- 2022.02.04
2023.01.26
- タレントマネジメント
- 人事評価
MBOとOKRの違いとは|目標管理手法の選び方やメリットを解説

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昨今は、MBOやOKRを従業員の目標管理手法として活用する企業が増えているようです。しかし、MBOとOKRを混同している方も少なくないかもしれません。
そこで当記事はMBOとOKRの違いを整理し、それぞれのメリットや運用方法を解説します。人事やマネジメント担当者は、ぜひ参考にしてみてください。
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目次(タップして開閉)
MBOとは
MBOは「Management By Objectives」の略で、日本語では「目標管理」と訳します。「経営学の父」「マネジメントの権威」として有名な経営思想家、ピーター・ドラッカーが1950年代に提唱したマネジメント手法です。
MBOは、日本でも1960年代半ばには知られていました。多くの企業が「目標管理」として人事施策に採用するようになったの、はバブル崩壊後の1990年代後半以降です。
なお、経営陣が自社株式などを買収して独立する「Management Buy-Out」も「MBO」と略されますが、目標管理制度のMBOとは無関係です。
目的
MBOの目的は、従業員一人ひとりが設定した目標(Objectives)を企業の組織目標とリンクさせ、その達成度に応じた評価によって人材マネジメント(Management)を行っていくことです。
運用方法
MBOの運用方法は、PDCAサイクルを回すことを基本としています。Plan(計画)、Do(実行)、Check(評価)、Act(改善)の各ステップに分けてMBOの運用方法を解説します。
Plan (計画) | 数値化できる定量的な目標 |
---|---|
Do (実行) | 目標を達成するための具体的な行動 |
Check (評価) | 数値目標の達成度 |
Act (改善) | 行動、結果の分析・改善 |
Plan(計画)
まずば従業員自ら、定量的で具体的な目標を設定します。
MBOで設定する目標は、「成約件数を15%増加させる」「消耗品費を10%削減する」など数値化できる定量的なものがよいとされています。「成約件数を増やす努力をする」「無駄をなくす」など漠然とした定性目標は望ましくありません。
また、企業の組織目標とリンクしていること、貢献する指標であることが求められます。たとえば、受発注業務でミスが多発していて、その解決が社内の喫緊の課題だとします。このとき、事務職が設定すべき目標は「受発注業務のミスをゼロにする」が適切です。「残業したくない」という個人的な事情から「残業時間を30%削減する」を目標にしても意味がありません。
マネジメント担当者は、部下の目標や行動計画が定量的か、組織目標に貢献しているかなどをチェックし、不適切な場合は助言を行って修正してもらいます。
Do(実行)
次に目標を達成するための行動計画を立てて実行に移します。
「受発注業務のミスをゼロにする」が目標ならば、これを達成するための行動は「発注時は必ずダブルチェックを行う」「6月までに運用マニュアルを作成して周知する」などです。行動も目標と同じく、どのタイミングで行うのか、いつまでに実現するのかなど、具体性が求められます。
Check(評価)
MBOの運用中は、従業員が目標の達成度を自己評価すると同時に、上司による第三者視点からの評価も行われます。評価基準は、働きぶり・意欲・努力などではなく、あくまでも目標達成度です。
昇給や昇進などに関わる評価は年度単位(1年)もしくは半期単位(6か月)に一度です。しかし、進捗状況の確認は、週に一度・月に一度などの頻度で実施します。上司は部下に適切に進捗状況を確認し、1on1ミーティングを実施したりして、部下が抱える問題や悩みを把握し、適切なアドバイスを行います。
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Act(改善)
MBOで設定した目標が「達成できなかった」「達成できそうにもない」と評価された場合、原因を分析して、改善策を考えたり目標や行動計画を設定し直したりします。
上司は部下に「設定した目標は適切だったのか?」「目標達成を妨げる問題は何なのか?」などと質問し、部下が自己を振り返るきっかけを与えるといいでしょう。
上司はフィードバックするだけでなく、部下が主体的に問題解決していくよう促します。このとき「努力については認めている」「次こそは目標達成できると期待している」といった声かけをすると、部下のモチベーション向上につながるかもしれません。
MBOのメリット
MBOのメリットを3つご紹介します。
モチベーション向上
MBOは上意下達のマネジメントとは異なり、従業員が自分の意思で目標を設定します。そのため、従業員の意識からやらされ感がなくなり、モチベーションの向上につながります。目標を達成できれば自信につながり、さらに高い目標へとチャレンジしたくなるでしょう。
スキルアップ
目標に向けて試行錯誤しながら自分自身を管理するセルフマネジメントのスキルを伸ばす効果があります。近年、多くの企業が求めているのは、自律的に行動して新たな価値を創造する従業員です。こうした企業のニーズを達成する上でMBOは威力を発揮します。
人事評価の明確化
目標達成度という明確な評価基準があるMBOでは、人事評価を容易にするというメリットもあります。評価者の主観が入りにくく、評価される従業員も納得しやすいのが特徴です。
MBOのデメリット
MBOのデメリットとその解決法についても3つご紹介します。
モチベーション低下
従業員が自分の意思で目標を設定するとはいえ、組織目標との整合性が求められます。そのため、本当に実現したい目標を設定できずに不満を抱き、モチベーションが低下することもあります。
このような問題が生じる場合、上司が「君は我が社にとってかけがえのない人材だ」などと声かけし、部下のエンゲージメントを高めることが先決です。上司と部下との間に信頼関係を築き、部下に「上司の期待に応えたい」という感情を抱かせるのもよいでしょう。
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不適切な目標設定
MBOが待遇・処遇に連動していると、低めの目標を設定する従業員や、達成不可能な目標を設定する従業員が出てきます。
しかし、これでは従業員がスキルアップしない上に、企業や組織の生産性も向上しません。
このような問題を解決するには、目標の難易度も評価に組み込む一方で、100%の目標達成を目指さなければならないことを周知するのが有効です。
個人主義の蔓延
自らの目標達成を強く意識する従業員ばかりになると、個人主義が蔓延します。協調性が失われ、チーム内の人間関係が険悪になることもあります。また、上司が部下の育成を怠る、誰も目標としていない業務が放置されるなどの弊害も起こり得ます。
個人主義の蔓延を防ぐには、個人としての目標だけでなく、チーム・グループとしての目標も設定させるのが効果的です。
OKRとは
OKRは「Objectives and Key Results」の略です。1970年代に米インテル社が採用して以来、シリコンバレーを拠点とする有名企業が続々と導入しました。日本でもOKRを導入する企業が増えていて、MBOと対照的なマネジメント手法として注目されています。
目的
OKRは、目標(Objectives)と主要な結果(Key Results)をリンクさせ、目標設定・進捗確認・評価を頻繁に行います。その目的は、企業と従業員が同じ方向を向き、優先順位を明確にした上で、計画的に業務を進めることです。
運用方法
OKRでは、O(Objectives=目標)とKR(Key Results=主要な結果)を設定した後、短いスパンで進捗を確認していきます。
OとKRの設定
一般的にOKRは「企業全体→部署・チーム→従業員個人」の順に設定します。最初に企業全体がOとKRを設定します。次に各部署・チームが、会社全体のKRを達成するためのOと、自分たちのKRを設定します。最後に従業員個人が、所属する部署・チームのKRを達成するためのOと、自らのKRを設定します。

Oの設定
Oは達成可能と考えられるよりも高めのレベルに設定するのがポイントです。数値化できない定性的な内容とし、60~70%の達成を目指します。
営業部のOの例としては「過去最高収益を達成する」があります。
KRの設定
一方、KRは実現不可能ではないレベルのものを複数個設定します。数値化できる定量的な内容とし、60~70%の達成を目指します。営業部のKRの例としては「新規顧客を50件獲得する」「売上高を前年比10%アップさせる」などがあります。
OKRの評価や見直しのタイミングは企業によって異なりますが、四半期単位(3か月)に1度とされることが一般的です。この評価は人事評価に反映しないのが原則です。
チェックインの実施
毎週、週の始めには30分程度のチェックインミーティングを実施し、OKRの進捗や課題などについて話し合います。概ね次の4点がテーマとなるでしょう。
・OKRの進捗状況 ・自信度と修正の有無 ・課題とその解決策 ・その週でやるべきこと |
目標を達成できる見込みが無ければ目標そのものを大幅に修正したり、課題解決のために他のチームとの連携を図ったりします。
ウィンセッションの実施
毎週、週の終わりには30分程度のウィンセッションミーティングを実施し、OKRの進捗を確認すると同時に、お互いを称え合います。それぞれが自分の達成したことや嬉しかったことなどを発表しそれらを全員で承認・称賛します。ネガティブな発言は一切禁止し、1週間をポジティブな気持ちで締めくくることが大切です。
OKRのメリット
OKRのメリットを紹介します。
エンゲージメント向上
企業全体で目標を共有し、同じ方向に進むことを通して、従業員は自分の業務が企業にどう貢献しているのかを理解できます。従業員同士のコミュニケーションが活性化し、ウィンセッションで称え合うことで、互いの信頼関係も深まるでしょう。こうした理由から、従業員のエンゲージメントが向上します。
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優先順位の明確化
日々の業務では、部署間の利害が対立したり、人間関係が絡んだりして、タスクの優先順位が見失われることもあるでしょう。しかし、OKRを通して企業全体の目標が従業員一人ひとりに浸透すれば、最優先のタスクに集中できるようになります。生産性が向上すると同時に、従業員のモチベーションにも良い影響を与えます。
イノベーション創出
OKRは人事評価から切り離し、目標達成度60~70%を目指します。そのため、従業員は大胆な目標を掲げ、失敗を恐れずにチャレンジすることが可能です。OKRがきっかけでイノベーションが生まれることもあります。
関連記事 OKRと人事評価の関係 |
OKRのデメリット
OKRのデメリットとその解決法についても紹介します。
モチベーション低下
企業全体の目標を達成するために従業員が同じ方向に進むことになるので、個人目標の達成を重視する従業員のモチベーションが低下することもあります。また、「目標は100%達成しなければならない」と思い込んでいる従業員が、高い目標を前にして委縮するかもしれません。
従業員のモチベーション低下を防ぐには、OKR導入前に従業員全員で導入目的を共有していることが大切です。従業員の間に不安や不満がある場合は、じっくりとすり合わせを行います。社員教育を実施するのもよいでしょう。
OKRに不向きな環境
OKRは短いスパンで頻繁に進捗を確認するため、その時間を捻出できない企業や部署・チームは導入できません。少人数の従業員一人ひとりが様々な業務を同時並行でこなしている企業でも、OKRの効果は薄れてしまいます。
導入前に、企業はOKRが本当に必要かどうかを検討するとよいでしょう。MBOなどの従来の目標管理制度と異なるOKRは、導入後も定着までに手間と時間がかかります。
このことも考慮して導入を見送るのも選択肢の一つです。
MBOとOKRの違い
MBOとOKRは混同されることもありますが、本質的に異なる目標管理制度です。両者の違いを改めて整理します。
運用目的
MBOは、組織目標とリンクさせますが、従業員が自ら設定した個人目標の達成を目指します。従業員一人ひとりの成長を促す側面が強く、昇給や昇進などの根拠となる人事評価にも影響します。
OKRは、従業員の個人目標を設定しますが、これはあくまでも企業全体の組織目標を達成するためです。企業と従業員が同じ方向に進むことが重視され、原則として人事評価とは無関係に運用されます。ただし、OKRへの取り組みなど過程に対する評価を緩やかに人事評価と連動させても問題ありません。
評価頻度
MBOでは年度単位(1年)もしくは半期単位(6か月)に1度の評価が行われます。ただし、週に1度・月に1度などの頻度で進捗確認が行われ、上司は日報・週報や1on1ミーティングなどを通して、部下のフォローを行います。
OKRでは一般的に四半期単位(3か月)で評価・見直しが行われます。ただし、週の始めにチェックインを、週の終わりにウィンセッションを実施するなど、1週間といった短いスパンでの進捗確認が頻繁に行われます。
評価基準
MBOでは、従業員が達成可能な目標を設定するため、100%の達成度を目指します。
OKRでは、達成可能と考えられるよりも高めのレベルに目標を設定するため、60~70%の達成度を目指します。
MBOとOKRの効果を最大化するには?
MBOもOKRも効果を最大化させるためには、いくつかの重要なポイントがあります。
明確な目的を従業員と共有する
MBOもOKRも導入する目的を明確化して、その目的を従業員一人ひとりと必ず共有しなければなりません。どちらの目標管理制度も組織目標の達成を目指すものです。
特にMBOは、従業員に自ら個人目標を設定させ、その達成度を人事評価と連動させるため、誤解が生じやすい傾向にあります。この問題は、上司が部下と1on1ミーティングを実施するなどしてコミュニケーションを図り、従業員一人ひとりのエンゲージメントを向上させることで解決するのが望ましいでしょう。
目標管理業務を効率化する
MBOやOKR実施の際に連動する、KPI設定や1on1管理、スキル・育成管理など、各施策の運用をシステムやツールで一元管理し一連制を保持することで、組織目標に必要な課題が明確となるだけでなく、同時に業務効率化にも繋がります。
可視化した課題を従業員のキャリアアップや配置転換などにも積極的に活かせれば、従業員とともに企業は大きく成長するでしょう。
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OKRやMBOなど、各手法に合わせたテンプレートもあり、直感操作で変更や設計ができるため、運用開始までに時間を要しません。
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