- 2023.02.10
- タレントマネジメント
- 人事労務
シエスタ制度とは|導入効果、最適な昼寝時間やメリット・デメリットを解説

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シエスタ制度とは、昼休みを長時間設けること。この時間を使って仮眠をとり、業務の生産性を高めることを目的としています。
当記事では、シエスタ制度の導入による効果やメリット・デメリット、企業事例などを解説いたします。日本でも採用する企業が増えてきていますので、人事・マネジメント担当者や経営者はぜひチェックしてみてください。
目次(タップして開閉)
シエスタ制度とは
シエスタ制度とは、企業の昼休みを長時間(2〜3時間ほど)設け、従業員にリフレッシュを促す制度です。この時間を利用して仮眠をとることが多いため、「昼寝制度」と呼ばれることもあります。
そもそもシエスタとは|発祥国
そもそもシエスタの考え方は、スペインをはじめとしたラテンの国々が発祥とされています。「シエスタ」という言葉は、日本語で「日の出から6時間後=正午前後」という意味です。発祥とされる国々では、正午過ぎから夕方までを休業時間とする企業が多いようです。
シエスタ制度における過ごし方
企業でシエスタ制度を取り入れる場合、過ごし方は基本的に従業員の自由です。仮眠をとるほかに、趣味、余暇、運動、読書など、従業員それぞれがやりたいことを行います。時間の使い方を仮眠だけに制限してしまうと、別のストレスを感じさせてしまう可能性があるからです。
シエスタ制度の最適な時間
シエスタの時間は、一般的に約3時間です。ただし、時間やシエスタの開始時刻は企業によって異なります。以下のように、睡眠時間の長さによって異なる効果が得られるとされているため、仮眠時間は10〜20分以内を目安に設定するといいでしょう。
仮眠時間10〜20分以内 | 病気の発生リスクを低減させる。脳の休息をとる |
---|---|
仮眠時間30分以内 | 休息は取れるが、倦怠感が残る可能性がある |
睡眠時間1時間以上 | 長期間倦怠感が続く可能性がある |
シエスタ制度における勤務時間
シエスタ制度を導入した場合、終業時刻を約2時間延長するケースが多いです。たとえば、シエスタを約3時間設けた場合、もともと6時だった終業時刻が8時に繰り下がります。
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シエスタ制度の目的と背景
シエスタ制度は日本でも注目されるようになり、導入する企業も徐々に増えてきました。シエスタ制度の導入目的や求められる背景についてご紹介します。
目的
シエスタ制度の目的は、「生産性を高めること」です。人間は、昼食後の午後2時頃に眠気を感じるといわれています。この時間に仮眠をとると、高い集中力を維持でき、仕事の生産性を低下させずに業務に取り組めると期待されています。
注目されている背景
シエスタ制度への注目が高まる背景は、「働き方改革」が推進されているからです。働き方改革により、業務時間内にできる限り生産性を高め、短時間で大きな成果を出す重要性が高まっているのです。従業員一人ひとりの作業パフォーマンスを高め、生産性アップを目指す場合、シエスタ制度の効果は大きいといえるでしょう。
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シエスタ制度の効果・メリット
シエスタ制度を導入すると、どのような効果やメリットが得られるのでしょうか。主なものを6つ取り上げてご紹介します。
従業員のモチベーションアップ
効率よく仕事が行えるため、従業員のモチベーションが向上します。頭がスッキリした状態で午後の仕事をスタートでき、仕事に対する満足度向上も期待できます。肉体労働を行う事業所の場合は、シエスタを通して体力も回復するでしょう。
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企業イメージの向上
シエスタ制度を導入すると、「先進的なシステムを導入している企業」「従業員の健康状態を気にかけている企業」という魅力的なイメージを与えられます。健康経営を推進したい場合も、シエスタ制度は有効といえるでしょう。
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病気リスクの軽減
従業員の睡眠不足を解消することで、さまざまな病気リスクを軽減できます。主な病気としては、心筋梗塞、糖尿病、高血圧、うつなどが例に挙げられるでしょう。健康経営の一環として病気による長期休職や退職を避けるためにも、従業員の病気リスク軽減は重要といえます。
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勤務時間の柔軟性が高まる
シエスタ制度と一緒にフレックスタイムを導入すると、勤務時間が柔軟に選べるようになります。「大きな仕事を片づけたい日はシエスタ制度を利用し、早く帰宅したい日は利用しない」という選択もできるため、従業員が働き方を自由に選べることになります。従業員一人ひとりの希望に適したフレキシブルな働き方が実現できるでしょう。
ゆっくりと昼食をとれる
昼休みが長時間与えられると、昼食をゆっくりと食べられます。食べ物をよく噛んで食事ができるようになったり、今まで余裕がなくて足を運べなかった飲食店でランチができるようになったりするでしょう。ランチをともにする同僚や後輩と、時間を気にせずおしゃべりができる点もポイントです。
夏の暑い時間に仕事をせずにすむ
気温が上がる夏の午後に休憩できる点も、シエスタ制度の魅力です。営業など外出が多い職種は、過ごしやすい時間帯に出掛けられるようにスケジュールを組めるでしょう。
シエスタ制度のデメリット
シエスタ制度には、メリットだけでなくデメリットもあります。導入を検討している場合は、デメリットも把握しておくといいでしょう。
体内時計が乱れやすくなる
日中に昼寝の時間を挟むと、体内時計が乱れる恐れもあります。昼間に寝すぎると、夜の寝つきが悪くなることもあるでしょう。適切な睡眠時間がとれるように、企業側が配慮した方がいいかもしれません。数十分の昼寝に向いているリクライニングチェアを用意するなど、長時間寝すぎないための工夫を検討するのもおすすめです。
頭痛が起きやすくなる
シエスタ中に仮眠を取ると、血管の拡張しすぎによる頭痛に悩まされるケースもあるようです。昼寝から目覚めたときに血流量が増えると、なかには強い痛みを感じる人もいます。制度の導入によって、健康を損ねる従業員が発生していないかどうか、企業側が確認するようにしましょう。
シエスタ制度を導入した企業事例
ここでは、シエスタ制度を導入した著名な企業を見ていきましょう。日本と海外の2種類に分けて取り上げます。
日本
三菱地所株式会社
不動産事業を主に取り扱う三菱地所株式会社は、2018年1月にシエスタ制度を開始しました。30分まで利用可能な仮眠室を整備し、現在は多くの従業員が利用しているそうです。午後の業務を邪魔しない適度な睡眠がとれるように工夫された、リクライニングチェアが設置されています。制度の導入後は従業員自身の意識が変わり、「よりよい働き方」についてみずから考えるようになりました。
株式会社ヒューゴ
ITコンサルタント企業の株式会社ヒューゴは、毎日13〜16時の間に3時間の昼休みを設けています。従業員は仮眠をとったあと、ジムでのエクササイズ、オフィス近辺の散歩、映画鑑賞など好きなことをして過ごすそうです。シエスタ制度を導入することで、ケアレスミスや残業時間が大幅に減少したといいます。
GMOインターネット株式会社
通信事業を営むGMOインターネット株式会社は、会議室を「おひるねスペース」として時間限定で開放しています。予約制の仮眠室も設置しているため、従業員が好きなタイミングで仮眠がとれます。仮眠室内には、安眠効果を高めるアロマが置かれたり、音楽が流れたりしているそうです。
海外
海外の有名企業は、シエスタ制度を積極的に導入しています。日本の企業と同様に仮眠室をオフィス内に設け、好きなタイミングで昼寝ができる環境を提供している企業が多いようです。
シエスタ制度を導入するときの注意点
シエスタ制度を導入する際は、下記のような注意点に気をつけましょう。
制度の利用は選択式にする
シエスタ制度の利用は、各従業員の希望に合わせて選択できるようにしましょう。
シエスタを利用すると、自動的に退勤時刻が遅れるため、早く帰宅したい人には迷惑に感じる可能性もあります。業務へのモチベーションが低下してしまうこともあるでしょう。制度の導入が、かえって生産性を減少させてしまわないか、よく検討することをおすすめします。
業務に影響が出ないように配慮する
シエスタ制度の導入によって業務に影響が出ないように、細やかな配慮も必要です。特に、取引先に対しては事前の連絡が求められます。連絡がとれなくなる時間を、制度の導入時に前もって伝えておくと安心でしょう。取引先へ対応できるよう、シエスタ時間中に業務連絡を担当する人材を、外部から雇用する方法もあります。
睡眠がとれる環境を整備する
シエスタ制度の効果を最大限に引き出すためには、リラックスして睡眠がとれる環境を整えることが重要です。毎回同じ姿勢で仮眠すると、質の高い睡眠がとれるといわれています。仮眠室や仮眠用のベッド・リクライニングチェアなどを設置・購入し、従業員が気兼ねなくシエスタがとれるようにするといいでしょう。
シエスタ制度は廃止の動きもある
ここまでシエスタ制度の概要をご紹介してきましたが、スペイン本国では廃止の動きもあるようです。その理由は、早く帰宅したい人が増えているからです。シエスタ制度には、よい部分と悪い部分があります。メリットとデメリットをよく理解したうえで、導入の有無を決めるといいでしょう。
まとめ
長時間の昼休みを設けるシエスタ制度は、日本企業でも徐々に導入されている施策です。従業員の健康を守り、業務の生産性を高める効果が期待できます。ただし、昼休みを延長する分、終業時刻が引き伸ばされることを理解しなければなりません。制度の利用を選択式にしたり、フレックスタイム制度と並行したりするなど工夫が必要でしょう。導入を検討している場合は、当記事の内容をぜひ参考にしてみてください。
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記事監修

スマカン株式会社 代表取締役社長 唐沢雄三郎
一貫して現場に寄り添う人事システムの開発に注力している起業家。戦略人事情報・人材マネジメントシステム、マイナンバー管理システムをはじめ、近年はタレントマネジメントにまで専門領域を広げ、着実に実績を積み上げている。主力製品は公共機関など多くの団体・企業に支持され、その信頼と実績をもとに日本の人材課題の解決に貢献している。
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