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SMART/スマートの法則とは|5つの要素と目標設定のポイントを具体例で解説

SMART/スマートの法則とは|5つの要素と目標設定のポイントを具体例で解説

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SMART/スマートの法則とは、達成しやすい目標を立てるために効果的とされるフレームワークの一種です。企業を成長させるためには、組織と従業員ともに目標設定が欠かせません。

しかし、目標設定が適切でない場合、目標を達成することができなかったり、従業員の士気を低下させたり、さまざまな弊害が生じてしまいます。

適切な目標設定を行うには、5つの要素で構成される目標設定のフレームワーク「SMART/スマートの法則」が有用です。当記事ではSMARTの法則を用いた目標設定のポイントを具体例を踏まえて解説します。

SMARTの法則を構成する5つの要素やメリット、活用時の注意点なども紹介するので、組織と従業員の目標設定に課題を感じている人はぜひ参考にしてみてください。

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目次(タップして開閉)

    SMART/スマートの法則とは

    SMART/スマートの法則は、ビジネスマネジメントの専門家であるジョージ・T・ドラン氏によって提唱された目標設定のためのフレームワークです。

    目標が達成可能で具体的なものであることを確認するのに役立つ手法であり、以下の5つの要素で構成されています。各要素の頭文字を指して「SMARTの法則」と呼ばれています。

    ・Specific(具体的な)
    ・Measurable(測定可能な)
    ・Achievable(達成可能な)
    ・Relevant(関連性のある)
    ・Time-bound(期限が明確な)

    目標設定で重要視される理由

    SMARTの法則を取り入れることが、ビジネスや組織における目標設定で重要とされる理由は、達成状況が測定しやすい指標を立てられるためです。

    法則をもとに設定した目標には明確性があり、部下やチームメンバーはそれぞれ達成に向けた具体的な行動をとりやすくなるでしょう。

    さらにSMARTの法則に基づくと、達成可能な目標を立てられ、その目標が企業全体のビジョンとどのように関連しているかも明示できます。

    それにより、自身の行動や役割の意義についても理解できるため、業務へのモチベーションも維持しやすいでしょう。

    SMART/スマートの法則で目標を立てる5ステップ

    SMART/スマートの法則を構成する5要素の意味を順に確認しながら、法則を用いた具体的な目標の立て方を解説します。

    Specific(具体的な)

    SMARTの法則の「S」は、Specific(具体的な)という意味です。

    目標は明確に設定しなければなりません。たとえば「新規の顧客を獲得する」より「新規の顧客を前月より5件多く獲得する」という目標の方がより具体的といえるでしょう。

    具体的な目標設定によって、何を目指しているかをはっきりと示すと取るべき行動が見えてくるため、効果的なアクションプランが立てられます。

    「何を達成するために何を行うのか」という詳細な目標を立てましょう。

    Measurable(測定可能な)

    SMARTの法則の「M」は、Measurable(測定可能な)という意味です。

    目標の進行状況について途中で確認する際は、具体的な数値目標をもとに評価できることが望ましいでしょう。測定できる基準によって評価することで、必要に応じて最終目標を修正できます。

    「達成・未達」を判断する基準を明確に設定すると、従業員みずから行動や結果を評価でき、改善するきっかけをつくり出せるでしょう。

    Achievable(達成可能な)

    SMARTの法則の「A」は、Achievable(達成可能な)という意味です。

    目標を立てるなら、最終的に確実に達成できるものを設定し、組織や本人の成長につなげたいところです。非現実的な内容になっていないか、現状の内部リソース(能力など)と外部リソース(財政など)を正しく評価しましょう。

    ・時間(期限)内に収まるのか
    ・現状の本人の能力を踏まえてチャレンジグになりすぎていないか
    ・金銭的リソースはかけられるのか

    以上を考慮したうえで、現実的といえる範囲内で目標を立てます。あまりにも非現実的だと、途中でモチベーションを低下させることになりかねません。

    Relevant(関連性のある)

    SMARTの法則の「R」は、Relevant(関連性のある)という意味です。

    個人目標を設定するときは、組織の目標や価値と整合性がとれているか精査しましょう。関連性のある目標を立てられると、個々の努力が組織全体の成果に貢献する可能性があると意識づけられます。

    Time-bound(期限が明確な)

    SMARTの法則の「T」は、Time-bound(期限が明確な)という意味です。

    目標には期限を設けることが大切です。無期限にダラダラと取り組んでしまうと、モチベーションや集中力を維持するのが難しいためです。

    期限を設定して目標の優先順位を明確にすることで、無駄なく効率的に達成に向けて行動できるようになるでしょう。

    SMART/スマートの法則の具体例

    次にSMART/スマートの法則の5つの要素に基づいて、具体的に目標を設定してみましょう。具体例として、人事担当者や経営者向けに各領域の目標をご紹介しますので、参考にしてみてください。

    新卒採用/中途採用への活用事例

    人材採用業務の目標設定では、中途や新卒の採用人数や応募者人数、面接の頻度、内定辞退者数、採用後の人事評価結果、採用者の在籍期間などが具体的な指標として用いられます。

    目標設定の例として、来年度の新卒採用を強化する場合をご紹介します。

    目標設定の例
    Specific(具体性)新卒採用人数
    Measurable(計量性)今年度の2倍にあたる30人の採用で達成をはかる
    Achievable(達成可能性)採用広報広報活動を強化により、業界の市場が拡大している
    露出増加や将来性から、新卒入社希望者の増加が見込める
    Relevant(関連性)新卒採用は企業の事業規模拡大に必要不可欠
    長期的な組織の成長を支える
    Time-bound(期限)来年度の新卒採用において実行
    期限は再来年度まで
    SMARTの法則をもとにした目標来年度の新卒採用人数において、今年度の2倍にあたる30名を採用する

    人材育成/人材開発への活用事例

    今いる人材の育成業務における目標設定では、以下のような指標を用いると、目標の達成度を定量化できるでしょう。

    ・研修の実施率や参加率
    ・研修内容の理解度テストの結果
    ・営業研修に参加した社員の売り上げ変化
    ・資格取得数やTOEICのスコア など

    目標設定の例として、新入社員の業務スキルの底上げについてご紹介します。

    目標設定の例
    Specific(具体性)新入社員全員の業務基礎テストの点数
    Measurable(計量性)業務基礎テストの点数を70点以上で合格とする
    Achievable(達成可能性)研修プログラムを昨年度より改訂
    研修日数を増やし、1日の終わりに理解度チェックを実施するようにしたため、達成を見込んでいる
    Relevant(関連性)すべての業務の基礎となるスキル向上は、組織全体の生産性向上につながる
    Time-bound(期限)研修終了後、2か月以内
    未達者は再テストを実施し、合格まで繰り返す
    SMARTの法則をもとにした目標新人研修終了後、2か月以内に参加者全員が業務基礎テストで70点以上を取得する

    人材配置・異動/人事評価への活用事例

    人材配置業務の目標設定では、異動後の本人と上司それぞれの満足度や、空きポジションの充足率、異動希望者の人数などを用いると目標を具体化できます。

    また人事評価の運用業務においては、評価への満足度や集計工数(時間)の短縮などによって、目標を計量化できるでしょう。

    人事担当者向けに目標設定の例として、人事評価に対する従業員の満足度向上により、組織パフォーマンスの強化を目指す場合をご紹介します。

    目標設定の例
    Specific(具体性)人事評価に対する満足度(10段階)
    Measurable(計量性)10段階評価のうち、満足度7以上で計測する
    Achievable(達成可能性)評価基準の見直しを実施し、評価フィードバックの機会を新たに設けたことにより、納得度の向上を見込んでいる
    Relevant(関連性)公平な評価体制は従業員の意欲やエンゲージメント向上につながり、組織全体のパフォーマンスを上げる
    Time-bound(期限)次の半期評価における目標
    SMARTの法則をもとにした目標次の半期評価において、全従業員が評価についての透明性と公平性に満足度7以上(10点満点)をつける

    なお、人事評価そのものでは、従業員自身が立てた目標の達成度を基準にして、結果に反映する場合があります。個人だけでなく、部門や部署別のKPI達成率なども指標として用いられます。

    経営目標への活用事例

    経営の目標設定の例として、売り上げや利益の増加により業績向上を目指す場合についてご紹介します。

    目標設定の例
    Specific(具体性)対前年度比、売り上げ増加率
    Measurable(計量性)売り上げ増加率を基準に、20%増加で達成とする
    Achievable(達成可能性)新たな製品の導入や販売チャネルの拡大など、具体的な戦略を立てており、達成可能性を見込んでいる
    Relevant(関連性)売り上げ増加は企業の経済的成功と成長に直接関連する
    Time-bound(期限)来年度末まで
    SMARTの法則をもとにした目標来年度の売り上げを、前年度に比べて20%増加させる

    SMART/スマートの法則は時代遅れ? 新たな法則

    SMART/スマートの法則は、目標設定における重要なフレームワークとして広く認知されています。

    しかし、急速に変化する現代のビジネス環境においては「時代遅れのフレームワーク」だといわれることもあるようです。

    最近では、時代の変化に合わせてSMARTの法則を発展させた法則も用いられるようになってきました。そこで目標設定に関する新たな法則の概要を4つご紹介します。

    SMARTERの法則

    SMARTERの法則は、SMARTの法則に「Evaluated(評価される)」と「Recognized(承認される)」の要素を追加したものです。

    目標達成のためには、上司からの評価と承認が必要であるという考え方をもとに、それらを含めた目標設定の手法といえます。

    SMARTTAの法則

    SMARTTAの法則は、SMARTの法則に「Trackable(追跡可能な)」と「Agreed(合意された)」の要素が追加されています。

    目標設定の進捗が具体的に追跡でき、関係者全員がその目標に納得しているかどうかを含めた目標設定の法則です。

    SMARRTの法則

    SMARRTの法則は、SMARTの法則に「R」を1つ付け加えた法則です。

    「Realistic(現実的か)」を示しており、すでに要素の一つとなっている「Achievable(達成可能か)」とほぼ同義です。同じ意味合いの要素をもう1つ足すことで、より具体的・合理的な経営目標を立てられると考えられています。

    FASTの法則

    FASTの法則は、以下の4つの要素で構成されている目標設定のフレームワークです。

    ・Frequent(頻繁な)
    ・Ambitious(大胆な)
    ・Specific(具体的な)
    ・Transparent(透明性のある)

    FASTの法則では、大胆に目標を設定し、達成に向けてオープンなコミュニケーションの機会を設けることを重視しています。

    大胆かつ野心的な目標設定は達成の可能性が低くなってしまうこともあるかもしれません。そこで、ゴールについて頻繁に議論を重ねることで、達成をより可能にする手法といえるでしょう。

    SMARTの法則との違い・使い分け

    FASTの法則は、未来志向のビジョンや大胆かつ野心的な目標に焦点を当て、全員に共有して組織全体が連携することを重視しています。

    特に長期的な目標設定に適しており、大胆なビジョンの設定や、目標達成に向けた戦略的なアプローチが求められる場合に有用といえるでしょう。

    一方のSMARTの法則は、最終的に達成可能であるかに焦点が当てられ、具体性や計測可能性を重視しています。達成基準や期限をもとに進行状況を可視化して、短期的な目標の達成を目指す場合に有効な手法といえるでしょう。

    したがってSMARTの法則とFASTの法則は、目標の種類や期間、組織の規模や文化に応じて使い分けられます。個々のタスクやプロジェクトの目標設定にはSMARTの法則、組織全体の長期的なビジョンや戦略の策定にはFASTの法則を用いるといいでしょう。

    SMART/スマートの法則を取り入れるメリット

    SMART/スマートの法則を用いた目標設定は、その明確性と計測可能性などの観点から多くのメリットがあります。SMART/スマートの法則を取り入れるメリットを6つご紹介します。

    ・目標達成に向けた行動を起こしやすい
    ・モチベーションを保てる
    ・評価しやすい
    ・作業の効率化がはかれる
    ・自己成長とキャリアアップにつながる
    ・チームワークの向上が見込める

    目標達成に向けた行動を起こしやすい

    SMARTの法則に基づいた具体的かつ明確な目標は、達成に向けた行動を起こしやすくなります。

    何をどのように、いつまでに達成すべきかがはっきりしているため、行動の方向性が明らかになり、無駄な労力や時間を避けられるのです。

    モチベーションを保てる

    SMARTの法則の測定可能な目標は、従業員自身のモチベーションを保つのに役立つとされています。

    自分の努力が目に見えてわかる状況は大きな達成感があり、従業員はさらなる目標達成に向けてやる気を引き出せるでしょう。

    また、目標達成の期限が設けられていることから、達成度の進捗を確認しながら従業員に自主的な行動を促すことができ、目標達成時により大きな満足感を得られるはずです。

    評価しやすい

    SMARTの法則を用いて設定された目標は、その達成状況を数値で示します。

    特に、業績評価が客観的かつ公平になり、評価の公平性や透明性を保つことが可能です。納得感のある評価は、従業員エンゲージメント向上にも大きく関連するでしょう。

    作業の効率化がはかれる

    目標が明確であると、必要なリソースや時間を適切に配分し、作業効率化がはかれます。それぞれのタスクが目標達成にどれほど関連するかを理解し、優先順位をつけられるでしょう。

    自己成長とキャリアアップにつながる

    自身のスキル開発やキャリアの方向性に関連する目標を設定できるため、本人の成長とキャリア進展につながる仕事に意識的に取り組めます。

    また、SMARTの法則を用いた目標設定を習慣化できると、具体的なキャリアプランを描くスキルも身につくでしょう。

    チームワークの向上が見込める

    個々の目標が明確に共有されていると、チーム内で協力と一体感を高められるでしょう。全員が同じ方向に向かって取り組めるため、団結力の強化とチームのパフォーマンスの向上が実現できるでしょう。

    SMART/スマートの法則のポイントと注意点

    活用によってメリットが多いSMART/スマートの法則ですが、一方で注意すべきポイントもあります。SMARTの法則を用いて目標設定する際は、以下の注意点を意識しましょう。

    ・成果目標と行動目標に分ける
    ・PDCAサイクルを回す
    ・状況の変化に合わせる
    ・すべての目標が要素を満たす必要はない
    ・適切な期間を設定する
    ・達成可能性を保つ

    成果目標と行動目標に分ける

    成果目標は達成したい最終的な結果、行動目標はそのためにどんな行動をとるべきかをあらわします。

    成果目標と行動目標を分けて設定することで、達成すべき行動を具体化し、成果目標達成への道筋を立てられるでしょう。

    PDCAサイクルを回す

    SMARTの法則で設定した目標は、PDCAサイクルを回すことで、さらなる効果を発揮すると考えられています。まずは行動計画を立てて実践し、結果を検証したうえで、改善するという流れを繰り返し、達成に向けた取り組みを進めていくようにしましょう。

    1Plan(計画)目標達成に向けた行動計画を立てる
    2Do(実行)行動計画に沿って実際に行動する
    3Check(評価)実行結果から、目標への達成度や効果を検証する
    4Act(改善)評価結果をもとに今後の対策と改善方法を探る

    状況の変化に合わせる

    市場の動向や経営状況は変わりやすいため、設定した目標が現状に見合っているか定期的に見直し、必要に応じて調整することが重要です。

    そのときどきで、SMARTの法則を用いて柔軟に目標を設定しましょう。

    すべての目標が要素を満たす必要はない

    必ずしもすべての目標が、SMARTの法則の5つの要素を完全に満たす必要はありません。

    すべての要素を満たせない場合でも「明確さ」や「計測可能性」は特に重要といわれているため、意識的に定義するようにすることをおすすめします。

    適切な期間を設定する

    目標達成に必要な期間を設定することは重要ですが、期間が短すぎても長すぎてもよくありません。

    短すぎると達成可能性が低くなりモチベーション低下につながる可能性があります。反対に、期限までが長すぎると目標に対する緊張感が失われてしまうでしょう。

    達成可能性を保つ

    高すぎる目標は、達成不可能だと感じモチベーション低下につながりますが、あまりにも低い目標は挑戦意欲を引き出せない可能性があります。

    現実的でありながらも、ある程度チャレンジングな目標設定が理想的です。

    SMART/スマートの法則と併用したいフレームワーク

    SMART/スマートの法則は、MBO(目標管理制度)やOKRと相性がよいといわれています。それぞれのフレームワークとどのように併用するのかご紹介します。

    MBO(目標管理制度)

    MBOは、個人目標と企業や組織目標をリンクさせ、従業員みずからが目標設定を行い、自己統制していくフレームワークです。

    MBOは人事評価で活用されることが多く、具体的かつ定量的な目標設定が求められます。

    SMARTの法則と併用することで評価しやすい目標を設定でき、評価制度に対する公平性が増し、納得が得られやすくなるかもしれません。

    OKR

    OKRは、1つの目標(Objectives)に複数の結果(Key Results)が付随する目標管理の方法です。目標(O)とその達成度を測定するための具体的な指標(KR)を設定し、ほかのメンバーと共有します。

    SMARTの法則を活用して「KR」を具体的に設計して共有できると、組織全体が同じ方向に向かって一体感を持って行動を取れるようになるでしょう。

    SMART/スマートの法則を取り入れて目標達成を

    SMART/スマートの法則は、5つの要素の頭文字で構成された目標設定のためのフレームワークです。

    ・Specific(具体的な)
    ・Measurable(測定可能な)
    ・Achievable(達成可能な)
    ・Relevant(関連性のある)
    ・Time-bound(期限が明確な)

    SMARTの法則を目標設定に用いると、目標達成に向けた行動を起こしやすくなり、モチベーション維持や業務効率化などのメリットを生み出します。

    また、計測可能かつ具体的な行動指標を設けることで、公平で納得感のある評価制度設計にもつながるでしょう。ただし、近年ではSMARTの法則を発展させた新しい目標設定の型も登場しています。

    SMARTの法則による目標設定は職種を選ばずに活用できるため「目標設定がうまくいかない」「評価制度を改善したい」と考える企業は、SMARTの法則をもとにした目標設定を検討してみてはいかがでしょうか。

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