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評価制度がない会社とは|理由やメリットと注意点を解説

評価制度がない会社とは|理由やメリットと注意点を解説

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近年、評価制度を廃止する企業があらわれています。従来の評価制度では、従業員が評価に不満を感じて、モチベーションが低下するなどの問題があったためです。評価制度をなくすと、従業員が自己実現や自己成長に集中できる環境を提供できると期待されています。一方、評価制度を廃止することで、報酬やキャリアアップの明確な基準がなくなってしまう可能性もあります。

そこで当記事では、企業が評価制度をなくす理由、従来の評価制度が抱える課題、評価制度をなくすメリットとリスクなどについて解説します。評価制度に課題を感じている企業の方は、ぜひ参考にしてください。

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目次(タップして開閉)

    企業が評価制度をなくす理由

    なぜ近年は、評価制度を廃止する企業があらわれ始めたのでしょうか。企業が評価制度を廃止する理由には、主に以下の4つがあるといわれています。

    従業員の数が少ないから

    従業員の数が少ない企業では、上司と密接なコミュニケーションが取れるため、評価制度は不要だと判断する場合があります。従業員と上司の関係性が良好であれば、評価制度がなくても日常的なフィードバックによって、従業員の成長と目標達成を実現できるでしょう。

    成果がわかりやすいから

    成果が明確な仕事の場合も、評価制度を必要としないことがあります。たとえば、従業員一人ひとりの売上や利益などが定量的にわかる職種では、通常の評価制度よりも成果報酬や目標達成に基づいたインセンティブが効果的でしょう。ただし、こうした仕組みは短期的な成果に注目されやすい傾向があります。

    状況の変化が激しいから

    現代のビジネス環境は急速に変化しており、新しいテクノロジーやプロセスが生まれ、従業員が取り組む仕事も急速に変化する可能性があります。こうした変化を受けやすい企業では、既存のスキルや職務に基づいた評価制度だと適切な評価ができず、従業員の成長を妨げる場合があります。

    評価に不満や問題が出ているから

    評価者の主観が入り、不公平な評価が行われてしまうこともあります。不公平な評価は、モチベーションを低下させたり、信頼関係に亀裂が入ったりして、従業員の退職などにもつながりかねません。より公平な仕組みを模索するための結果として、評価制度を廃止する企業もあるのです。

    従来の評価制度が抱える課題

    これまで企業が運用してきた評価制度には、多くの課題があります。評価制度の課題について4つの視点から解説します。

    評価に工数がかかる

    従来の評価制度の運用では、評価の判断材料となる従業員の業務内容や、成果を把握するために多大な工数がかかります。たとえば、業務プロセスや成果の質を確認するためには、部下との面談や書類の確認、評価表の作成などをしなければなりません。これらの作業には時間と労力がかかります。評価対象となる従業員の数が増えるほど、評価作業に割く工数が膨大になるでしょう。

    評価基準を決めるのが難しい

    評価制度の課題として、判断基準となる業務プロセスや成果の達成度合いを明確に決めなければならないことも挙げられます。評価制度の基準や項目を決めるために頭を悩ませている企業は多いでしょう。なかには外部にコンサルティングを依頼する企業もあります。評価基準を適切に設定できたとしても、評価者や従業員に理解してもらわなければなりません。

    どのような成果や貢献度が評価につながるのかが明確でないと、従業員はどのような業務に注力しなければならないかわからないでしょう。

    評価者によってバラつきが出る

    評価制度では、評価者の判断によって評価結果にバラつきが出るという課題もあります。たとえば、一部の評価者は定量的な成果に比重を置き、ほかの評価者は定性的な業務遂行の過程に比重を置いてしまうという場合です。また、評価者によっては、自分の経験や価値観に基づいて判断してしまい、公平性に欠けてしまうという事態も起こるでしょう。

    評価制度が社内に浸透しない

    従来の評価制度では、評価の目的や意義が従業員に理解されず、社内に浸透していないという課題もあります。評価制度の仕組みが曖昧(あいまい)だったり、社内への周知が十分でなかったりすると、そのような事態が起こりやすいといえるでしょう。

    部下が上司の顔色をうかがうようになる

    評価制度の課題として、被評価者の部下が評価者である上司の顔色をうかがうようになることも挙げられるでしょう。

    たとえば、上司との関係がよくないと、部下は低い評価を受ける可能性があると恐れ、上司の意向に合わせた業務の進め方やコミュニケーションを取るようになるでしょう。このような行動は、部下の自己実現や成長を妨げ、業務の質を低下させてしまう可能性があります。

    低い評価でモチベーションが下がる

    評価制度において低い評価を受けた従業員は、モチベーションが下がってしまいます。本人が努力していても、成果が追いつかずに低い評価結果が出ると、自信を失ってしまうでしょう。このような状況が続くと、業務の生産性が低下したり、周囲との人間関係が悪化したりして、最終的に退職につながってしまうこともあるかもしれません。

    評価制度がないメリット

    多くの課題を抱えている評価制度を廃止することによって、企業にはどのようなメリットがあるのでしょうか。評価制度をなくすメリットを2つご紹介します。

    本来の業務に集中できる

    評価制度がないと、成果を出すために必要なコア業務に注力できるはずです。評価制度の運用では、評価から集計、分析まで多くの工数が発生するからです。評価運用に追われてしまうと、従業員の負荷となりかねません。

    評価制度を廃止すると、本来の業務に集中し、成果を生み出すための業務に没頭できるようになるでしょう。そうすると、企業全体で業務の生産性が高められ、業績向上にもつながるというメリットが考えられます。

    チームワークがよくなる

    評価制度がないと、従業員が個人の評価より全体の生産性を考えることを促せるため、チームの活性化が期待できるでしょう。評価制度があると、従業員が直接的に自分の評価につながるような行動ばかりを取り、周囲に協力しなくなってしまう可能性もあるからです。そのような課題に対しては、評価制度をなくすことで、チームワークの向上を目指してもいいかもしれません。

    評価に感情を左右されなくなる

    評価制度がないメリットとして、従業員が評価制度に気を取られすぎる状況を回避できることも挙げられます。なかには評価制度に一喜一憂してしまう従業員もいるため、低い評価を受けて、軽はずみで転職を考えるかもしれません。

    評価制度を廃止すると、従業員は短期的な評価に左右されず、モチベーションを維持したまま、長期的な視野で業務に取り組めるはずです。

    評価制度がないリスク

    評価制度がないことはメリットがある一方で、企業にとってリスクも考えられます。評価制度を廃止することによって想定される3つのリスクをご紹介します。

    適切な報酬の設定が難しくなる

    評価制度が廃止されると、従業員の成果や貢献度に基づいた報酬を設定しにくくなります。報酬の基準が不透明になると、従業員は成果を正当に評価されないと感じ、モチベーションが低下する可能性があります。また不公平感が生じて、優秀な従業員が他社に流出するリスクが高まることも考えられるでしょう。

    人材の配置や管理が非効率になる

    評価制度がない場合、上司は従業員の能力を判断しにくくなり、適切な人材配置ができなくなるかもしれません。そうすると従業員は、スキルや適性に見合った仕事ができないため、成長を感じられなかったり、不満を感じたりするでしょう。企業全体としても、人材管理が非効率になるため、企業の生産性が低下する恐れがあります。

    従業員が目標やキャリアパスを見失う

    評価制度がないと、従業員は目標やキャリアパスを描きにくくなるでしょう。目標を見失ったまま業務を続けると、モチベーションが下がるだけでなく、個人の成長も滞ってしまうかもしれません。従業員の成長が遅れてしまうと、将来的な業績にも影響があるため、企業全体として不利益といえるでしょう。

    従来の評価制度に代わる「ノーレイティング」

    評価制度がないメリットがある一方で、廃止のリスクもご紹介しました。そこで近年では、従来の評価制度が抱えている課題の対策として「ノーレイティング」という新たな手法も生まれています。

    ノーレイティングとは、A・B・Cなどの評価ランクをつけない人事評価手法です。上司が部下に日常的にフィードバックを行うことが特徴です。

    ノーレイティングのメリット

    ノーレイティングでは、低いランクをつけられたり、ほかの従業員と比べられたりしないため、従業員が不公平感を感じにくい傾向にあります。

    また、従来の評価制度のように年に一度の評価面談は行いません。上司と部下が日常的にコミュニケーションを取り合い、目標設定とフィードバックをリアルタイムに繰り返して評価します。

    以上の特徴により、従業員は自分の行動が会社や自身の成長につながっている実感がわきやすいことがメリットといえるでしょう。

    ノーレイティングの注意点

    企業がノーレイティングを採用する場合、評価基準と各種施策への反映方法に気をつける必要があるでしょう。

    ノーレイティングは、数字や記号による明確なランクづけをしないため、評価が客観的にわかりにくい場合があります。客観的な評価でないと、待遇や人材配置に活かしにくくなるかもしれません。

    また、ノーレイティングでは、上司と部下が密接にコミュニケーションを取り合う必要もあります。評価スキルが足りないと主観的な評価になってしまうとともに、多大な工数がかかる恐れもあります。

    評価制度がない会社の事例

    ノーレイティングのように、従来の評価制度を廃止している企業の事例を3つご紹介します。

    カルビー株式会社

    カルビーでは「Commitment & Accountability(約束と結果責任)」という考え方のもと、年間目標を上司と部下で念入りに話し合ったうえで契約書を交わし、その目標の達成度で評価を決める仕組みを採用していました。

    さらに2020年からは年間目標と数値での評価も廃止され、会社が指針とする5つのバリューを実践する行動ができているかという基準で、上司との話し合いのみで評価が決まるようになっています。

    参照:『Calbee Report 2021』カルビー株式会社
    参照:『カルビーの働き方改革の取組み』カルビー株式会社
    参照:『社員は耳にタコ カルビーを元気にした10カ条の掟』NIKKEI STYLE
    参照:『ひとり、ひとりの働き方改革をとめない。』株式会社日立製作所

    アドビシステムズ株式会社

    アドビシステムズでは、従来の評価制度では工数がかかりすぎて、従業員のモチベーションが低下してしまうという課題が発生していました。そこで評価制度を廃止し、代わりに「チェックイン」という制度を始めています。チェックインは、四半期に一度以上のペースで、上司と部下が個人の成長に焦点を当てた内容を話す面談を指します。

    参照:『ランク付けをやめ、納得感のある人事制度を実現。アドビ「チェックイン」運用の実態』SELEK

    GE(ゼネラル・エレクトリック)

    GEは「9ブロック」という相対評価の手法を開発し、世界中の多くの企業でも活用されてきました。しかし、2016年には9ブロックを廃止し、リアルタイムに上司から部下へフィードバックを行う「PD(パフォーマンス・デベロップメント)」という制度を導入しています。

    参照:『9ブロックとは』創業手帳
    参照:『「年次評価」をやめたGEの意図』日経クロステック

    評価制度を見直すときのポイント

    最後に、評価制度の廃止を検討または改善を考えている方に向けて、ポイントを解説します。

    目的を明確にする

    まずは、評価制度の目的を明確にすることが重要です。人材育成の改善や生産性向上など、評価制度をなくすまたは見直す目的によって、方針が変わります。

    従業員の意見を反映する

    評価制度をなくしたり見直したりする際は、従業員の意見を取り入れて反映させましょう。評価制度に対する不満を調査し、改善策を打ち出すことで、モチベーションの低下や離職を防げるかもしれません。

    評価者のトレーニングを行う

    評価の仕組みを変えるだけでなく、評価者のトレーニングも行いましょう。適切な評価を行うためには、評価の意義を理解してもらったり、フィードバック方法やコミュニケーションスキルなどを身につけてもらったりすることが大切です。

    評価の透明性を高める

    評価の見直しは、経営陣や上層部だけで進めるのではなく、できるだけ従業員にも開示しましょう。評価内容が透明であれば、従業員が自分の評価を理解し、改善点を見つけやすくなります。

    継続的な改善を行う

    評価制度は一度改善したら終わりではありません。組織や社会の状況が変化すれば、評価制度に求められるものも変わってきます。そのため、評価制度は定期的に見直し、継続的に改善していく必要があるでしょう。

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    タレントマネジメントシステム『スマカン』は、人材データをクラウドで一元管理し、透明性の高い評価制度の運用をサポートします。アンケートや人材データの分析を助ける機能もあるため、評価制度の見直しにも活用できるでしょう。

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    まとめ

    評価制度がない会社では、従業員が本来の業務に集中でき、チームワークがよくなったり、評価への不満を感じにくくなったり、複数のメリットが得られるかもしれません。

    一方で、適切な報酬の設定が難しくなり、人材管理が非効率になったり、従業員が目標を見失ったりするリスクもあるため注意が必要です。

    評価制度を見直す際には、改めて自社の課題と目的を検討し、本当に廃止すべきなのかを慎重に考えるとよいでしょう。

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