- 最終更新日:
- タレントマネジメント
- 人事評価
人事評価の作り方| 手順や失敗例、ポイントも紹介!
関連資料を無料でご利用いただけます
人事評価制度の作り方のポイントを押さえて正しく理解することは、制度を効果的に運用するために重要です。
しかし「正しい作り方がわからない」「人事評価制度の作り方が間違っているかもしれない」という不安を抱えている企業も少なくありません。
人事評価制度を上手に運用できると、従業員や会社全体の成長も期待できるでしょう。
そこで当記事では、人事評価制度の作り方を中心に解説します。記事前半で人事評価制度の作り方に関する手順やポイントをご紹介しますので、時間がない場合は前半だけでも参考にしてみてください。
目次(タップして開閉)
人事評価制度とは
人事評価制度とは、従業員の働きぶりや成果などを踏まえて査定を行い、評価制度や等級制度、報酬制度に反映させる仕組みを指します。
人事評価制度の本来の目的は、会社が目指す方向に進むために、従業員に成長してもらい、組織力を強化することです。
人事評価制度を通して、経営戦略など会社の方向性を明示したうえで、その目標に向かって従業員がどれくらい個人として役割を果たせているかを評価できます。
そして評価結果に対して改善を目指すことで本人が成長できるとともに、会社が目指している方向に進めるでしょう。
人事評価制度の必要性
人事評価制度が必要とされる細かい理由は複数あります。
代表的なものには
・会社目標や自分の役割の明確化 ・従業員の成長やキャリア形成 ・適切な処遇を与えること ・モチベーションを向上させること |
などが挙げられるでしょう。
人事評価制度を通して、従業員一人ひとりの今後の課題や役割を明確にして、人材の成長を促進できるのです。
人事評価制度を導入するメリットやデメリット
人事評価制度を導入するメリットは、適切な処遇により、従業員のモチベーション向上が期待できることです。会社の方向性や求めることも示せるため、個人の成長を促すことができ、最終的には会社の成長にも貢献する可能性があります。
一方、人事評価制度において評価基準を設定することで、画一的な人材が多くなってしまうのはデメリットです。評価項目によっては、評価されにくい部分で優秀な人材がいた場合、活躍する機会が少なくなってしまう恐れもあります。
さらに、評価結果によっては、従業員が不満を抱く原因にもなりかねません。そのため、評価制度の運用では、公平で納得感のある評価が行われるように、定期的に見直す必要があります。
無料で資料をダウンロード 人事評価シートのテンプレート【Excel版】 |
人事評価制度の作り方
人事評価制度の作り方は、以下のような手順で進めていくとよいでしょう。
- 1.自社の現状を把握する
- 2.人事評価制度の目的を設定する
- 3.評価制度と評価基準を決める
- 4.評価項目を設定する
- 5.評価方法やルール、処遇に関する規定を取り決める
- 6.社員へ周知し、運用を開始する
それぞれのステップについて、具体的にご紹介します。
1.自社の現状を把握する
まずは人事評価制度に関する自社の状況を把握しましょう。
現状を洗い出してみると、今後の課題が見えてきます。経営戦略と照らし合わせた人事課題なども含めて考えてみると、より自社の方向性に合った人事評価制度の運用を目指せるでしょう。
2.人事評価制度の目的を設定する
人事評価制度の目的を設定します。まずは人事評価制度の一般的な目的を改めて理解したうえで、自社の目的を設定しましょう。
企業戦略を踏まえ、組織や人材に求めるものを明確にすることで、従業員にとっても伝わりやすく理解が深まります。
3.評価基準を決める
人事評価制度の目的が達成できるように、等級ごとの評価基準を決めます。等級ごとに「どのような役割」「期待する行動」などを定めます。
従業員が納得できる内容はもちろんのこと、基準を言語化できるまで明確にし、できるだけ誰が見ても理解できるようにしましょう。
4.評価項目を設定する
次に、具体的な評価項目を作成します。項目は、「業績評価」「能力評価」「情意評価」に対応したものを用意しましょう。
評価項目は画一的にせず、等級や役職、職種によって変えるのが一般的です。組織目標や経営戦略を紐づけて、組織力の強化や従業員の成長、会社の目標達成につながる内容にしましょう。
3つの要素 | 内容 | 設置項目例 |
---|---|---|
業績評価 | 業績評価では、仕事の成果や結果を評価します。途中のプロセスは加味しません。 | ・品質 ・スピード ・効率性 |
能力評価 | 能力評価では、仕事を遂行する能力について評価します。潜在的な能力や、将来的な可能性も予測できます。 | ・理解度 ・提案力 ・折衝能力 |
情意評価 | 情意評価では、仕事にのぞむ姿勢や、勤務態度を評価します。周囲から見た印象や、仕事上での身のこなし方ともいえます。 | ・責任感 ・思いやり ・積極性 |
さらに自社で成果を出している優秀な人材など、コンピテンシーモデルを参考にして項目を設定するのもおすすめです。
関連記事 事務職の人事評価におけるポイント |
5.評価に関するルールを設定する
人事評価制度を公平なものにするためにも、設定した評価基準や評価項目などに対して、ルールを設定します。
評価について、5段階やABC評価など、どのようなやり方で評価するのかを具体的に決めましょう。評価が中間に偏ってしまうことを避けたい場合は、4段階評価にするのもおすすめです。
さらに、評価結果を処遇に反映させる場合のルールや評価者も設定します。公平で納得感のある評価制度が運用できるように検討したうえで設定しましょう。
6.社員へ周知し、運用を開始する
人事評価制度が完成したら、全従業員に向けて周知しましょう。従業員から質問などを受けつけて、できるだけ不満が残らないようにした状態で運用を開始します。
また、人事評価制度について明文化したマニュアルなどを別途用意し、いつでも確認できるようにしておきましょう。
無料で資料をダウンロード 人事評価シートのテンプレート【Excel版】 |
人事評価制度を作る際の注意点
人事評価制度を作成する際に注意すべき点は、人事評価制度が公平になるようにすることです。
人事評価制度は、評価結果が処遇にも反映されるため、従業員のモチベーションにも大きく影響します。そのため、公平で納得感のある制度が運用できていないと、従業員のモチベーションが下がり、目標達成が難しくなったり、離職の原因にもつながったりしてしまいます。
公平な人事評価制度を運用するためには、自社に最適な評価手法を採用するとともに、定期的な面談などを設けてコミュニケーションを深めることも大切です。
さらに、評価者による評価のバラつきも避けなければなりません。評価者には、公平で客観的な評価ができる人材を抜擢するか、評価者を対象とした研修を実施して評価スキルの底上げをしましょう。
人事評価制度における評価手法
人事評価制度で採用される評価手法には、「目標管理制度(MBO)」「コンピテンシー評価」「360度評価」などがあります。
人事評価の手法 | 内容 |
---|---|
MBO (目標管理制度) | 個人で目標をたて、それぞれの達成度合いから評価をします。 また個人の目標は、組織の目標ともリンクさせることが特徴です。 |
コンピテンシー評価 | 各職務に求める「仕事ができる人」の行動特性をロールモデルとし、それに基づき従業員を評価します。 目指すものが可視化されるため、客観的な判断が可能です。 |
360度評価 | 特定の上司だけではなく、関係する複数の従業員が、対象の従業員を多面的に評価します。 また360度評価では、自身の評価も含めることが特徴です。 |
MBO(目標管理制度)
MBO(Management By Objectives)は、従業員みずからが設定した目標の達成度に応じて評価する手法です。日々の業務管理など人材マネジメント全般に活用する目標管理方法ともいえます。
MBO(目標管理制度)のメリットは、目標に対する達成度という明確な基準があり、誰から見てもわかりやすいスムーズな評価ができる点です。それにより、従業員の納得感が得やすいとされているため、多くの企業に導入されています。
コンピテンシー評価
コンピテンシー評価とは、企業で成果を出している従業員や理想のモデル像に当てはまっているかを評価する手法です。事前にコンピテンシーモデルを確立する必要があるため、明確な評価基準が設定できます。
コンピテンシー評価は、自身が評価されるには「どのような要素や行動が求められるか」が明示されており、本人が取るべき行動を理解しやすく、成長を促進できるとされています。
また、公平で納得感の高い評価につながりやすく、従業員の満足度やモチベーションも向上期待できるというメリットがあります。
360度評価
360度評価とは、上司や部下をはじめ、同じプロジェクトで一緒に働く他職種のメンバーなど複数人の視点で、評価対象者である従業員を評価する手法です。
360度評価を適切に運用できると、客観性の高い人事評価制度につながると考えられています。
多角的な視点を取り入れることで、納得度も高まりやすく、人材育成の促進や従業員のモチベーション向上にも効果が期待できるでしょう。
人事評価のトレンドやポイント
2019年4月より施行された「働き方改革関連法」や同時期に流行が始まった「新型コロナウイルス」の影響で、リモートワークという働き方が急速に浸透しました。勤続年数や年齢を重視する年功序列制ではなく、成果主義を導入する企業も増えています。
そのような背景から社内コミュニケーションが希薄化し、従業員エンゲージメントを重視する傾向もあり、時代の変化に合わせて人事評価制度も常に更新が求められているといえます。
今後の人事評価制度では、従来とは異なる視点も取り入れながら運用することが必要でしょう。そこで、令和における人事評価のトレンドとして「意識すべき点」を解説します。
人事評価制度はプロセスも重要
人事評価制度は、結果だけに焦点を当てるのではなく、プロセスを評価対象にすることも重要です。
結果の重視は、目先の利益にとらわれがちになり、チャンスを逃す可能性があります。また、短期間で成果を出せない従業員の意欲を奪い、離職への引き金にもなるかもしれません。
「少子高齢化」や「多様な働き方(転職・フリーランスなど)」が一般化した時代において、不必要な従業員の離職は避けたい企業は多いでしょう。
ナレッジ継承や成長には一定の安定した雇用が不可欠でありながら、労働人口の減少や雇用形態にこだわらない人が増えてしまうと、人材不足につながる可能性があるためです。
企業は優秀な人材の定着化と離職者の減少のために、運用次第で不満につながる人事評価ではプロセスも重視し、従業員のモチベーションやエンゲージメントの向上を目指す必要があるでしょう。
意識改革で人材確保や企業の成長を促進
新たな時代に適応するには、意識改革も大切です。
意識改革とは、目的を達成するために、考え方や価値観についてアップデートすることを指します。意識改革で押さえるべきポイントは、以下の通りです。
・企業の目的を明確にし、従業員と共有する ・従業員が成長できる環境を提供する |
上記のポイントを押さえるには、適切な人事評価作りが欠かせません。
人事評価の仕組みを整え、企業が意識改革を行うことで「従業員の定着化」と「企業の成長」が期待できるでしょう。
人事評価制度は作成後が重要
人事評価制度は、制度作成したあとの運用も重要です。
運用後に意識したい点は
・人事評価制度を見える化する ・定期的に人事評価制度を見直して必要があれば修正や更新を行う ・評価制度をただ運用するだけでなく、従業員とコミュニケーションを取る ・アンケートを実施して従業員の声を集める |
などが挙げられます。
人事評価制度の仕組みを作って満足して終わりではなく、運用自体が効果的で最適なものになるよう、継続して取り組みましょう。
人事評価制度の失敗例
人事評価制度を運用しても、失敗したり、効果が感じられなかったりするケースもあります。そこで、失敗を招く原因についてご紹介します。
あらかじめ失敗例を知っておくことで予防できるため、ぜひ参考にしてください。
人事評価制度の優先度が低い
人事評価制度に関する優先度が低いと、評価が適切に行われず、従業員のモチベーションも下がってしまう悪循環に陥る可能性があります。
優先度が低くなる原因には、人事評価制度の重要性が理解できていない場合や忙しくて評価ができない場合があるでしょう。
人事担当者には、会社全体に向けて、理解を深めてもらえるように周知する役割があります。適切な人事評価制度がもたらす効果やメリット、評価をいい加減に運用することのデメリットをていねいに説明しましょう。
人事評価にバラつきがある
人事評価制度が失敗しやすい原因には、評価のバラつきが挙げられます。
これは評価者の意識不足や評価経験の浅さによって起こりがちな問題です。人事評価制度を運用する際は、評価者の教育を行い、公平で客観的な評価を行えるようにしなければなりません。
まずは評価者だけを集めて研修や会議などを重ねて、バラつきが出ないように教育しましょう。
人事評価制度の運用には専用システムがサポート
人事評価は「人材育成」と「企業の成長」を担うため、企業には欠かせない人事施策の一つです。人事評価を適切に進めるには、自社の社風や時代に合った「人事評価作り」が必要でしょう。
しかし、人事評価の運用には煩雑な業務が多数発生し、担当者の負担が大きいため、システム化を推進したうえで最適な方法を取り入れるのも一案です。
人事評価をシステム化するなら、さまざまな評価手法にもスムーズに対応できる『スマカン』がおすすめです。当記事で紹介したMBO(目標管理制度)・コンピテンシー評価・360度評価はもちろん、OKRや1on1ミーティングの進捗管理もシステム上で完結できます。
評価入力から集計までの作業を効率化するとともに、公平な評価基準の浸透も助け、人事評価制度運用の総合的なサポートとしてお役立ていただけるでしょう。欲しい機能だけを選べる料金プランでご利用いただけますので、多機能過ぎて使いこなせないという無駄はありません。
当サイトでは、サービス紹介資料はもちろん、人事労務のノウハウに関する資料を無料でダウンロードいただけます。また、30日間の無料トライアルもご提供していますので、まずはお気軽にお問い合わせください。
まとめ
人事評価制度の正しい作り方を理解できると、適切で効果的な人事評価を目指せます。
適切な人事評価が実施できると、従業員のモチベーションが向上し、成果や業績にも影響するため、個人と会社の成長が期待できるでしょう。
人事評価制度は制度作りだけでなく、運用後も重要です。定期的に見直したり、従業員との面談なども疎かにせず、PDCAを回しながら運用していきましょう。
SHARE
関連資料を無料でご利用いただけます
コラム記事カテゴリ
こちらの記事もおすすめ
スマカンの導入をご検討の方へ
実際の画面が見られる
デモを実施中!