- 2022.09.15
- タレントマネジメント
- 人材育成
サクセッションプランとは? 事例と作り方、意味や目的も解説

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サクセッションプランは後継者育成計画のことを指します。最近注目度が増している経営方法でもあり、長期的な企業の発展にも欠かせません。戦略人事を進めるうえでも重要な人事施策の一つといえます。
当記事では、サクセッションプランの概要、具体的な活用方法、事例、メリット・デメリットなどについて解説します。企業の人事担当者やマネジメントの責任者は、ぜひチェックしてみてください。
目次(タップして開閉)
サクセッションプランとは
サクセッションプランの基本的な概要について解説します。
サクセッションプランの意味
サクセッションプランとは、「将来の後継者や重要ポストに就く社員を、前もって管理・育成すること」を指します。「後継者育成計画」や「後継者管理」とも呼ばれており、これから安定した事業経営を行ううえで重要な考え方です。もともとはアメリカで誕生した施策であり、世界的に広まりました。
人材育成・後任登用との違い
従来の施策である人材育成や後任登用とイメージは似ているかもしれませんが、サクセッションプランとは、重要ポストにふさわしい人材を、長期的に育成することです。
人材育成は、後継者育成に限らず広く使用されている言葉なので、サクセッションプランとは異なります。後任登用は、そのポストに近いキャリアの社員から適した人材を選び出すこと。よって、長い時間を費やして人材を育成するサクセッションプランとは違う考え方です。
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サクセッションプラン作成が注目されている理由
サクセッションプランが昨今注目されている理由は、2018年にコーポレート・ガバナンスコードが改定されたからです。コーポレート・ガバナンスコードとは、2015年に策定された「企業の上層部が遵守するべきルール」のこと。
コーポレート・ガバナンスコードに、サクセッションプランなどに関する取り組みを、計画的に行うべきだと記載されています。後継者育成のために、主体的に行動していくことが全国的に要請されたので、多くの企業でサクセッションプランが重要視されるようになりました。
サクセッションプラン作成の目的
サクセッションプランを実施する主な目的を、2つご紹介します。
企業の経営リスクを軽減させる
サクセッションプラン作成の最大の目的は、将来の重要ポストに着任する社員が着実に力をつけていき、これからの企業経営に安定感を出すことです。しっかり準備を進めていないと、スキル不足の人材が急に経営層を担う危険性があります。結果的に、会社の経営自体が危うくなる可能性が高いでしょう。業績を高水準で維持させるためにも、サクセッションプランは重要な施策です。
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従業員満足度を向上させる
サクセッションプランによって会社の経営が安定すると、無理な業務や報酬面での不満が軽減され、従業員満足度の向上や離職防止につながります。それによって企業のブランド力アップも期待できるでしょう。離職者が減ると、新しい人材を採用するコストがかからなくなるのも、サクセッションプラン作成の目的です。
サクセッションプラン作成の事例
サクセッションプランを導入して実際に結果を出した、具体的な事例を2社取り上げます。
りそな銀行
国内メガバンク、りそな銀行は、サクセッションプランに積極的に取り組む企業の代表格です。「役員に求められる人材像」における7つの軸を明確にあらわしたうえで、育成を進めることを示しています。
花王
国内大手化学メーカーである花王は、「花王ウェイ」と呼ばれる経営理念をもとにした人材開発を実施している企業です。基本の流れにサクセッションプラン作成を組み込み、選抜された人材を育てているそうです。適宜、評価・フィードバックも行っている点が特徴的です。
サクセッションプランの作り方
サクセッションプランは、どのように作成すればいいのでしょうか。実際の作り方を解説します。
経営戦略の明確化
サクセッションプランの作成には、まず長期的な経営戦略を明確に決めることが必要です。経営理念や自社商材の特徴などを確認し、これから会社をどんな企業に育てていきたいかを決めましょう。経営戦略が定まらないままサクセッションプランを作成すると、軸が定まっていない状態で人材育成を進めてしまうため、思うように計画が進みません。
戦略を実行するポジション内容の想定
次に、明確化した経営戦略を実施するために求められる、重要ポジションを細かく想定していきます。どんな役割の人材が必要なのか、内容や数を明文化しましょう。「代表取締役まで」「役員まで」など、具体的にポジションを決めていきます。
人材の要件の決定
ポジション内容と数が決まったら、その役割を担う人材の要件を決定します。過去の経験や専門知識の有無、リーダーシップやコミュニケーション能力、語学力などが例に挙げられるでしょう。あいまいな表現を控え、具体性を重視することがポイントです。
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候補となる人材の選出
決定した人材要件に合致する人材を、従業員の中から選出していきましょう。選出方法は、自薦、他薦、試験方式などがあります。現時点でのスキルだけではなく、将来性や成長の伸び代も加味して選ぶといいでしょう。
育成計画の作成・実行
人材の選出まで完了したら、実際に育成計画(サクセッションプラン)を作成・実行していきます。育成計画は、候補者ごとに作成することが一般的です。現時点で不足している部分を伸ばすプログラムを組んだり、早期の配置転換を実施したりします。
進捗確認・内容変更
サクセッションプランを進めていくうえで、定期的に進捗確認を行います。もしも予定通り計画が進んでいない場合は、育成計画を適宜見直さなければなりません。計画→実行→評価→改善のPDCAを回し、よりよい効果が得られるようにしましょう。
サクセッションプラン作成のメリット
ここまでサクセッションプランの作り方を紹介してきました。サクセッションプランには、どんなメリットがあるのでしょうか。主なものを2点ご紹介します。
人材の総合的なスキルを向上できる
サクセッションプランを作成すると、重要ポジションに就く社員のスキルが総合的に向上することが期待できます。1人の優秀な人間に経営を任せるワンマン経営を避けられるとともに、さまざまなトラブルや社会情勢に対応できる「強固な経営陣」をつくることができるでしょう。
経営理念を理解した社員が増える
サクセッションプラン作成には経営戦略の明確化が必要なので、「自社はどうあるべきか」と考える空気が社内に広がりやすくなります。結果的に、経営理念をしっかりと理解した、「企業側が求める、理想的な社員」が増えることが予想されます。
サクセッションプラン作成のデメリット・課題
サクセッションプランの作成には、メリットだけではなく、デメリットや課題点もあります。
長期的な計画を立てなければならない
サクセッションプランは、数十年単位で実行する長期的な施策です。育成計画を予定通りに進めても、後継者候補がやむを得ない理由で退職してしまえば、それまでにかかったコストは無駄になってしまいます。期間が長いからこそ、施策を実施するリスクは非常に高いでしょう。
候補社員の精神的負担を考慮しなければならない
サクセッションプランの中で後継者候補となる社員は、自社の将来を担うプレッシャーを強く感じることになります。一方で、候補から外れてしまった社員も、多大なショックを受けるでしょう。場合によっては、逆に離職者増加につながる恐れもあります。社員たちが精神的に辛い思いをしないような配慮が必要です。
サクセッションプランを作成すべきポスト
サクセッションプランを作成すべきポストは、「社外から登用することが難しいポスト」です。具体的には、代表取締役や経営層が該当します。さらに事業や社内文化をよく理解しなければ業務が進められない部署の責任者なども、サクセッションプランが必要でしょう。また、現時点で社内に採用できる人材がそろっていないポストも、積極的にサクセッションプランを作成すべきです。
サクセッションプランの作成に関わる人
サクセッションプラン作成には、現在の経営層に加えて、人事・マネジメント担当者も関わります。主な業務を進めるのは経営層ですが、育成計画の運用に関しては、人事・マネジメント担当者も大きく関与することになるでしょう。社員側の目線も取り入れながら、より効果的な計画を実施できるようにサポートしていくとよいです。
まとめ
サクセッションプランは、安定した経営や業績アップを実現させる効果的な施策です。特に社員数が多い大企業は、作成をお勧めします。優秀な後継者を育成することは、企業の持続的な成長に欠かせません。
ただし、サクセッションプラン作成には、準備が必要です。在籍している社員のスキルを把握しておかないと、適切な候補者の選定や経営課題を反映させたサクセッションプラン(育成計画)の作成が難しくなります。従業員一人ひとりのスキルを可視化しておくことは、企業の成長にとっても重要なのです。
サクセッションプランの作成にはシステムの活用も
『スマカン』は、従業員一人ひとりのスキルや経歴を一元管理して、適材適所の配置や効果的な人材育成にお役立ていただけるタレントマネジメントシステムです。さまざまな人材情報がバラバラに管理されている企業にとっては、特に有効です。クラウド上で集約して管理し、直感的に操作して更新や分析ができます。サクセッションプラン作成に必要な人材要件の定義や候補者の選出にも役立つでしょう。
このほかにも、人材配置シミュレーション、社員のコンディション管理、採用計画のサポートなども行えます。自社に必要な機能だけを選んで導入できるので、コストを最低限に抑えることもできます。
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