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ポストオフ制度とは? 意味や役職定年との違い、人事に求められる対応を紹介
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ポストオフ制度とは、一定の年齢に達した際に役職を退くことです。組織の活性化や人件費の削減につながるとして、導入を検討する企業も増えてきました。
当記事では、ポストオフ制度の概要や必要性、役職定年との違いについて解説します。人事に求められる対応も取り上げるため、人事・マネジメント担当者は参考にしてみてください。読了後は、ポストオフ制度の適切な取り入れ方や運用方法が理解できるはずです。
目次(タップして開閉)
ポストオフとは
ポストオフ制度とは、あらかじめ制定した年齢に達した際に役職から退任させる仕組みです。該当社員は非管理職として、新しい業務を行います。一般的に、ポストオフされる年齢の目安は50代半ば〜60代とされています。
役職定年との違い
ポストオフ制度とよく似た言葉に、役職定年があります。主な違いは以下の通りです。ただし、制度の内容は企業によって大きく変わるため、参考程度にご覧ください。
ポストオフ制度 | ・役職から退任後も、社内に残って業務を行う ・退任後も、給与や待遇は変わらないことが多い |
---|---|
役職定年 | ・役職から退任後は、会社を退職することが多い ・退任後、給与や待遇は悪くなることが多い |
ポストオフ制度の実態
ポストオフ制度は多くの企業で注目されていますが、実態はどうなっているのでしょうか。ここでは、リクルートマネジメントソリューションズの調査をもとにご紹介します。
ポストオフ後の変化として、賃金が減ったとする回答が8割に達しています。そのほかにも約半数の人が「周囲からの期待が下がった」「仕事量・労働時間が減少」「人事評価が低下」と回答しています。
ポストオフ制度は一般的に、退任後も給与や待遇が変わらないことが多いとされていますが、実態は必ずしもそうではないようです。
また、課長・部長職からのポストオフ後の仕事に対する意欲・やる気の推移については、一度でも「下がった」とする人が6割を超えています。なかには「下がったまま」という回答や「上がったが、あとに下がった」という回答も見られます。
以上のことから、ポストオフ後のモチベーション維持が、大変難しいことがわかります。企業側が、このような実態を理解したうえで、適切なサポートを行う必要があるといえそうです。
参照:『ポストオフ経験に関する意識調査』リクルートマネジメントソリューションズ
ポストオフ制度が注目される背景
ポストオフ制度が注目されている背景として、2つの理由をご紹介します。
組織の活性化を狙っているため
1つめの理由は、社内の組織活性化を見込んでいるからです。空いた役職に若手社員を登用することで、実力のある人材のモチベーションを維持できるでしょう。ハイパフォーマーの他社への流出を防げるため、組織全体の活性化が期待できます。
採用競争が激しいため
2つめの理由は、少子高齢化によって若手社員の採用競争が激しくなっているからです。組織の新陳代謝を高めておかなければ、将来的に若手社員に支持される企業として認知されるのは難しいかもしれません。ポストの流動性を高めておくことが、企業が生存競争に打ち勝つために必要といえるでしょう。
ポストオフ制度のメリット
ここでは、ポストオフ制度を導入する4つのメリットを取り上げます。
人件費を削減できる
ポストオフ制度は、人件費を大きく削減できる可能性があります。新規採用に比べて、実績とスキルを兼ね備えた役職経験者に、非管理職として活躍してもらえるため、コストを大幅に抑えられるでしょう。
風通しのよい職場になる
ポストオフ制度を導入すると、風通しのよい職場に変化するかもしれません。年功序列的な風土が緩和されるため、厳しい上下関係の傾向が弱まるからです。これまで人間関係に問題があったのなら、問題が解決に向かう可能性が高まる点はメリットといえるでしょう。
社員の心理的安全性を高める
職場の心理的安全性を高めることも、ポストオフの大きなメリットです。組織の新陳代謝を高めることで、従業員の自由な発言を促すからです。若手社員にとっては、今まで挑戦をためらっていた仕事に手を挙げやすくなり、挑戦するチャンスともいえます。
関連記事 心理的安全性の重要性や高める方法 |
社員の能力を適正に評価できる
ポストオフによって役職を外れた社員は、現場のスキルに見合った評価に変わることが多いです。管理職として優秀であっても、現場の仕事をこなすスキルが足りていない場合は、相応に評価されるでしょう。マネジメントスキルより個人の能力で判断されるため、ポストオフは社員の能力を適性に評価する制度ともいえます。
ポストオフ制度のデメリット
ポストオフ制度にはメリットだけでなく、デメリットも存在します。ここでは、主なデメリットを3つご紹介します。
短期的に組織力が低下する
1つめのデメリットは、短期的に組織力が低下することです。組織の体制を一からつくり直さなければならず、業務のパフォーマンスは一時的に落ちるかもしれません。迅速に組織力を向上できるように、人事・マネジメント関係者が尽力する必要があるでしょう。
対象の社員のモチベーションが落ちる
2つめは、ポストオフの対象となった社員のモチベーション低下です。今まで経験したことがない業務に戸惑いを感じ、心身ともにストレスを抱えてしまう可能性があります。最悪の場合は、離職につながることもあるでしょう。
若手社員が関係性の構築に苦しむ
ポストオフのデメリットの3つめは、若手社員が非管理職となった社員と上手に関係性を構築できないことです。今まで上司だった社員が同僚または部下になるため、どのように対応すればいいか迷ってしまう場合もあるでしょう。業務上のコミュニケーションが減り、仕事に支障が出てしまう恐れもあります。
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ポストオフ制度をスムーズに進めるポイント
ポストオフ制度を実際に導入する際は、いくつかのポイントに気をつけなければなりません。デメリットを防ぐために、ここでご紹介する注意点に配慮しましょう。
ポストオフ実施前に面談や研修を行う
ポストオフを行う前に、個別面談や研修を行いましょう。対象社員の気持ちを徐々に整えていくことが大切です。面談や研修のポイントは以下の通りです。
面談 | ・今後のキャリアや雇用形態について意思を確認する ・数回に分けて実施する |
---|---|
研修 | ・キャリアデザイン研修を実施する ・今後の目標設定をサポートする |
関連記事 人事面談の手順、ポイントを紹介 |
後継者を計画的に育成する
後継者となる若手社員の計画的な育成も重要です。タレントマネジメントシステムなどを活用し、後継者やリーダー候補となる社員を選抜し、個々に適した育成計画を立てましょう。
ポストオフした社員に教育係になってもらうのも一案です。長年の知識や経験は、若手社員の成長によい影響をもたらすはずです。また、新たな役割を与えることはポストオフ社員のモチベーション維持にもつながるでしょう。
新たな専門職を設置する
対象の社員が退任後、円滑に業務を行ってもらうために、新たな専門職を設置する方法も考えられます。たとえば、以下のような施策が挙げられます。
・今までのポストと似ている業務内容や待遇の専門職を置く ・若手社員の指導役ポストを設置する ・研修や職場環境整備などを担当する専門職をつくる |
ポストオフ制度の事例
ポストオフ制度の導入によって、大きな効果を得た企業もあらわれはじめています。
ここでは、富士通株式会社の例をご紹介します。
富士通株式会社の例
富士通株式会社は、報酬体系を明確にする一環として、ポストオフ制度を実施しています。年齢による退任ではなく「成果を発揮できない社員はポストオフ(異動)され、ほかの職務に従事する」という内容です。
参考にできるポイント
富士通株式会社の例から参考にできるポイントは、社員にとっての「適材適所」を積極的に探す姿勢です。社員がもっとも自分の力を発揮できる場所を見つけられると、組織全体の利益にもつながるでしょう。
ポストオフ制度で人事に求められる対応
ここからは、ポストオフ制度を導入する際に、人事・マネジメント担当者が実施すべき対応について解説します。
モチベーションの変化に対応する
まず、該当社員のモチベーションの変化に対応しましょう。ポストオフ実施後の社員は、業務へのやる気を失う傾向にあります。「自分の存在が、会社から求められていないのではないか」と悩む場合も多いです。高いモチベーションを維持してもらえるように、頻繁に面談を行ったり、今後の目標について話し合ったりしましょう。
新たな処遇に配慮する
次に、ポストオフ実施後の新たな処遇に配慮することも求められます。新しい業務に慣れなかったり、若手社員との関係構築に悩んだりする社員が多いからです。業務に慣れるまでは、親身に話を聞く機会をつくりましょう。
まとめ
ポストオフ制度は、現在多くの企業に注目されている制度です。一定の年齢に達した社員を役職から退任させ、新たなポジションで活躍してもらいます。人件費の削減や、職場の心理的安全性の向上などが主なメリットです。デメリットも存在しますが、注意点に配慮しながら導入すれば、企業によい効果を与えられるでしょう。
ただし、該当社員や周りの若手社員がストレスなく業務を進められるように、丁寧なサポートやフォローが必要です。「ポストオフ実施前に面談や研修を行うこと」「新たな専門職を設置すること」などを行い、スムーズに導入できるように工夫しましょう。
ポストオフ前後の人材管理を助けるツール
人事・マネジメント担当者は、ポストオフの前後で「新しい組織での人材管理」における課題に直面しがちです。ポストオフの対象社員だけでなく、周囲の社員のモチベーションを把握し、適性に合った配置や育成が求められるでしょう。
適材適所の配置やスキルに見合った育成に役立つのが、タレントマネジメントシステムです。
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