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タレントマネジメントとは? 組織への導入効果やポイント、導入方法
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タレントマネジメントとは、従業員の能力やスキルの発揮を目的に、人材配置や人材育成を戦略的に行う手法です。日本でも多くの会社が注目しています。
当記事では、タレントマネジメントを行う際、見込まれる効果やポイントなどを、導入方法とともに図解つきで解説します。
目次(タップして開閉)
タレントマネジメントとは?
近年タレントマネジメントは、徐々に普及と理解が進み、導入を検討する企業が増えています。一方で「タレントマネジメントについてあまりよくわかっていない」といった声も少なくありません。ここでは、タレントマネジメントの基本をご紹介します。
タレントマネジメントの定義
タレントマネジメントでは統一された定義はなく、各研究機関によって定義もさまざまです。代表的な3つの定義をご紹介します。
ATD(米国人材開発機構)の定義
ATD(Association for Talent Development/旧:ASTD(Association Society for Training&Development))では、2009年にタレントマネジメントを以下のように定義しました。
「仕事の目標達成に必要な人材の採用、人材開発、適材適所を実現し、仕事をスムースに進めるため、職場風土(Culture)、仕事に対する真剣な取り組み(Engagement)、能力開発(Capability)、人材補強/支援部隊の強化(Capacity)の4つの視点から、実現しようとする短期的/長期的、ホリスティックな取り組み」
引用/訳:『タレント・マネジメントとは?』(株)スマートビジョンより
SHRM(全米人材マネジメント協会)の定義
SHRM( The Society for Human Resource Manegement)では、タレントマネジメントを2006年に以下のように定義しました。
「人材の採用、選抜、適材適所、リーダーの育成・開発、評価、報酬、後継者養成等の人材マネジメントのプロセス改善を通して、職場の生産性を改善し、必要なスキルを持つ人材の意欲を増進させ、現在と将来のビジネスニーズの違いを見極め、優秀人材の維持、能力開発を総合的、戦略的に進める取り組みやシステムデザインを導入すること」
引用/訳:『タレント・マネジメントとは?』(株)スマートビジョンより
リクルートワークス研究所の定義
リクルートワークス研究所では、タレントマネジメントを以下のように定義しました。
「組織における個人1人ひとりの能力とリーダーシップを最速で開花させることによって,組織内のリーダーシップの総量を極大化させ,より高いビジネスゴールを達成することを目的とした,上司・本人・人事による成長促進のためのプロセス」
引用:『タレントマネジメントの本質』リクルートワークス研究所(2013)
企業・組織におけるタレントとは?
日本においてタレントとは、芸能人などを指す言葉として使われることが多いですが、企業や組織におけるタレントは、「才能・素質を持つ人材」という意味で使用されます。
人事領域での「タレントマネジメント」とは、従業員個々が持つ能力やスキルを管理し、業務に活かすことを指します。
企業・組織におけるタレントマネジメントが注目される背景
昨今、日本の多くの企業でタレントマネジメントが注目されるのには、主に次のような3つの背景が関係しているといわれています。
長期雇用の難化
昨今、企業への長期雇用は難しくなりました。転職が一般的になったことやフリーランスなどが増えたこと、少子化による労働人口の減少などが主な理由です。
時間をかけて社員を育成することに向かない今、自社が必要とする人材の確保や時間をかけない育成のために、タレントマネジメントが注目されています。
企業のグローバル化
企業が生き残るためには、グローバル化することは必須といえます。また、社会経済環境の変化への対応も求められます。グローバル化の流れに素早く対処できる人材を採用して育成するために、タレントマネジメントが注目されています。
価値観の多様化
雇用形態や働く環境が多様化した現代において、自社の方向性や理念などに共感してくれる人材を確保する必要があります。既存社員の考え方や価値観を把握し、企業が求める人材の発掘や定着に活かすため、タレントマネジメントが注目されています。
企業・組織におけるタレントマネジメントの目的
タレントマネジメントでは、人材を経営資源の1つとして捉えます。
タレントマネジメントの最終目的は、大切な経営資源である人材を適切かつ効率的に活用し、経営戦略を実行、そしてその先にある経営目標を達成することにあります。その達成を人事面から支えているのが、タレントマネジメントといえます。
そのため「人材採用」「人材配置」「人材育成」「人材定着」など人事に関わるさまざまな施策を戦略的に行い、ブレることなく達成に向けて進めなければいけません。
また、組織の課題や事業計画によって、タレントマネジメントのやり方や比重のかけ方は異なります。どんな企業にも当てはまるやり方はないと考えられています。
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タレントマネジメントの組織への導入効果
タレントマネジメントの導入によってどのような効果が得られるのか、具体的な例を4点挙げます。
1.効率的な人材育成 2.適材適所の人員配置 3.社内業務の効率化 4.人事評価制度の適切な運用 |
詳しく解説していきます。
効率的な人材育成
タレントマネジメントを行うことで、従業員1人ひとりのスキルを管理できます。それぞれが持つスキルを把握することで、それらを伸ばす施策はもちろん、足りていないスキルを身につけるための施策などを実行できます。無駄がなく、効率的な人材育成計画を立てられるでしょう。
適材適所の人員配置
タレントマネジメントを行うことで、新規事業立ち上げや人事異動の際に、適切な人員配置計画を立てることができます。従業員個々のスキルが可視化できれば、それぞれの部門で足りていないスキルを補える人材を適切に配置できます。また、新規採用を行う際も、企業が求めているスキルを持った人材をピンポイントで確保できるはずです。
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社内業務の効率化
タレントマネジメントは、社内業務の効率化や現状の工数・コスト削減にもつなげることができます。タレントマネジメントを通じて従業員1人ひとりが優れたパフォーマンスを発揮できるようになれば、組織単位にとどまらず、会社全体の生産性の向上が見込まれるでしょう。
雇用形態によって業務内容や労働時間に制限がある社員でも、スキルを最大限に活かせるポジションに配置することができるため、工数を減らしつつ、じゅうぶんな戦力となります。
さらに上述した通り、採用すべき人がすぐわかるため、無駄な採用活動を行う必要がなくなり、結果的に採用コストも削減できるでしょう。
人事評価制度の適切な運用
タレントマネジメントにより、個々の能力やスキルが可視化されていれば、個人の目標が明確になり、人事評価制度と連動させて運用ができ、評価の公平性も高まるでしょう。
不足している能力やスキルがあれば、それを補うための目標設定もしやすくなり、管理者の主観に左右されにくい公平性のある人事評価制度を運用する助けとなります。
公平な評価が行われると従業員の納得度も高まるため、従業員エンゲージメントも向上し、会社への定着率も高まることが期待されます。
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タレントマネジメントの組織への導入事例
タレントマネジメントの実施により、企業・組織にとってどのような効果がもたらされているのか、3つの事例を紹介します。
タレントマネジメント実施例 | |
---|---|
A社 | 社内スカウトマンの設置 |
B社 | 能力発掘のための独自サーベイシステムを開発 |
C社 | システム活用で、従業員の能力を可視化 |
A社
社内の優秀な人材を見つけるために、社内にスカウト人員を用意しています。各部署と連携し、既存社員の中から最適だと思われる人材を発掘します。
とくに優秀な人材については、リーダー育成専用プログラムにエントリーしてもらうことで、次世代幹部候補生として、さまざまな職務やポジションに配置し育成しています。
B社
従業員が持つ能力やスキルを開花させ、適材適所の人員配置を行うべく、独自のサーベイシステムを開発しています。
人事異動などの配置を行う際は、データを参照したうえで、役割や期待を本人に伝え、本人の意思を含めて異動の決定を行っています。これにより、組織と従業員にとっての適材適所が実現しています。
C社
従業員数が3万人を超えるC社では、人材情報を見える化するべく、タレントマネジメントシステムを活用しています。システムで個々の能力やスキルを管理でき、必要なデータがすぐに割り出せるため、スピード感のあるレポーティングや意思決定が行えています。
タレントマネジメントの組織への導入方法
タレントマネジメントは順を追い基本的なステップを踏むことによって、効果を発揮します。基本的な手順は以下の通りです。
詳しく解説します。
1.目的や課題の明確化
組織・企業がどのような課題を抱えているのかを明確にします。経営戦略や企業課題をもとに、人材戦略に落とし込む必要があるからです。
「従業員数が多い」「解決したい課題が多い」といった場合は、タレントマネジメントシステムの導入も一案です。従業員の情報を管理できるだけでなく、データを活用して人事施策の計画も立てやすくなるので便利です。
2.人材情報の整理・計画立案
自社の人材マネジメントが現状どのような状況なのかを理解することが大切です。どのようなスキルを持った従業員がどのくらい在籍しているのかを整理し、補うべき部分、目指すべきところとのギャップを把握します。
3.人材の採用・育成
人材情報が整理されると、従業員にどのような育成を行うべきなのかがわかりやすくなります。必要に応じて研修などを実施します。
また、計画をもとに組織の不足している部分を補填する人材を採用します。採用すべき人が明確な状態だと、採用基準も設定しやすくなります。
4.人材の配置・評価
必要な人材が確保できたら適材適所に配置し、活躍状況を評価します。また、社内の育成計画に基づいて人の異動などを行います。
将来のリーダーへの抜擢を見越して、必要な経験が詰める部門に配置するなど、長期的な視点で人を配置します。
5.見直し(随時)
運用後は状況に応じて、採用体制や教育体制を見直しましょう。施策が順調に進んでいるか、組織にどのような影響を与えているかなどの検証を行います。一度だけでなく、定期的に見直しを行い、計画からズレていないかなどをチェックしながら進めることが大切です。
必要があれば、再度配置転換をしたり、新たな研修を実施しましょう。
タレントマネジメントを組織に導入するポイント
実際にタレントマネジメントを行う際は、以下の5つのポイントを押さえる必要があります。詳しく解説します。
目的の設定、明確化
タレントマネジメントは、企業全体に関わる取り組みです。導入後すぐに結果が出るというわけではありません。自社にとって「なぜタレントマネジメントが必要なのか」を明確にすることが大切です。
目的に合わせて人材マネジメント全体の設計をします。目的を明確化したうえで、何度もブラッシュアップを重ね、精度を上げていくことが重要です。
企業や組織の現状の把握、可視化
タレントマネジメントでは、自社の現状・課題が何なのかをしっかり把握していなければなりません。
自社が今、どのような状況におかれているのか、どこを改善したいのかを可視化し、そのために何を行うのか、どのようなゴールを目指すのかを整理します。
企業・組織の現状を正しく把握できていれば、ぶれることなく目的に沿ったタレントマネジメントを継続して実行できます。
従業員情報の可視化
目的や自社の現状が把握できたら、次は従業員の情報を可視化します。どのような従業員が在籍しているのか、年齢、性別、所属先、役職、入社日、家族構成などの個人情報や所属や役職などをデータとして集めていきます。
データは集めるだけが目的ではありません。その情報をもとに分析を行うことが重要です。
スキルや経歴、エンゲージメントの可視化
集める情報は基本情報や基本属性だけではありません。当然スキルや経歴なども従業員1人ひとり異なります。
また、会社に対する考え方やマインドなども人それぞれです。そのような情報も従業員データの1つとして入手しておくことをおすすめします。具体的には次のような情報を蓄積していくとよいでしょう。
・能力/スキル ・職務内容/実績 ・勤怠 ・価値観 ・エンゲージメント |
とくに従業員エンゲージメントの把握は、離職の予兆をつかむのにも役立ちます。
タレントマネジメントの実施で解決したい自社の課題や問題点などを明確にし、目的に応じた情報に絞ってデータを集めてもよいでしょう。
人事戦略の実行・振り返り
集めた従業員データをもとに、「必要な人材を採用する」「必要な人材を育成する」「適材適所に配置する」といった課題解決に向けた人事戦略を立て、実行に移します。
戦略の実行後は、必ず検証や振り返りを行うことが大切です。目的は適切だったか、事業の成長に貢献できているか、配置計画や評価は従業員の納得が得られるものだったかなどの調査を行います。
そして結果を踏まえ、組織のさらなる発展のために、どのような人事戦略を行えば、組織のさらなる発展につながるのか、次の施策を検討しましょう。
タレントマネジメントを組織に定着させるには
昨今の働く環境の変化を背景に、タレントマネジメントを行うことが企業や組織に求められるようになりました。ただし適切に運用しなければ、自社が抱える課題の解決につながるような効果は見込めないでしょう。
独自の手法でタレントマネジメントを行う企業もありますが、手間をかけずにやるならシステムの導入がおすすめです。
タレントマネジメントシステム『スマカン』は、従業員の情報や顔写真、スキルや保有資格など、さまざまな情報を一元管理できます。人事評価や目標管理機能を利用して、組織の情報を戦略的に分析すれば、必要な人材の発掘や採用すべき人材の明確化、離職傾向をつかんで定着率を高めることなどにお役立ていただけます。
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