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人事評価への不服申し立て【事例と対処法】不満の原因と日頃の対策も紹介
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人事評価への不満は、不服申し立てに発展する恐れがあります。トラブルを未然に防ぐためには、従業員が不満を抱く原因を知り、人事評価制度の見直しを行うのがポイントといえます。
当記事では、人事評価への不服申し立てに関する事例や、実際にトラブルが発生した際の対処法、日頃からできる対策についてご紹介します。
目次(タップして開閉)
人事評価における不服申し立てトラブルとは
人事評価に納得していない従業員の不満を見過ごすと、不服申し立てに発展するケースがあります。最悪の場合、企業側に損害賠償を請求される恐れもあり、損失は企業イメージや信頼度の低下にまで及ぶかもしれません。
企業は、人事評価への不満をを放置せず、トラブルを防ぐためにも従業員と真摯に向き合う必要があるといえます。
人事評価で不服申し立てされるケース
人事評価で不服申し立てされるケースとして、4つの事例をご紹介します。
1. 法令に違反している
1つめは、人事評価制度が「労働基準法」や「男女雇用機会均等法」などの法令に違反しているケースです。
たとえば、性別や国籍などによる評価差別が該当します。会社と従業員の間で人事評価制度に事前の合意があったとしても、その内容が法令に抵触していると、従業員は不服申し立てができるので注意しましょう。
2. 成果が評価と連動していない
従業員が成果を出したにもかかわらず、人事評価に反映されていないと、不服申し立てにつながる可能性もあります。企業は人事評価の結果に対して理由を開示・説明する必要があるため、公平な人事評価を行うことが求められています。
3. 評価が給与に反映されていない
人事評価は、従業員の処遇を検討するために行われます。人事評価が給与に正当に反映されていない場合、不服申し立てにつながることもあるでしょう。
また、人事評価自体が公平に行われていたとしても、評価に反して不当に低い給与が定められていたとしたら、従業員を不当に扱ったとして損害賠償責任を負う可能性もあります。
4. 人事評価制度が適切に運用されていない
そもそも人事評価制度を適切に運用できていない場合も、不服申し立てに注意が必要です。
不服申し立ての理由には、以下のような例が挙げられます。
・評価基準があいまいで納得できない ・明らかに高すぎる目標を設定された ・評価結果に対するフィードバックがない |
不適切な評価制度の運用は、人事考課権限の濫用と見なされるケースもあるようです。
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人事評価に不服申し立てされた企業事例
ここでは、実際に人事評価に不服申し立てをされた企業の事例を紹介します。
コナミデジタルエンタテインメント事件
育児休業から復職し「時短勤務での原職復帰」を求めた従業員に対し、原職復帰を認めずに負荷の軽い業務へと変更し、降格・減給したことで訴訟に発展した事例です。
裁判では、担当業務の変更とそれに伴う減給については「必要に基づいたものである」と判断されました。しかし、育児休業取得年度の成果報酬の査定を「ゼロ」としたことは、人事権の濫用にあたるとされ、精神的損害に対して企業側に慰謝料など35万円の支払いが認められました。
ダイエー事件
上司が部下のプライベートの問題に介入し、上司という職制上の優位な立場を利用して左遷をほのめかし、執拗に解決方法を強要したことで訴訟に発展した事例です。
本件は「自己決定の自由を損害する行為」だと見なされ、上司と使用者である企業が連帯して損害賠償責任を負うことが決定されました。
参照:裁判例【第42回】ダイエー事件 |あかるい職場応援団(厚生労働省)
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人事評価の不服申し立てへの対処法
従業員から人事評価の不服申し立てをされた場合、企業はどのように対応すればよいのでしょうか。人事評価の不服申し立てに対する対処法をご紹介します。
従業員と評価者から聞き取りを行う
まずは、人事評価の不服申し立てをした従業員と、評価者双方への聞き取りを行います。
従業員からは「不満を抱いた具体的な理由」について、評価者からは「評価の正当性」について聞き取ります。
従業員の主張に正当性がある場合は非を認め、できるだけ早く評価制度の見直しを検討しましょう。
『個別労働紛争解決のあっせん』を活用する
社内の対応だけでは解決しきれない場合、中央労働委員会が無料で実施する『個別労働紛争解決のあっせん』を利用するのもおすすめです。
『個別労働紛争解決のあっせん』は、労働者と使用者との間で労働条件に関するトラブルが発生したとき、労働問題の専門家が介入し、あっせん案を提示してもらえる制度です。
社内での対応や、個別労働紛争解決のあっせんを受けても問題が解決しないときは、訴訟に発展する可能性があります。そうなった場合は、速やかに弁護士に相談するとよいでしょう。
参照:『個別労働関係紛争のあっせん』中央労働委員会(厚生労働省)
参照:『個別労働紛争解決制度(労働相談、助言・指導、あっせん)』厚生労働省
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人事評価の不服申し立てにつながる不満
人事評価の不服申し立てにつながる不満には、どのようなものがあるのでしょうか。
不服申し立てを事前に防ぐために、従業員が人事評価に不満を抱く原因について知っておきましょう。
評価基準があいまいである
人事評価の不服申し立てにつながる理由の1つめに、評価基準があいまいであることが挙げられます。明確な基準がないまま評価をしてしまうと、従業員は何を目標に行動すればよいかわからず、不満を抱いてしまうでしょう。
評価者の主観が入っている
評価者の主観が入った人事評価を行ってしまうと、不服申し立てにつながりやすいといえます。
評価者の感情や感覚による評価には明確な根拠がないため、上司や会社への不信感を抱くようになり、関係が悪化してしまう恐れがあります。
フィードバックがない
人事評価のフィードバックがないことも、不服申し立てにつながる原因になりやすいです。
特に評価が低かった場合「なぜこのような評価になったのか」という説明やフォローがないと、従業員は理由が分からず不満を抱くでしょう。
フィードバックの機会を設け、評価の根拠を明確に説明することが重要です。
人事評価への不服申し立てに備えた日頃の対策
人事評価への不服申し立てを防ぐために、企業は日頃からどのような対策をすべきでしょうか。従業員の不満を解消し、人事評価への満足度を高めるための方法をご紹介します。
人事評価制度を見直して基準を明確にする
まず、人事評価制度を見直し、評価基準を明確にしておきましょう。一般的な人事評価制度では、以下の3基準を設けて、それぞれの企業で独自に比重を設定し、評価していることが多いです。
業績評価 | 成果や目標の達成度に基づく評価 |
---|---|
能力評価 | 業務に求められるスキルや能力に基づく評価 |
情意評価 | 仕事への意欲や姿勢、勤務態度に基づく評価 |
基準をもとに企業ごとに項目を定め、評価基準を明確にすることで、評価のバラつきを抑えられるでしょう。
また、不服申し立てによるトラブルを未然に防ぐために、自社の人事評価制度に「法令違反となるポイントがないか」、弁護士に確認してもらうのも方法の一つです。
従業員に人事評価制度について周知する
人事評価の不服申し立てを防ぐために、従業員に対して人事評価制度の内容をあらかじめ説明しておくことも大切です。
「何を基準に評価しているのか」がわからない人事評価には、従業員が不信感を抱きやすいです。人事評価を行う目的や評価基準を周知し、自社の人事評価制度について理解を深めてもらいましょう。
評価者への研修を行う
評価者に適切な評価能力を身につけてもらうため、研修を行うのも人事評価による不服申し立てを防ぐ対策といえます。
評価者の主観が入った人事評価は、従業員の不満につながりやすく、評価者には明確な基準に基づく公平な評価が求められます。社内研修や外部の講習を利用することで、評価者は適切な評価の仕方を学べるでしょう。
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不服申し立てに備えて新たな人事評価の導入も
客観的かつ公平な人事評価を実現するために、各社さまざまな評価手法を導入しています。人事評価の不服申し立てを防ぐために、見直しと一緒に、新たな評価制度も検討してみてはいかがでしょうか。
ここでは、人事評価の不服申し立て対策として有効と考えられる、3つの評価手法をご紹介します。
360度評価
360度評価は「多面評価」とも呼ばれ、上司だけでなく同僚や部下なども評価者となって、多角的に評価する手法です。異なる視点を持つ複数の評価者を設定することによって、より客観的な評価が得やすいとされています。
評価者の主観が入った人事評価による不服申し立てを防ぐために、有効的な手段といえるでしょう。
MBO(目標管理制度)
MBO(目標管理制度)とは、従業員一人ひとりが自ら目標を設定し、その目標の達成度に応じた人事評価を行うマネジメント手法です。目標の達成度に応じて評価を行うため、結果に対して従業員の納得感が得られやすいという特徴があります。
コンピテンシー評価
コンピテンシー評価とは、社内で優れた成果を上げている人材の「行動特性」をもとに、評価基準を定める手法です。「高パフォーマンスを発揮する人材がどんな行動をとっているのか」に着目し、対人交渉能力やタイムマネジメントなど複数の評価項目を設定します。
従業員は評価への納得感を感じやすく、企業側は人材育成にも役立てられるため、近年注目されている評価手法といえます。
まとめ
人事評価は適切に運用しないと、従業員が不満を抱いて不服申し立てにつながる恐れがあります。従業員の不満を放置してしまうと、最悪の場合、訴訟につながるケースもあるのです。
訴訟リスクを避けるためにも、納得されやすい人事評価制度の運用を目指すことが大切です。従業員が人事評価に不満を抱く原因を知り、日頃から対策をするようにしましょう。
また、客観的で公平な人事評価を実現するために、新たな評価手法の導入もおすすめいたします。まずは、現状の人事評価制度の課題を洗い出し、見直しを検討してみてはいかがでしょうか。
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