- 2022.04.08
2022.10.25
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アウトソーシングとは? メリット・デメリットや有効に活用する方法、費用対効果を調査

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昨今、人材採用にかかるコストの削減や社内業務の効率化を求める動きから、一定の業務をアウトソーシングを活用する企業が増えています。近年ではクラウドソーシングの人気も高まり、業務によって外部の人員・スキルを利用することはスタンダードになりつつあります。
この記事では、アウトソーシングを利用するメリットやデメリット、活用する場合の費用対効果について解説していきます。
目次(タップして開閉)
アウトソーシング(業務委託)とは?
アウトソーシングとは、外部を意味する「アウト」と調達を指す「ソーシング」を組み合わせた和製英語で、「業務委託」ともいいます。
業務の一部またはすべてを外部企業や個人に委託することを指します。もともとは、情報システム関連の業務を委託する際に使われていましたが、今やアウトソーシングは、あらゆる業務において活用されています。
アウトソーシングが広まる背景
かつての日本では「業務は自社の社員が行う」ことが当たり前でした。
しかし近年の日本では、働き方の多様化や若年労働人口の減少により、人員を確保することが難しくなっています。
企業のさらなる成長のために、また多角化経営を目指したい企業において、人材不足は深刻な問題となります。そのような企業では、不足する人員を補うことを目的に、アウトソーシングを利用するケースが増えています。
また、アウトソーシングすることで、付加価値を高めたサービスの提供や、競合他社との差別化を実現することも、アウトソーシングが広まった理由に挙げられます。
アウトソーシングを利用することで、これまでかかっていた自社の人件費や、設備投資費などの固定費を削減することも可能となります。
企業がアウトソーシングを活用する理由
厚生労働省が平成29年に行った「アウトソーシングの活用に関するアンケート調査」において、企業がアウトソーシングを活用する理由は、「専門的業務への対応」が39.4%、「ワーカーを労働力として確保」が28.2%、「繁忙期への対応」が14.5%となっています。
また、委託する業務の内容は、「継続的に発注している業務」が54.4%ともっとも多く、「自社内で対応しきれない場合にのみ発注している業務」が28.2%という結果が出ています。
参照:厚生労働省委託事業「アウトソーシン グの活用に関するアンケート調査」
アウトソーシングは、企業が置かれているさまざまな問題や課題を適宜解決する方法として用いることができるだけでなく、その時々の状況によって臨機応変に活用できることも特徴です。
アウトソーシングの種類
アウトソーシングの形態は、主に次の3種類に分けることができます。
BPO
BPOとは、「Business Process Outsourcing」の略です。
ある部門の業務を、一括して外部に委託する形態を指します。主に人事・総務・労務・経理などのバックオフィス業務が対象となります。さらに、コールセンターやヘルプデスクなどもBPOを活用する企業が多く見られます。
これらの職種は、マニュアル化しやすい業務が多く、アウトソーシングしやすい特徴があります。企業によっては部署で請け負っていた業務のすべてを、外部に委託するケースもあります。
ITO
ITOとは、「IT Outsourcing」の略です。
主に、情報システムに関する業務のアウトソーシングを指します。近年、急速に進むデジタル化により、新しいサービスや技術を導入したいと考える企業は増えています。
社内にIT技術に長けた社員がいない、または少ない場合、ITOによりシステムの運用/保守やインフラ設計などを委託することができます。
KPO
KPOとは、「Knowledge Process Outsourcing」の略で、直訳すると「知識業務の委託」となります。
主に情報データの分析解析に関する業務のアウトソーシングを指します。業務において、データに関する高度なスキルを持った人材を必要とする場合、KPOを利用する企業が増えています。
アウトソーシングを利用したほうが良い企業
アウトソーシングを活用することで、企業はさまざまな問題を解決することができます。特に次のような企業は、積極的にアウトソーシングの利用を検討すべきといわれています。
・業務量に対して人員が不足している ・業務が属人化し、限られた人しか業務を遂行できていない ・無駄な作業が多い ・社内に専門知識やノウハウを持つ人がいない ・雑務や単純作業に時間がかかり、コア業務に着手できていない |
企業はより良い商品・サービスの提供のために、経営戦略を立てなければなりません。
しかし人員不足により、「本来、優先的に行わなければならない業務にまで手が回らない」といった悩みを抱える会社も少なくなく、なかには、経営陣までもが現場で雑務や単純作業を行っているケースもあるほどです。
そのような企業は、早急に問題を解決する必要があります。アウトソーシングを活用することで、上記のような問題を解決できます。
アウトソーシングできる具体的な業務例
アウトソーシングを検討する際、どの業務を委託するかを選定しなければなりません。アウトソーシングに向いている業務かどうかを判断するポイントには、主に次の3つがあります。
・マニュアル化できる一般業務 ・利益を生まない業務 ・戦略策定が不要な業務 |
具体的な業務には、次のような例が挙げられます。
人事業務
・給与(賞与)計算 ・年末調整関連業務 ・マイナンバーの管理 ・人事評価制度の作成 |
企業規模が大きい、業務領域が広いなどと言った理由で管理しなければならない社員が増えるほど、人事業務は煩雑になっていきます。給与計算などに追われ、人材戦略などのコア業務にまで手が回らない人事担当は少なくありません。
ルーティン化している業務を切り離し、アウトソーシングすることで、本来行うべき業務に着手することができます。
採用業務
・募集方法の選定 ・母集団形成 ・面接へのアテンドなど候補者とのやりとり ・書類選考 |
近年では、採用業務のアウトソーシングにも注目が集まっています。
これまでは書類選考や、候補者とのやりとりに時間を取られていた採用担当者も、アウトソーシングを利用することで、より重要なコア業務に集中できます。
経理業務
・日次業務(ソフト入力、経費計算・管理など) ・月次業務(請求書や領収書の発行など) ・年次業務(決算書作成など) |
経理業務には、ある程度の知識やスキルが必要となります。
経理業務を専門とする会社にアウトソーシングできれば、効率的に業務を遂行することができます。経理業務を委託する場合、委託先ではどのレベルの経理業務が可能なのかもチェックすると良いでしょう。
総務業務
・組織図・社員名簿の作成 ・備品管理 ・社内イベント企画 ・議事録作成 ・社内規定の草案作成 |
総務の業務は多岐にわたります。アウトソーシングする際は、事前に業務の整理や作業リストの作成などを行っておくと、スムーズに引き継ぐことができます。
事務業務
・データ入力 ・リサーチ作業 ・封入作業 |
会社にとっては大切な業務ですが、直接的に利益を生み出す業務とはいえません。
このような細々とした業務やマニュアル化しやすい業務は、アウトソーシングしやすいといえます。
営業
・新規開拓(テレアポ) ・コールセンター ・カスタマーサポート |
電話対応などの業務は、アウトソーシングに適しているといえます。繁忙期・閑散期が明確になりやすいため、人手不足が予想される時期だけアウトソーシングを活用することも可能です。
物流業務
・梱包・出荷 ・在庫管理・棚卸 ・出入庫管理 ・配送状況の管理 |
物流関連は、マニュアル化やルーティン化しやすい業務が多く、アウトソーシングに向いているといえます。
アウトソーシングできない業務
さまざまな業務がアウトソーシングを活用できる一方、インソース(内製)したほうが良い業務もあります。
・自社でナレッジを蓄積すべき業務 ・直接利益を生み出すコア業務 ・戦略策定や意思決定が必要な業務 |
上記のような業務はアウトソーシングには不向きです。自社のノウハウが外部に知られるだけでなく、サービスや質のクオリティが低下するリスクがあるからです。
上記のような業務のタスクを細分化したとき、単純作業化できる部分があるようなら、そのタスクだけをアウトソーシングしても良いかもしれません。
ですが、基本的にはその業務自体は利益を上げない、ノンコア業務に絞って、アウトソーシングを検討したほうが良いでしょう。
アウトソーシングのメリット・デメリット
アウトソーシングを活用することで、さまざまなメリットを得ることができます。
一方で、デメリットといえる点もあります。
アウトソーシングは、メリット・デメリットの両方を意識し、注意するポイントも抑えたうえで利用を検討することをおすすめします。
アウトソーシングのメリット
人件費を抑えることができる
正社員に対しては、業務のボリュームに関係なく、毎月決まった額の給与を支払う必要があります。
いっぽうでアウトソーシングの場合、成果物に対しての報酬のみを支払います。
人件費や設備にかかる費用なども抑えることができ、会社全体の経費削減にもつながります。
即戦力となる人材を活用できる
自社において社員を一から育成する場合、コストも時間もかかってしまいます。アウトソーシングの場合、専門性の高い業務に対し、即戦力となる人材を活用することができます。
そのため、事業をスピーディーに進めることが可能となります。
コア業務に注力できる
人材不足や業務ボリュームの多さにより、コア業務に専念できていなかった企業は、アウトソーシングを活用することで、本来の業務に割く時間を確保することができます。
特に人事やIT部門は、専門性を必要とする業務が多く、ルーティン作業に追われてしまいがちです。そのため、本来行うべき戦略の立案などのコア業務に手が回らないケースが多く見られます。
アウトソーシングを活用し、コア業務に注力できる環境が整うことで、生産性や売上の向上につなげることができます。
アウトソーシングのデメリット
自社内にノウハウを蓄積できない
アウトソーシングは、専門性のある業務を効率的に進められるメリットがありますが、一方で、自社内の専門人材が育たないといったデメリットが生じます。
自社における独自性を担保しながら、ノウハウや知見を持つ社員がいなければ、トラブルが発生した際に即座に対応できない可能性もあります。そのためアウトソーシングする業務は、企業にとって重要度が低く、アウトソーシングしてもコントロールしやすい業務を選定すると良いでしょう。
また、業務委託先における業務フローも把握しておくと安心です。
【解決策の一例】コ・ソーシングも視野に入れて検討
自社内にノウハウが蓄積されないことを懸念する場合、「コ・ソーシング」を視野に入れて検討すると良いかもしれません。コ・ソーシングとは、自社と業務委託先が対等の立場で、共同業務に当たるアウトソーシングの形態を指します。
自社の社員も業務に参加するため、委託先企業が持つ専門知識やノウハウなどを吸収することができます。
情報漏洩のリスクがある
アウトソーシングする業務のなかには、顧客の個人情報や企業の機密情報などを扱うものも少なくありません。社外に業務を持ち出すということは、情報漏洩のリスクが高まるということでもあります。
アウトソーシングする際は、自社と委託先で、情報の取り扱いについて、共通のルールを設定するなどの事前の対策を行うことも大切です。情報漏洩のリスクを最大限考慮したうえで、委託先企業は慎重に選定するようにしましょう。
クオリティの管理が難しい
自社内で業務を行う場合、成果物の品質チェックや作業の進捗状況の確認は随時行えます。しかしアウトソーシングの場合、成果物のクオリティや納期などをコントロールすることが難しくなります。
そのため、常に委託先と連携をとり、透明度のある取引を行うことが重要です。
【解決策の一例】人材派遣も視野に入れて検討
人材派遣は、派遣会社が派遣したスタッフに、期限付きで働いてもらう仕組みです。アウトソーシングとの大きな違いは、自社の管理者が業務指示を行えることです。
そのため、業務進捗の確認や成果物の品質などは、自社で管理することが可能です。
アウトソーシングを検討する際の注意点
ノンコア業務だからといって、安易にアウトソーシングすることはおすすめできません。
これまで自社で対応したことがない業務を外部に委託する場合、適正コストの判断が難しく、実際には費用対効果が低くなってしまうケースもあるからです。
また、委託のための準備や引き継ぎに、想定以上にコストや時間がかかってしまう場合もあります。アウトソーシング先の企業によっては、依頼する業務にオプション料金が発生することも考えられます。
アウトソーシングを検討する際は、信頼できる委託先であるかどうかの判断に加え、費用対効果も考慮し、採否を決定するようにしましょう。
アウトソーシングで社内業務の効率化
アウトソーシングを活用することで得られる効果はさまざまです。人件費などのコストカットが実現できるだけでなく、スピーディーな事業展開が望めます。また、社員は戦略の立案などコア業務に専念することができるようになります。
社内業務の効率化が実現することは、生産性や売り上げが向上するだけではありません。雑務で手一杯となっていた社員は、社内の業務環境が改善されることで、本来持っているスキルを発揮できるようになります。その結果、従業員のモチベーションもアップし、企業の活性化にも繋がっていきます。
また、社内業務の効率化として近年欠かせないのがシステムツールの利用です。
タレントマネジメントシステム「スマカン」は、人材データや人材マネジメント、1on1ミーティングなどの管理が煩雑な情報の一元管理をサポートし社内業務効率化に役立ちます。
・コストを削減し業務効率を改善したい ・コア業務に専念したい ・事業をスピーディーに展開したい |
などの要望がある企業は、アウトソーシングやツールの導入を検討してみると良いでしょう。社内業務が効率化できれば、社員とともに企業も大きく成長していくはずです。

記事監修

スマカン株式会社 代表取締役社長 唐沢雄三郎
2008年より、一貫して現場に寄り添う人事システムの開発に注力している起業家。戦略人事情報・人材マネジメントシステム、マイナンバー管理システムをはじめ、近年はタレントマネジメントにまで専門領域を広げ、着実に実績を積み上げている。主力製品は公共機関など多くの団体・企業に支持され、その信頼と実績をもとに日本の人材課題の解決に貢献している。
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