすいものの中には、似たような意味合いの言葉もあるため、整理して理解しましょう。

    職務評価と職務分析の違い

    職務評価と職務分析は、役割や性質が異なります。

    職務評価は、職務そのものを通して評価したり給与の適正化に活用したりします。一方で職務分析は、職務そのものが企業によって必要かどうかを判断するために行うものです。

    職務分析は、職務内容や範囲、責任の重さや必要な能力を分析したうえで企業における職務の重要性を判断します。そのため、職務評価を実施するためには正しい職務分析が必要です。

    適切で納得感のある人事評価を行うという目的において、両者は互いに関係し合うものといえるでしょう。

    職務評価と情意評価の違い

    職務評価と情意評価の違いは、評価する目的や対象にあります。両者は全く異なる評価方法です。

    職務評価はあくまでも職務そのものを比較して評価します。しかし情意評価は、仕事に対する従業員の取り組む姿勢や数値化できない点を評価するものです。

    職務が大きいため職務評価が高い場合でも、仕事に取り組む姿勢がよくないために情意評価は低いという人もいるでしょう。

    職務評価と役割評価の違い

    職務評価と役割評価の違いは、評価対象に従業員が含まれるかどうかです。

    職務評価は、職務内容のみを評価対象としていますが、役割評価は、仕事そのもの(役割)だけでなく、仕事に取り組む従業員の能力も評価対象とされます。

    そのため役割評価は、能力評価と職務評価の性質をあわせ持つようなイメージを持つと理解しやすいでしょう。

    職務評価と役割評価は、仕事に対して評価するという点は似ています。ただし従業員の能力を評価に含めるかどうかという点に違いがあります。

    職務評価と職務等級制度

     職務評価とは|手法や項目、職務分析との違いもわかりやすく解説

    職務評価と職務等級制度は、基本的には職務そのもので判断する評価として同じような性質を持ちます。

    職務評価では職務の大きさに応じて、担当する従業員を評価し、企業における職務価値の決定、給与の確認や適正化にも活用します。

    一方の職務等級制度とは、職務を定義するジョブディスクリプション(職務記述書)に基づいて、給与だけでなく等級をも決定する制度です。

    職務等級制度は、難易度や重要度をもとに設定した職務の大きさによって等級も決まるため、会社内における序列にもかかわり、昇進やキャリアプランにも影響を持つといえるでしょう。

    企業によって、職務評価のみを行う場合と職務等級制度まで運用している場合があります。

    職務等級制度では、職務の大きさや成果を中心に評価するため、客観的かつ合理的ともいえます。しかし評価において職務そのもの以外の面が考慮されにくいため、給与や待遇を変える方法が少ないことはデメリットといえるでしょう。

    ジョブディスクリプションとは

    ジョブディスクリプションとは、担当する業務内容や責任範囲、必要とされるスキルなど、職務内容の詳細がまとめられた文書のことを指します。

    ジョブディスクリプションは、生産性の向上や適切な人事評価の実施を目的に作成されるのが一般的です。

    職務評価の評価項目

    要素比較法や点数法で職務評価に取り組む場合、評価基準となる項目を設定しなければなりません。項目の決定は、企業風土や会社の方針をもとに決定します。

    項目は仕事内容や特徴、必要な資格や能力、責任の重さなどから構成されるのが一般的です。

    その職務でどのような条件が必要とされるかを理解したうえで決定されるため、職務に関して正しく理解しておかなければなりません。

    職務評価における評価項目と定義

    厚生労働省が、要素別点数法の項目例として紹介する具体的な内容としては

    ・人材代替性
    ・革新性
    ・専門性
    ・裁量性
    ・対人関係の複雑さ(部署内外)
    ・問題解決の困難度
    ・経営への影響度

    が挙げられます。

    評価項目定義
    人材代替性代わりの人材を探すのが難しい仕事
    革新性新しい方法が求められる仕事
    専門性特殊なスキルや技能が必要な仕事
    裁量性従業員の裁量に任せる仕事
    対人関係の複雑さ(部署外)部署外において調整や均衡が多い仕事
    対人関係の複雑さ(部署内)部署内での調整や対応が多い仕事
    問題解決の困難度課題の調査や抽出を行い、解決につなげる仕事
    経営への影響度会社の業績に大きな影響を及ぼす仕事

    参照:『要素別点数法』厚生労働省

    それぞれの項目について、確認してみましょう。

    人材代替性

    人材代替性とは、人事異動や退職などによって、代わりに配属できる人材を見つけたり探したりするのが難しいかどうかを示す項目です。

    代わりの人材がすぐに見つかるような職務なら重要度は低く、反対に代わりの人材を見つけにくい職務なら重要度は高いとされます。

    高度な技術や経験の豊富さなどが必要になる仕事は代替しにくいため、重要度は高くなり、職務も大きいといえるでしょう。

    革新性

    革新性とは、これまでにない新たなアイデアや手法が必要かどうかを示す項目です。

    革新的なアイデアや手法がないと職務遂行が難しい場合、職務は大きいとされます。

    たとえば商品開発や企画部門においては、斬新なアイデアや新たな手法が鍵となるため、革新性が高い職務といえます。

    一方で、従来のマニュアルに沿って行うような仕事は革新性が低いとされるでしょう。

    専門性

    専門性とは、言葉通り専門的な知識やスキルが求められるかどうかを示す項目です。

    クリエイティブ部門や法務、税務部門においては専門知識やスキルがないと仕事を進められないため、専門性が高い職務といえます。

    一方の営業部門や事務部門は、はじめから高度で難易度の高い専門知識やスキルは求められないのが一般的であるため、専門性は低い職務とされるでしょう。

    裁量性

    裁量性とは、従業員の裁量がどれくらい与えられるかを示す項目です。

    裁量が高い仕事の場合、同時に判断をした責任もともなうため、職責が重くなります。

    一方で裁量性が低い仕事の場合、従業員の判断による責任はともなわないため、従業員が負う責任は少ないといえるでしょう。

    対人関係の複雑さ(部署内外)

    対人関係の複雑さとは、さまざまな人との調整や均衡がどれくらい多いかを示す項目です。

    部署内外において、さまざまな人と連携したり、対応を取ったりしなければならない場合は対人関係が複雑であるといえます。

    問題解決の困難度

    問題解決の困難度とは、仕事において問題解決が難しいかどうかを示す項目です。

    カスタマーサポートなど、自分たちだけの努力ではどうにもならないような仕事や、取得困難な最新技術が必要な仕事においては困難度が高いといえるでしょう。

    一方で、マニュアル通りに進めるような仕事は問題が起こりにくい、もしくは問題が起こった場合も比較的対処しやすいため、困難度は低いといえそうです。

    経営への影響度

    経営への影響度とは、経営や業績にどれくらいの影響を及ぼすのかを示す項目です。

    しかし、個々の職務がどれくらい業績に影響するかを判断することは難しいため、どのような項目が経営や業績に影響するのかという点を決めることが大切です。

    たとえば、売上高や利益に影響するかどうか、顧客や取引先と関係性に影響するかどうか、経営陣に近いかなどを項目例として参考にしてみるのもよいでしょう。

    まとめ

    職務評価は、企業における職務について評価するものであり、職務の大きさやその成果に基づいて客観的で合理的な判断にも役立つでしょう。

    職務の大きさによって、賃金や待遇などが適切に設定されているかの確認にも活用されることが多いです。

    職務評価を導入すると、職務に必要な条件を明確化でき、より適切な人材配置や人材育成にもつなげられるでしょう。

    職務評価を検討している企業や人事制度の見直しを検討している企業は、ぜひ当記事の内容を参考にしてみてください。

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