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日本の労働生産性が低い理由とは|現状と改善方法を紹介
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労働生産性が低い理由は、昨今の感染症の影響も指摘されています。労働生産性が低いと、従業員の負担やコストの増加につながるため、改善策を検討している企業もあるでしょう。
当記事は、労働生産性が低い理由や日本の現状を踏まえて、労働生産性の改善方法をご紹介します。企業の経営層や人事担当者は、自社の労働生産性を高めるための参考にしてください。
目次(タップして開閉)
日本の労働生産性が低い現状
日本は世界的に見ても労働生産性が低いという現状にあります。ここでは日本と世界を比較をしながら、日本の労働生産性の状況をご紹介します。
日本の労働生産性と世界比較
労働生産性の国際比較がわかるデータとして、公益財団法人日本生産性本部の調査をご紹介します。日本における時間あたりの労働生産性は49.9ドルであり、OECD加盟国中27位(全38か国)とされています。
OECDデータに基づく2021年の日本の時間当たり労働生産性(就業1時間当たり付加価値)は、49.9ドル(5,006円/購買力平価(PPP)換算)。米国(85.0ドル/8,534円)の6割弱に相当し、OECD加盟38カ国中27位だった。経済成長率が上向いたことで、労働生産性も前年より実質ベースで1.5%上昇した。しかし、順位でみるとデータが取得可能な1970年以降、最も低い順位になっている。
引用:『労働生産性の国際比較 2022』公益財団法人日本生産性本部
次に、1人あたりの労働生産性は81.50ドルであり、OECD加盟国中29位(全38か国)です。
2021年の日本の一人当たり労働生産性(就業者一人当たり付加価値)は、81,510ドル(818万円/購買力平価(PPP)換算)。ポーランド(85,748ドル/861万円)やハンガリー(76,697ドル/770万円)といった東欧諸国やニュージーランド(85,383ドル/857万円)、ポルトガル(77,970ドル/783万円)とほぼ同水準、西欧諸国では労働生産性水準が比較的低い英国(101,405ドル/1,018万円)やスペイン(97,737ドル/981万円)より2割近く低くなっている。順位でみても、1970年以降で最も低い29位に落ち込んでいる。2021年の実質労働生産性上昇率は+2.1%であった。
引用:『労働生産性の国際比較 2022』公益財団法人日本生産性本部
このように、日本の労働生産性は国際的に見ると低い状況にあることがわかります。近年流行が拡大した新型コロナウイルスによる影響から、経済成長率が伸び悩んだことも一因と考えられています。
しかし、1970年代から90年代にかけて「1人あたりの労働生産性」が10位台だったことを踏まえると、大きく順位が落ち込んでいるといえるでしょう。
参照:『労働生産性の国際比較 2022』公益財団法人日本生産性本部
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業種別労働生産性
労働生産性を業種別に確認してみましょう。総務省の『令和3年版 情報通信白書』によると、2019年の業種別労働生産性を、高い順に並び替えると以下の通りです。
- 1.情報通信産業
- 2.輸送機械
- 3.対事業所サービス
- 4.商業
- 5.医療・福祉
- 6.不動産
- 7.対個人サービス
- 8.建設
全体の中でも情報通信産業がもっとも高く、安定して労働生産性の上昇傾向が続いているといえます。
労働生産性とは
労働生産性とは、労働者一人あたりが生産できる成果の効率性を示す数値であり、労働者1人あたりにつき、どれくらいの成果物を生み出せるか、効率性の高さを判断する基準になります。
労働生産性の数値が大きいほど生産性が高いといえますが、業務効率や労働者のスキルの向上などによって、生産性を高められます。
「労働生産性が高い」とは、無駄を省いて業務を進められている状態をあらわし、従業員の負担を軽減できているともいえるでしょう。
一般的にビジネスなどで用いられる「生産性」という言葉は、労働生産性を示しています。
労働生産性の種類
労働生産性は、物理的労働生産性と付加価値労働生産性に2種類に分類できます。
物理的労働生産性とは、労働によって得られるサービスや製品などの「生産量」を成果の対象とするもので、労働者が製品やサービスをどの程度生産したかを確認できる指標です。
付加価値労働生産性とは、労働によって得られる「金銭的な価値」を付加価値として成果の対象とするもので、労働者が一つの付加価値を生み出すために、どれくらいの効率で行っているかを示す指標です。
両者は、労働によって生み出した成果の質が異なります。どのようなものを生み出したかを指すのが物的労働生産性、どれくらいのものを生み出したかを指すのが付加価値労働生産性といえるでしょう。
労働生産性のはかり方
労働生産性は、計算式に当てはめて算出できます。
労働生産性 = アウトプット(産出、成果)/インプット(投入、労働量) |
労働量(従業員数や労働時間)によって、どれほどの成果を出せたかを示す計算式です。言い換えると、インプットに対してアウトプットが大きければ大きいほど、労働生産性は高いといえます。
労働生産性が低い理由
日本において、労働生産性が低い理由には、どのような点が挙げられるでしょうか。具体的な理由について確認してみましょう。
長時間労働や残業が前提の働き方
労働生産性が低い理由の一つは、長時間労働が挙げられます。働き方改革の推進で、残業時間の上限規制が設けられて大きく緩和傾向にありますが、日本は残業が当たり前の風土が残っているといえるでしょう。
労働時間が長くなると、疲労の蓄積や集中力の低下を招き、労働生産性の低下につながります。長時間労働では、従業員の負担が増えるだけでなく、健康面の悪影響も懸念されるでしょう。
業務のアナログ管理
労働生産性が低い理由として、業務のアナログ管理も挙げられます。給与計算や書面の発行から郵送、各種申請や承認など、事務作業やデータ管理にかかわる業務を手作業で行っていると、時間も労力もかかります。ヒューマンエラーも起こりかねません。
近年、IT化やDX化が推進されており、工数やミスの削減のためにも自社に合った使いやすいツールやシステムを検討するといいかもしれません。
評価制度の課題
労働生産性の低さは、自社に合っていない評価制度も原因の一つとして挙げられるでしょう。客観的根拠や成果に基づかない評価を行うと、従業員の不満がたまり、モチベーションを低下させてしまいます。それらがパフォーマンスに影響すると、最終的に労働生産性の低下にもつながるのです。
非効率な業務体制
労働生産性は、非効率な業務体制によっても低くなってしまいます。役職者以外に裁量権がなく、上司の判断を仰がないと業務を進められない場合など、業務全体にかかる時間が多くなると、業務効率が悪くなるでしょう。業務の進捗にまで影響が及ぶと、目標としていた期限までに終わらないなど、さらなる生産性の低下につながります。
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労働生産性が低いデメリット
労働生産性が低いことで起こるデメリットには、どのようなものがあるのでしょうか。具体的なデメリットについて、ご紹介します。
コスト
労働生産性が低いと、成果を出すためにより多くの労働量(労働力や労働時間)が必要となり、コストが多くかかってしまいます。
残業時間が長ければ長いほど残業代がかかり、より多くの従業員が必要になった場合は、その分の人件費がかかるでしょう。最終的に労働量を上回る成果を生み出せなければ、無駄なコストが発生することにもなります。
従業員の負担
労働生産性が低いと、従業員の負担にもつながります。労働時間が増えたり休日出勤が増え、従業員の疲れやストレスがたまる可能性があるため、生産性の低下が懸念されます。
労働生産性の低さを改善する方法
労働生産性が低い状況を改善するには、どのような方法があるでしょうか。労働生産性を高める施策についてご紹介します。
経営層の意識改革
労働生産性の低さを改善するためには、まず企業の経営層の意識改革が大切でしょう。問題がありそうな社内ルールや各種制度を見直したうえで、適切なものを導入し、運用します。経営層が、労働生産性を向上させるための意識を持ったうえで、従業員へと伝えていかなければなりません。
適切な評価制度の運用
労働生産性の低さを改善する施策としては、適切な評価制度の運用も挙げられます。評価が正しくできていない場合、従業員の不満やモチベーションの低下を招き、より生産性の低下を招くでしょう。成果を出している従業員が高い評価になるよう、客観的視点で公平で正しい評価を実施したいものです。
労働環境の改善
労働生産性は、労働環境の改善でも向上が見込めます。過度な残業をしている場合は管理を強化し、特定の部署や従業員の負担が重くなっている場合は見直す必要があります。労働環境を改善すると、心身ともに健康で安心して業務に取り組める可能性が高まるため、労働生産性の向上にも効果が期待できるでしょう。
アウトソーシングの活用
労働生産性を高めるためには、自社の従業員ですべてをカバーしようとするのではなく、ときには外部委託も検討してみましょう。
特に自社に知見がない分野や外部委託しても問題がない業務、業務負担が重いものなどを対象に、アウトソーシングするのがおすすめです。コストはかかりますが、労働時間を抑え、従業員の負担を軽くすることにつながります。
DX化やデジタル化の推進
労働生産性の向上には、DX化やデジタル化を進めることで大きな効果を感じられるでしょう。ツールやシステムの活用で、これまでかかっていた作業の自動化や効率化を促進し、人的ミスも防ぎながら労働生産性の向上が期待できます。
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労働生産性の改善ならシステム活用
労働生産性の改善なら、各種システムを活用するのも一案です。
・営業なら、CRM(顧客管理システム)やSFA(営業支援システム) ・マーケティングなら、MAツール ・経理なら、会計システムや経費精算システム ・労務管理なら、勤怠管理システムや給与計算システム ・人事なら、人事管理システムやタレントマネジメントシステム |
など、部署や職種によって多種多様なDXツールがあります。部署やチームの課題に沿って、役立つDXツールを導入して、生産性向上を目指してみてはいかがでしょうか。
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まとめ
労働生産性が低いと、企業にとってさまざまなデメリットがあるため、労働生産性向上を目指す企業は多いでしょう。
労働生産性を高めるためには、いくつかの方法があるため、取り組みやすいものから始めてみてはいかがでしょうか。特に効果が見込めるツールやシステムの活用は、できるだけ早く取り入れるのがおすすめです。
これまで手動でアナログな管理で、膨大な時間と労力をかけていた業務も、システムを活用すると自動化や効率化が見込め、生産性向上に貢献してくれるはずです。
記事監修
スマカン株式会社 代表取締役社長 唐沢雄三郎
一貫して現場に寄り添う人事システムの開発に注力している起業家。戦略人事情報・人材マネジメントシステム、マイナンバー管理システムをはじめ、近年はタレントマネジメントにまで専門領域を広げ、着実に実績を積み上げている。主力製品は公共機関など多くの団体・企業に支持され、その信頼と実績をもとに日本の人材課題の解決に貢献している。
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